Category Archives: つなげるツボ

f)規模及び組織構造 | 平林良人の『つなげるツボ』

■□■ 平林良人の『つなげるツボ』 Vol.29 ■□■

    *** f)規模及び組織構造 ***

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テクノファ代表取締役の平林です。

今回は「f)規模及び組織構造」についてお話をしたいと思いま
す。

今回も宜しくお願いいたします。

■□■ 新幹線の中は情報でいっぱい ■□■

東京から大阪に新幹線で出張しました。飛び乗りでしたので
自由席の3人掛けに座りました。

横の席には30歳くらいの女性2人が座っています。なにやら
甲高い声でおしゃべりをしています。品川から乗ったのですが、
既に満席に近く、イヤだとは思いましたがそこに座りました。

案の定、品川からずーっと、おしゃべりのしぱっなしです。
こちらはパソコンでメールを見ているのですが、集中できません。

席を替わろうと思いましたが、どこも空いていないので、名古屋
までお付き合いするしかないと思っていました。

■□■ 上司は段々よくなるのがいい ■□■

聞こうと思っているわけではありませんが、隣ですし、大きな声で
話しているので自然と聞こえて来ます。

そのうちに「プロセス」という言葉が耳に入ってきました。

「△△ちゃん、結果だけ追ってもだめよ。ちゃんとプロセスを
押さえておかないと。入社そうそう○○さんから言われたんだ
から。」と先輩格の女性の声。

「いいなー、○○さんが上司だったら。××さんなんか最低
なんだから・・・」と後輩らしき女性が応答しています。

「そう、○○さんに付いてよかったと思っているよ。○○さんは
細かなことをいわないのよね。結果だけ示して後は君が自分で
考えてやれって感じで・・・。」

「最初の上司って大切だよね。部下は上司によって育てられるって
いうけど、本当だよね。」

「どうしても上司を比較しない?」
「するする。」
「私は最初の上司が後から考えると最高で、それが普通と思っちゃった
から、その後は結構不幸せ・・・今から思うと段々ダメになっちゃって」
「段々良くなっていけば幸せだったのにね・・・」

■□■ プロセスは次に使える ■□■

「さっきのプロセスって良くわかんない」「だから、結果だけ
ではなく経過も重要だということを教えてくれたわけ・・・」

「経過が大切だってわかるけど、やはり結果が出ないと評価
されないじゃん」
「勿論、そうよ。だけど○○さんが教えてくれたのは、次も
よくするってことなのよ。」

「あっ分かった、経過をとっておけば反省できるってことね。」
「そうそう、プロセスを押さえておけば次にはもっと良くする
ことができるようになる・・のよ。」

「だけど、そんなことをよく○○さん新人に教えてくれたね。」
「新人にそんなことを教えてくれる会社ってそんなにはないと
思うけど、うちは結構小規模だし、フラットな構造だから上と
下が緊密に繋がっているのよ。」

成る程!、プロセスは次に使えるか、いいことを言うなぁと
思わず隣で相槌を打っていました。

■□■ 組織がフラット ■□■

思ったとおり2人連れは名古屋で降りていきました。小奇麗な
今時のファッションで身を包んで、キャリー付きのバックを
引っ張っている姿を見送って、なんとなく嬉しくなりました。

新幹線の車中でこんな話を聞けるとは思ってもいませんでしたが、
組織がフラットということ、もしかすると扱っている製品
(もしかするとサービスか?)が経過を重要視する或いは大切に
せざるを得ない会社なのか、又はそのようなことを重要視する
風土/文化の会社なのか、いづれにしても若い女性社員に
こんな会話をさせるような会社があるのだ、なかなかのものだと
感心してしまいました。

■□■ 規模及び組織構造によって影響を受ける ■□■

ISO9001:2008規格の序文には、組織のQMSの設計は【f)規模及び
組織構造】によって影響を受けるとあります。

会社の組織がフラットなのか重層なのか、1拠点か多拠点か、
工場があるのか事務所だけなのか等、組織のあり方によってQMSの
構築はいろいろな工夫があってしかるべきです。

