ISO情報
ISOってどのくらいの会社が認証取ってるの?(その2)
前回、日本における認証取得数のお話をしました。今回は日本ではなく世界の数字についてお話したいと思います。
世界の統計データは、規格発行の大元であるISOが年に1回、毎年秋の時期ですが、全世界での認証取得数に関するデータを収集して公表しています。
ISO SurveyとしてISOのホームページでデータが公開されます。本稿執筆時点は、2017年のデータが最新になります。詳細データをご覧になりたい方は是非下記のURL
https://www.iso.org/the-iso-survey.html
をご参照ください。
さて、このISOサーベイの中で特徴的な数字を以下に記しておきたいと思います。
国内同様、ISO 9001の認証取得数が他を圧倒しています。それだけ品質マネジメントシステムに関するニーズが高いと言うことになります。そしてそのISO 9001に関する国別の認証取得数を見ていくと、これも今の世界の情勢ともつながるものを感じられることと思います。まずは数字をお見せしましょう。
規格 | 認証組織数 |
ISO 9001 | 1,058,504 |
ISO 14001 | 362,610 |
ISO/IEC 27001(情報セキュリティ) | 39,501 |
OHSAS 18001(ISO 45001)(労働安全衛生) | 32,722 |
ISO 13485(医療機器) | 31,520 |
ISO 50001(エネルギー) | 22,870 |
(2018年秋公開 2017年末現在の数字)
如何でしょうか。
全世界で100万を超える組織がISO 9001の認証を取得しているわけです。QMSに関するモデルは世の中に多数あるわけですが、その中ではISO 9001が圧倒的に活用されている、ということになるわけです。
そして国別で見ると、またビックリすることになります。
ISO 9001規格 | 認証組織数 |
中国 | 393,008 |
イタリア | 97,646 |
ドイツ | 64,658 |
日本 | 45,030 |
イギリス | 37,478 |
インド | 36,053 |
スペイン | 31,984 |
アメリカ | 25,087 |
中国の存在感が他を圧倒していると言うことがよくお分かりになると思います。
そしてイタリアの動きは、上記だけでは読み取れませんが、毎年の動きがかなりダイナミックです。詳細な背景は筆者もつかめていないのですが、この先の動向は注視しておく必要がありそうです。なぜなら上記データは2017年末現在のものだからです。それがどのようなことを意味するかと言えば、そのタイミングはISO 9001及びISO 14001の2015年版の移行がまだ移行完了期限を迎えていないからなのです。2018年9月が移行期限であったことから、2019年秋にISOから公表されるISO Surveyのデータが今後の世界的な動向を把握する上での起点になるであろうと思います。
他の規格等についてもテクノファで整理しまとめたものを当サイト内でアップしております。よろしければ以下のページもご覧ください。
https://www.technofer.co.jp/iso/iso-survey/
いずれにしても、国内の動向だけでなく、海外各国でISOがどのように受け止められ活用されているか。特にグローバル取引をされている組織に所属されている方は、数字の暗記は全く不要ですが、大きな流れだけはつかむようにしてください。
ISOは欧米が発祥であるわけですが、現状ではイギリスの認証数も減ってきていますし、アメリカではあまりISOは活用されていません。そしてこの資料だけでは読み取れませんが、食品安全の世界では、ISO 22000の認証数よりも他の規格の方が着目されています。日本でもISO 22000の1.5倍くらいの認証数がFSSC 22000という規格で登録されています。
関連業界の方はそれらの規格にも着目するようにしましょう。