「設計プロセス」診断 – 内部診断10 | 平林良人の『つなげるツボ』

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■□■ 平林良人の『つなげるツボ』Vol.265 ■□■    
*** 「設計プロセス」診断 – 内部診断10 ***
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新型コロナウイルス後の世界は、今までと一変するということを
言う識者が増えています。予測も含めてこれからの変化を注視して
いく必要があります。そしてこれからの変化に備える意味で、
この機会に自組織の内部診断(内部監査)を行ったらどうで
しょうか。前回は企画プロセスについてお話しをしましたが、
今回は設計プロセスについてお話しします。

■□■ プロフィットセンター‐設計プロセス ■□■
設計プロセスは、扱う製品及びサービスによって組織に極めて
固有なものです。設計プロセスは、その固有な部分に、高度な思考、
方法、スキルが要求されるプロセスです。
内部診断する際には、いくつか事前にデータを収集しておくこと
が望ましいと思います。
収集するデータは、今までの設計実績が分かる次のようなものが
良いと思います。
 ・設計した製品及びサービス
 ・設計した人のキャリア
 ・設計審査(デザインレビュー:DR)記録
 ・製品化又はサービス実現化の状況
 ・製品化又はサービス実現化におけるトラブル
 ・設計基準書
 ・設計審査基準など

■□■ 設計審査の診断 ■□■
設計プロセスの診断で特に重要な対象は「設計審査(デザインレビュー:
DR)」です。DRは、設計者がもしかすると見落としているかもしれ
ない事柄を、関係する他の部門の経験豊かな人に確認してもらう制度
です。例えば、設計した部品が工場の機械能力では作れない、建築物
を立てるのに必要なクレーンが取付け道路狭隘で入らない、時間間隔
が少なくサービス提供に無理があるなど関係する他部門の視点で見て
もらい、実現に難がないかどうかチェックをしてもらいます。
したがって、審査する人は関係部門の中で経験豊かで技術、技能に
優れた人が望ましいことになります。

■□■ 設計検証の診断 ■□■
DRと同様の設計プロセスの診断視点として、「設計検証」があります。
単純なもの(例えば、単一の部品)の設計ですとミスは比較的少ない
のですが、組合せの部品点数が多くなるとA部品の穴とB部品の突起が
寸法上合わないというようなことが起きます。設計者は十分に気を付け
て仕事を進めますが、どんな人にも勘違いは付き物ですので、重要該当
箇所は設計課の他の人が再確認のためのチェックを行います。
ここでのポイントは検証用のチェックリストです。図面の総ての箇所を
チェックすることは事実上不可能ですので、重要な個所を選びリスト
化します。この重要箇所のリスト化は、経験ある設計部署のベテランが
複数集まって行うことが推奨されます。

■□■ ISO9001:2015設計・開発 ■□■
ISO9001では、設計審査(レビュー)、設計検証について箇条8.3.2
「設計・開発の計画」で次のように要求しています。

設計・開発の段階及び管理を決定するに当たって,組織は,次の事項を
考慮しなければならない。
a) 設計・開発活動の性質,期間及び複雑さ
b) 要求されるプロセス段階。これには適用される設計・開発のレビューを含む。
c) 要求される,設計・開発の検証及び妥当性確認活動
d) 設計・開発プロセスに関する責任及び権限
e) 製品及びサービスの設計・開発のための内部資源及び外部資源の必要性
f) 設計・開発プロセスに関与する人々の間のインタフェースの管理の必要性
g) 設計・開発プロセスへの顧客及びユーザの参画の必要性
h) 以降の製品及びサービスの提供に関する要求事項
i) 顧客及びその他の密接に関連する利害関係者によって期待される,設計・開発プロセスの管理レベル
j) 設計・開発の要求事項を満たしていることを実証するために必要な文書化した情報