自分達の組織の構造、規模などは理解していても、その中にいる
人と人の関係、関与の仕方、上司と部下の関係などは組織によって
千差万別です。

それらを一口で風土/文化などと表現しますが、風土/文化は
会社の生い立ち、歴史、トップの考え方等からつくられるもので、
組織の中にいる人にしかみえない部分です。

QMSはこのような組織に固有な風土/文化の部分までを取り込んで
初めて効果が出てくるものです。

神は細部に宿るといいますが、QMSも「効果は細部に宿る」と
思います。人と人が繋がってシステムは成果を出しますが、人のみ
ならずプロセス、手順などが繋がらなければマネジメントシステムは
機能しませんし、効果もでません。

■□■ ISO9001:2008規格序文0.1一般 ■□■

もう一度、序文の次の部分をかみ締めてみましょう。

「組織における品質マネジメントシステムの設計及び実施は,
次の事項によって影響を受ける。
a)組織環境,組織環境の変化,及び組織環境に関連するリスク
b)多様なニーズ
c)固有の目標
d)提供する製品
e)用いるプロセス
f)規模及び組織構造」

プロセス | 平林良人の『つなげるツボ』

■□■ 平林良人の『つなげるツボ』 Vol.28  ■□■

*** プロセス ***

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テクノファ代表取締役の平林です。

今回は「マネジメントシステムには良い設計が必要」として
「プロセス」についてお話をしたいと思います。

この前シンガポールとマレーシアに行ってきました。今までにも
何回か訪問しているのですが、両国の発展振り、特にシンガポールの
変貌にはびっくりします。

■□■ 巨大なカジノを建設中 ■□■

マーライオンで有名なシンガポール湾の中(入口)、高さ100メートル
くらいの所に何やら高速道路のような建造物が見えます。

どこへ延びる道かと思いましたら、それは空中に横長に伸びる
建物でした。それは、高速道路建造中と見間違うほどのT字形の
ビルディングで、橋脚に見えたのはビルの一部でした。

ホテルを兼ねたこの巨大なカジノはこの春オープンしたそうです。
国土が極端に狭く観光立国を目指す国にあってこその情景といえます。

■□■ シンガポール建国 ■□■

シンガポールは、約50年前、第二次世界大戦後のイギリス植民地
から独立したマレーシアと一緒の国(マレー連邦)でした。

因みに第二次世界大戦では日本はシンガポールを占領し、昭和の
南の島という意味で「昭南島」と名前をつけて統治しました。
(マレーの虎の異名をもつ山下奉文大将が有名)

マレー連邦から独立したシンガポールは、リー・クワンユー率いる
一党独裁の体制で長い間シンガポールを統治します。
国家としての目標を世界の自由貿易港、金融拠点に置き、明確な
リーダーシップと着実なステップによって近代アジアの模範と
いえる国家を実現させました。

一党独裁への批判はありますが、目標にまっしぐらに進むシン
ガポールのマネジメントのプロセスには参考になるものがある
と思います。

■□■ プロセスによって影響を受ける ■□■

ISO9001:2008「序文0.1一般」には品質マネジメントシステムの
設計に影響を与えるものとして【e)用いるプロセス】がでてきます。

組織の製品が独自なものであるように、組織のプロセスも当然
独自のものになっているでしょう。

ISO9001:2008規格の4.1一般には次の要求があります。
【組織は,次の事項を実施しなければならない。
a)品質マネジメントシステムに必要なプロセス及びそれらの
組織への適用を明確にする(1.2参照)。
b)これらのプロセスの順序及び相互関係を明確にする。
c)これらのプロセスの運用及び管理のいずれもが効果的である
ことを確実にするために必要な判断基準及び方法を明確にする。
d)これらのプロセスの運用及び監視を支援するために必要な
資源及び情報を利用できることを確実にする。
e)これらのプロセスを監視し,適用可能な場合には測定し,
分析する。
f)これらのプロセスについて,計画どおりの結果を得るため,
かつ,継続的改善を達成するために必要な処置をとる。
組織は,これらのプロセスを,この規格の要求事項に従って
運営管理しなければならない。(一部省略)】

■□■ 必要なプロセスとは ■□■

ここで重要なのはa)の「必要なプロセス」という要求です。
シンガポールのリー・クワンユー首相は国家建設に必要なプロセスを
どのように描いたのでしょうか。

組織の責任者は、国家建設ほどの大事ではなくても組織目標を
達成するためにどんなことを行わなければならないか(必要な
プロセス)の計画、実行を当然のことながら行わなければなり
ません。

