Category Archives: つなげるツボ

マネジメントシステム規格共通文書4 | 平林良人の『つなげるツボ』

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■□■ 平林良人の『つなげるツボ』Vol.55  ■□■

*** マネジメントシステム規格共通文書4 ***

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■□■ 共通テキスト化のポイント ■□■

 ISO/IEC Directive の附属書SLに組み込まれたMSSのポイン
トは5つあるとして、前回までにそのうち1,2,3について述べま
した。

1.どのMSSにもある普遍的な箇条の文章が共通化されたこと。

2.MSSの構造の統一と用語定義の共通化がなされたこと。

3.MSSを導入する前提を明確にすることが問われるようになっ
たこと。

4.要求事項をビジネスプロセスに統合することが要求されてい
ること。

5.リスクの考え方が導入されたこと。

 今回は、「4.要求事項をビジネスプロセスに統合することが
要求されていること」について説明をします。

■□ ×××要求事項をビジネスプロセスに統合する ■□

 今回の附属書SLの大きなポイントは、箇条5.1にある「組織の事
業プロセスへの統合」です。

 たった一行の文章ですが、この意味するところは経営の本質に
かわるものであり、今回のMSS共通文書によるシステム構築、維
持、改善に大きな影響を与えるものであると考えます。

 認証審査にも当然のこと影響を与えることになると思います。
 ここにおけるポイントは2つあります。一つは「事業プロセス
(business process)」であり、もう一つは「統合(integration)」
です。

■□ 事業プロセスとは  ■□

 箇条5.1の注記に「この規格で“事業”という場合、それは、組織
の存在の目的(purpose)の中核となる活動という広義の意味で解釈
することが望ましい」とあります。

“NOTE : Reference to “business” in this International
Standard should be interpreted broadly to mean those
activities that are core to the purpose of the organization’s
existence”

 ここにおける目的は前回で述べた目的、purposeであって、
objectivesではないことに注意が必要です。このNoteは、「組織の
存在の目的」という組織の根源的なことに触れています。

 ここでいう組織の目的は、まさしく前回ふれたドラッカーの著書
“Management”にでてくる企業の目的である「顧客の創造」であると
いってよいでしょう。 

 顧客の創造に関するプロセスとは、組織が毎日行っている活動であ
り、たとえば市場調査プロセスであったり、商品/サービス企画プロ
セスであったり、とにかく製品或いはサービスをお客様に届けるとい
うことに関係する活動はすべてがそうであるといえます。

 たとえば、研究開発プロセス、設計プロセス、技術プロセス、製造
/サービス提供プロセス、購買、品質保証プロセス、配送プロセス、
クレーム対応プロセス、アフターサービスプロセスなどは当然該当す
ると思います。

 組織が顧客にむいて、顧客のために、顧客の身になって行う活動は
すべて事業プロセスといってよいでしょう。

 すべての企業は、企業自身が作り出す「製品又はサービス(以下、
製品という場合もサービスを含む)」が市場で受け入れられ、その製
品の価値に見合う対価を受け取ることで継続的に存在することができ
ます。

 企業が事業を連続的に継承していくためには、常に企業の製品
が顧客ニーズと期待に合っていなければなりません。そして、そのた
めには、企業自身が「常に顧客ニーズと期待に合った製品」を提供し
ていくマネジメントシステムを構築、維持していくことが重要です。

 企業のマネジメントは、多様な要素から成り立っています。例えば、
事業モデルの確立、ビジョンと戦略の策定、収益構造の維持、研究開
発、安全、環境保全、社会貢献、従業員教育、福利厚生、財務管理、
リスク分析、非常事態への対応、顧客対応と顧客満足度向上、品質管
理、非常時対応、事業継承、内部統制、企業倫理、法例遵守などです。

 これらマネジメントの要素は当然のことながら、企業の性質、規模、
持っている製品によって異なります。しかもこれらは、お互いに影響
をし合い大きなシステムを作っているので、要素の重要性に順序は付
けがたいものです。

