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新社会人のきみへ —– ISO攻略(レベル1) —–(その27)

 

5.4 唯一無二の仕組み

前項で各社が持つマネジメントシステムは、千差万別であるというお話をしました。
言葉を替えると、本項表題に用いた唯一無二という言葉で理解を深めていただきたいのです。
マネジメントシステムはその会社の業務運営の標準化を意識した仕組み化を図った結果です。会社運営の仕組みはその会社に根付いた風土とも密接につながります。だからこそその会社にしか存在しないものなのです。
第6章での話になりますが、ISOというマネジメントシステムの一つのひな型を採り入れる際に、他社の事例を参考にするのはよいのですが、他社での活用方法をそのまま自社に取り入れようとする組織が数多く出てしまったという過去があります。

簡単に言えば借り物で仕事をする状態がISO認証取得企業で多数発生してしまったという歴史です。残念ながらこれは失敗事例です。自社が持つ特徴を殺すことになってしまう危険性が極めて高いからです。
再び1.3項での話の続きになりますが、自社を知ることを更に深掘りしていくと、自社の「強み」を知ることがとても大事になります。
自社は何を売りとして日頃の活動をしているのか。何がお客様に評価されているのか。そしてその強みはなぜ生まれたのか、そしてこの先も生み出し続けることができるのか。これらのことはすべて自社の強みを知らなければ答えられません。そして自社の強みというのもある特定のことだけとは限りません。色々な事象の組み合わせで自社の強みが出来上がっているケースの方が実際は多いでしょう。
その強みを社員の皆さんが理解しやすくするため、そして伝承しやすくするためにマネジメントシステムは存在し、活用していかなければなりません。当然すべての組織では完璧な状態とは違う部分が数多くあります。つまり組織にとっての課題は様々なものがあります。その課題に取り組んでいくためにも課題の見える化、課題に取り組んでいく過程における確認や評価、そして最終決裁などの仕組みも必要です。これらのこともすべてマネジメントシステムの中に組み込むべき要素です。

さあ、だんだん込み入ってきましたね。マネジメントシステムがカバーすることは実は多岐にわたります。第4章でお話をした標準化、仕組み化だけでなく、第3章で取り上げたPDCAそして第2章で取り上げた組織の目的(理念)や責任権限、役割分担ということもマネジメントシステムでカバーすべき内容なのです。

そしてこの章で強調したそれを組織独自のものとして作り上げる、ということは本当のことを言えば、ベテラン社員の方にとっても実はかなり大変です。では、その仕組みを作っていく上でひな型のようなものがあればやはり便利ではないか、という発想が多くの人の中にあり出来上がったものがISOが規定するマネジメントシステム規格なのです。

ISOが組織運営の仕組みの標準形をISO9001やISO14001等の規格に取りまとめて、世の中の人々にどうぞ使ってください、と言って発売したというのが過去の歴史です。
したがって、マネジメントシステムのひな型として世の中に出ているものはISOの規格だけではありません。まかり間違ってもマネジメントシステム規格=ISOとは思わないでください。マネジメントシステムのひな型が世の中にどれくらいあるのか、筆者も調べたことはありません。ですがISO以外にも日本や海外各国で色々なひな型が作られています。その中で最も認知度が高いものがISOのマネジメントシステム規格なのです。この点はしっかり記憶の中に留めてください。実はこの誤解は世の中に結構広まってしまっています。御社の先輩方の中でもこのようにISOについての認識を誤解されている方がいないとも限りません。
もう一度繰り返します。マネジメントシステム規格=ISOではありません。
マネジメントシステム規格≠ISOです。

(次号へつづく)