ISO9001:2008規格では「組織の品質マネジメントシステムに
必要なプロセス」を要求していますので、組織経営全般より焦点は
絞れるはずです。

■□■ プロセスは組織に存在している ■□■

プロセスは組織で行われる活動を意味しています。かつてのTQC
(Total Quality Control:日本式品質管理の代名詞)では
「工程」と言っていました。

TQCでは「工程設計」、「工程レイアウト」、「QC工程表」など
プロセスに替わる用語「工程」を多く使用してきました。

ただ、当時の対象は変化のない無機質な「もの」でした(多くは
物作りの工場で使用された)が、近年、プロセスは多くが変化
する有機的な「ひと」を対象にするようになってきています。

これらの品質マネジメントシステムに必要なプロセスは、組織に
現在確実に存在しています。

どこに、どのようなプロセスが存在しているかは組織の人のみが
知っていることです。

プロセスには階層、レベルがありますが、一度組織のプロセスの
実態調査をし、さらに整理してみると思わぬ改善のネタが
見つかります。

提供する製品 | 平林良人の『つなげるツボ』

■□■ 平林良人の『つなげるツボ』 Vol.27  ■□■

    *** 提供する製品 ***

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テクノファ代表取締役の平林です。

今回は「マネジメントシステムには良い設計が必要」として、
その4【d)提供する製品】についてお話をしたいと思います。

ミャンマーの両替の続きから話を始めたいと思います。

■□■ ブラックマーケットにもいろいろある? ■□■

私はてっきり歩いて行くとばかり思っていましたから、ボーイが
タクシーを呼ぶ身振りをしているのを見てまた不安になりました。

どのくらい遠くへ行くのだろう、そもそもタクシー代も持ち
合わせていないし・・・。

10分くらいメイン道路を走ったでしょうか、とある空き地に
車は止まりました。ここからは歩いていくようです。俺の後を
付いて来いという身振りに従って2、3分路地から路地に入って
いきました。

薄暗い粗末な小屋に着きました。玄関ともいえない入り口に男が
一人立っていました。横を見ると便器が丸見えのトイレと風呂
でしょうか、コンクリートむき出しの、そこから汚水が流れ
出している、何ともいえない臭いの中で両替が始まりました。

■□■ 運転手は日本語を話し出した ■□■

1万円で100ドル貰い(それをホテルでチャットに替える;
なんだかんだといってもまだ米ドルは機軸通貨であることを実感)、
意外と良心的だと思いニコリとすると、いままで苦虫を潰した
ような顔をしていた両替のオヤジがやはりニコリとし、3枚
現地紙幣をくれました(約300円)。

何となく胡散臭い路地から車に戻り、帰路に着いた車内で、
ずーっと無口だった運転手が、急にしゃべりだしました。横浜
伊勢崎町、中華街、神戸、名古屋、東京などすらすらと日本の
地名が出てきます。

自分は60歳になるが、55歳まで船員をやっていて、世界中を
回っていた。日本へも何回も行ったと嬉しそうに話しかけて
きました。

■□■ 提供する製品による影響 ■□■

ブラックマーケットの両替が「製品・サービス」とは、少し
おかしいとも思います(遵法でない)が、政府が公式の両替所を
認めていない以上、我々のような外国人には、やはり貴重な
製品・サービスといわざるをえません。

戦後の日本では一般人が外国通貨を入手できなかったように、
ミャンマーの今日も丁度そのような状況にあるようです。

組織が市場に提供する製品・サービスは、まことに種々さまざま
です。

製品には製品そのものが持つ雰囲気があります。いくら多くの
言葉を使用しても、例えば品位、感性、日常性、家庭内、企業
向け、海外、前向き、成人、危険、安全、突発性、夢など
いろいろな用語を駆使しても伝えきれない多くの雰囲気の要素が
あります。