■□ CSRも事業プロセス  ■□

 直接顧客の創造につながらなくても、社会全般に向けての活動も間
接的には顧客創造につながるものですので、事業プロセスといってよい
と思います。
 
 たとえば、CSR(企業の社会責任)活動に関係するプロセスもそうで
しょう。CSRには7つの重要な活動があるといわれています。

①組織統治(Organizational governance)に関する活動
 社会正義に反することをしないよう組織を統治する。

②人権(Human rights)に関する活動
 従業員の人権をまもる、例えば差別、強制就業、いやがらせなどを
無くす。

③労働慣行(Labor practices)に関する活動
 就業規則、給与、福利厚生、残業、休日出勤などのルールを守る。

④環境(Environment)に関する活動
 環境保全をはじめ、もろもろの活動により環境への配慮をする。

⑤公正事業活動(Fair operating practices)に関する活動
 法を守る、業界ルールなどを遵守する。

⑥消費者課題(Consumer issues)に関する活動
 消費者保護の精神に則った企業活動をする。

⑦地域社会参画と発展(Community involvement & development) に
 関する活動立地している社会との相互関係を尊重し地域に貢献する。

 CSR活動以外の品質管理活動、環境管理活動、安全管理活動、情報管
理活動などのMSSに関係するテーマも、ほとんどが事業活動(プロセス)
であるといえます。

■□ 事業プロセスは日々の活動に分解される  ■□

 ISO9000規格では、プロセスを「インプットをアウトプットに変換
する、相互に関連する又は相互に作用する一連の活動」と定義してい
ます。

 この一連の活動というところがポイントです。設計というプロセス
を考えてみると、基本設計、構造設計、要素設計、設備設計、許容
交差計算、詳細設計などいろいろな活動がありえます。

 これらの活動は更に小さな活動に分解可能です。例えば、基本設計
を分解すると、素材選択とか、強度計算のようなより小さな、より具
体的な活動になります。
 
 このようにして分解をしていくと、最後は個人が仕事することがで
きる大きさになります。

以上

マネジメントシステム規格共通文書3 | 平林良人の『つなげるツボ』

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■□■ 平林良人の『つなげるツボ』Vol.54  ■□■

*** マネジメントシステム規格共通文書3 ***

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■□■ 共通テキスト化のポイント ■□■

ISO/IEC Directive の附属書SLに組み込まれたMSSのポイントは
5つあるとして、前回までにそのうち1.2.について述べました。

1.どのMSSにもある普遍的な箇条の文章が共通化されたこと。
2.MSSの構造の統一と用語定義の共通化がなされたこと。
3.MSSを導入する前提を明確にすることが問われるようになっ
たこと。
4.要求事項をビジネスプロセスに統合することが要求されてい
ること。
5.リスクの考え方が導入されたこと。

1.2.で述べきれなかったこととして、より容易な文章で規格が
作成されたということを追加して説明します。

■□ 日常のビジネス用語で規格の要求を述べる ■□

例えば、箇条「6.2 XXX目的及びそれを達成するための計画策定」
には、次のような一節があります。

・ what will be done
(何がなされるのか)
・ what resources will be required
(どんな資源が必要とされるのか)
・ who will be responsible
(誰が責任をもつのか)
・ when it will be completed
(いつ終了するのか)
・ how the results will be evaluated
(どのように結果は評価されるのか)

このように、5W1Hを使用した要求事項は今までの
ISO規格にはなかったものでした。

同様な例が、「7.4コミュニケーション」にもあります。

・ on what it will communicate
(何についてコミュニケーションするのか)
・ when to communicate
(いつコミュニケーションするのか)
・ with whom to communicate
(誰とコミュニケーションするのか)
 
このように我々が日ごろの業務の中で使用している
用語を使用しての規格は、なじみやすく、従来よりも
多くの人に理解されるといってよいであろう。

■□ ×××MSSを導入する前提を明確にすること ■□

従来のISO規格にはなかったものとして、
「組織はなぜ×××MSSを導入するのか」
「組織を取り巻く状況はどのようなものか」というようなことを
明確にするように規格は要求しています。

