ナラティブ内部監査2 | 平林良人の『つなげるツボ』

—————————————————————
■□■ 平林良人の『つなげるツボ』Vol.298 ■□■
― つなげるツボ動画版はじめました ―
*** ナラティブ内部監査2 ***
—————————————————————
いままで内部診断と内部監査のポイント、即ち何を診断するのか、
何を監査するのかをお話ししてきましたが、どのように行うのか
については触れてきませんでした。
今回からは内部監査に焦点を当てて今年1月のテクノファフォー
ラムでお話しした「ナラティブ内部監査」について発信していき
たいと思います。

■□■ ナラティブとは ■□■
皆さんはガンダムナラティブをご存知でしょうか。ガンダムは昨
年暮れに横浜で巨大な実像モデルが実際に動くとマスコミで評判
になりました。ある方にナラティブ内部監査の話をした時に、ガ
ンダムのことを教えていただきました。ガンダムNTといって、
どうやらガンダム物語の一つを意味しているようです。
私が着想を得たナラティブはガンダムからではないのですが、ま
さしくこの「語り口:物語」を意味しています。

■□■ ナラティブとは「語り口」 ■□■
「物語」の前に「語り口:」と付けたことを説明します。私がナ
ラティブと言う言葉を知ったのは、NHKBSの海外番組からで
す。昨年NHKBS海外番組「コロナの時代をどう生きるか」を
観ていてこの言葉を知りました。その番組では何人かの識者がコ
ロナの世界について、それも今と今からについて自分の見識を述
べるものでしたが、画面下の翻訳のテロップには、ナラティブは
「語り口」と紹介されていました。
ナラティブは英語で“narrative”と綴り、語るという意味の“narrate”
の名詞です。

またナラティブセラピーという言葉もあります。心理療法の一つ
として知られ自分の今までを振り返って今の自分を理解しようと
する療法のようです。

ナラティブ内部監査を、単に「語り口物語の内部監査」と説明す
るだけでは何のことか理解できませんので、私が考えた定義をお
示しします。

ナラティブ内部監査 
<定義>
発見した事項(不適合事項、観察事項、気づき事項など)に関連
して、”いまの状況”、”いままでの経過”、”いまからのあるべき姿”
に焦点を当て、事項に関連する業務の問題解決、改善、革新への
インプットを探求
する監査員と被監査者の共同作業。

■□■ ナラティブは新しい物語 ■□■
組織の内部監査にはどんな物語があるのでしょうか。いろいろな
語り口によりいろいろな物語が作られると思いますが、その物語
を監査員と被監査者とが共有することから共同作業が始まります。
一つの事項(不適合事項、観察事項、づき事項など)について監
査員と被監査者は、なにを、どのように共有するのでしょうか、
あるいは共有できるのでしょうか。

「なにを」については、定義に「・・・”いまの状況”、”いまま
での経過”、”いまからのあるべき姿”・・・
」とありますように、
”いまの状況”、”いままでの経過”、”いまからのあるべき姿”の3
つを共有することになります。

■□■ ナラティブは新しい物語 ■□■
ここで課題になるのが、どのようにして監査員と被監査者が共
有するのかということです。共有する対象は上述のように、”い
まの状況”、”いままでの経過”、”いまからのあるべき姿”の3つ
ですが、この3つにはそれぞれに個別の物語があります。
これら特徴ある3つの物語を共有するにはそんなりの知識と実
践を含んだ訓練が必要です。
”いまの状況”の共有には「事実把握」方法についての知識と実
践が必要です。”いままでの経過” の共有には「傾聴とラポール」
方法の知識と実践が必要です。”いまからのあるべき姿” の共有
には「問題解決と改善」方法の知識と実践が必要です。

これらの3つの知識と実践を含んだ訓練については、6月に開
校予定の「ナラティブ内部監査アカデミー」にご参加いただけ
るとご理解が進み、かつ実践していけるようになると思ってい
ます。