Monthly Archives: 5月 2013

■□■ 平林良人の『つなげるツボ』Vol.64  ■□■

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■□■ 平林良人の『つなげるツボ』Vol.64  ■□■

*** 附属書SLキーワード2
「マネジメントシステム」その2***

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■□■ 読者から質問 ■□■

 読者から質問が来ましたので、附属書SLキーワード2
「マネジメントシステム」について更に述べます。

質問の趣旨は、今の良い状態を今後も継続して維持していく仕掛けが
「マネジメントシステム」である(と平林は前回述べました)
というならば、

今良い状態である組織にとっては、
過去からのマネジメントシステム運用がよかったといえるのではないか、

あるいはマネジメントシステムがなくても継続して良い状態を
作り出せていける証拠がそこにあるのではないか?というものでした。

 そうであるならば、
改めてマネジメントシステムを設計せずに現在保有しているシステムを
改善していく方が効果的で理にかなっているといえる。

さらに言えば、マネジメントシステムなどと英語でいわずとも日本には
「全員で目標を共有化し、協力して目標達成を遂げるという文化がある」
ので、そのことを明確にしていただきたい。

創業時から続いてきている文化を継続していくことの方が
より重要ではないか?というものです。

■□■ 質問への回答 ■□■

「おっしゃっているとおりです」というのがまずこの質問への回答です。

特に
「全員で目標を共有化し、協力して目標達成を遂げるという文化がある」
 というくだりについては全く同意です。

大胆に言えば
「全員で目標を共有化し、協力して目標達成を遂げる」文化があるならば、
 マネジメントシステムは既に存在していると言っていいかと思います。

更に現在良い状態であるということは、過去に決められたことを、
決められたように継続的に実施してきた結果である、といえると思います。

したがって、新たにマネジメントシステムを作ることはなく
現状を改善していくという視点が重要です。

このような視点は大変重要であると考えます。

組織の現状を把握し今ある組織の実態をベースにQMSを構築することが
基本になります。

附属書SLが箇条4の冒頭で、
「組織は、組織の目的に関連して・・・・」と書き出しているのも
 以上のようなことが背景にあると考えるとよく理解できると思います。

■□■ 組織にはいろいろなマネジメントシステムがある ■□■

 質問された方がおっしゃるように、
英語で「マネジメントシステム」と言われると、何か別の新しいものが

出てきたと勘違いし、組織に今あるにもかかわらず、
新しいものを作ってしまうという愚をおかしたくはありませんね。

 全員で目標を共有化することも
「マネジメントシステム」の重要な要素ですが、重要なことは
 マネジメントシステムの対象を何にするかということです。

 30年前はマネジメントシステムといえば、製品・サービスの品質を
対象にした品質マネジメントシステムが代表的なものでしたが、

今日では、道路交通安全、省エネルギー、事業継続、情報セキュリティ、
労働安全、イベント、環境などいろいろな事業要素を対象にしたものが
規格として制定されています。

このように欧米を中心に提案がされてくるものであるという背景では
英語で呼ばれるのも致し方ないとも言えます。

以上

■□■ 平林良人の『つなげるツボ』Vol.63 ■□■

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■□■ 平林良人の『つなげるツボ』Vol.63  2013.5.1 ■□■

*** 附属書SLキーワード2
    「マネジメントシステム」***

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■□■ 言うは易く行うは難し ■□■

 附属書SLキーワード2番目は「マネジメントシステム」です。
いまさら「マネジメントシステムとは何か」なんて必要ないと
思われるかもしれませんが、

「マネジメントシステムとは何か」の理解が適切でないと、
いろいろな活動が成果に結びつきません。

マネジメントシステムは今の「良い状態」をこれからもず~っと
良い状態にしておく仕掛けです。

 時系列の観点からは、この仕掛け、
すなわち「マネジメントシステム」の対象は主に「未来」です。

現在良い状態である製品/サービスを担当者が代わっても、
設備、機械が入れ替わっても、材料が変わっても、あいかわらず
良い状態の製品/サービスを提供し続けることを
「マネジメントシステム」を活用して実現させようということです。