製品の持つ特徴(と一口ではいえない)、まさしく雰囲気を
適切に把握していないと、マーケットから締め出されてしまいます。

■□■ 製品の自画像 ■□■

皆さんは、自分たちの主要製品の自画像を描いたことがあり
ますか?組織に見えていて顧客に見えないものがあるかと思えば、
顧客だけにしか見えていないものもあります。

組織が思っていたことが、実はマーケットでは異なって受け
止められていたという事例は多くの事例の示すところです。

このような製品のもつ特徴、雰囲気は当然ISO9001:2008の序文の
「0.1一般」の言うように、組織の品質マネジメントシステムに
影響を及ぼします。

■□■ 製品の特徴の及ぼす影響 ■□■

序文0.1一般では、【この規格は,品質マネジメントシステムの
構造の画一化又は文書化の画一化を意図していない】といって
いますが、供給している製品が異なるのですからこの記述は
ごく当然のことです。

製品の特徴が品質マネジメントシステムに与えるであろう影響
には次のようなものがあります。
・製品要求事項が変わる
・資源が変わる
・インフラストラクチャーが変わる
・設計が変わる
・製品の実現化が変わる
・検査が変わる
など、バリューチェーンと呼ばれる「基幹プロセス」に影響を
及ぼします。

反対に影響を与えないものに文書管理、記録の管理、方針・
目標管理、内部監査、データ分析、マネジメントレビューなどは
影響を受けない、いや変えてはいけないものです。

変えてはいけないものとは、「マネジメントプロセス」であり
「支援プロセス」です。

固有の目標 | 平林良人の『つなげるツボ』

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■□■ 平林良人の『つなげるツボ』 Vol.26  ■□■
    *** 固有の目標 ***
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今回も「マネジメントシステムには良い設計が必要」について
その3、【c)固有の目標によってQMSの設計は影響を受ける】に
ついてお話をしたいと思います。

■□■ ミャンマーは固有に溢れた国 ■□■

3月のミャンマーは暑い日の連続でした。IT(情報技術)のセミナー
講師としてヤンゴンに行ってきました。

有名な「ビルマの竪琴」の国とはどんな所か、初めて訪れる国は
いつでもそうですが、事前にいろいろな期待に気持ちが高ぶります。

クアラルンプールに仕事がありましたので、マレーシアから
1.5時間の飛行でした。それにしても、旧日本軍はこんな所にまで
来たのかと今更ながら驚きます。

あまり事前調査もせずに行ったので、現地にきてからいろいろと
考えさせられる旅でした。なにしろ固有な事が多い国です。

■□■ 両替ができない ■□■

まず入国審査がやたらと厳しい国です。軍事政権下ですから
当たり前なのでしょうか。スーチーさんもまだ軟禁状態でしょうし…。

日本でビザの申請をしたのですが、パスポートへの証明印以外に
写真を貼った証明書を別に2通作成しなければなりませんでした。

国際空港は簡素な小奇麗なビルでしたが、迎えに来てくれた
ホテルの運転手に空港内両替所へ連れて行ってくれと頼んだのですが、
ここには両替所はないと言うのです。

えっ両替所がない、その国のお金はその国へ入って交換するのが
交換率がよいと教えられていましたが、40カ国以上行って両替所が
ないと言われたのは初めてです。

■□■ ホテルもだめ ■□■

分かった、では取りあえずホテルへ行こうということで、フロントで
円を現地通貨(kyats:チャットと発音)に交換するよう
申し出たのですが、円は取扱わないと言われてしまいました。

3日間の滞在予定ですが、タクシーも使うし、小銭は絶対に必要です。
困っているとボーイが「ブラックマーケット」を紹介すると言います。

ブラックマーケット?、そんな怖いところへ行くのはイヤだ、
同行者と顔を見合わせていましたが、大丈夫だというボーイの
奨め?で意を決して行くことにしました。

なにしろ、空港からホテルに来た車代も払えないのですから…。

この話の続きは次回にしますが、国の方針で公的交換所を持って
いないようです。固有なことは、顧客に迷惑をかけないことで
やってもらいたいとつくづく感じました。

■□■ 固有の目標によって影響を受ける ■□■

ISO9001:2008規格の序文には、【c)固有の目標】によってQMSの
設計は影響を受けるとあります。

組織はすべてがユニークで特徴のある存在です。当然品質マネジメント
システムの設計に当たっては、その組織に固有な目標を考慮しなければ
なりません。

ISO9001:2008規格の5.3には次の要求があります。
【5.3 品質方針
トップマネジメントは,品質方針について,次の事項を確実に
しなければならない。
a)組織の目的に対して適切である。
b)要求事項への適合及び品質マネジメントシステムの有効性
 の継続的な改善に対するコミットメントを含む。
c)品質目標の設定及びレビューのための枠組みを与える。
d)組織全体に伝達され,理解される。
e)適切性の持続のためにレビューされる。】

