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『3分でわかるISO入門 ~イソ子さん奮闘記~』Vol.2

『第2回:思い込みでやる仕事はミスのもと!』


登場人物
■矢田イソ子さん(25)
大手アパレルでの総務職(派遣)を経てミシマテクノファクトリーに入社。ブレイク前のアイドルの追っかけが趣味。ちょっと天然キャラで早とちりの名人。

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入社から数日が経過したイソ子さん。管理部のお仕事にも慣れてきたようです。
本人が言うには、前に働いていた大手アパレル企業でも総務の仕事をしていたので、ミシマテクノファクトリーでも総務系の仕事ならばソツなくなくこなせるのだとか。
でもねイソ子さん、ミシマテクノファクトリーの管理部は総務のお仕事だけでなく、人事や経理のお仕事もやらなければならないことをお忘れなく。大手に比べたら少ない人数で多くの仕事をするわけだから、気を引き締めて効率的に仕事をするようにね!
そんな不安をよそに、いいところを見せようと張り切っているイソ子さんは、早くも大活躍…だったはずなのですが…。

おっとイソ子さん。何かやらかしてしまったみたい。
どうしたの、イソ子さん?

イソ子さん:
失敗しちゃったんですぅ。
昨日、朝一番に営業部の森下さんから名刺を発注して欲しいと依頼があったんですよ。内線電話で、「今日の午後には名刺を持って出かけたいから超急ぎで!」って。
わたし、マッハで発注したんです。前の会社でも名刺の特急発注は何度も経験していたし、名刺の発注先は課長代理から教えてもらっていましたから。
それで、森下さんは午後の外出までに名刺が間に合ったって、とても喜んでくれたんですけど…。

ところが、そこからがサイアクで…。

名刺の特急発注は、通常の発注よりも割高になるんですよ。金額が倍近く違うんです。で、ウチの会社は、通常の料金よりも高くなるような《特別なケース》は、課長の承認が必要なんですよ。ええ、今回の名刺の特急発注も。
私は急いでいたから、課長に報告せずに発注してしまったんです。それで、課長に怒られちゃったんです。やっちゃいましたぁ…。

なるほど、状況はわかりました。
「割高になる特別な発注については課長の承認を得る」というルールがあったにもかかわらず、イソ子さんは課長に申請せずに自分の判断で勝手に発注をかけてしまったというわけですね。

まず、ルールの大切さについて考えてみましょうか。
例えば、交通のルールに従わずに各自が自分勝手に道路を歩いたり運転したりしたら大混乱が起きてしまいますよね?しかも、そのルールはそれぞれの国ごとに定められているものだから、今現在住んでいる国のルールに従わないと意味がないですよね。
それは会社でも同様です。個々の社員がそれぞれ好き勝手に行動していたら、物事がスムーズに進まないし、時には混乱が起きてしまいます。しかも、会社ごとに独自のルールがありますので、そのルールに従うべきです。
だからこそ、交通も会社もルールをキチンと決めておく必要があるし、それを正しく守る必要もあります。ルールを守るためには、ルールを知っていることが大前提になるし、いつもそのルールを意識しておく必要があるんです。

ところで、イソ子さんが今回失敗した原因は何でしたっけ?

イソ子さん:
森下さんが大急ぎだって言うから、私もすごく急いだんです…。そりゃあルールは大事かもしれないけど、あの場合は仕方なかったと言うか…。

うーん、「急いでいたこと」が本当の原因だったのかなぁ?
では聞きますが。
イソ子さんはそもそも「割高の発注は課長の承認を得る」というルールは知っていたのかな?

イソ子さん:
はい。私が入社した日に研修があって、その時に課長から教えていただきました!
昨日は全然忘れていましたけど…。
そう言えば、「全ての規則や方法は文書になっているからそれを読みながら仕事を進めるように」とも言われたっけ。
それも忘れていましたけど…。

ルールは教えてもらっていたけど、忘れていたというわけか…。
つまり、今回の失敗は「急いでいたこと」が原因ではなくて、「覚えておくべきだったルールを忘れていたこと」が原因だということになりますね。

おっと、落ち込むことはないですよ、イソ子さん。
原因がわかれば、後はそれを直していくだけですから。これは大きな前進です!

まずは、同じ失敗をしないためにはどうしたらいいのかを考えてみましょうか。
イソ子さんがキチンと会社のルールを覚えていて、それを日常的に実行することが重要なわけですよね。
それにはどうしたらいいかな?

イソ子さん:
そうですねぇ、腕にボールペンでメモを書いて忘れないようにするという作戦はどうですか?
私、メモを読み返さない習慣を改めるようにしているんですけど(←失敗エピソードは第一回でお読みください!)、なんたって「腕にメモ」が一番ですよ!

