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『3分でわかるISO入門 ~イソ子さん奮闘記~』Vol.7

『第7回:結果良ければすべて良し?』

登場人物
■矢田イソ子さん(25)
大手アパレルでの総務職(派遣)を経てミシマテクノファクトリーに入社。ブレイク前のアイドルの追っかけが趣味。ちょっと天然キャラで早とちりの名人。

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毎日元気で明るいイソ子さんですが、今日はいつにも増してハッピーな面持ちですね。
イソ子さん、何かいいことがありましたか?

イソ子さん:
そうなんですー、聞いてくださいー!
さっき、社長のところにお客様がいらしたので、来客対応をしたんですよ。取引先のメーカーの専務さんなので、すごく緊張してしまって…。でも、それが最高の来客対応だったんですー!

ほぉ、それは素晴らしいですね。

イソ子さん:
まずは落ち着いた笑顔で対応できました! これが以外と難しいんですよ、緊張すると顔がひきつるから…。でも、今日は調子が良かったのでうまくいきました。

調子が良い日と悪い日があるのですか?

イソ子さん:
実を言えば私の場合、「うまくいった時」のことを「調子が良かった」と言っているんですけどね。結果次第と言うか…。
それに、今日は敬語も噛まずにスルスルと出てきたんですよ! いつもはよく噛んでしまうんです、私。まぁ、そのたびにお客さんの笑いを取って場が和むから結果オーライなんですけどね。
それと、お茶の出来が今日は完璧だった! 色を見れば最高だってわかるんですよ。おまけに茶柱まで立っていたし!
あー、いい対応が出来ると気持ちがいいわー!自信につながる!

イソ子さんが自信を持つのはいいことだと思うのですが、ちょっと気になることが…。
イソ子さんの話を聞いていると、なんだか「出たとこ勝負」でやっているくせに、結果にだけは一喜一憂しているように見えますね。それに、失敗をごまかせたことを自画自賛していたのでは、一向に改善されないのですが…。
そして何よりも気にかかるのは、「今日は最高だった」と言っていますが、それはつまり、「最高ではない対応のとき」もあるということですよね?

イソ子さん:
あー、ありますあります!今日はイマイチだったな~っていうときがありますあります!

え? 胸を張って得意げに言うことではないと思いますが…(苦笑)

イソ子さん:
だって、私にもコンディションというものがありますから。それに、お客さんとの相性ってものもありますし、そればかりはどうしようもないことです! それは、茶柱が立つ時と立たない時があるというのと同じことですよ。茶柱もコンディションも相性も、私にはどうしようもないことなんですから!

確かに茶柱は意図的に立たせることはできませんが、うーん…。
ねぇイソ子さん、お茶を淹れること自体は茶柱とは違って、いつもうまくやることが出来るのではないですか?

イソ子さん:
わかってないですねー。お茶を淹れるのって意外と手間がかかるし、難しいんですよ!
お母さんから教わったんですけど、急須にお茶の葉とお湯を入れてから少し蒸すとお茶は美味しくなるって知ってますか? 蒸し時間はだいたい1分間なんですけど、人数が変わるとお茶っ葉の量が変わるので微調整が必要なんです。ところが、お客様とウチの会社からの出席者がトータルで何名になるのか読めなかったりするので、お茶っ葉の量や蒸し時間の計算が狂っちゃうんですよねー。それで失敗することが度々…。まあ、そもそもお茶っ葉を増やしたり減らしたりの微調整も目分量なんですけどね。あはは。

そこ、笑うところじゃないでしょ! もう、ホントに…。

イソ子さん:
もっとラクになればいいのにな〜。例えば、お茶っ葉や急須に向かって「今日は三人分で!」って命令したら、自動的に完璧なお茶が出来上がってくれるとか。AIでなんとかならないのかな~。

ふーん、お茶が自動的に…か。なるほど、今日はその話をしてみましょうか…。
ところで、イソ子さんは料理をしますか?

イソ子さん:
しないことも…ない…ですよ。絢香先輩みたいに、自分でお弁当を作ってくるような腕があるわけではないですけど…。まぁ、ボチボチと…。
え?得意料理ですか?
えーと、まあ、「何でも」です。いろいろと工夫するので、オリジナル料理も多いって感じかな。
え?例えば?
野菜炒めを作るとするじゃないですか。ところが、たまに味付けが濃すぎたりするわけですよ。そんな時には、水と粒状ダシを足して煮物にしちゃう時もあるし、ご飯を足せば「ちょっと変わったチャーハンみたいなもの」ができるし。それが、すごくオリジナルな味付けで意外と美味しかったりして…。バターとコンソメを入れて煮込めば洋風雑炊だし、トマト缶とチーズでリゾットにも化けるし。けっこうご馳走でしょ!

