Monthly Archives: 1月 2021

平林良人の『つなげるツボ』Vol.294

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■□■ 平林良人の『つなげるツボ』Vol.294 ■□■
― つなげるツボ動画版はじめました ― 
*** 個人の行う活動7_内部診断と内部監査35 ***
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前回に続き内部診断と内部監査について、個人の行う活動について
お話しします。今回はその7になります。前回は個人業務のミスに
ついて、その対応には排除、代替化、容易化があるとお話ししまし
たが、今回はその続きになります。

■□■ 未然防止 ■□■
なにか頭に当たっても怪我しないようにヘルメットをかぶる等は、
起こってしまったミスに対しての防止として行われています。品
質トラブルや事故が起きてから原因となるミスを防止するよりも、
起きないようにする、起きることを想定して対策を打っておくこ
とが効果的です。
ミスが起きないようにする、起きても影響がないようにすること
は、異常検出、影響緩和として前回お話ししましたが、今回は一
歩進めて未然防止のアプローチを考えてみましょう。
未然防止のツールの一つにFMEA(失敗モード影響解析)があ
ります。

■□■ 業務FMEA ■□■
業務FMEAの一例を示します。
1) 業務をその流れに沿って適当な大きさの要素に区分する。
2) 要素ごとに起こり得る総ての業務ミスを列挙する。
3) 列挙された業務ミスごとに発生頻度や致命度を評価する。
4) 対策の必要な業務ミスに対して適切な対策(排除、代替化、
  容易化、異常検出、影響緩和)を実施する。

上記手順に沿って現行の業務方法を分析・改善することが未然防止
に繋がります。業務FMEAの効果的な適用のためには、業務を適
切な大きさに区分すること、従来経験したミスの事例を分類して失
敗モードをまとめておくことが重要になります。

■□■ エラープルーフ化 ■□■
人のミスをヒュ-マンエラ-と呼びますが、293号で述べた人の排
除、人の代替化、業務容易化などを含む、計画段階からのエラー防
止を「エラープルーフ」と言います。
エラープルーフ化を組織的に推進する上での注意すべき点は内部診
断のポイントになります。以下にその例を掲げます。

1.業務ミスは業務者個人の問題でなく、プロセスの設計と密接に
  関係する管理上の問題であることを管理者を含めた職場の全員
  が理解する。
2.エラープルーフ化による業務ミス防止の成功例を作る(このこ
  とが皆の理解増進に一番役立つ)。
3.業務ミスに起因する品質トラブルや事故の原因調査を行い、業
  務方法の悪さを解析する。
4.エラープルーフ化の具体的な実現方法に関する技術教育を行う。
5.職場又はミスの種類別に分類したエラープルーフ化事例集を作
  成する。
6.エラープルーフ化の実施件数に関する目標を設定したり、優秀
  なエラープルーフ化事例の発表会を開催する。

平林良人の『つなげるツボ』Vol.293

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■□■ 平林良人の『つなげるツボ』Vol.293 ■□■
― つなげるツボ動画版はじめました ― 
*** 個人の行う活動6_内部診断と内部監査34 ***
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前回に続き内部診断と内部監査について、個人の行う活動について
お話しします。今回はその6になります。前回は全員が標準を守る
ようになるにはどんなポイントがあるのかについて説明をしました
が、今回はその続きになります。

■□■ ルールを守る組織になる ■□■
組織は担当者に守れるだけの能力を身につけてもらい、守れる環境
(例えば時間)を整えます。加えて業務標準書を作るだけの能力を
身につけてもらい、その作成・改訂に参加してもらいます。人は他
人の作ったルールにはおうおうにして反発しますが、自分で作った
ルールは守るものです。

担当者は標準の内容を知っており、その通りやる技能もやる気も
もっていたにもかかわらず、ちょっとした気の緩みからミスが発生
する場合も少なくありません。しかし、これらのミスは原因とはと
らえません。ミスは「あること」からの結果であり、不適合の原因
を人(担当者)には求めないことが大切です。もし不適合の原因を
人に求めますと、原因への対策は人に取ることになります。

■□■ 人が関与する不適合への対応 ■□■
人的ミスが関係する不適合を効果的に防止するためには、作業方法
(部品、材料、設備、治工具、作業指示書、手順などを含む)に対
して対策を考えます。業務に関する総合的な工夫・改善、すなわち
作業のエラープルーフ化が不可欠になります。
組織の現場である生産、サービス提供、設計開発などで行なわれ
ているエラープルーフ化の方法には様々なものがあります。
それらは次に示す2つの考え方から成り立っています。