まず問われているのは、組織の目的に関連した外部、
内部の課題を明確にすることです。

ここで気を付けなければならないことは、目的の原文は
“purpose”であり、”objectives”ではないということです。

ちょっとややこしいが、今回の日本規格協会の翻訳では、
“purpose”も”objectives”も同じ「目的」と翻訳されています。

国内審議で幾多議論された結果であるが、今後の出版物には
背景と注意を喚起するとしています。

以下は今回の翻訳(日本規格協会、ホームページ)について、
日本規格協会が原文にない部分として追加した3.08注記4です。

(規格開発者への注記 この文書はマネジメントシステムの中での
統一した用語の使用を推奨していることから,この文書内における
目的(objective)には,一貫して“目的”という訳語をあてています。

他方,既存のJISでは,日本語と英語の語彙の違い,
各マネジメントシステムにおける分野固有の背景及び
規格内の文脈との関係などの理由から,
目的(objective)に対して分野固有ごとに異なる用語が
使用され,広く一般化しているという現状もあります。

<例>
JIS Q 9001では“(品質)目標”,JIS Q 14001などでは“目的”が
それぞれ使用されています。

このため, 各分野固有のJISにおいては,分野固有の背景,
文脈などを踏まえて,“目的”又は“目標”のいずれかを
選択することが望ましい。

また,その選択の背景などについては,JISの解説に記載し,
規格利用者に対して説明することが望ましい。)

「4.1組織及びその状況の理解」、「5.2方針」、
「5.1 リーダーシップ及びコミットメント:注記」の3か所にある
「目的」は原文がpurposeです。

他の所、例えば「5.2 方針」2番目の「目的」、
「6.2 XXX目的及びそれを達成するための計画策定」などの
個所にでてくる「目的」の原文は“objectives”です。

■□ ドラッカーは“purpose”と”objectives”を
              このように説明している ■□

ドラッカーは、目的(purpose)について次のように述べています。

“To know what a business is we have to start with its
purpose.
Its purpose must lie outside of the business itself.
In fact, it must lie in society since business enterprise
is an organ of society. There is only one valid definition
of business purpose: to create a customer. P.F.Drucker
“Management : Tasks, Responsibility, Practices、1973年”

「企業とは何かを知るためには、企業の目的から
考えなければならない。
企業の目的は、それぞれの企業の外にある。
企業は社会の機関であり、その目的は社会にある。
企業の目的の定義は一つしかない。
それは、顧客を創造することである。
上田惇生編訳、ダイヤモンド社、2001年」

purpose とobjectivesの関係については、ドラッカーは次のように
言っています。

“From the definition of its mission and purpose a business
must derive objectives in a number of key areas; it must
balance these objectives against each other and against the
competing demands of today and tomorrow.”

“Defining the purpose and mission of the business is
difficult, painful, and, risky. But it alone enables a
business to set objectives, to develop strategies, to
concentrate its resources and to go to work.”

「事業の“ミッションとpurpose”の定義から、主要な幾つかの
領域におけるobjectivesを導き出さなければならない。
今日と明日とでは競合する要求及び相互のobjectivesについて
バランスを取らなければならない。」

「事業の“purposeとミッション”を定義することは、難しく、
苦痛で、リスクを伴う。
しかし、“purposeとミッション”のみが事業のobjectivesを設定し、
戦略を展開し、資源を集中し、活動することを可能にする。」

このようにドラッカーは、“purpose”とは
組織の外にあるものであり
“objectives”の上位に位置するものである、と説いています。

以上

マネジメントシステム規格共通文書2 | 平林良人の『つなげるツボ』

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■□■ 平林良人の『つなげるツボ』Vol.53  ■□■

*** マネジメントシステム規格共通文書2 ***

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日本規格協会のHPに共通文書の日本語訳が掲載されました。

この翻訳に意見のある方は誰でもコメントを寄せることができま
すので、HPから共通テキストをダウンロードしてみてください。

この共通文書の発行は、マネジメントシステム規格(Management
 System Standard:MSS、以下MSSと呼称する)の世界において
は画期的なことであると思います。

