平林良人の『つなげるツボ』Vol.329

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■□■ 平林良人の『つなげるツボ』Vol.329■□■
― つなげるツボ動画版はじめました ―
*** ナラティブ内部監査33***
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ナラティブ内部監査において、内部監査員、被監査者の共同作業
の基盤作りは重要です。個人の観点からは、管理監督者である上
司にはしっかりマネジメントしてもらいたいという期待がありま
す。
マネジメントという管理のプロセスを遂行するには、一般に少な
くとも3つの分野の能力が必要であると、前回お話をしました。
それは専門能力、対人能力そして概念化能力の3つです。
これら3つはいずれも部下を管理する能力ですが、もう一つ領域
の違う観点である「自己を管理する能力」も大切なものです。

■ セルフマネジメント ■
自己を管理する能力、すなわちセルフマネジメントは、「欲求の
コントロール」と呼ばれることがあります。自身の内部から湧き
上がる欲求を管理することはマネジメント能力の一部として、管
理監督者は保有している必要があります。
「自己を管理する能力」とは次のようなものです。
(1)自尊欲求:部下より自分の方が仕事ができると思いたい/
 思われたい。
(2)統制欲求:部下を自分の思うように動かしたい。
(3)好かれたい欲求:誰からも良く思われたい。

■ 自尊欲求 ■
自尊心は人間を前に進めさせる原動力です。誰もが自尊心を持っ
ていますが、持ちすぎると前向きに進めることが思うようにいか
なかったり、かえってその反動に悩まされたり、その大きさに驚
くことがあります。
管理監督者にももちろん自尊心がありますし、なければエネルギ
ッシュに仕事を前に進めることはできません。部下の人々にも自
尊心はあり、それをうまく刺激して仕事が前に進むようにするこ
とが管理監督者の役割です。管理監督者は部下と競う必要はあり
ません。部下を前に進めさせるには部下が言われてではなく自分
の気持ちから進みたいと思わせることが大切です。管理監督者は
自分の自尊心はできるだけ内に秘めるようにしたいものです。
自尊欲求をセルフコントロールしましょう。

■ 統制欲求 ■
管理監督者は計画を進めるために、業務あるいはプロジェクトな
どを管理しなくてはなりません。業務あるいはプロジェクトが計
画しただけで進んでいくとしたら管理監督者は必要ありません。
日常業務も含めて組織が仕事を進めるうえでは、あらゆる出来事
を日々管理し、部下を適切な方向に導かねがなりません。
そこで必要となるものが管理監督者のマネジメント力です。この
力を統制力と思っている管理監督者が少なくありません。統制す
るために、毎日チェックばかりをする管理監督者を見かけます。
計画があって実行しているその状態をいつでも自分の手のひらに
乗せておかないと気が済まない方がいます。そのような管理監督
者の下にいる部下の方はいつもプレッシャーを感じることになり
ます。人は心がオープンなときに一番力を発揮します。したがっ
て、チェックばかりをすると自分から自分の首を絞めることにな
るのですが、それに気が付かない管理監督者の方が多くいます。
統制力は必要ですが、その力はなにもチェックだけに使う力では
ありません。
統制力に必要な力は、洞察力、分析力、改善力、コミュニケー
ション力などの他の力と連携して効果を発揮することを忘れては
なりません。

■ 好かれたい欲求 ■
誰でも人からは好かれたいと思っています。そんなことはない。
俺は俺の道を行くから人からどう思われようが関係ない、好かれ
たいなんていうのは弱い人の思いだ、と勇ましい言葉でブルドー
ザのごとくことを進めていく人もいます。
しかし、人から好かれたいという気持ちは生まれた時から人に備
わっている本能です。人は成長するにしたがって個々の環境によ
ってその生まれながらの資質が弱まったりしますが、まったくゼ
ロになる訳ではありません。
管理監督者にも当然人からは好かれたいという欲求はあります。
部下から好かれる人というイメージは大切にしたいものですが、
好かれることイコ―ル管理が甘いということではもちろんありま
せん。
好かれたい欲求をセルフコントロールすることも管理監督者に必
要な能力です。