野菜炒めを作るはずがリゾットになってしまうわけですか…。
それを一般的には「失敗」と言いませんか(笑)

イソ子さん:
うぐぐ…。でも、最近は割とうまくいっているから、失敗はせいぜい3日に1度ぐらいですよ!ホントホント! 味付けに“めんつゆ”を使うようにしたら味が安定してきたし、それに、昨日の夜に食べた春巻きはなかなかのもので…。

もしもし?イソ子さん?
その春巻きはもしかして冷凍食品ではないですか? あ、目をそらして黙りましたね。図星だったんだ…。しかも、3日に1度も失敗してるって、一体…。
まあ、“めんつゆ”とか冷凍食品の是非は敢えて問いませんけど、“めんつゆ”を使うことで味が安定したり、冷凍食品を使うことで食べようと思ったモノが食べられるというのは事実ですよね。少なくとも春巻きがシュウマイに化けたりはしないわけですからね。

いいですか、イソ子さん。
調理とは、「あれを食べよう」という目的があって、その目的に合わせて食材を調達して作ることですよね。あるいは、今ある食材から「あれを作って食べよう」という目的を決めて作ること。どちらにしても、食材から始まって料理の完成形で終わるんです。
つまり、「手をつけられていない食材」を「完成した料理」に変えるのが「調理」です。この「調理」がとても大事であることは理解できますよね? だって、ただ見つめているだけで食材が料理として完成することはありませんからね。つまり、「料理」とは「調理の結果」なのです。

イソ子さん:
はい、そのとおりですね。言い回しが難しいけど…。

そして、この「調理」にあたるところをISOでは《プロセス》と言います。《プロセス》とは、「インプットに手を加えて、期待するアウトプットを出すこと、その手順」と定義されているんです。

イソ子さん:
その言い回しはもっと難しいですぅ…。

おっと、わかりにくかったかな…。では、料理に置き換えてみましょう。
「調理(=プロセス)」とは、「食材(=インプット)」に手を加えて、「期待する料理(=アウトプット)」を完成させる手順なのです。
どうですか?

イソ子さん:
あぁ、それはわかりやすいです!
うーん…でもぉ…料理って結果的にお腹が満たされればいいわけだし、目的と結果が違っていたとしても美味しければ結果オーライじゃないでしょうか。それを「プロセスだ!」とかちょっと大袈裟すぎるような気が…。

ええ、確かに、自分が作った料理を自分で食べるなら特に問題はないとも言えます。不味(まず)くても我慢すればいいわけですから。あ、いや、イソ子さんの料理が不味(まず)いとかって意味ではなくて…ゴホゴホ…むせた…。 でも、料理をお客様にお出しするとしたら? 外食店で調理をしているプロの人達のことをイメージしてみてください。
例えば、お店で野菜炒めを注文したのにリゾットに変更されて出てくるというのはあり得ないですよね。それから、「今日の味付けが昨日とまったく違う」というのもあり得ません。それらがあり得ないということは、つまり、プロの料理人は注文通りに料理を作っているし、味はいつも同じだということです。
それは何故だと思いますか?

イソ子さん:
わかった!冷凍食品を使っているんだ!

もしもし?イソ子さん?
そんなわけないでしょ!!
プロの料理人は食材の切り方や味付け、火力の量、火を通す時間などが一定しているんですよ。つまり、同じことを毎回やっているんです。手順が完璧に定まっているわけですね。だから、失敗することがないし、味が安定しているのですよ。
さっきイソ子さんが言っていた「お茶を自動で淹れる」というのは、機械であれば安定した手順で目的を達成できるという意味に受け取れますけど、プロの料理人は機械並みに手順が安定しているのです。つまり、調理方法が整えられているからこそ、いつも安定して美味しい料理が出来上がるというわけです。
そして、このことは一般的なお仕事にも置き換えられます。どんなお仕事でも《プロセス》を整えておくことで、効果的に目的を達成することができるのです。
もちろん、《プロセス》を整えるためには、《プロセス》に潜む問題点は解決しておく必要があります。

イソ子さん:
あ、それ、もしかして《PDCA》ですか!!

その通りです!!さすがはイソ子さん!
《PDCA》を回し続けて確立された《プロセス》を安定的に実行していれば、「失敗する時もあれば上手くいく時もある」なんていうムラは減らすことができるはずです。
来客対応のお仕事にしても、自分のコンディションだとか相手との相性に影響されずにいつも「最高の対応」ができるはずですよ、イソ子さんなら!

イソ子さん:
誉められたような、おだてられたような…。
でも、《プロセス》を安定させることで、いつも最高の結果を出せるというのは勉強になりました!
早速、実践しようっと!!

あ、どこに行くんですか?

イソ子さん:
これからは、ティーバックで「お茶の完成度」を安定させようと思って。
買いに行ってきます!

茶柱は?

イソ子さん:
今残っているお茶っ葉から茎だけ選り分けて集めておきますよ。ティーバックのお茶に茶柱だけ入れれば、茶柱が立つ確率も高くなるでしょ! わたし、天才!

もしもし?イソ子さん?
《プロセス》は「手を抜け」とか「ごまかせ」ということではないですからね!

〔次回に続く〕

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【イソ子のつぶやきメモ(7)】
今回は、私のお料理の腕前がバレちゃいましたぁ…。でも、《プロセス》に目覚めた私ですから、これからのイソ子はひと味違いますよ!料理だけに。(おやじギャグだ…) 今日も大事な気づきをメモっておきます!

・仕事にムラを作らず、安定的に目的達成するためには《プロセス》が重要。
・《プロセス》とは目的を正しく達成し、その出来栄えを一定のレベルにするための手順である。
・《プロセス》を整えていつも実践すれば、私のお客様対応はいつもサイコーになる!(相手が誰であれ、私のコンディションがどうであれ。)

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【(ちょっと中級者向け)ISO用語辞典】
複数の《プロセス》同士を効果的につなげて、それぞれの《プロセス》や全体の《プロセス》の効率とパフォーマンス(結果の達成度)を高めるための管理を行うことを「プロセスアプローチ」と言います。 「プロセスアプローチ」を実現するために組織は、業務の手順書を作成して、部署内の処理や部署間のやりとりを運営管理していくことが必要です。

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次号:2019年7月24日(水)配信 『第8回:お客様は神様なの?』

お楽しみに!