なぜ画期的かその理由は、一つに規格ユーザーの利便にあると思
います。

MSSの嚆矢と目されるものは、1987年に発行されたISO9001規格で
す。以降、2012年まで25年の間に10を超えるMSSが誕生しました。

歴史的に上げてみると、ISO9001、ISO14001、ISO27001、
OHSAS18001(労働安全衛生については準ISOとしての扱い)など
が、MSSとして登場しました。

その後もこの動きは続き、最近ではISO50001(エネルギーマネジ
メント)、ISO22301(事業継続マネジメント)、ISO39001(道路
交通安全マネジメント:2012年末発行予定)と続いています。

■□■ 共通テキスト化のポイント ■□■

ISO/IEC Directive の一部に組み込まれたMSSのポイントは5
つあると考えています。

1.どのMSSにもある普遍的な箇条の文章が共通化されたこと。
2.MSSの構造の統一と用語定義の共通化がなされたこと。
3.MSSを導入する前提を明確にすることが問われるようになっ
たこと。
4.要求事項をビジネスプロセスに統合することが要求されてい
ること。
5.リスクの考え方が導入されたこと。

細部にわたっては、多くのポイントがありますが、今回の共通文
書化のポイントを大きなものから5点あげよ、と問われるならば
以上のとおりです。

■□1.どのMSSにもある普遍的箇条の文章が共通化されたこと■□

ざーっと共通文書をみたとき、次の項目がすべてのMSSの共通の
文章になったことに気がつきます。
 
 ・経営者の責任
 ・方針管理
 ・目標管理
 ・責任権限
 ・コミュニケーション
 ・教育訓練
 ・文書管理
 ・記録の管理
 ・内部監査
 ・マネジメントレビュー
 ・是正処置
 ・予防処置(共通文書ではリスク及び機会への取組み)
 ・継続的改善

■□2.MSSの構造の統一と用語定義の共通化がなされたこと■□ 

MSS共通文書の構成は、前回もふれましたが
次のようになっています。

1. 適用範囲
2. 引用規格
3. 用語及び定義
4 組織の状況
5 リーダーシップ
6 計画
7 支援
8 運用
9 パフォーマンス評価
10 改善

また、今回定義された用語は次のとおりです。

1.organization
2.interested party
3.requirement
4.management system
5.top management
6.effectiveness
7.policy
8.objective
9.risk
10.competence
11.documented information
12.process
13.performance
14.outsource
15.monitoring
16.measurement
17.audit
18.conformity
19.nonconformity
20.correction
21.corrective action
22.continual improvement

以上

マネジメントシステム規格共通文書1 | 平林良人の『つなげるツボ』

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■□■ 平林良人の『つなげるツボ』 Vol.52 ■□■ 

*** マネジメントシステム規格共通文書1 ***

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ISO9001、ISO14001規格は2015年を目標に次期改定の作成作業に入っていますが、
そのベース文書となるMSS(Management System
Standard:マネジメントシステム規格)共通文書が正式に発効しました。

ISOは2012年5月2日にMSS共通文書をISO/IECのDirective Part1の一部に編纂したと
発表しました。

ISOは8年前(2006年)から、全てのマネジメントシステム規格は基本構造、用語、共通部分の文言、
構成は同じものにするというポリシーのもと、特別委員会(JTCG:Joint Technical Coordination Group)で
検討を進められてきましたが、そのガイド規格が成立したのです。

このMSS共通文書は、8年の間紆余曲折をへるなか、あるときはJTCG共通文書(N316)、あるときはI
SO Guide83、あるいはHLS(High Level Structure)とか呼ばれてきましたが、今回の処置でISO Directiveの
一部になったことになります。

■□■ ISO/IEC Directiveとは何 ■□■
ISO/IEC Directive とは、ISO(及びIEC:International Electrotechnical Commission:国際電気標準会議;電気工学、
電子工学、および関連した技術を扱う国際的な標準化団体であり電気関係の標準化はこちらが扱う)が発行する
指示文書であり、ISO/IECが規格作成から正式発行にいたるまでの必ず守らなければならないルールを規定した
国際的なガイドブックです。