平林良人の『つなげるツボ』Vol.328

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■□■ 平林良人の『つなげるツボ』Vol.328■□■
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*** ナラティブ内部監査32***
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ナラティブ内部監査の第3ステップ「内部監査員、被監査者の共
同作業の基盤を作る」のお話をしています。共同作業の基盤は両
者の間だけでなく組織全体に構築されるべきものである、という
観点から「個人と組織の共生」ということに話は及んでいます。
個人と組織の共生の話の中で、管理するプロセスには次の3つの
原則があるとお話ししました。
 (1)仕事はできるだけ移譲すること
 (2)指示系統を明確にすること
 (3)管理することには限界があること
管理監督者がこの3つの原則をベースに管理をするには、それな
りの能力が必要になります。

■ マネジメント能力 ■
マネジメントという管理のプロセスを遂行するには、一般に少な
くとも3つの分野の能力が必要と認められていて、それは専門能
力、対人能力そして概念化能力といわれる3つです。
専門的能力とは、特定業務の遂行に必要な知識、方法、技術、器
具を使用する能力で経験、教育、訓練を通して習得しうるもので
す。
対人的能力とは、部下とともに、もしくは部下を通して働く能力
と判断力で、動機づけの心理の理解とリーダーシップの効果的応
用能力をも含みます。
概念化能力とは、組織全体の複雑な構造を理解し、自ら職務活動
が全体活動のどこに、かつ、如何に組み込まれているかを理解す
る能力です。この理解を得ることによって、自分が直接所属する
集団の目標や必要のみならず、全体の組織の目標にむけて行動す
ることが可能になります。

■ 専門的能力 ■
この3つの能力の適正なミックスは、第一線監督職からトップ・
マネジメントへと昇るにつれて異なります。
組織内の管理レベルを、下から上へあがるにつれて、効果的管理
を行うための条件としての専門的能力の重要度は減る傾向にあり
ますが、概念化能力は、次第に重要度を増してきます。下のレベ
ルの管理監督者には、専門的能力がかなり重要とされますが、こ
れは管理監督する職場内の実務担当者や作業員を訓練し育成する
ことが、しばしば必要となるからです。他方、企業幹部には、実
務のそれぞれの特定作業について、これらをいかに遂行するかを
知る必要はありません。だが、組織全体の目標の達成にたいして、
それらの業務がどのように相関しているかは、理解できなければ
いけません。

■ 対人的能力 ■
これらのマネジメントの各レベルにおいて、それぞれ必要とされ
る専門的能力、および概念化能力の程度は異なりますが、すべて
のレベルにおいて共通項的に重要な能力は、対人的能力です。対
人的能力を重んずることは、過去においても大切と考えられてき
ましたが、今日ではこれは最も重要な能力と考えられています。
たとえば、偉大な企業家の一人であるジョン・D・ロックフェラー
は「この世のいかなる能力にもまして、人とつき合う能力を高く
買う」といっています。ロックフェラーのこの言葉に賛成する人
は世界に多くいます。
アメリカ経営協会の報告によれば、ある調査に回答した200人の
マネジャーの大部分が、経営幹部に重要な能力を一つ挙げるとす
れば、それは人とうまくやっていく能力である、と同意しました。
この調査において、マネジャーたちは、対人的能力を知力、決断
力、知識、職務能力のどれにもまして決定的であると評価したの
です。

しかし、管理監督者には全く異なる視点からの力が必要です、そ
れは自分を律する力で、セルフマネジメント(3つの欲求のコン
トロール)力です。次回は以下の3つの力について説明いたしま
す。
 (1)自尊欲求:部下より自分の方が仕事ができると思いたい/
  思われたい。
 (2)統制欲求:部下を自分の思うように動かしたい。
 (3)好かれたい欲求:誰からも良く思われたい。

平林良人の『つなげるツボ』Vol.327

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■□■ 平林良人の『つなげるツボ』Vol.327■□■
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*** ナラティブ内部監査31***
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前回は管理監督者の仕事は、計画/実行/チェック/フォローと
いうマネジメント・サイクル(PDCA)を回すことであり、この
プロセスは、管理監督者が一人で行なうのではなく、部下と共同
で行うことが要諦であるという話をしました。
個人と組織の共生の話の中で、このプロセスを遂行するには次の
原則があるともお話ししました。管理することの原則は3つある
として、
 (1) 仕事はできるだけ移譲すること
 (2) 指示系統を明確にすること
 (3) 管理することには限界があること
を取り上げました。