ここで要求されている「a) 組織の目的に対して適切である」は、
まさに組織に固有な目標のことを意味しています。

■□■ 固有とはなにか ■□■

固有とはその組織にだけあるものをいいます。固有な目標は当然の
ことですが、そこから派生する結果が何らか顧客、社会から見て
評価できるものでなければなりません。

組織はいろいろな目標を持ちますが、その妥当性は次のような
観点からチェックするのがよいでしょう。
 ・目標達成から得られるもの
 ・目標達成の難易度
 ・目標の評価性

チンギス・カンの国モンゴル | 平林良人の『つなげるツボ』

■□■ 平林良人の『つなげるツボ』 Vol.25  ■□■

  *** チンギス・カンの国モンゴル ***

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テクノファ代表取締役の平林です。

今回は「マネジメントシステムには良い設計が必要」から外れて
モンゴルについてお話をしたいと思います。

■□■ なぜモンゴルか ■□■

2009年12月21日から25日までモンゴル、ウランバートルに業務出張
しました。

経済産業省からの委託で「IT資格試験」についてのセミナー講師を
行ってきました。

いまやITを押さえれば国も、組織も、更に個人までもがコントロール
できる時代となってしまいました。

日本はIT技術者に関する独自の国家資格システムを過去30年間
運営してきていますが、そのシステムをアジア各国に無償で提
供しようというプロジェクトが進んでいます。

この日本主導によるIT技術者資格制度は、2006年、フィリピン、
タイ、ベトナム、マレーシア、ミャンマー、モンゴル、日本の
7国で”ITPEC”という連合組織を立ち上げ推進が始まりました。

残念ながら、中国、インドといったIT大国は参加していませんが、
人材教育を含めた Capacity Building は途上国支援としては
有効な方法です。

■□■ 対日感情 ■□■

大相撲の人材がモンゴルから来ていることもあってか、対日感情は
すこぶる良いと感じました。もともと対日感情が良かったから、
日本へ人材が来ることになったのかもしれません。

日本大使館の話では、世界で人口対日本語学習者比率が一番
高い国がモンゴルだそうです。我々が接した若い人たちの多くが
初歩的な日本語を理解しました。

13世紀後半の鎌倉時代に日本にまで攻めてきた国というイメージと
対日感情の良さとが複雑に絡んだ思いで1週間を過ごしました。

■□■ 13世紀はチンギス・カンの時代  ■□■

国のあらゆるところにチンギス・カンの肖像が掲げられています。
空港、商店、街角。あるいはオフィスなど、何処に行っても目
につきます。

今回の「IT資格試験」セミナー実施機関の責任者執務室にも、
正面の壁に大きなチンギス・カンの肖像が飾られていました。

13世紀に100万人くらい(現在約300万人)の国であったチンギス・
カンは、それだけ傑出した人物であったといっていいのでしょう。

■□■ 皆をつなげる心の支柱 ■□■

かって日本がそうであったように、人々をつなげる理念、国づくりの
熱情、言わなくても理解できる共通のベースのある国がモンゴル
でした。

多分、チンギス・カンの教えを脈々と受けつぎ、雄大な自然の中で、
人と人との繋がりを大切にした国作りをしてきたのではないかと
想像します。

組織(人)を束ねるものがお金だけであるという社会はさびしい
ものです。お金は必要ですが、それほど多くはいらないものです。

若い国であるモンゴルへ行ってきてつくづくそう思いました。

■□■ 物づくりの国から金融博打の国へ ■□■

日本の国民総生産(GDP)はここ10年ほぼ一定で約500兆円です。

そのうち物の動きを示す貿易額は約160兆円ですが、為替の取引は
一日40兆円もあるのだそうです。なんと4日間の取引で1年分の
貿易額と同じです。

いいかえると年間の為替取引(250日*40=10000兆円)の2%以下で、
貿易額に必要な円はカバーできているのです。実需160兆円以外、
残りの98%の為替取引はお金のやり取りだけで稼ごうという、
ある意味博打といっていい取引なのです。

為替取引には課税すべきである(利益にではなく取引そのもの
に)という論も頷ける状況なのです。