ISO/IECが発行しているDirectiveにはいくつかのPartがありますが、Part1は規格を新しく発行したり、改定したりするときの
ルールを定めた約160ページの指示書です。
Part1には付属書が29もあり、大半が規格を作るための具体的な手順を規定しています。
例えば、次のようなことに関する手順が決められています。
 ・ISO規格を作る手順
・専門技術委員会の議長、主査の決め方
 ・各国言語に関するルール
 ・TC(Technical Committee)、SC(Sab Committee)などの構成
 ・PC(project committee)の設立方法
 ・規格作成各段階における投票方法、承認基準
 ・開催国(ホスト国)の決め方
 ・各種様式(規格作成段階で使用される書式)

このような一連の手順書の中の一部に、今回MSS共通文書が次のようなタイトルで編纂されました。
“Guidance on the development process and structure of a
MSS‐High level structure, identical core text and common
terms and core definitions for use in Management System
Standard”

■□■ ISO/IEC Directiveは誰が使う文書 ■□■ 
ISO/IEC Directiveは、規格を作成する関係者、各国の標準団体(日本では、日本規格協会)、政府関係者、
TC、SCなどの属する規格作成が使用するガイドです。

これから作成するMSS規格は改定、新規作成を問わず、このMSS共通文書を必ず使用しなければなりません。
MSS共通文書は規格作成者向けの文書ですが、当然のことながら規格使用者、各種のユーザーにも参考になる文書です。

つなげるツボでは、これから何回かに分けてMSS共通文書の解説をしていきたいと思います。

■□■ MSS共通文書の構成 ■□■ 
MSS共通文書の構成は次のようになっています。
1. 適用範囲
2. 引用規格
3. 用語及び定義
4 組織の状況
4.1 組織及びその状況の理解
4.2 利害関係者のニーズ及び期待の理解
4.3 XXXマネジメントシステムの適用範囲の決定
4.4 XXXマネジメントシステム
5 リーダーシップ
5.1 リーダーシップ及びコミットメント
5.2 方針
5.3 組織の役割,責任及び権限
6 計画
6.1 リスク及び機会への取組み
6.2 XXX目的及びそれを達成するための計画策定
7 支援
7.1 資源
7.2 力量
7.3 認識
7.4 コミュニケーション
7.5 文書化された情報
7.5.1 一般
7.5.2 作成及び更新
7.5.3 文書化された情報の管理
8 運用
8.1 運用の計画及び管理
9 パフォーマンス評価
9.1 監視,測定,分析及び評価
9.2 内部監査
9.3 マネジメントレビュー
10 改善
10.1 不適合及び是正処置
10.2 継続的改善

このように、マネジメントシステム規格に網羅すべき項目をすべて網羅しており、分野ごと(9001、14001、27001、
OHSAS18001とか)に必要となる規定は、主に「8 運用」のなかに規定されることになります。

その他のところにも、分野ごとどうしても追加したいことがあれば、ISO/TMB(Technical Management Board)へ
報告することで許されることになっています。

次回から各章の説明をしていきたいと思います。

ISOマネジメントシステム規格情報 | 平林良人の『つなげるツボ』

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■□■ 平林良人の『つなげるツボ』 Vol.51 ■□■ 

*** ISOマネジメントシステム規格情報 ***

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ISO(国際標準化機構)では活発に新しい規格の発行を行っていますが、
今回は読者に関係が深いと思われるISOマネジメントシステム規格の
最新情報をお届けします。

規格発行状況の羅列で砂を噛むようなメルマガですが、ご勘弁ください。

こんなに多くのISOマネジメントシステム規格が存在するということを認識していた
だければ幸いです。

下記をお読みいただく前に恐縮ですが

     「テクノファフォーラム 大阪開催」無料のご案内です。
**************************************************************************
・4月25日(水) 於:エルおおさか(大阪府立労働センター)

・9:30~13:00(午前の部)、14:00~17:30(午後の部※ほぼ満席です)