■ 仕事の委譲(Delegation of Authority) ■
管理監督者が部下に仕事を割り当てる状況を考えてみましょう。
管理監督者が部下に割り当てた仕事は、割り当てられた人が責任
をもって遂行することが原則ですが、責任だけでなく権限も委譲
しなければなりません。ここでいう権限の大きさは、仕事を達成
する上で必要となる責任までの大きさを意味します。
加えて、委譲する部下の能力は、移譲した(割り当てた)仕事の
責任の大きさと同じ大きさでなければならないと思います。
大切なことは、管理監督者の責任(結果責任を含む)は、当然の
ことですが、部下に委譲することはできません。

■ 指示系統の統一(Unity of Command) ■
管理監督者の部下、そして横の管理監督者の部下、すなわち組織
内のすべての人は自分が誰に仕事の報告をし、誰が自分に仕事の
指示をするのかを知っていなければなりません。そして、基本的
には各人が報告する上司はただ一人であるということも重要です
(On man One boss)。
組織が特別な事情より、ある人に2つの仕事を兼務するようにし
たため、その人には上司が2人いるという場合もありますが、そ
れは例外的な処置であり、できるだけ避けなければなりません。
重要なことは、一人ひとりは自分の職務(使命)をはっきり理解
していることと、その職務を遂行する能力をいつも向上させる努
力をしていることです。

■ 管理の限界(Span of Control) ■
管理監督者は、管理することには限界があることを知っているべ
きです、まず量的限界があります。スタッフの場合、一人の管理
監督者が効果的に指揮できる部下の数は、6~7人であると云われ
ています。勿論この数は多くの管理監督者の経験値からの話です
ので、実際はもっと大きな数でも管理できるという場合はあると
思いますが、重要なことは「限界がある」ということを常に意識
していることです。

逆に部下の数が少なすぎる(1~2人)と、監督過剰となり管理の
弊害が出てきますし、過保護になって部下が育たないという組織
全体の人的資源にダメージを与えることになります。さらに、管
理監督者と被管理監督者の間の物理的距離は管理の効果に影響す
ることも知っているべきでしょう。
例えば、同じ部屋にいる場合と別棟にいる場合を想定すると理解
できます。極端な場合、海外支店にいる部下の管理を考えると、
管理の有効性は相当減少すると考えなくてはなりません。
管理の限界には量的限界のほか、質的限界もあります。管理監督
者がどの程度専門能力を持っているべきかというと、これまた経
験的に言わざるを得ませんが、少なくとも上位管理監督者になる
ほど専門能力の保有必要性は薄まっていきます。管理監督者の能
力については次号でお話ししたいと思っています。

■ なぜ仕事は委譲されないのか ■
管理の3つの原則がどの程度日常の組織活動の中で適用されてい
るかというと、私の経験からは(私を含め)お寒い限りだと思い
ます。 
なぜ上司は部下に仕事を委譲しないのかを分析すると、以下のよ
うなことが言えそうです。
 (1) 意思決定権を保持することがポジションパワーを強くすると
  おもっている。
 (2) 部下が権限を下手に運用するかも知れないリスクに耐えたく
  ない。
 (3) 部下の能力に疑問を抱いている。自分でやった方が効率的に
  そして効果的に仕事を遂行できると思っている。

もしかすると、部下は面倒な仕事に巻き込まれたくないものだと
信じているかもしれません。また、部下が要領よく仕事を遂行し
てしまったら自分のポジションが危ないと考える上司が居るかも
しれません。
部下の立場からも仕事の委譲がされない要因が浮かんできます。
 (1) 仕事を委譲されるということは責任負担が増大するという
  ことだから。
 (2) せっかく委譲された権限を上手に使えなかったら、という
  心配がある。
 (3) 自信がない。プレッシャーが負担になる。
 (4) 仕事の知識、経験、及びその進め方の技能が欠けている。
 (5) 忙がしくて受けられない。

そうであるならば、管理監督者は仕事の委譲をする前に次のこと
を検討、配慮、実施すべきです。
 (1) 委譲する仕事の権限の範囲を可視化(明記)したものがある。
 (2) 権限を決める時部下を参加させる。
 (3) 与えた権限は責任の大きさと釣合っている。
 (4) 権限に伴って発生する責任をしっかり全うする気構えが部下
  にあるのかコミュニケーションする。
 (5) 与える権限について当該部下のみならず、その同僚にも周知
  する。