1) 業務ミスが起こらないようにする。
2) 起きた業務ミスが品質トラブル、事故にならないようにする。

ミスを発生させない最も効果的な方法は「業務を行わない」ことで
す。これが不可能な場合には、業務を「人の代わりに機械(AI)
にやらせる」「人にとって容易なものにする」ことが考えられます。
これらは未然防止の基本的な考え方であり、それぞれ「排除」、
「代替化」、「容易化」と呼ばれます。
例えば、製品をワイヤーで吊る時に当て木(製品にきずを付けない
ため)をすることを忘れるミスに対して、ワイヤーの代わりにナイ
ロン製の吊具を用いるというのは、当て木をするという作業を必要
ならしめる吊具の特性を変えて、当て木をする必要をなくしており、
排除によるエラープルーフ化の一例と言えます。

代替化の例としては、作業指示票の見間違いによる誤品組付に対し
て、送られてきた部分組立品の形状を治具やセンサで検知し対応す
る仕様の部品箱にランプをつける方法があります。

容易化の例としては、手順の抜けや回数不足等のミスを防止するた
めに作業の内容と順序を一覧表にします。また、出庫作業における
部品の数え間違いを防止するために内部を仕切って入る部品の数を
一定にした専用の通い箱を用いるなどがあります。

■□■ ミスを拡大させない ■□■
ミスによる影響が拡大するのを防ぐ方法としては「ミスを検出し
処置する」、「ミスの影響を緩和する」の2つがあります。これら
はそれぞれ「異常検出」、「影響緩和」と呼ばれます。
異常検出の例としては、車の両側に誤った種類のタイヤを組み付け
るミスに対して、タイヤ置き場の取り出し口にセンサを取付け、取
ったタイヤの種類が右と左で一致しない場合には工具が作動しない
ようにする、または警報ブザーがなるという方法があります。

影響緩和の例としては、誤って柱にぶつけても傷が付かないように
柱に緩衝材をまいておくなどがあります。

平林良人の『つなげるツボ』Vol.292

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■□■ 平林良人の『つなげるツボ』Vol.292 ■□■
― つなげるツボ動画版はじめました ― 
*** 個人の行う活動5_内部診断と内部監査33 ***
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前回に続き内部診断と内部監査について、個人の行う活動について
お話しします。今回はその5になります。前回は個人業務の標準化
についてその内部診断のポイントについて説明をしましたが、今回
はその続きになります。

■□■ 作業標準書 ■□■
担当者が標準書の通りに行っているにもかかわらず不適合品、不適
合サービスが発生する場合であります。このような場合には、不適
合内容を分析して品質不良の要因を探り出すことが必要になります。
要因探索の方法の一つに不良の少ない担当者と多い担当者について、
業務のやり方のどこに違いがあるかを分析する方法があります。こ
の分析においては、担当者から業務方法についてフィードバックし
てもらうことが重要になります。個人評価マイナスにつながると思
われる探索は労務管理上よくないと思われがちですが、業務成果を
より良いものにすることは個人、組織相互の利益に繋がることへの
理解が大切になります。

■□■ 業務成果の分析 ■□■
業務の成果は自分の力量を測る物差しですから、結果を知って悪い
面を改めていこうとすることは大変重要なことです。
業務の品質は担当者の技能に大きく依存しますので、作りこまれた
品質の状態が通常の検査や試験で確認できないプロセス(特殊工程)
については、担当者が認定された力量、資格を持つこと、あるいは
それに準じる人に業務を限定することが必要になります。

意図的でないにしろ、結果として作業標準通りに業務をしないとい
うのは、動機付けの問題であることが多いようです。作業標準への
理解もさせず盲目的に標準通り実施するよう求めることは、教育レ
ベルや潜在能力が高い担当者ほど人間疎外につながるでしょう。

■□■ 全員が標準を守るポイント ■□■
全員が標準を守る組織になるためにはどんなポイントがあるのかを
考えてみたいと思います。

1.守るべきこととそれを行う方法が明確になっていなければなら
 ない。まず、組織として全社を俯瞰して何が「守るべきこと」
 であるかを部門(プロセス、機能)ごとにリストアップする。
 どのくらいの数がリストアップされるのかは組織の規模、製品・
 サービスの種類によりますが、出来るだけ重要な項目に絞るこ
 とが前提認識となります。
2.作業があるにもかかわらず、それを改訂せず、標準と異なる業
 務を行わせることは、むしろやる気を損なう。業務のやり方を
 変更する場合には、まず標準を改訂し、改訂した標準書に沿っ
 て作業を行わせます。
3.標準を守るように指導・指示する。標準通り業務をしていない
 ことが黙認される職場では標準を守るという意識は生まれませ
 ん。監督者が業務を定期的に観察し、問題がある場合には再発
 防止の処置を取ります。
4.なぜ守らなければならないか、守らないとどうなるかなど守る
 べきことの必要性・理由を理解してもらう。標準を守らなかっ
 たために発生したトラブルの事例を用いて、標準を守ることの
 重要性を教育する。標準書を守ることが品質の確保につながり、
 しいては会社の、自分達の利益につながることを理解してもら
 います。

