Monthly Archives: 12月 2018

平林良人の『つなげるツボ』Vol.179

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■□■ 平林良人の『つなげるツボ』Vol.179 ■□■    
*** 品質不祥事に思う ― 文書化3 ***
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ルールどおりに仕事をする前提として、手順書をはじめとする各種文書がきちんと
管理されていることが必要です。不祥事の背景には、文書の管理が悪く必要な時に
必要な文書が利用できないということもあると思います。
組織は文書管理の状態を定期的にチェックする必要があります。

定期的なチェックにはそれなりの資源がかかりますが、文書類には仕事の基本が
埋め込まれているのですから、それなりの工数をかける価値があります。

■□■ 組織が必要とする文書 ■□■

組織が文書管理についてチェックすべきポイントを上げてみると次のようなものに
なります。当然のことですが、組織にはそれなりの文書管理プロセスが明確に
なっているという前提があってのチェックポイントです。

1.文書管理プロセスの運用状態
2.文書管理プロセスに必要な資源及び情報
3.文書管理プロセスの監視、測定及び分析
4.監視、測定結果の評価
5.プロセスの改善
6.文書承認のポイント
7.管理文書のレビュー
8.レビュー及び改訂の手順
9.文書変更、改訂
10.文書変更の識別
11.旧版文書の利用可能性
12.要員の文書理解
13.文書識別の確実性
14.外部文書の識別
15.配布管理の確実性
16.文書の廃止処理
17.保管文書と廃止文書の区分
18.記録すべき文書の確認
19.要員の記録理解
20.記録の識別可能性
21.記録の検索容易性
22.記録の管理方法

■□■ チェックポイントの数 ■□■

文書管理ごときにどうしてこのように数の多いチェックポイントが必要になるのか、
不思議に思う方もいると思います。
これだけ重たいチェック項目を上げたのは次のような思惑があるからです。

文書の必要性、重要性は、今回のように品質不祥事が続く昨今だけでなく、いつの世にも
強く認識しておかなければならないことです。
とりわけルールを無視した仕事のやり方が、日常茶飯事に行われている現状に警鐘を鳴らす
ためには、繰返し文書管理の存在事由を組織内に徹底しなければならないと思います。

そのためには、ただ「文書通りに仕事をしましょう」と、年末の「火の用心の掛け声」
みたいに繰り返してみても効果はありません。
人は、他人から言われたり、聞かされたりするよりも自分で行動するほうが腑に落ちる、
あるいは納得することができます。
1~22のチェックポイントを出来るだけ多くに人に割り振って確認する機会を作ると
いいと思います。また、内部監査の特別確認事項に取り上げることもよいと思います。

では、ここから何号かに渡り上記1~22のチェックポイントについてご説明いたします。

■□■ 「1.文書管理プロセスの運用状態」 ■□■

文書は管理しなければならない、とISO9001:2015 箇条7.5でも要求しています。
「7.5.3.1 品質マネジメントシステム及びこの規格で要求されている文書化した情報は,
次の事項を確実にするために,管理しなければならない。」
組織において管理するということになりますと、何ごとにおいても次のことを決めて
おかなければならないと思います。

(1)管理責任者
(2)管理の手段・方法、手順
(3)管理の判断基準

これら一連の活動はプロセスと呼んでよく、決められた内容は組織において文書として
規定することが必要です。
ここにおいてチェックすることは、組織の文書管理規定(規程、基準、手順など
組織によって名称は異なる)に決められていることを一つずつ確認することです。
更に重要なことは、この確認する作業は出来るだけ多くの人に分担してもらうことです。

2.~22.までのチェックポイントも含め、チェックする人を広く組織の全部署から
選んで任命するとよいでしょう。

平林良人の『つなげるツボ』Vol.178

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■□■ 平林良人の『つなげるツボ』Vol.178 ■□■    
*** 品質不祥事に思う ― 文書化2 ***
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不祥事の背景には、経営者の責任から離れて、些細なことになりますが、
文書が多いということもあると思います。文書が多すぎると負の効果が
でてきます。

組織は本当に必要な文書だけを管理対象に限らないと、組織の中にどのような
SOP(Standard Operating Procedure:標準業務手順書)があるかが分からなく
なってしまいます。品質不祥事を起こした組織では、SOPに従わずいつのまにか
慣習になってしまっている方法で仕事をすることが許される状況になっていた
のではないかと想像します。