  1. 平林良人 「ISO9000ファミリー改正動向」

  2. 福丸典芳氏 「9001の本質と内部監査の成熟度モデル」

  3. 吉田敬史氏 「環境ISO国際交渉と国内動向の最新情報」

   お申し込みは http://www.technofer.co.jp/convini/forum2012osaka.html

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それでは本題ですが、

■□■ TC176品質管理及び品質保証関係 ■□■ 

① ISO9000は2005年以来更新されていません。2009年のTC176東京総会で予備的作業に入りましたが、その後進展がなく、2011年の北京総会で改正のためのNWIP(New Work ItemProposal)が作成された 段階です。

② ISO9001は、2012年3月15日の国際定期見直し投票結果により改正することが決定されました。日本規格協会では2012年2月に東京大学でISO9001次期規格WSを開催し、今後の国際会議に備えて国内体制の整備に入っています。

③ ISO9004は2009年に改正され、2010年にはJIS9004が制定されました。
組織が品質マネジメントアプローチによって持続的成功を達成するためのガイド規格です。

④ ISO10001(行動規範) 2007年に国際規格が発行され、2010年にはJIS規格が発行されました。組織が提供する製品に対して顧客満足を得るための、顧客に対する組織の規範事項についてのガイド規格です。

⑤ ISO10002(苦情対応) 2005年JIS規格発行済です。2011年3月定期見直し投票の結果、「確認」(修正/改正せず現状のまま継続)が決定しました。組織が提供する製品に対する顧客からの苦情に対して、組織内部で対応するためのガイド規格です。

⑥ IS010003(外部紛争解決)  2010年JIS規格発行済です。2011年3月定期見直し投票の結果、「確認」が決定しました。組織が提供する製品に対する顧客からの苦情に対して、組織内部で対応できなかった場合に、裁判以外の手段で対応するためのガイド規格です。

⑦ ISO/TS10004(顧客満足の監視及び測定) 2010年4月にTS発行されましたが、ISに格上げする提案が2011年採択されました。組織が提供する製品に対する顧客満足の監視及び測定についてのガイド規格です。

⑧ ISO/WD10008(電子商取引) 2012年3月締切でCD2のコメントを募集し、現在コメント集約中です。ISO/COPOLCO(消費者政策委員会)からの提案の規格です。

⑨ ISO10018(人的側面) 2011年5月DIS投票の結果、賛成多数で採択され2012年5月に発行の予定です。効果的な品質マネジメントシステムのために必要な“組織の人々”の力量、認識、コミュニケーション、チームワークなどの人的要素に関するガイド規格です。

⑩ Time、Speed and Agility 2009年にエジプトが提案したガイド規格です。スタディーグループで規格化の二一ズをはかるための市場調査を実施し、結果をウェブに公開する予定です。事業環境変化、情報技術の発展により、機敏に、タイムリーに対応する必要が高まっていることを背景に提案されました。

⑪ ISO19011(マネジメントシステム監査) 2011年11月に改正版が発行され、2012年3月にはJISQ19011規格が発行されました。

■□■ TC207環境管理関係 ■□■ 

① ISO14001(要求事項及び利用の手引) 2011年に改正のためのNWIPが投票結果賛成多数で可決され、2012年2月にはWD1が作成されました。改正においては、JTCG開発のMSS共通テキストの使用を前提に検討がなされています。

② ISO14004(原則、システム及び支援技法の一般指針)  2008年定期見直し投票の結果、「確認」となりましたが、2011年ISO14001とともに改正を目指すことになりました。

③ ISO14005(IS014001段階的導入の指針) 2010年12月に国際規格が発行され、2012年3月にJISQ14005が発行されました。中小企業を対象に、段階的にEMSを構築するためのガイド規格です。

④ IS014006(エコデザインの指針) 2011年7月にISが発行され、2012年3月にはJISQ14006が発行されました。組織が提供する製品、サービスに関する体系的な環境適合設計プロセスのガイド規格です。

⑤ ISOGuide64(製品規格で環境課題を記述するための指針) 2008年8月にISが発行され、現在JISQ0064の作成をJISCが検討中です。
 
⑥ ISO14050(用語)  2009年2月にISが発行され、JISQ14050が2012年3月に制定されました。ISO14040s、ISO14062、ISO14063、IS014064sに定義されている用語及び定義も追加されました。

