Monthly Archives: 2月 2019

平林良人の『つなげるツボ』Vol.195

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■□■ 平林良人の『つなげるツボ』Vol.195 ■□■    
*** 品質不祥事に思う ― 品質管理教育6 ***
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多くの組織の手順書が古いままになっています。
手順書にどこまで詳しく書くかは、組織の日頃の教育訓練により異なります。

日常しっかりとOJTを含め教育をしている組織と、そうでない組織とでは
手順書の詳細さが異なります。
手順書を作っただけでは、それに従った作業が行なわれるわけではありません。
監督者は、作業者にその内容を理解させ、必要ならば追加訓練を行なう必要が
あります。

■□■ 日常しっかりと教育している組織 ■□■

日常しっかりとOJTを含め教育をしている組織の手順書は、最低限必要なことを
中心に書かれています。
手順書を作る前に、該当プロセスを分析し、手順書作成後に教育、訓練、動機付け
を適切に行っているからです。

一方、作業者の定着が悪い組織とか、日常の教育訓練を事情によりしっかりと
実施できない組織では、教育によるバックアップが期待できませんので、
一つひとつの作業行為を詳細に書く手順書を作成せざるをえません。

通常と異なる作業を強いられるような場合には、応用動作ができないことを
承知の上で運用する必要があります。

■□■ 手順書の教育 ■□■

作業者が手順書の内容を「よく理解していない」のは教育訓練が弱い現れです。
知識の伝達は比較的容易ですが、できるようになることが整理されていない、
カンコツが十分に伝えられない、教えっぱなしでフォローしていないことが
弱いといわれる所以です。

一時雇用の作業者を含め、どのような時にどのような教育訓練をどのような方法で
行うかを計画し、必要な人に必要な教育訓練が抜けなく行われる仕組みを確立する
必要があります。

他方、教育訓練の最初に、作業者に最低限理解してもらわなければならならない事は、
当たり前と思わず徹底しなければなりません。

・作業の目的
・作業品質の達成度合い
・要求に適合していない場合の調整方法
・作業結果が後工程及び完成品の品質に与える影響

■□■ 手順書のとおりにできない ■□■

作業者が手順書どおり実施できないのは、知識はあっても技能が不足している場合が
多いようです。このような技能が未熟だと判断される場合には、手順書に基づいた
作業訓練を包括的、計画的に行う必要があります。

作業訓練の狙いは習熟してもらうことにありますので、作業訓練の仕方を工夫しないと
成果に結びつきません。
目標とする習得技能レベル、その評価方法を明確にした上で、一人ひとりの技能の
現状を評価し、それに基づく訓練計画を策定して訓練に臨む必要があります。

大企業のようにロボット化されていない、中小企業の溶接作業、半田付け作業、
塗装作業などの作業は、手順書にしようとしても作業ポイントが感覚、感触による
ところが多いので表現できない所が多くあります。

手順書通りやっても不適合品が発生する場合がありますが、このような場合には、
不適合品の少ない作業者と多い作業者について、それらのやり方の差異を細かく
分析することが大切です。

■□■ 作業者の参加 ■□■

手順書をスタッフが作り、作業者に盲目的に守らせることは、人間疎外に
つながります。手順書を守らせるためには、監督者に手順書の作成に参加させる
ことが必要です。
場合によっては作業者も一緒になって守るべき手順とそれを可能にする方法を
決めます。

また、作業結果を作業者にフィードバックし、手順書に反映させることも重要です。
作業結果を客観的な基準から評価することで、作業の目標が明確になり、
技能向上への励みになります。

時の経過とともに顧客からの要求は変化し、それに対応するためには手順書を
改訂し、改訂した手順書に沿って作業を行なうという習慣が必要です。

■□■ 手順書を守らない ■□■

手順書を守るように指導、指示するだけではルールどおりの仕事をする組織になりません。
手順書があるにもかかわらず、日常手順書通り作業していないことが黙認される職場では、
「標準に基づく作業」を呼びかけても現場はついてこないでしょう。

最新のものに改訂せず、手順書と異なる作業を容認している組織では、手順書の軽視が
当たり前になってしまいます。
監督者が作業を定期的に観察し、問題がある場合には手順書の見直しか、作業の仕方を
変える処置を取ることが大切です。

また、手順書を守らなかったために発生した過去のトラブル事例を用いて、手順書を
守ることの重要性、手順書を守ることが品質の確保につながること、引いては会社の、
そして自分達の利益につながることを理解してもらうことが大切です。