■□■ 組織が必要とする文書 ■□■

文書の数はできるだけ少ないことを勧めますが、マネジメントシステムに本当に
必要である文書(記録類は除く)を軽減化してしまうわけにはいきません。
組織は本当に必要とする文書は何かを考え、最小限必要な文書を管理対象にする
必要があります。文書が必要であるか、必要でないかを判断するには次のことを
明確にしておく必要があります。

1.決定責任者
2.必要とする基準
―文書の目的
 ・全社の規則、規律、基本的ルール、部門の役割分担
  定款、株主総会、取締役会規則、就業規則、業務分掌などを定めた基本規程
 ・部門のルール
  業務分掌を受けて、企画、営業、購買、設計、技術、品質、製造、サービス、
  出荷、アフターサービス、人事、総務、営繕、経理、IT、ロジステックなどの
  部門の業務規程
 ・SOP
  個人レベルの仕事の手順を決めたもの
―必要な期間
 ・無期限 管理文書にする。
 ・有期限 6か月、1年、3年など(1年未満だったら管理文書にせず、資料扱い
  として期限が過ぎたら廃棄する。)
―他の組織内文書との関係
 ・他の文書との重複を避けるチェックをする。
―外部文書との関係
 ・出典と管理期間を明確にする。

■□■ 組織によって異なる判断 ■□■

本当に必要な文書を見極めることは難しい仕事ではありますが、かならず判断
しなければなりません。承認されない文書が組織内で使用されているとすると、
それは責任者が判断を怠った結果であると考えられます。
ISOでは“マネジメントシステムの文書化の程度は、次の理由から組織によって
異なる”と説明しています。

a ) 組織の規模及び活動の種類
b ) プロセス及びそれらの相互関係の複雑さ
c ) 要員の力量

ここでは手順書に限って、具体的にどんな文書がその対象になるのか、筆者が
考える例を上げてみます。

1.品質作り込みの重要ポイントとなる業務の手順書
2.多くの要員が関係する業務の手順書
3.断続的(たとえば、年に数回、数年に1 回)行う業務の手順書
4.定例的SOP(検査標準、点検標準、チェック標準、サービス標準など)

■□■ 文書管理のIT化 ■□■

最近の文書管理は、PCシステムの中に組み込まれています。紙への印刷は
あくまでも補助的なものであって、主役はPCシステムとなってきています。
こうしたPCシステム化にともなって、文書管理の面からは注意点が出てきます。
それは、新規文書の発行あるいは文書の改訂などを多くの人が無視をするという
問題です。

社則など大きな変更がある場合は、発行責任者が説明会を主催して職制を通じて
全員に周知徹底をはかりますので、知らないでは通らなくなります。
しかし、手順書などの関係者が限られるような文書改訂の場合では、PC上だけの
周知徹底だとPCを見ない人が多く出てきます。文書改訂についてのPCによる
周知徹底の方法を考えておく必要があります。

方法の一つは、見ましたという確認メールを責任者宛て送ってもらうように
することでしょう。
その他、文書管理のIT化では以下のようなことも考慮するとよいと思います。

1.PCシステムによる文書管理責任者
2.バックアップとその基準
3.PCシステムの情報量
4.ファイルの改廃基準
5.記録媒体の持ち出し基準、機密保持
6.サイバーテロ、ウイルス

平林良人の『つなげるツボ』Vol.177

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■□■ 平林良人の『つなげるツボ』Vol.177 ■□■    
*** 品質不祥事に思う ― 文書化 ***
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不祥事の背景には、標準化してもその標準が守らないということがあります。
組織には守らなければならないルールがたくさんありますが、それらを守ら
なかった(守れなかった)ことが不祥事の要因にあります。

ルールは口約束ではすぐに消えてしまい、長い間多くの人に共有されません。
当然何らかの消えない方法で可視化しなければいけません。
ISO9001:2015は「文書化した情報」という新しい概念を持ち出して、紙に書かなくても、
電子情報でも、壁・床などに貼っても、或いは音でも現物でも、あらゆる方法で可視化
すればよいと要求事項を工夫しました。組織に自由度を持ってもらい、紙に書かれた
文書を要求されるのには抵抗があるというアレルギーを少なくしました。