もしもし?イソ子さん?
会社のルールをすべて書き込んだら全身が文字だらけになるからね…。
でも、「メモを書く」という発想はいいかも。つまりは、文章にして残したものを読み返すということですよね。
実はミシマテクノファクトリーには、「仕事をする上で守らなければならないルール」とか「それを守ればうまくいくコツ」をまとめた文書が存在しているんです。
ほら、さっき「課長から文書についての説明があった」とイソ子さんも思い出したでしょ。アレですよ、アレ。
その文書を社内では《手順書》と呼んでいます。《手順書》に書かれている内容に沿って仕事を進めていけば失敗することはないし、仕事がうまく回っていくんです。そうなるように《手順書》はつくられていますから。
《手順書》を読んで確認する習慣をつけたら、イソ子さんはもう同じ失敗をしなくなるはずですよね。

イソ子さん:
確かに!
わー、なんだか不安だった気持ちが晴れていくような気分です!

そうでしょう。だって、イソ子さんは「もう同じミスをしないための方法」を手に入れたのですからね!
これこそ大きな前進ですね。

でも、前進はそれだけではありません。今回のミスをきっかけに前進できる重要なことがもうひとつあるんですよ!
それは、今後予測される「似たようなミス」も防止していけるということです。
イソ子さんにとって「発注すべきもの」は名刺だけではありませんから、発注の仕事全般で今回と同じようなミスを起こしてしまう可能性があります。それに、発注処理だけがお仕事ではないのですから、他のお仕事でも《手順書》のルールに従わずにミスをしてしまう可能性もあるわけです。
そしてこの二つは、どちらも今回の名刺事件と「似たようなミス」であり、今後起こることが予測されるミスでもあります。
そういった「予測されるミス」も事前に防止できたらいいと思いませんか?

イソ子さん:
それは防止できたらいいに決まっているけど…。でも、そんなにうまくいきますかぁ?

防止策はあるんです!
例えば、課長への「報連相」を習慣化するという方法はとても有効です。「報連相」が「報告」「連絡」「相談」のことだというのは知っていますよね? その報連相を徹底することで、自分の思い込みで仕事をすることに歯止めがかかるし、自分の仕事をチェックする習慣がつき、結果的に《手順書》を強く意識することができます。

今のは個人が「予測されるミス」を防止する方法でしたが、部署全体で予防することもできるんですよ。
例えば、様々な発注の状況を一覧にまとめて、管理部の会議で確認し合う機会をつくれば「発注に関するミス」を減らすことができるでしょうし、部内で定期的に《手順書》の読み合わせを行っていくなどすれば「《手順書》に従わずに起こる同様のミス」も減らすことができるのではないでしょうか。
そうやって対策を打っていけば、「似たようなミス」は防止していけるわけです。

イソ子さん:
あー、ホントですね! それならば、いつも《手順書》のことを意識していられますね。腕にメモを書く必要もないですし!

そうそう、腕がメモだらけにならずに済みますね(笑)
どうやら、イソ子さんの失敗が元になって、同じ失敗を起こさなくなるだけではなく、他にも起こり得る失敗を防ぐことまでできそうですね。それも部署全体で。いや、もしかしたら会社全体での予防につながっていくかもしれません。

「失敗をもとに改善していく。」

実は、それこそがISOの考え方なのです。
イソ子さんには、日常のお仕事の中でISOのことを知っていって欲しいと思っているのですが、どうやら今回はうまく伝わったみたいですね。

兎にも角にも、今日はイソ子さんのミスのおかげで大切なことを学ぶことができました。
イソ子さんがミスをしてくれて本当に良かった! イソ子さんのミスに心から感謝です。
イソ子さん、ミスしてくれてありがとう!

イソ子さん:
さっきから、「イソ子さんのミス」「イソ子さんのミス」って…。
ビミョーにディスられてる気分なんですけど…。

〔次回に続く〕

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【イソ子のつぶやきメモ(2)】
今日、私が気づいたことをメモっておきます。腕にボールペンではなく、メモ帳に(笑)

・仕事は会社のルールに従って行うこと。
・そのためには《手順書》を確認すること。
・ミスをしたら原因を正しくつきとめること。
・そして、二度とミスを起こさないようにする方法を考えること。
・起こりそうなミスをあらかじめ予想して、それが起こらないための方法を考え実行すること。

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【(ちょっと中級者向け)ISO用語辞典】
■同じ失敗を起こさないための対策を「再発防止策」と言います。
■“起きることが想定されるミス”を事前に予測して、それが起こらないようにする手段を決めて実行することを「予防処置」と言います。
■原因を探して、同じ失敗が起こらないために、その原因を取り除くことを「是正処置」と言います。

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次号:2019年5月15日(水)配信 『第3回:ダイエットで効果を出す!』

お楽しみに!