⑦ IS014020シリーズ(環境ラベル)
・ISO14021(タイプⅡ環境ラベル) 1999年ISが発行され、2011年12月に追補が発行されました。
・ISO14025(タイプⅢ環境宣言) 2009年定期見直が行われましたが、結果は「確認」でした。

⑧ ISO14030シリーズ(環境パフォーマンス評価)
・IS014031(環境マネジメントー環境パフォーマンス評価ー指針) 1999年11月にISが制定され、その後改正が決定し現在DISの段階の改正作業中です。
・ISO/TS14033(Environmental management – Quantative environmental information Guidelines and examples) NWP投票の結果、賛成多数で2012年現在TS発行待ちになっています。

⑨ IS014040シリーズ(ライフサイクルアセスメント)
・ISO14040(ライフサイクルアセスメントー原則及び枠組み) 2006年7月IS発行済みで、2010年、JISが発行されています。
・ISO14044(ライフサイクルアセスメント_要求事項及び指針) 2006年7月IS発行済みで、2010年、JISが発行されています。
・ISO14045(環境効率評価一原則及び要求事項) 現在、FDIS段階です。
・IS014046(Water Foot Print – principles , requirements and guidance)  2009年のNWP投票の結果、規格開発がスタートし、現在CD段階です。

⑩ IS014051(マテリアルフローコスト会計 – 一般枠組み) 日本提案により2008年規格化が開始され、2011年ISが発行されました。2012年3月にはJISが制定されました。

⑪ IS014060シリーズ(温室効果ガス)
・ISO14064 第1部:組織レベルのGHG排出量及び吸収量の定量化と報告に関する手引、第2部:プロジェクトレベルのGHG排出削減量・吸収増大量の定量化、監視、報告に関する手引、第3部:GHG主張の妥当性確認及び検証の手引、いづれも2006年3月IS発行済みです。またISO14064-1は2010年5月、ISO14064-2、-3は2011年にJIS化がされました。
・ISO14065(GHGに関する検証及び妥当性確認を実施する機関に対する要求事項) 2007年4月IS発行済み、2011年3月にJIS化がされました。
・ISO14066(GHGに関する検証及び妥当性確認を実施する機関の要員に対する要求事項)2011年4月IS発行され、2012年3月にはJISがされました。
・ISO14067(カーボンフットプリント) part1:製品のカーボンフットプリント―定量化part2:製品の力ーボンフットプリント―コミュニケーショと区分されて、規格の開発が進んできたが、2011年1月に両パートが統合されることが決まり、2013年を目指して、現在はDIS段階です。

■□■ その他のMSS ■□■ 

① ISO31000(Risk management – Guidelines on principles and implementation of risk management:リスクマネジメントー原則及び実施の指針)、2009年11月国際規格発行済み、2010年9月にJISが制定されました。

② ISOGuide73(Risk management – vocabulary:リスクマネジメントー用語)、2009年11月国際規格発行済み、2010年末JISQ0073が発行されました。 

③ TC223 Social security 社会セキュリティー
・ISO22301(事業継続マネジメントシステムー要求事項Business continuity management system – Requirement)BS 25999をベースに組織の緊急事態(発生時含む)に対するBCMS(Business continuity management system)を計画、構築、運用、監視、レビュー、維持、改善するための要求事項を含む規格の作成が進められてきましたが、2012年4月2日に規格の承認が投票で承認されました。

緊急事態への組織の能力を組織内部・外部機関(第三者認証機関を含む)が評価することにも利用可能です。2012年6,7月頃には国際規格が入手できる見込みです。
・ISO22313(社会セキュリティ、事業継続Societal security – Guidelines for incident preparedness and perational continuity management)ISO22399をベースに(2007年11月に発行済み)、ISO22301に対するガイド規格としてIS化に向けて作業中、現在DIS段階です。