■□■ ITによる文書管理 ■□■

今の時代、組織にいるわれわれには、ITは欠かせないツールになっています。
今日われわれの仕事は、メールをはじめとしたITツールに何らかの形で頼っており、
ITをいかに上手に使うかが組織の競争力の源泉の一つになっています。

ISOの要求である文書化した情報についても、多くの人にルールを徹底させようと
したら、社内でのITの活用は欠かせません。
いまや多くの企業は、組織の文書類を社内サーバーにダウンロードしておき、
社内LANによって従業員からアクセスしてもらい、関係者全員に標準書類を周知徹底
するようになっています。

かって、一般的に起こる文書管理上の問題は、文書の紛失、廃止文書が使用場所に
置いてあって廃止文書と認識されない、承認者が不明、古いままで適切な見直しが
されない等でした。
文書管理をIT化することで、かってのような問題はなくなったかというと、今日でも
同じ問題が起きています。

■□■ 文書数の目安 ■□■

文書の種類、数などが少なくなれば、これらの問題は解決しやすくなります。
問題の多くは、文書の数及び文書を変更しなければならないことから生じます。
文書の変更は、経営環境の変化スピードが速いか、遅いかで随分と変更頻度に違いが
出てきます。

まずは文書の種類、数についてです。随分と乱暴な話だと思われるかもしれませんが、
文書の数については目安があります。文書は組織規定である一次文書、部門規定である
二次文書、業務要領である三次文書に大別されますが、それら総てをひっくるめての
目安です。何を根拠にそう言えるのか、ですが私がイギリスに駐在していた時の経験
からいって次のようなものです。

・小企業 250種類以下
・中企業 250~1,000種類
・大企業 1,000~種類以上

これはBSIが1990年代に私にコンサルしたときの数字ですので、この数字は目安で
あって、企業の製品・サービス、分野、規模、展開地域、適用範囲によってばらつきます。
欧米は契約社会ですので、基本的にすべての約束事、ルールは文書にします。
そのような文化の国がいう文書数の目安は、日本人の目から見たらMAXなものだと考えて
間違いないと思います。

■□■ 変更の文書の数 ■□■

起業当時は少なかった文書が、10年、20年経つうちにその数がどんどん増えていくのは
私自身が経験していることです。文書量が増える過程を見ていると、置かれている事業領域に
よって増える要因が異なることが分かります。
経営環境の変化スピードの速度により文書数の増加スピードが変わります。
変化スピードが遅ければあまり増えません。小企業ではスピードが余り早くないのですが、
中企業、大企業になるにしたがって変化スピードは速くなり、文書数が1,000を超えるように
なると、文書管理システムを確実に維持するために1名の文書管理者が必要になってきます。

■□■ 文書数が1,000を超えると ■□■

文書数が1,000を超えると文書管理者には難題が持ち上がります。初期の段階では管理しやす
かった文書は、次から次へと文書がシステムに追加されるにつれて、管理が難しくなります。
まず新たに制定された文書と従来からある文書の重複の管理が難しくなります。
旧文書と新文書の重複の管理は文書管理者には無理で、文書発行責任者が追わなければならない
仕事です。新しい文書を追加するだけでは適切な文書管理とはいえず、旧文書との重複を管理
するという課題を管理しなければなりません。

■□■ 文書管理者の仕事 ■□■

文書管理者は、次のようなことに関して適切に応えなければなりません。

1.新しい文書は文書体系のどこに位置づけるか。
2.旧文書との重複はないか。
3.廃止文書はあるか。
4.文書発行責任部署はどこか。
5.配布先はどこか。
6.配布先に新文書が発行されたことはどのように知らせるか。
7.配布先に親文書を読ませる方法はどのようなものか。

平林良人の『つなげるツボ』Vol.176

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■□■ 平林良人の『つなげるツボ』Vol.176 ■□■    
*** 品質不祥事に思うー標準化について5 ***
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標準化はあらゆるところで適用されるべき、極めて汎用的な品質管理の
ツールです。製品・サービスの質に始まり、仕事、組織、整理整頓、活動、
分析、評価など各種領域で活用可能なものです。

