平林良人の『つなげるツボ』Vol.336

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■□■ 平林良人の『つなげるツボ』Vol.336 ■□■
― つなげるツボ動画版はじめました ―
*** ナラティブ内部監査40***
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このシリーズではナラティブ内部監査の新しい物語作りについて
発信させていただいています。
一般に「物語り」を作る方法には「起承転結」という発想があり、
文章を作るには一定のやり方があると教わってきました。小学校
高学年、あるいは中学校の作文の授業で教えてもらったと思いま
す。

■ 起承転結とは ■
「起承転結」は、中国の唐の時代に漢詩の作り方の標準として広
く知られるようになったと言われています。
日本においては、中学校段階までに勉強する国語の文章の多くは、
「起承転結」の様式で作られています。私も「日本語の文章は起
承転結で書くのがよい」と思っていましたし、今でもそのように
認識しています。

TVドラマでも、物語ストーリーの組み立て方に関心もって見てい
ると、やはり起承転結でストーリーが進んでいくように思います。
昔、映画作りの座談会で、脚本は起承転結で作られていて次のよ
うに構造化されている、という話を聞いたことがあります。

「起」は、主人公の紹介、主人公がどんな人物かが描かれます。
「承」は、起を受けて物語が進展していく様子が描かれます。そ
こでは何かが起こります。今までの主人公の様子、今に至った過
去の出来事なども説明されます。
「転」は、今までとは異なった一つの物語のヤマ場になります。
今までには考えられなかった状況が描かれます。
「結」は即ち物語の結末ですが、その結果主人公がどうなったか
が書かれます。

「起承転結」の典型的な例として、4コマ漫画があります。サザ
エさん漫画を見ているとストーリーが簡潔に理解できるようにな
っていて感心します。

■ ナラティブ内部監査の起 ■
ナラティブ内部監査の物語をこの起承転結で書こうとするとどん
な構成が考えられるでしょうか。

「起」は、内部監査員と被監査者の監査風景が書かれます。どん
なプロセスを監査しているかをまず紹介します。紹介にはそのプ
ロセスで行われている仕事、そのプロセスにはどんなインプット
があるのかを説明します。続いてそのインプットはどんなアウト
プットに変換されていくのか、そして次の工程(プロセス)にど
のように引き渡されるかを説明します。さらに、その仕事に使わ
れる設備の様子も書かれます。格別な設備がなければ書く必要は
ありませんが、設備に変わる道具とか、ちょっとした工具などを
使っていればそれらを書きます。それらを一括して資源と呼んで
いきたいと思いますが、プロセスにはインプットに追加する材料、
部品などの資源があると思います。

次に重要なことはアウトプットを引き渡す前に行う確認、チェッ
クです。いま監査しているプロセスで完成した成果物は何らかの
物差しで目標としている基準に達しているか確認する必要があり
ます。機器による測定、現物との比較、官能検査(聞く、触る、
味わう等)、目視など、いろいろな方法がありますが、現場で行
われている確認の方法を書きます。

「起」で大切なことは、標準(書)の記述です。監査対象の仕事
の標準はどこに決められているかを書きます。文書に書かれてい
る場合もありますし(手順書、指示書など)、文書になっていな
い場合もあります。文書になっている場合は、いつ見直しがされ
ているかを確認します。10年も前にしか見直されていない場合は、
書かれていることと現実に行われていることが乖離している可能
性が高いと思います。

もし、仕事の標準が文書に書かれていない場合は、標準はどこに
決められているか確認をします。被監査者は先輩から教えてもら
ったことが仕事の標準であると言うかもしれません。先輩から教
えてもらったことを後から自分で工夫したとか、管理監督者から
指導があったとかいくつかの異なったストーリーがあるでしょう。

あとは、仕事の納期、工数(かける時間)、もし失敗したらどん
な処置をするのかも必要に応じて書いたら良いと思います。また、
監査している仕事(プロセス)が環境へ与える負荷、影響、使用
エネルギーの量、排出するCO2量なども、社会からは関心のある
事項だと思います。
「起」で書かれたことがその後の物語に繋がっていくので、でき
るだけ多くの事柄を、事実に基づいて書くことが良いと思います。

次回は「承」について書きたいと思います。