トヨタ物語30 | 平林良人の『つなげるツボ』

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■□■ 平林良人の『つなげるツボ』Vol.446 ■□■
― ISOマネジメントシステムのテクノファ ―
― つなげるツボ動画版はじめました ―
*** トヨタ物語30 -なぜなぜ5回 ***
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大手企業で品質不正が発覚しますと、第三者調査委員会が作られ、
その委員会で「どんなことが起きたか」、「なぜ起きたか」、「どう
すればよいのか」等が議論されます。過去5年の間に起きた大手
企業の品質不正の第三者調査委員会報告書から、起きてしまった
品質不正の要因とされたものをまとめてみました。

■■ 品質不正要因のTop8 ■■
当然のことながら各社の第三者調査委員会報告書の内容は各社各
様で、組織に固有ないろいろなことが書かれています。ボリュー
ムとしては多いものは1,000ページを超えますし、少ないもので
も100ページくらいはありますので、読むのにはそれなりの時間
がかかります。
各社(18社)の要因として上げられている共通的なものは次の通
りです(411号参考)。
1.コンプライアンス意識がない。
2.品質保証部門が機能不全を起こしている。
3.人が固定化され,業務が属人化されている。
4.収益偏重の経営がされている。
5.監査が機能していない。
6.工程能力がないのに生産している。
7.管理がされていない。
8.教育がされていない。

■■ なぜなぜ5回 ■■
トヨタの大野耐一氏は、なにか問題が起きるとどうして起きたの
かを現場を観察しながら考えました。なぜなぜ5回はこのメルマ
ガ第411号~413号でお話ししましたが、18社の報告書にはその
分析、展開はありませんでした。441号で紹介した大野氏のなぜ
なぜ5回は次のようなものです。

1つの事象に対して、5回の「なぜ」をぶつけてみたことはある
だろうか。言うのはやさしいが、行なうはむずかしいことである。
たとえば、機械が動かなくなったと仮定しよう。
(1)「なぜ機械は止まったか」
   「オーバーロードがかかって、ヒューズが切れたからだ」
(2)「なぜオーバーロードがかかったのか」
   「軸受部の潤滑が十分でないからだ」
(3)「なぜ十分に潤滑しないのか」
   「潤滑ポンプが十分くみ上げていないからだ」
(4)「なぜ十分くみ上げないのか」
   「ポンプの軸が摩耗してガタガタになっているからだ」
(5)「なぜ摩耗したのか」
   「ストレーナー(濾過器)がついていないので、切粉が
    入ったからだ」
以上、5回の「なぜ」を繰り返すことによって、ストレーナーを
取りつけるという対策を発見できたのである。

■■ 18社の要因になぜなぜ5回を応用すると ■■
「1.コンプライアンス意識がない。」を考えてみましょう。
なぜなぜ5回は頭で考えては真因に近づくことはできず、事実
を収集することが大切です。しかし、ここでは紙面上での考察
なので机上での展開になることをお許しください。

1回目:なぜ品質不正が起きたのか
→コンプライアンス意識がなかったからだ。
2回目:なぜコンプライアンス意識がなかったのか
→コンプライアンス違反状態があっても誰も異を唱えなか
ったからだ。
3回目:なぜコンプライアンス違反状態があっても誰も異を唱
えなかったのか
→そのくらいのことは許されると思っていたからだ。
4回目:なぜそのくらいのことは許されると思っていたのか
→どのくらいのレベルがコンプライアンス違反になるのか
基準がなかったからだ。
5回目:なぜどのくらいのレベルがコンプライアンス違反にな
るのか基準がなかったのか
→会社がコンプライアンス違反の判断を社員に委ねていた
からだ。
(対策)会社として「コンプライアンス違反」を特定した基準
を作成する。

どうでしょうか、品質不正の要因「コンプライアンス意識がな
い」に「なぜなぜ5回」を応用すると、第三者調査委員会報告
書の分析よりも真因に近づくことができると思いませんか。
残っている7つの要因についても「なぜなぜ5回」を応用する
とよいと思います。