いま世間を騒がせているデータ改ざんなどの品質不祥事も、標準化の概念が
浸透していればこうまで酷くはならなかったのではないかと思います。
Bメーカーを例にして、標準を守って業務を遂行することを考えたいと思います。

■□■ 品質保証体系図の作成 ■□■

標準化のツールで外せないものが品質保証体系図です。
組織の品質保証がどのようなプロセスで、どの部署の責任下で行われるのかを
「顧客との契約から顧客に納入するまでの全体」を網羅してチャートとした
ものです。

品質保証体系図を制定する際に重要なことは、チャート縦の流れの各ステップに
おいて、一つのステップから次のステップに移行する際の判定基準を明確にして
おくことです。

部署間の責任の所在をあいまいにしておくと、組織的な活動が適切に進みません。
次ステップに進んでもよいかを決める移行判定者を決めておくことが大切です。
この体系図を作成することの利点は、次のようなものです。

1.各部署の役割を明らかにすることによって、組織的な活動を効率よく、
 かつ効果的に進めることができる。
2.トラブルが発生したとき、トラブルの責任部署及び関係する部署が明らかに
 なること から、迅速な対応が可能となる。
3.内部監査を実施する時の案内として使える。
4.取引先やユーザーに対して自社の品質保証活動の進め方や特徴をわかりやすく
 明示することができる。
5.部署間の役割、認識に問題が生じた時の整理に役立てることができる。

■□■ プロセスアプローチ ■□■

プロセスアプローチはISO9001:2015で強化された概念ですが、標準化を
推進するのに重要な概念です。

プロセスアプローチは日本で展開されてきた「品質は工程で作り込む」という
考えに立っています。TQMでいう工程管理に通じる概念でもあり、プロセスを
明確にしてコントロールする要素を可視化して工程(プロセス)を適切に管理
しようとするツールです。
製造業に特化したものと考えがちですが、決してそんなことはなくサービス業の
標準化にも使えるツールです。

不良品や不良サービスをつくらないためには、製品・サービスの品質保証に関係
する総てのプロセス(企画、営業、研究、開発、設計、製造、技術、購買、品質保証、
検査、出荷、人事、総務、情報、輸送、アフターサービスなど)、ISO9001では
必要なプロセスと言っていますが、それらを管理しようとするものです。

日本では、40年前ころ水野滋博士(東京工業大学1989年故人)が唱えた
体系(システム)的思考が同様な考えです。
「部門間の約束事を決めるのが“しくみ”、すなわちシステムである。(中略)営業部門の
業務分掌に、ユーザーの要求品質の収集・伝達という営業としての重要な品質保証業務を
明確に記載しておくことと、営業部門から設計部門への伝達方法を定めておかなければ
ならない。このような部門間の連携と協力についての約束事を決めたものが体系(システム)
である。」 

■□■ プロセスマネジメント ■□■

プロセスマネジメントも標準化をベースに考えられている管理手法です。
ハーバード大学のマイケル・ポーターは、30年前ころ “部門間の連携と協力についての
約束事” のことを、全体最適(オプティマイゼイション)という概念で説明し、
プロセスにおいては部分最適(サブオプティマイゼイション)を超えて全体最適を
組織全体に適用しなければならないと説いています。

ミシガン大学のラムラー博士とブラーシュ博士は、1990年発行の「Improving Performance」
において、この全体最適を組織においてどのように実現すべきであるのかを説明しています。

ラムラーとブラーシュによると、総ての組織は、

1.組織レベル 
2.プロセスレベル 
3.業務レベル

の3つの階層に分けて考察するのがよいとしています。
そして、この3つの階層ごとに、それぞれ1目標、2計画、3マネジメントの3つを決めます。

従って、全部で9つが決められますが、これらをどのように管理するのかを詳しく説いています。
プロセスマネジメントを論じていると、最後にぶつかるのは評価の問題です。
評価指標が明確でないプロセスマネジメントは香りのしないコーヒーみたいなものです。
評価指標の問題は、プロセスフローにおけるプロセス移行の責任権限の問題、ひいては
コミュニケーション(打診、依頼、受理、委託、受託、協調、命令、確認、承認等)の問題
につながっていきます。

標準化は階層間、例えば組織レベルとプロセスレベル、あるいはプロセスレベルと業務レベル
との間のコミュニケーションの問題の行き違いをできるだけ少なくすることが肝要です。
すべてのことを標準化することはできません。
要点を単純化、単一化し、残った部分は部署間、階層間のコミュニケーションによって
隙間を埋めることが重要です。