平林良人の『つなげるツボ』Vol.326

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*** ナラティブ内部監査30***
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前回、目標による管理MBOを個人と組織の共生のツールとして
活用するという話をしました。
しかし、MBOは正しく理解して活用しないと思わぬ副作用を起こ
します。本来「管理」には2つの意味があります。一つは良い状
態に保つという意味です。もう一つは統制、監督という意味です。
私が思う「管理の正しい」理解は、この2つが組み合わさったも
のです。すなわち、「良い状態に保つために統制、監督をする」
ということです。ところが、組織によっては「良い状態に保つ」
という目的を忘れて、「統制、監督をする」ことだけに焦点を当
ててしまうことがよくあります。

■ MBOの弊害 ■
もし、MBOの活用が「良い状態に保つ」という目的を忘れて使
用されたとするとどんなこが起きるでしょうか。1980年代ころに
成果主義という考え方が社会に広まりました。年功序列による評
価に代わって、成果を上げた人がよりよい評価を受けるという考
え方です。
これはこれで間違った考えではないと思うのですが、当時の経済
雑誌には、成果主義が株式会社〇〇の文化を壊したという記事が
多く掲載されました。
成果主義を標榜する組織の多くは、MBOを導入しました。「良
い状態に保つ」という目的が横に置かれた結果、MBOはノルマ
の達成、締め付けのツールとして使われていったという苦い経験
が産業界にはあります。

■ 管理者の役割 ■
管理者とは、部下と共に、あるいは部下を通して仕事を成し遂げ
る立場にある者のことをいいます。仕事を部下に委譲し、部下に
業績をあげさせますが、部下の仕事の結果が悪くも責任を取らね
ばならない存在です。
管理者はいろいろな視点から位置づけがされますが、まず組織に
おける「情報の流れ」の中核にいる存在です。
組織全体の目的は、組織の使命から導き出された経営方針に基づ
き、その年の期初に社長から事業計画書として発表されます。そ
の情報を自部門の目標に置き換え、どのように目標を達成するの
かの計画及び手段を考えます。自部門の目標と他部門の目標の整
合化、統合化も管理者には重要な仕事になります。
2つ目は、組織の階層と部門についての理解と、その認識に基づ
き計画を実行することです。
3つ目は、実行したことをチェックすることですが、その際に気
を付けなければならないことは、上司と関係部門との間の連携です。
4つ目はチェックしたことのフォローです。

■ 管理者が身に着けるべきこと ■
管理の仕事は、計画/実行/チェック/フォローというマネジメ
ント・サイクルを回すことです。このプロセスは、管理者が一人
で行なうのではなく、部下と共同で行うことが要諦です。
まず、計画ですが、計画に必要なものはまず「目標」です。何を
するにも、行う先に何があるのか、何を達成すべきなのかが明確
になっていなければなりません。そして、目標を達成するための
手段も同時に計画されていることが必要です。手段には、道具、
機械、設備、場所の計画、その他経営資源の見通し、障害予見と
対応策の計画、そして手段・方法に沿った日程の設定も必要でし
ょう。

次に実行ですが、直ぐに実行するわけにはいきません。計画に基
づいた準備の実施が必要です。準備には次のことがあります。
― 要員の選定/配置と役割分担
― 物・金の配置/維持
― 物流ルートの確立 
そして実行に入りますが、その際に気を付ける項目には次のよう
なことがあります。
― 動機づけ
― 仕事の指導
― コーチング/メンタリング

■ 実行したらチェックとフォローが必要 ■
実行出来たらその都度することになります、計画時にチェックす
るポイント(時期)を決めておくとよいと思います。
計画と対比して目標通りできているか確認をします。その際、結
果のチェックだけでなく、プロセスのチェックもします。つまり
結果だけでなく、やり方の確認もする必要があるということです。
さらに、場合によっては実施したことによる副作用についても確
認が必要です。品質は良くなったが、廃棄物が増えたというよう
なことが往々にしてあるからです。
最後は、フォローです。例えば、測定した結果副作用が大きけれ
ばそれに対して手を打ちます。もし、目標が計画通り達成できて
今後も維持していくということになれば歯止めをする、すなわち
標準書にするということも行う必要があります。
このプロセスを遂行する際には次の原則があります。
仕事はできるだけ移譲すること、指示系統を明確にすること、管
理することには限界があること、の3つをとりあえず上げておき
たいと思いますが、それは次号でお伝えします。平林良人の『つなげるツボ』Vol.325

