平林良人の『つなげるツボ』Vol.211

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■□■ 平林良人の『つなげるツボ』Vol.211 ■□■    
*** 標準化―ISO9001-5 ***
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前号から箇条9の要求を組織に適用させる場合に、どのような例が
あるのかについて述べています。
マネジメントシステムは、組織経営のいろいろな要素を結び付け、
目的を達成するために組織が一体となって活動するための仕組み
ですから、規格の要求をどのように組織に適用させるかは大切な
問題です。

箇条9.1は「組織は,a) 監視及び測定が必要な対象を決定しなければ
ならない」と要求しています。

■□■ 箇条9の適用可能性 ■□■

組織が監視、測定することができる対象は、無限に近いといって
いいほど多くあります。前号では主要プロセスについての監視、
測定の例を上げましたが、支援プロセス、経営プロセスにも監視、
測定の対象例を考えてみましょう。

まず支援プロセスについてですが、支援プロセスにおいても組織が
目的を達成するためにどんな指標を監視、測定しなければならないかの
視点から対象を決めます。

-人事プロセス
 ・従業員数(入社、退社、総人数)
 ・総労働時間(過重労働防止)
 ・社員保有資格
 ・総教育時間
 ・社員モチベーション

-総務プロセス
 ・安全に関する指標(無災害時間、災害度数、重篤災害、休業災害、
  ヒヤリハット件数)
 ・環境に関する指標(公害に関する数値、CO2排出量、エネルギー
  使用量(源単位)
 ・設備補修費
 ・車両点検
 ・福利厚生費

-経理プロセス
 ・売上
 ・費用
 ・利益
 ・各種財務指標

-ITサービスプロセス
 ・サーバー稼働
 ・シャットダウン時間(ウイルス、セキュリティ)
 ・ホームページアクセス数

―法務プロセス
 ・内部通報件数
 ・コンプライアンス相談件数
 ・法規通達件数

■□■ 経営プロセスへの適用 ■□■

次は、経営プロセスについてですが、経営者が関心を持つ事象を監視、
測定することになります。
組織全体の姿を適切に捉える指標にはいろいろあります。

-売上高総利益率
-総資本経常利益率
-自己資本比率
-労働分配率
-株主数
-品質コスト
-クレーム数
-顧客満足度

■□■ 箇条4.3にある記述は? ■□■

ISO9001:2015 箇条4.3には次の一節があります。「組織が自らの
品質マネジメントシステムの適用範囲への適用が不可能であることを
決定したこの規格の要求事項全てについて,その正当性を示さなければ
ならない。」
“・・・and provide justification for any requirement of this
International Standard that the organization determines
is not applicable to the scope of its quality management system.”

“organization determines is not applicable:組織が適用できないと決めた”
ことは、適用しなくてよいが、その場合はなぜ適用しないのかの正当性を
示すことが必要です。

■□■ 正当性はどう示すのか? ■□■

正当性を示す一つの方法にギャップ分析があります。
箇条9でいえば、監視、測定をどんな対象に対して行うのかは組織が決める
ことであると言いました。でも組織が勝手に監視、測定はこれだけでよいと
適用する対象を決めたのでは、正当性を示したことになりません。
ではどのようにギャップ分析をすることがよいのでしょうか?
次回に述べさせていただきます。