ISO情報

ISOの審査はどのように行われるの?(その4)

 前回から認証審査当日の話を始めました。早速ですが続けていきます。

 審査当日は、事前に決めた計画通りに対象部署(部門)を回って審査を続けていきます。ただし、その審査は会議室の中で書類等を確認し、インタビューをすることも行いますが、それだけではありません。
 必ず現場を見に行くのです。
 現場とは、例えば製造業であれば工場のラインであったり、建設業であれば設計現場や工事現場ということになります。サービス業であれば、お客様と接している場所です。いずれもできるだけ通常業務の邪魔にならないよう、一方で必要であれば現場で仕事をされている方に直接インタビューすることもあります。

 審査員にとって大事なことはまずは観察することです。その場所で何がどのように行われているかを自分の目で見て確認します。もちろん限られた審査時間ですから1時間も2時間もじっと審査員が現場を観察することはありません。場合によっては1~2分の極めて短い時間の観察に基づいて次の行動に移るケースもあります。ここでしっかり組織の活動状況を見抜ける審査員が優秀な審査員ということになります。皆さんの組織に来る審査員が現場を見ようとしないようであれば、それは支払っている審査料金に見合う審査をしている審査員とはとても言えなくなります。万が一そんな審査員に当たってしまった場合は、遠慮なく契約先である審査機関(認証機関)に要望として伝えてください。

 さて、観察の次に審査員として行うことは確認することです。たいていの場合は直接聞くことで確認を行います。会議室でのインタビューだけでなく、先ほど触れた現場での担当者へのインタビューです。インタビューを受ける際には、是非前向きな気持ちで協力的スタンスでの返答をしていきましょう。ISOの審査は公的権力による査察を受ける場合とは全く違います。あくまで皆さんの組織の将来を明るいものにするために現状がどのような状態にあるかを把握するための審査であり、インタビューですから聞かれないことまでペラペラ話をする必要はありませんが、つっけんどんに、そうです、違います、というような両者の間に溝を作ってしまうような受け答えは控えましょう。

 そしてもう一つ、審査員にとって大事なことは文書、記録類の確認です。ISOに取り組むと文書や記録ばかりで大変、と嫌われ者とも言える存在ですが、文書記録類は必要不可欠な大事なものです。審査においてもきちんと対応している証拠資料、という位置づけで記録類の確認は大事なステップになります。そして仕組み化を図る、そして浸透させるには文書がなければできません。ただし、形式は紙に捉われる必要はない点だけ補足しておきます。紙資料を作らなければいけないとなると心理的負担は増しますから、写真はビデオなどでも全く問題ありません。その点はISOも規格改訂の度に柔軟度を増しています。固定観念に捉われることなく、文書、記録類への対応を図ってください。

 実際の審査はこの3つの組み合わせで進んでいきます。タイムスケジュール通りに進めることも審査員の腕ですが、時間ありきではありません。場合によってはある特定箇所で気になれば当初予定を変更して深掘りするケースもあります。

 審査員の責務は決められたスケジュールの中で規格要求事項に対して組織の運営状況が適合であることを確認していくことが第一義、その上で、改善すべき点があればそこも明らかにしていくことにあります。組織の皆様も審査を受ける際には、自組織を良くしていくために、という意識を持って審査から何かを掴みとる、という気持ちで受審してください。