平林良人の『つなげるツボ』Vol.194

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■□■ 平林良人の『つなげるツボ』Vol.194 ■□■    
*** 品質不祥事に思う ― 品質管理教育5 ***
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昨今の品質不祥事には幾つかのパターンがあります。

・品質データ改ざん
・無資格検査
・法令不順守
・ガバナンス欠如
・財務不正

私が一番深刻に捉えているのが品質データ改ざんです。

この深層を追っていくと日常管理がきちんと行われていないという問題、
そもそもスペックどおりの製品が作れないという問題に突き当たります。

■□■ 日常管理とは ■□■

文字通り日常の仕事を(的確に正しく)管理するということですが、最近の
不祥事の多くはこの管理がきちんとされていないことから起きているようです。

日常管理の概念は非常にシンプルです。
守るべき仕事のルールを決める、決められたルールを全員で守るというものです。

■□■ スペック通りの製品を作れない ■□■

こちらは複雑な問題です。顧客の期待通りの製品を作るには4Mを管理
しなければなりません。
人(man)、機械(machine)、原材料(material)、方法(material)の
4つの品質を管理しなければ従来と同じ製品は作れません。

当初の設計ではスペック通りに作れるように実現手段を決めていたはずですが、
もし設計時点で設定した当初の4M品質が時間の経過とともに変わってしまったら、
設計を見直さなければなりません。
料理のレシピと同じで、料理に使うニンジンや大根の味が変わってしまったら、
レシピを変えなければ前と同じ美味しい料理を作れないと同じ理屈です。

■□■ルールどおり行った?■□■

日常管理の話に戻ります。レシピの話は、次のテーマにしたいと思います。
問題を起こしたらまず担当者はルールどおりに行ったのか、そうでは
なかったと多くの人が思います。

本人はルール通り行ったと思っていても、それは本人の思い違いで、
周りから見ると明らかに勘違いだったということがあります。
周りからは明らかに違うことをしていると思っても、肝心の本人は
正しいことを行っているということが脳内で起きています。
これは、錯誤という難しい現象が要因になっているので、解決には
分析力と時間が掛かります。

一方、同じルール逸脱でも近道をするというほうは、解決は単純です。
難しいのは錯誤が要因になっているケースです。
本人が近道をしているというルール逸脱の意識があるのと、全くないのとでは、
起きた時の対処の仕方が異なってくることに留意が必要です。

■□■ ルールが現状に合っている? ■□■

もう一つ、要因として考えなければならないことは、ルールそのものが
最新化されていないということです。
ルールと実行結果の食い違いが問題だとするならば、このルールと実行の
どちらかに問題を起こした原因があると考えるのが普通です。

ここでいうルールとは作業手順書などの第一線の現場で使用する標準を
意味していますが、作業手順書が5年間(あるいは10年間)変わって
いなかったら、その手順書では品質の良い製品ができないと原則疑うことが
よいと思います。

■□■ SDCAのサイクル ■□■

作業標準書があるのにその通り実施しても良品ができないということは
現場では時々起ります。

私は新人の頃、1年間の工場実習を体験しました。
金属部品の加工機械を10種類くらい体験するため、いろいろな職場を
1か月くらい回りました。
大きなマシニングセンター機械から、小さな卓上旋盤機械まで多くの専用機の
運転を実習しました。

例えば、卓上旋盤では、炭素鋼棒をチャックという可変装置に固定して高速で
回転させ、超鋼と呼ばれる刃工具を当てることで所要な径の大きさにします。
その作業には、作業要領書が備え付けられており、そこに書かれたステップどおりに
仕事をしなければなりません。

ところがその作業手順書には、鉛筆、ボールペンなどでの書き込みが何か所かにあり、
その書き込みの適切さが分かりません。
書き込みがあるところは指導者に聞いて仕事を進めましたが、中には書き込みも
無いのに、加工が終わってから、この点は今は変わっているからこのようにしなさい、
と指導されました。

■□■ 熟練者は書かれていなくても・・・ ■□■

そんなことではいい仕事ができないのではないか、と実習生の身で熟練作業者に
聞いてみると、そんなことは皆知っていることだから実際は問題にならないという
返事が返ってきました。