平林良人の『つなげるツボ』Vol.291

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■□■ 平林良人の『つなげるツボ』Vol.291 ■□■
― つなげるツボ動画版はじめました ― 
*** 個人の行う活動4_内部診断と内部監査32 ***
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明けましておめでとうございます。令和3年最初のつなげるツボ
をお送りします。本年もよろしくお願いします。前回に続き内部
診断と内部監査についてです。コロナ禍がつづく中で組織の足元
を見直そうとの考えで内部診断と内部監査のポイントを紹介して
います。今回は個人の行う活動についての4回目になります。

■□■ 標準書 ■□■
前々回、技術標準のお話をしましたが、標準書を作っただけでは、
それに従った業務が行なわれるわけではありません。業務を行う
担当者に標準書の内容を理解してもらい、実際に業務ができるよ
うになってもらう教育訓練を行なわなければなりません。教育訓
練は標準書を作る際に行ったプロセス解析を含め、標準内容、業
務の目的理解、そして動機付けが十分に行なわれることが大切で
す。このようなことが適切に行われて初めて本当の意味の標準化
ができます。

時が経つと、標準書の内容を担当者が「知らない」ということが
起きますが、これは教育が継続的に行われていないことの現れで
す。知識の伝達は比較的容易ですが、スキルの伝達は教えること
が継続して実践されないと、十分に継承することができません。

■□■ 作業標準書 ■□■
労働流動化が顕著になってから30年ほど経ちますが、かって日
本の強みであると言われていた以心伝心、先輩の背中を見て仕事
を覚えるというようなことはもはや期待できません。担当者が変
わっても同じ品質の仕事ができる仕組みを整えておかなければな
りません。知識、スキルを教え継承するためには、教えるべきこ
と及び教えた後のフォロー事項などを整理し、どのような時にど
のような方法でどんな人に教育・訓練を行うかの仕組みを確立し
ておく要があります。担当者が最低限理解していなければならな
い事項には次のようなことがあります。

■□■ 診断のポイント ■□■
担当者には業務を推進する上で最低限理解していなければならない
事項がありますが、これらはすなわち診断のポイントになります。
1.業務達成状況を確認する方法
2.業務が要求に適合していないことが分かった場合に、プロ
  セスを調整する方法
3.業務内容に関して標準書の見方
4.標準書に書かれていないが必要な事項
5.業務結果が後工程に与える影響
6.担当者の継続的教育訓練など

■□■ 業務品質のフォロー ■□■
担当者が標準書通りに業務を実施できないのは、知識及びスキルに
問題があるからです。特にスキルに関しては、標準書に基づいた訓
練を行っても標準通りに業務を行えない場合が多々あります。業務
の内容にもよりますが、教育訓練の最終的な狙いは業務レベルの維
持にありますので、既に業務に付いている人でもフォローが必要で
す。例えば、接客業務、付帯サービス業務、設備点検、溶接作業、
造園作業、塗装作業などのように、人が業務の品質を作り出すよう
な仕事では文章で技能を書き表せないので、定期的に決められた評
価をする必要があります。個人一人ひとりの技能の現状を評価し、
それに基づく教育訓練の実施が必要となります。
(参考)
ISO共通テキスト(附属書SL) 
7.2 力量
組織は,次の事項を行わなければならない。
-組織のXXXパフォーマンスに影響を与える業務をその管理下で行
 う人(又は人々)に必要な力量を決定する。
-適切な教育,訓練又は経験に基づいて,それらの人々が力量を備
 えていることを確実にする。
-該当する場合には,必ず,必要な力量を身に付けるための処置を
 とり,とった処置の有効性を評価する。
-力量の証拠として,適切な文書化した情報を保持する。
注記 適用される処置には,例えば,現在雇用している人々に対する,
教育訓練の提供,指導の実施,配置転換の実施などがあり,また,
力量を備えた人々の雇用,そうした人々との契約締結などもあり得る。