④ ISO26000(社会的責任の中核主題に関する手引Guidance on Social Responsibility)、2010年末IS発行済、ガイダンス文書であって 認証を意図しない規格です。

⑤ ISO22000(食品安全マネジメントシステムーフードチェーンの組織に対する要求事項)、2005年8月発行済み、2008年定期見直し投票では「確認」となりました。
・ISO/TS22002-1(食品安全の前提条件プログラムー第1部:食品製造)、2009年12月
発行済み、2010年定期見直し投票では「確認」となりました。
・ISO/TS22003(食品安全マネジメントシステムの審査及び認証を行う機関に対する
要求事項)、2007年2月発行済み、2011年1月から5ヶ月間の定期見直し投票の結果、改正することになり作業中です。
・ISOTS22004(食品安全マネジメントシステムーIS022000:2005適用のための指針)、2005年11月発行済み、2008年定期見直し投票の結果「確認」となるも、2011年10月改正が決議されました。

⑥ 情報セキュリティマネジメントシステム(ISO/IEC/JTC1・情報セキュリティ)
・ISO/IEC27000(Information technology – Security techniques -Information security management -systems – Overview and vocabulary)、2009年5月に発行済み、現在改正作業実施中です。
・ISO/TC27001(情報技術 一 セキュリティ技術 一 情報セキュリティマネジメントシステム
ー要求事項)、2005年10月に発行済み(2006年5月JIS発行済み)、2009年改定が決議され
現在作業中でCD段階にいます。
・ISO/IEC27002(情報技術 一 セキュリティ技術 一 情報セキュリティマネジメントの実践のための規範)、2005年6月に発行済み(2006年5月JIS発行済み)、2009年改定が決議され現在作業中でCD段階にいます。
・ISO/IEC27003(情報技術 一 セキュリティ技術 一 情報セキュリティマネジメントシステムのための実施の手引き)、2010年3月に発行済みです。
・ISO/IEC27004(情報技術 一 セキュリティ技術 一 情報セキュリティマネジメントの測定)、2009年12月に発行済みです。
・ISO/IEC27005(情報技術 一 セキュリティ技術 一 情報セキュリティリスクマネジメント)、2011年5月に発行済みです。
・ISO/IEC27006(情報技術 一 セキュリティ技術 一 情報セキュリティマネジメントシステムの監査及び認証を行う機関に対する要求事項) 2007年にIS発行済で、2011年11月には改正版を発行済です。

⑦ サービスマネジメント(ISO/IEC/JTC1/SC7 – 情報技術、ソフトウェア技術)
・ISO/IEC20000-1(情報技術一サービスマネジメントー第1部:仕様)、2005年12月IS発行済み、2011年4月改正がされました。
・ISO/IEC20000-2(情報技術一サービスマネジメント」第2部:実践のための規範)、2005年12月IS発行済み、2012年2月改正がされました。

⑧ 道路交通安全マネジメントシステム(PC241・道路交通安全マネジメント)
・ISO39001(Road – traffic Safety management systems – Requirements with guidance for use)、現在、DIS段階 (2012年末発行予定)、国内では、(独)自動車事故対策機構を事務局とする国内委員会を設置し対応しています。
本規格は、組織が道路輸送システムにおける役割を認識し、道路交通安全の向上に資する、道路交通における事故を防ぐ、自動車衝突事故による健康や人命被害の重大性を軽減するためのマネジメントシステムの構築に資する、ステークホルダーに対して、継続的に道路交通安全システムが構築でき、改善できる能力があることを証明することを目的にしています。

⑨ エネルギーマネジメントシステム(PC242・エネルギーマネジメント)
・ISO50001(Energy Management System – Requirements with Guidance for Use), 2011年5月発行、同年10月JISが制定されました。
規格の目的は、組織がエネルギー効率等を含むエネルギーパフォーマンスを改善するために必要なシステムやプロセスを確立することにあり、ISO9001(品質)、14001(環境)と同様の認証用マネジメントシステム規格です。エネルギーに特化、エネルギー効率を組織のマネジメントに導入することによりエネルギーマネジメントの枠組みを組織、施設に提供することを目的にしています。