経緯を知り仲間内では常識になっていることがいくつかあるようでした。

平林良人の『つなげるツボ』Vol.193

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■□■ 平林良人の『つなげるツボ』Vol.193 ■□■    
*** 品質不祥事に思う ― 品質管理教育4 ***
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品質管理教育は、昨今の品質不祥事に対する短期特効薬にはなりませんが、
今後の日本国としての地歩を国際的に固めるためには非常に重要なもので
あると思います。

いま国会では、2015年に官邸が毎月勤労調査統計の信頼性に関して、
何らかの事実を知っていたのではないかと議論されていますが、その議論よりも、
早く実施すべき行動は何かを議論し、実施すべき一手に着手し、日本国再生への
軌道に入るべきだと思います。

■□■ 一人ひとり違う教育 ■□■

品質管理教育は、本来、一人ひとりの能力に基づいて能力向上計画を作成して
運用することが望ましいものです。
一人ひとりの能力について現状を評価し、今後必要とされる能力を付与する
にはどんな教育訓練が必要であるかを計画し、それに沿って強化していくことが
組織の能力を高めることになります。

中長期にわたって、教育訓練計画の実施について、必要な能力をもった人材が
計画どおり育成出来ているか、そしてその人材をうまく活用できているかを
継続的にチェックしていくことが大切です。

■□■ 中長期事業戦略に基づいた人材育成 ■□■

組織の人々が持っていなければならない能力は、階層と分野によって異なり、
一人ひとりが効果的に業務を遂行していく上で必要な固有技術と管理技術を
会得することは、組織能力の最大発揮の観点から大変重要なことです。

組織は中長期事業戦略に基づいた人材育成の全体像を持っていなければ
なりません。
その計画はすべての従業員に明確にされ、従業員から見て自分が今後
どんな力量を持っているべきかが分かるようにすることが必要です。

■□■階層別、分野別の教育■□■

階層別、分野別の品質管理教育とは、中長期事業戦略に基づいた人材
育成の全体像を展開したもので、品質管理の能力を高めるための教育
カリキュラムが明確になっており、部門ごとに運用管理することが
できるレベルにまで具体化されているものをいいます。

役員、管理者、従業員、そして協力会社などに品質管理教育をすることを
考えると、階層別にカリキュラムを考えなければなりません。
また、事務、設計、技術、製造、営繕、ITなどの品質管理教育をすることを
考えると、分野別にカリキュラムを考えなければなりません。

さらに、教育訓練の方法についても、集合教育、個別教育、派遣教育、
職場OJT教青、自己啓発、e-ラーニングなどによって、必要となるカリキュラムを
考えなければなりません。

階層が上になるにつれて、品質マネジメントシステムにかかわる能力を
備えること及びリーダーシップに関するテーマが高まります。
それに対して、現場第一線では、品質問題への対応、改善にかかわるプロセス分析、
プロセスアプローチの実践的な知識と活用へのテーマが増します。

■□■具体的カリキュラム例■□■

組織の品質管理教育の具体的なカリキュラム例について述べてみたいと思います。
まず階層別のテーマ(カリキュラム)例です。

役員に対しては、
・取締役、執行役などによるグループディスカッション
・TQM 推進の重要課題への取り組み
・方針管理
・新製品・新サービス開発
・プロセス保証
・品質ステアリングコミッティのリーダーシップ
・小集団改善発表会への参画とコミットメント
・品質管理教育のリーダーシップ
など。

管理者層対しては,
・TQM のフレームワーク
・管理者による診断
・方針管理の実践
・日常管理の運用
・従業員との面談
・小集団改善活動の指導と場つくり
・担当する機能別管理や部門別管理
など。

従業員に対しては、
・品質管理教育で学んだ改善の実施
・標準書の理解
・プロセス分析とプロセスアプローチ
・管理項目と管理水準
・通常と異常
・手法の職場での実践
・応急処置と是正処置
・成果発表
・協力会社(下請負会社)に対する改善活動の指導
など。

つぎは、分野別のテーマ(カリキュラム)例です。
習得して活用すべき手法は、所属する分野によって変わります。

企画、設計、技術部門に対しては、
・多変量解析、質機能展開、故障解析、 FMEAなどの信頼性に関する手法など

研究開部門に対しては
・タグチメソッド、実験計画法などの統計的手法など

工場、営業部門、購買部門、事務系部門にたいしては
・QC七つ道具、新QC 七つ道具など

平林良人の『つなげるツボ』Vol.192

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■□■ 平林良人の『つなげるツボ』Vol.192 ■□■    
*** 品質不祥事に思う ― 品質管理教育3 ***
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昨今の品質不祥事に鑑みて、小中学校時代からの品質管理教育が大切である
という話をさせていただきましたが、実はこのことについて随分前から
その重要性に気づき実践している学会があります。