平林良人の『つなげるツボ』Vol.325

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■□■ 平林良人の『つなげるツボ』Vol.325■□■
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*** ナラティブ内部監査29***
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312号からこれまで、第3ステップについて、下記1~5までの説明
をしてきました。
1.コミュニケーション
2.自己理解
3.他者理解
4.よく聴く
5.よく伝える(アサーション)
6.個人と組織の共生

前回からは「6.個人と組織の共生」について、話をしています。前
回組織と個人が共通の目標を持つことで個人と組織の共生が進むと、
いう中でMBOについて触れました。MBOを活用して個人と組織の
共生を推進するポイントについて話を続けていきたいと思います。

■ 個人にとってのMBOの意義 ■
個人と組織の共生に向けて、個人からみてのMBOの意義には次のよ
うなものがあります。
(1) 自分の役割を明確に把握できる。
 組織の中にいて自分の居場所に居心地の悪いことがありますが、目
 標が明確になることで自分の役割を明確にすることが出来ます。
(2) 働き甲斐が感じられる。
 目標を明確にして、マイルストーン(区切り、ステップ)ごとに結
 果が明確になることで、個人の貢献度合いがはっきりして、働き甲
 斐が感じることができる。
(3) 自分のやっていることに自信がもてる。
 結果が見えることで、良くも悪くも個人が結果を把握することが出
 来、結果ではなく行ったことに自信を持つことが出来るようになる。
(4) 上司の期待がわかっているので、安心感がもてる。
 上司の考えていることが見えないと不安になるが、共通の目標が見
 えることで仕事への取り組みに安心感が生まれる。
(5) 仕事の段取りがつけやすい。
 目標への取り組みの手順が明確になり仕事に無駄をなくすことがで
 きる。
(6) 参画感がもてる。
 共通の目標に自分も参加しているという気持ちが高まる。
(7) 自分の考えが活かせる。
 目標、手段の共有化があることで実践段階での自分の進め方に自信
 を持つことが出来る。
(8) 自己啓発の手がかりが得られる。
 仕事を進める過程で自己啓発のチャンスを見つけられる。

■ 組織にとってのMBOの意義 ■
個人と組織の共生に向けて、組織からみてのMBOの意義には次のよ
うなものがあります。
・部下がやっていることに確信がもて、部下に期待を寄せられる。
・権限委譲がしやすくなる。
・仕事の予定が立てやすくなる。
・仕事に共通理解が生れる。
・上司への報告がしやすくなる。
・仕事ぶりの判定や業績評価がしやすくなる。
・部下育成の手がかりがつかめる。
・部下をモティベートできる。
・仕事の改善のポイントがつかみやすくなる。
・仕事の結果がまとめやすくなる。
・自己および組織の目標を明らかにできる。

■ 社会から見たメリット ■
個人と組織が(MBOを活用してもしなくても)お互いの共生を図る
ことができると、社会から見て次のようなメリットがあります。
・社会のリソースが有効に活用される。
・社会の労働生産性を上げることが出来る。
・日本の国際競争力が上がる。

日本社会の話になりますと、因みに、日本の世界競争力ランキングは
2020年世界で63カ国(先進国)中34位です。そして、先進国では
一番物価の安い国になりました。
https://www.mri.co.jp/knowledge/insight/20201008.html

IMD(International Institute for Management Development:国際
経営開発研究所)は毎年先進国競争力年鑑を作成し、三菱総研が翻
訳してHPに発表しています。1989年から4年間世界1であった
日本が、この30年に間に34位にまでランキングを落としています。
ランキングのもとになるデータは、各国の政府が公表する統計と、
対象国の企業経営層によるアンケートになっています。データは、
四つの大分類、「経済状況」、「政府の効率性」、「ビジネスの効
率性」、「インフラ」からなり、さらに20の再分類に分かれてい
ます。
<三菱総研HPより>
日本の総合順位の変遷を見ると、同年鑑の公表が開始された1989年
からバブル期終焉(しゅうえん)後の1992年まで1位を維持し、
1996年までは5位以内の高い順位を維持した。しかし、金融システ
ム不安が表面化した1997年に17位に急落し、その後は一時的に上
昇する年はあったものの、基本的には20位台の中盤前後で推移した。
その後、2019年には30位となり、最新版の2020年では過去最低の
34位まで落ち込んだ。