内部診断と内部監査14 | 平林良人の『つなげるツボ』

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■□■ 平林良人の『つなげるツボ』Vol.270 ■□■    
*** 品証プロセス -内部診断14 ***
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新型コロナウイルス終息後の世界について、予測も含めてこれから
の変化を注視していく必要があります。そうした変化に備える意味
でもこの機会に自組織の内部診断を行ったらどうでしょうか。
前回は製造・サービス提供プロセスについてお話しをしましたが、
今回は品証プロセスについてお話しします。

■□■ 品証プロセス ■□■
品質保証は組織が存在していくための要です。製品及びサービス
の品質が保証されて初めて顧客は組織の方を向いてくれます。
顧客が製品やサービスに価値を感じて初めて組織の企業活動は
意味を持ちます。その価値の多くを占めるのが品質であり、
それを保証する活動が品質管理であると言えます。

ドラッカーは売上、利益を追うな、まずは製品やサービスの品質
(顧客が期待する価値)を追え、と言っています。以下は
ドラッカー語録と言われるものの一部です(上田惇生訳)。

■□■ ドラッカー語録 ■□■
・利益は個々の企業にとっても、社会にとっても必要である。
しかし、それは企業や企業活動にとって、目的ではなく条件である。
・企業とは何かを知るためには、企業の目的から考えなければなら
ない。企業の目的は、それぞれの企業の外にある。企業は社会の
機関であり、その目的は社会にある。企業の目的の定義は一つ
しかない。それは顧客を創造することである。
・「我々は何を売りたいか」ではなく、「顧客は何を買いたいか」
を問う。「我々の製品やサービスにできることはこれである」
ではなく、「顧客が価値ありとし、必要とし、求めている満足
がこれである」と言う。
・「いくらで売りたいか」ではない。「誰にとって価値があるか」
である。「娘の相手を探すときは誰が良い夫になるかを考えるな。
誰の良い妻になるかを考えよ」

■□■ 品質は顧客が決める ■□■
製品やサービスの品質は組織が決めるものではありません。顧客
が決めるものです。すこし逆説的な説明ですが、TQMには
「品質は工程で作り込め」というスローガンがありますが、
これは顧客が決めた品質を製品の中に作りこむときの心構えを
言ったものです。
この作りこむべき品質項目は設計が決めますが、この項目内容
は顧客から来るものです。

最近VOC(Voice of Customer)という言葉が聞かれなくなり
ました。代わってCE (Customer Experience)という用語が盛ん
に用いられるようになりました。CEは「顧客体験」と呼ばれ
ますが、顧客が製品やサービスを体験してはじめてその価値に
気付くころを言っております。組織は顧客が気が付かない製品
やサ―ビス価値を創出するということを意味しています。

特にサービスについては、顧客はどんなことが期待する品質
要素であるかをなかなか発信してくれません。発信しないどこ
ろか、もし自分の期待しないサービスだったら黙って組織から
離れていき、場合によっては口コミで「あそこのサービスは
最低だ」と言いふらすこともあり得ます。

■□■ 製品とサービスの違い ■□■
メルマガ269号「製造・サービス提供プロセス」においても
製品とサービスの違いを説明しましたが、サービスは顧客と
の間で価値を明らかにするだけに品質の作りこみはそれなり
の工夫が要求されます。After コロナの世界で大きく変わりそ
うなことが「サービス」であると予測する人が多くいます。
いろいろなエンターテイメントも含めて今後のサービスの世界
の変化を自社内診断を通じて探っていったらどうでしょうか。