(一社)日本品質管理学会(JSQC :the Japanese Society for Quality Control)
では、品質管理の考え方を小中学校に導入することが必要であるとして、
その取組みを5、6年前から行っています。

■□■ 新学習指導要領 ■□■

平成23年度から導入された、新学習指導要領では、「”生きる力”をはぐくむ」
ことが理念としてうたわれています。

この”生きる力”は、その一つして掲げられている 「社会がいかに変化しようと、
自ら課題を見つけ、主体的に判断し、行動し、よりよく問題を解決することが
できる」力であるとされ、実社会で問題解決を図れることとされています。

JSQCでは、この新学習指導要領の考え方に合せて品質管理、統計的考え方を
教えるカリキュラム作りに協力しています。

■□■TQE(Total Quality Education)特別委員会■□■

JSQCでは、品質管理、統計的考え方を教えるために特別委員会として
TQE(Total Quality Education)を立ち上げました。

TQEでは、実践的な問題解決能力を育てるために、できるだけ易しく統計を
理解する取組みを行い、一つの課題の流れに沿ってデータを分析する実践的な力
を身につけるために「QC ストーリー」という体系化された統計の手法を
小中学校に導入する活動をしています。

取組みの第一段階は、小中学校の先生たちが品質管理、統計的考え方を教える
マニュアル作りをしました。
また、QC 的問題解決手法の導入の支援や副教材の作成、小中学校の先生たち
との連携、教育フォーラム活動などを行ってきています。

■□■ 受験目標でない教育 ■□■

小中学校の教育は、大学受験の影響からか受験を目標とする教育が、特に都市部で
急速にもてはやされてきています。
詰め込み教育は、暗記力が中心になるため、考えることをしない子度が増え、
試験点数のみによって評価することから競争意識が刺激する教育になっていると
いわれています。

受験勉強の低年齢化により、従来よりも自分で考えることをしない子供が増える
ことは将来に禍根を残すことになると思います。

■□■ 「テレビに出よう」 ■□■

これは「QC ストーリー」を取り入れた授業テーマの例です。
品質管理とQC ストーリーを学校教育に取り入れると聞いても、明確なイメージが
浮かんできませんが、現在欧米で盛んに行われている小中学校教育ではこのような
テーマに対して実践を考える教育が行われています。

実は、1990 年代、日本から品質管理をQC ストーリーを使って理解させようとする
教育が海外に広まっていきました。
そして、2018年現在、アメリカ、カナダ、イギリス、ニュージーランドなどでは、
この問題解決に関する教育が体系的に行なわれるようになっています。

本家の日本を超えて、はるかに統一的に、網羅的に小中学校で品質管理の授業が
行われるという逆転現象が起きています。

■□■ 日本の輝きは過去の話 ■□■

日本は1960 年頃から80 年代にかけて、工業製品の品質管理で世界的に大躍進を
しました。
それを支えたものが日本的品質管理(TQC→ TQM:Total Quality Management)
でした。

日本の品質管理のベースとなったこのTQMはその後じわじわと欧米に広がり、
1990年を過ぎた頃には、欧米企業、大学へと普及し、さらに長期的な人材育成を
目指して小中学校教育へと導入がされていきました。

最近では、中国をはじめとする開発途上国でもTQMへの取組みは目覚ましく、
もしかすると日本が一番スピードで遅れているという状況になっています。

 ■□■ 日本の輝きは過去の話 ■□■

TQEの授業「TVに出よう」は、中学1年生向けの教材ですが、高視聴率を取る
TV 番組を考えるというものです。
まず、クラス全員が一定期間内にどのTV 番組を見たかを調べます。そのデータを
ジャンルや時間帯別にパレート図にし、ターゲットとなるジャンル、時間帯を
決定します。

そこから視聴者情報(年齢、性別、職業など)の特性要因図を作ります。
小中学生の各レベルに合わせて、わかりやすく興味の持てるように工夫されて
います。

日本品質管理学会TQE特別委員会の鈴木和幸先生は、「企業内での長期的な人材
教育が難しくなってきた現在、今後科学技術の面で世界の先頭に立つには、
子供の頃からQC 的問題解決法を学んでいく必要がある」と述べています。