平林良人の『つなげるツボ』Vol.175

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■□■ 平林良人の『つなげるツボ』Vol.175 ■□■    
*** 品質不祥事に思うー標準化について4 ***
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どんなものも時間の経過とともに朽ちていくと言います。
権力をはじめ、組織のガバナンス、コントロールなどは時間の経過とともに
必ず劣化していきます。
昨今の名だたる大手企業によるデータ改ざんなどの品質不祥事もそのような
劣化が多くの組織で起きていたのでしょう。

しかし、この流れは早く止めなければなりません。
もう一度品質保証、品質管理についての基本に立ち返りたく、最初は標準化
ということについて考えたいと思います。

今回はあるBメーカーの例で、標準を守ってルールどおり業務を遂行することを
考えたいと思います。

■□■ 標準類を読み風土を保つ ■□■

組織が比較的新しいうちは、トップのリーダーシップのもと「決められたことは
必ず守る」ことが徹底されていますが、年月を経るにつれて徐々に徹底は風化
していきます。10年、20年経ち、人が変り、製品が変り、設備が変っていくと、
いつの間にか「決めたことを守る」ことが保てなくなります。

組織風土の劣化と一口でいうのは簡単ですが、その原因はいろいろ多岐にわたり
ます。もっとも本質的な原因を上げるとすれば、「慣れ」に伴う「慢心」であると
思います。慢心しないようにする為には、繰り返し教育するしかありません。

次の例は、Bメーカーの従業員が入社してから退社するまで、いつ「標準書」を
読むべきかを規定した例です。

・入社時、新人教育の中で、組織全体の理解のため
・配属時、OJT指導の中で、自分の業務理解のため
・業務遂行時、正しい業務実施のため
・問題発生時、部署内、部署間で問題解決のため
・昇格時、責任権限の確認、正しい業務実施のため
・手順書変更時、最新の状態の維持
・内部監査時、監査員として監査実施のため
・内部監査時、被監査者として事前準備のため

■□■ 標準を実行する活動 ■□■

標準通り実行するには、標準通りに仕事をしたことを記録に残るようにする
などの工夫が必要になります。
Bメーカーでは、工夫の一つとして「QC工程表」を作成しています。

QC工程表は、製造・サービスのプロセスを明確にし、そのプロセスを標準化
していくことにより作成しますが、通常次のような手順で作成します。

1.工程フローチャートの作成
2.管理特性の決定
3.特性要因図の作成
4.工程に関係する人員、組織とその業務内容
5.前後工程との関係の明確化
6.工程に関係する技術標準、作業標準の整備
7.QC工程表の作成

QC工程表作成には、従来からあるいろいろな技術的な実績、新たに必要となる
工程解析の結果等が活用されます。

1の工程フローチャートの作成では、例えばハードな物の製造に当たっては、
原料、材料、副原料、部品、工程中の半製品、製品の流れを示す他に、工程中の
管理特性、測定個所、検査個所等を記すとよいでしょう。

サービス提供でも考え方はまったく同じです。
例えば、教育訓練サービスでは、教材、講師、設備、音響、映像、食事提供の流れを
示す他に、教育訓練中の管理特性、モニタリングタイミング等を記すとよいでしょう。

■□■ QC工程表の作成と記録 ■□■

QC工程表は、1の工程フローチャートを根幹として作成されますが、製品・サービス品質
が設計仕様に適合しているかを確認するために、材料・部品の供給から完成品として出荷
されるまでのすべての工程を図示し、各工程の管理項目、管理方法等を一目瞭然にわかる
ように一覧表に表現します。

QC工程表に盛り込まれるべき主な項目は、次のようなものです。

1.工程フローチャート
2.部品名
3.管理項目
4.管理水準
5.管理帳票(管理図、チェックシートなど)
6.データの採取や記録採取や記録担当者
7.データサンプリング方法
8.設備や測定治具
9.管理状態の判定方法
10.異常時の処置ルール、処置責任者

そして肝心なことは、「行ったことを記録する」仕組みを入れ込んでおくことです。
QC工程表に記録欄を作り実施した結果を記録するようにします。