 現在の製品/サービスが良くなければ話にならない訳ですから、
「マネジメントシステム」は、当然ことですが、現在も対象に
しなければなりません。

 しかし、ここで強調しておきたいことは、
現在も対象ですが、継続して良い状態を維持する、
さらに改善する意味においては組織にとって
将来を対象とすることの方が更に重要であるという点です。

 達成したことを維持することは、「達成すること」より
難しいといわれます。

一度達成できたのですから、後はその通り行えばよいと
思いがちですが、これが簡単ではないのです。

「維持する」と口で言うのは簡単ですが、
継続しつづけることは実は大変に難しいことです。

なぜかというと、物事は常に変化しているからです。

■□■ すべてのものは変化する ■□■

 我々が存在する宇宙は138億年の歴史を持っているそうです。
現在の科学ではなぜ宇宙ができたのか十分に解明されていません。

ビッグバンと呼ばれる大爆発により、宇宙が誕生したとも、密度が
無限大で体積はゼロの特異点から宇宙が誕生したともいわれています。

 重要なことは、我々は時間の中で生きているということです。

全ての物質はある種類の原子からできていますが、原子核には陽子と
中性子、素粒子(その中には発見されていないものもある)などが
瞬時、瞬時変化しているのだそうです。

この変化が時間であるとも言えるようですが、ある種類の原子は
徐々にほかの種類の原子に変わっていくと考えられています。

この変化が急激に起きるのが核分裂で、
このときには膨大なエネルギーが放出されます。

質量に光速の2乗を掛けたエネルギーで、
アインシュタインのE=mc?式として有名です。

この宇宙を構成している全ての物質は変化している、時間とともに瞬時、
瞬時変化していることがベースとなって、全ての物質から構成される
我々を取り巻く全てのもの、マネジメントが対象とする全てのものも、
例えば人、空間、経営環境は刻々変化していると理解しなければなりません。

■□■ 品質マネジメントシステムを設計する ■□■

品質マネジメントシステムは、「品質をマネジメントするシステム」です。

環境をマネジメントするシステムがISO14001ですし、
労働災害をマネジメントするシステムがOHSAS18001です。

 先ほど「仕掛け」といいましたが、
システムは「相互に関連する又は相互に作用する要素の集まり」と
ISO9000では定義されています。

この要素の集まりが変化するわけですから、
品質マネジメントシステムを設計する際には相当深く、
幅広く考えなければなりません。
 
 品質をマネジメントする仕掛け自体が変化してしまう、当然のことですが
マネジメントする対象である品質(もの、サービスの品質)も変化します。

変化するもの(対象)を、変化するもの(仕掛け)が
管理する(マネジメント)という変化極まりない、
おかしな(矛盾する)話になってしまいます。

では、どうすればいいのでしょうか?

ここで私がいいたいことは、上述のような矛盾する状況において、
唯一変わらないのは「顧客は価値を感じるものしか買わない」と
いうことです。

 その顧客価値ですら変化するのですから、
品質マネジメントシステムの設計においては「見直す」という要素が
如何に重要であるか理解できるというものです。

■□■ 品質システムー品質保証 VS 品質マネジメントシステム ■□■

 古い方?は覚えておられるかもしれませんが、
実はISO9001:1994のタイトルは「品質システム‐品質保証」となっていました。

2000年版に改定された時に「品質マネジメントシステム-要求事項」と
変わりました。

 その際、品質保証のままがよいか、品質マネジメントシステムと
したほうがよいか、ちょっとした議論が起こりました。

 当時私は、後者の方がいいのではないかと考えました。

理由は、そんなに深く考えたわけではありませんが、今後とも良い状態を
管理することの方に重点を置く方がいいのではないかと思ったからです。

 今から考えると非常に困難で、高度なことを規格は要求することになったと
思います。

 現在の状態を今後とも同じように維持する、さらに改善しなければ
ならないためには、それを達成するだけの「能力」がなければなりません。

 組織にはいろいろな能力が要求されます。

要員の能力、設備の能力、そしてプロセスの能力などが期待される
レベルになっていること、その能力が維持できるようになっていないと
マネジメントシステムは維持、改善されていきません。