ISO9001キーワード 「内部監査」:AIエージェントの活用4 | 平林良人の『つなげるツボ』

2026年3月11日
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■□■ 平林良人の『つなげるツボ』Vol.548 ■□■
― ISOマネジメントシステムのテクノファ ―
*** ISO9001キーワード「内部監査」:AIエージェントの活用4 ***
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ISO9001:箇条「9.2内部監査」とAIについてお話をしています。前号に引き続き、具体的
にAIエージェントにX社設計部のISO内部品質監査(現場監査含む)を行なわせること
を想定し「AIエージェント内部監査」のステップを考えてみたいと思います。まずAIに
はVol.546でナレッジとして紹介した次のデータを教え込みます。
 ・就業規則
 ・組織規程 
 ・取締役会管理規定
 ・株主管理規定
 ・株主総会規定
 ・組織図
 ・組織分課分掌規程
 ・部門管理規定(組織図及び分課分掌規程に書かれている部門、例えば
   経営企画、経理、人事、法務、総務、IT室、内部統制室、開発、営業、設計、技
   術、購買、品質保証、製造(施工、サービス提供)、顧客サービス、ロジステック
   スなどすべて部門のマニュアル及び管理規程)
 ・部門の業務手順書(同上)
 ・部門の業務に関係するチェックリスト類(同上)

■□■すべての部門の管理規程 ■□■
上記のナレッジ中には「すべての部門のマニュアル及び管理規定」とありますが、X社設
計部には管理規定として次のような文書があります。
 1.設計業務標準KDR 102
 2.製品企画標準KDR 103
 3.設計試作標準KDR 104
 4.設計審査標準KDR 105
 5.量産試作標準KTM 101
 6.量産認定標準KTM 102
 7.市場調査標準KPN 101
更に内部品質監査に関する次の文書、帳票もナレッジとして教え込みます。
 8.内部品質監査計画
 9.内部品質監査チェックリスト
 10. インタビュー質問内容
 11. 不適合指摘書
 12.是正要求/回答報告書
 13. 総括報告書
更に、AIエージェントには、ISO9001箇条9.2.2の要求事項である「前回までの内部品質
監査の結果」、及び前回~今日までの設計部の記録をすべて教え込む必要があります。

■□■ AIエージェントへの指示 ■□■
AIエージェントに指示する内容は次のようなものです。
(1) 「1~7の標準(基準)」と「読み込んだ記録」を突合し、食い違い(ギャップ)があ
 れば全てを不適合とし11不適合指摘書に記入する。
(2)設計部のスタッフにインタビューをする。この際、基準として 9.内部品質監査チェ
 ックリスト、10インタビュー質問内容を使う。
(2) 「9及び10 から得られた結果」と「1~7の標準(基準)」を突合し、食い違い(ギャ
 ップ)があれば全てを不適合として11不適合指摘書に記入する。
(4) (1)、(3)の不適合全てを個別に12是正要求/回答報告書に書き込む。
(5) 8~12までの結果をまとめ、13総括報告書を作成する。

■□■ AIエージェントによる内部監査のポイントと課題 ■□■
AIエージェントに「Vol.546でナレッジとして紹介したデータ」を教え込むこのステップ
は、監査の前提(組織・適用範囲・品質方針・監査の位置づけ)をAIに固定する工程で
す。内部監査は「何を対象に、どの境界で、どの基準で」行うかが曖昧だと、以後のギャ
ップ判定(不適合認定)が崩れます。したがって最初に、「組織規程」をAIに監査の対象
を明確にさせます。
a. 適用範囲の確定(監査境界)
 「すべての部門のマニュアル及び管理規定」をAIが誤解すると、監査対象外まで不適合
 にしてしまうリスクが出ます。設計部の業務には、「サービスや市場クレームの取扱い」
 に繋がる要求(設計変更、フィードバック)が存在するという前提でAIに理解させる必
 要があります。
b. 品質方針と価値観の把握(監査の狙いの同調)
 内部監査は単なる粗探しではなく、「方針に沿ってシステムが有効に機能しているか」を
 見る活動です。ISO9001準拠(顧客第一、全員参加、最新技術への挑戦)の方針は、内
 部監査判断の重み付けに関係します。 たとえば顧客要求のインプットや、設計審査での
 顧客品質ニーズ反映が弱いと、単なる手順逸脱以上に「方針不整合」として指摘を重大
 化させることができます。
c.組織責任・分掌・独立性の前提(監査の成立条件)
 内部監査は独立性が重要ですので、AIエージェントを内部監査員にするなら、権限(誰
 が質問し、誰が回答し、誰が是正要求を出すか)と独立性(設計部の利害からの分離)
 を、最初のステップで決めておくことが必要です。