平林良人の『つなげるツボ』Vol.318

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■□■ 平林良人の『つなげるツボ』Vol.318 ■□■
― つなげるツボ動画版はじめました ―
*** ナラティブ内部監査22 ***
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ナラティブ内部監査実践のための5ステップについて話を進めて
います。
・第1ステップ : 今行っている内部監査をレビューする。
・第2ステップ : どのような内部監査を行いたいか、行うべき
         かを組織内でコンセンサスを得る。
・第3ステップ : 内部監査員、被監査者の共同作業の基盤を作る。
・第4ステップ : 発見された課題(不適合、観察事項、気づき
         事項)などを問題解決する。
・第5ステップ : 問題解決したことを水平展開、歯止めして改善
         する。さらに、改善したことを革新へのインプ
         ットにする。

■□■ 他者理解の前提は自己理解 ■□■
ナラティブ内部監査で求められる第3ステップの「内部監査員、被
監査者の共同作業の基盤を作る」ためには、
 ・コミュニケーション
 ・自己理解
 ・他者理解
 ・よく聴く
 ・よく伝える(アサーション)
 ・個人と組織の共生
が要点であるとお話ししました。

前回まで自己理解について話をしてきましたので、ここからは他者
理解に話を移したいと思います。
相手を知ることの第一歩は自分に当てはめてみることです。格言で
は、「我が身を抓(つね)って人の痛さを知れ」、「己れの欲せざる
ところを人に施すなかれ」とよく言います。自分の体をつねってみ
れば、他人の苦痛がよくわかる、自分が同じ立場ならどれほど痛い
かを感じ取れるというたとえです。後者は論語に出てくる格言です
が、こうした格言(ことわざ)は、幼い子どもでもわかる言い方で、
内側から共感を引き出し、相手を思いやる心を教えてくれます。

しかし、子供のころと異なり我々の心は比較にならないほど複雑に
なっています。他者理解のためには、まず人と人は簡単に理解し合
えないことを前提においた上で対応することが大切です。まずは他
者を優先するのではなく、自分の気持ちを大事にすることから始め
ます。これは何も他者を軽視するということではなく。。人と接し
ているとき、自分が今何を感じているのかをまず明確に気づいてい
ることが大切だと言いたいのです。ですから、前回までの自己理解
の説明では、他者理解の前提は自己理解であると申し上げたのです。

■□■ 己の欲せざる・・・・ ■□■
会話をしていて、己の欲せざることに直面することがあります。自
分が不快だと思ったり、傷つきそうだと思ったならば、そのことか
ら顔をそむけることなく、また感じていない振りをするのでもなく、
正直にその感情を内面で感じてみることです。自分がこのように感
じるのは自分がおかしいとか、こんな風に感じてはダメだとか、相
手に悪い印象を与えると思うのではなく、そのような感情が現に自
分の中にあることを認めることが大切です。

そして、その気持ちを穏やかに相手に伝えてみましょう。相手は自
分がそのような気持ちにさせたことを知らない可能性がけっこう高
いのです。嫌な感じを得たときにいつも口に出す必要はありません
が、少なくとも自分で自分の気持ちに気づいていなければなりませ
ん。
多くの人は、怒りや悲しみの感情をためこんでいるのは人間関係か
らであり、しかもその感情は相手から来ると思っていますが、実は
相手の問題というより自分の気持ちから怒りや悲しみは来ています。
他者理解をしようとするあまり、自分の気持ちを押さえ込むことは
避けなければなりません。自己理解でも述べましたが、案外本当の
自分の感情に気づけなくなっている人が多いのが現在のようです。
それが怒りや悲しみの原因なのです。
繰り返しになりますが、自分の気持ちを分かっていない人に他者の
気持ちなど理解できるはずはありません。

■□■ 自己理解の先に他者理解がある ■□■
自分の気持ちに寄り添っていること、自分を分かってあげることが
他者理解の最大のポイントです。自己理解ができて、初めて他者理
解へと一歩踏み出すことができるのです。
自分が自分と対峙して、しっかりとコミュニケーションをとること
が他者理解の基本となります。自分を分かってあげること、自分は
自分に分かってもらえない部分があることに気づくと、不思議なこ
とに他者と心が通じ合う場面が増えてきます。
前回(317号)、28項目もの「人というものの特徴」を上げました
が、人間は表面上の違いはあっても本質的な部分では同じ存在だと
いうことです。ナラティブ内部監査でのコミュニケーションは、互
いの違いを認めながらも、深い領域で共通理解に達したときにだけ
成り立つのではないかと思います。