2026年3月19日
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■□■ 平林良人の『つなげるツボ』Vol.549 ■□■
― ISOマネジメントシステムのテクノファ ―
*** ISO9001キーワード「内部監査」:AIエージェントの活用5 ***
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前号に引き続き、AIエージェントにX社(機械部品製造)設計部のISO内部品質監査を
行わさせる場合のポイントと課題について話を続けていきます。ここまでにAIに教え込
むナレッジを多く取り上げてきました。ナレッジには色々な種類がありますが、今までの
ものを整理すると次のようになります。
・全社の標準
・設計部の標準
・設計部門の記録
・設計部内部監査計画等
■□■ 内部監査判定“基準”となる標準 ■□■
設計部の内部品質監査を考えていますので、当然設計部の標準、記録、監査計画書等はナ
レッジになりますが、7つの文書は内部監査での“適合/不適合”の基準になりますのでい
くつかのポイントがあります。
1. 標準を「手順書」ではなく「要求事項集合体」として見直します。すでに標準に5W
1Hが含まれていれば特に見直すことは無いが、最新化されているかどうかは確認す
る必要があります。
AIが内部監査する際に、「どの項目の、どの要求に、どの記録が不適合か」を判断で
きる標準書、すなわち次のような要求事項が明確に記載されていることが必要です。
・目的(規定するもの/こと)
・入力(前工程の成果物)
・活動(実施事項、方法、手段、判断基準、スキル、設備、責任者など)
・出力(記録・帳票・成果物)
・責任者
・変更管理(改訂、例外処理)
などを明確にして保持させます。AIエージェントは、これにより、記録との突合が機
械的に可能になります。
2.プロセスマップ化(設計部標準書7つのつながり vol.548参照)
設計業務標準(KDR102)→製品企画(KDR103)→設計試作(KDR104)→設計審査
(KDR105)→量産試作(KTM101)→量産認定(KTM102)→市場調査(KPN101)
の7文書は、それぞれが単独には存在しえず、相互に関係し相互に影響しています。
AIには、工程間インターフェース(受け渡し条件)を明確化させ、「どの標準のどの
アウトプットが、どの標準のインプット要件になるか」を教えることがポイントです。
ここを曖昧にしておくと、AIエージェントの監査した結果は、「DR報告書は発行され
ているがある関係部門が受領していない」、「関係部門は受領したが自部門からのレビ
ューがない」などの“システム不具合”を見落としてしまいます。
■□■ ISO9001規格との関係 ■□■
ISOマネジメントシステムの内部監査ですので、ISO9001要求事項との対応付けが必要に
なります。
3.設計部への要求事項は、8.3(設計・開発)がメインですが、7.2力量、7.5文書化、
8.5製造・サービス提供の管理、9.1監視測定、10.2不適合と是正などとも関連が深い
です。AIに設計部の7文書を教え込む際に、標準書の規定項目がISOのどの箇条のど
の要求に対応するかタグ付けしておくと、設計部向けの内部監査チェックリストと矛
盾なく監査を進めることができます。
4.例外・裁量の扱いをルール化
ISO9001には、「該当する場合は」、「必要に応じて」、「考慮しなければならない」など
曖昧な言葉が混じっています。この影響から組織の標準書にも同様な曖昧な言葉がある
可能性があります。AIがこれをすべて“必須”扱いすると不適合が大量発生します。逆に
“裁量”扱いしすぎると見逃します。したがって、標準文書を見直すことで、曖昧な言葉
は使用しないようにすることが必要になります。
5.参考
設計部門7文書
・設計業務標準KDR 102
・製品企画標準KDR 103
・設計試作標準KDR 104
・設計審査標準KDR 105
・量産試作標準KTM 101
・量産認定標準KTM 102
・市場調査標準KPN 101
以上