こうした授業を受けた子供が10数年後公務員になり、正しい統計の考え方、
品質管理の取組み理解につながっていくことが、将来の日本の国に大きく
貢献することになるのではないかと思います。

平林良人の『つなげるツボ』Vol.191

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■□■ 平林良人の『つなげるツボ』Vol.191 ■□■    
*** 品質不祥事に思う ― 品質管理教育2 ***
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前号では、毎月勤労調査統計の品質不祥事に関連して、小学校での教育に
触れました。小学校で教えてもらいたい品質管理についての基本教育は、
因果関係とバラツキ概念の2つであるとも記しました。

基幹統計56の内、毎月勤労調査の他22もの基幹統計に今回似たような
問題があるという状態に、国は応急処置をとると思いますが、忘れては
ならないのは今後の是正処置です。

■□■ 風が吹けば桶屋がもうかる ■□■

この珍妙な句を聞いたのは何時の事だったか忘れてしまいました。
小学校、中学校の頃でしょうか?
この物語が出てくるのは、江戸時代後期の戯作者十返舎一九の
「東海道中膝栗毛」(とうかいどうちゅうひざくりげ)の中です。

東海道旅行(膝とは自分の足、栗毛とは馬、つまり徒歩)をする、
弥次郎兵衛さんと喜多八さん(つづけて弥次喜多さん)の東海道中の物語です。

弥次喜多さんが旅人から聞いた話として、風が吹くと砂が舞う、砂が舞うと
目を傷め盲人が増える、盲人が増えると三味線が売れる(当時は盲人が
三味線を弾いた)、三味線が増えると猫が減る(猫の皮が三味線の原料)、
猫が減るとネズミが増える、ネズミが増えると桶をかじる、桶屋(棺桶)が
もうかる、というような「こじ付けること」を面白おかしく語っています。

このこじ付けから、世の中すべてのことは因果関係で結ばれている、と
いうことを感じる人が多いと思います。

■□■ “の”の字の数 ■□■

これは会社に入ってから知りました。
新入社員教育の場で講師からA4の紙を配られました。その紙には横書きで
びっしりと何かの文章が書かれていました。

日本語の解釈でも試されるのかと一瞬思いましたが、講師からは
「この一枚の紙に書かれている“の”の字を2分間で数えなさい」と言われました。
私も含めて30人くらいの新入社員は、一斉に“の”の字を数え始めました。
1分半くらいで大多数の人は数え終わりました。
講師は、前の人から順にその数えた結果を聞き、黒板にグラフにし始めました。
グラフは、30を中心に前後3つくらいの違いの正規分布になりました。

■□■ 2つの体験の意味すること ■□■

最初の話は、こじ付けすることの面白さを弥次喜多道中話で示しているのですが、
原因と結果という2つの要素の結び付けを子供心に植え付けるのに役立っていると
経験的に思います。

会社人になってから、特性要因図を知ることになりますが、この「風が吹けば
桶屋がもうかる」という慣用句は時々忘れた頃に思い出します。

2つ目の“の”の字は実際にやってみるとよく分かると思います。
時間が限られているというのがミソですが、2回、3回やるとその都度に結果が違うと
いうこともあって、如何に自分の作業がバラツクのかということを実感することに
なります。

■□■ 統計は品質管理の核心 ■□■

今回の統計の品質不祥事を聞くにつけ、日本の中枢にいて重要な国の針路を誤らせる
ような仕事がどうして行なわれてしまったのか、しっかりと解明されなければならないと
思います。

ISO9001:2015箇条10 改善には、次のようにあります。

10.2.1 苦情から生じたものを含め,不適合が発生した場合,組織は,次の事項を
行わなければならない。

a) その不適合に対処し,該当する場合には,必ず,次の事項を行う。
1) その不適合を管理し,修正するための処置をとる。
2) その不適合によって起こった結果に対処する。

b) その不適合が再発又は他のところで発生しないようにするため,
次の事項によって,その不適合の原因を除去するための処置をとる必要性を評価する。
1) その不適合をレビューし,分析する。
2) その不適合の原因を明確にする。
3) 類似の不適合の有無,又はそれが発生する可能性を明確にする。

c) 必要な処置を実施する。

d) とった全ての是正処置の有効性をレビューする。

e) 必要な場合には,計画の策定段階で決定したリスク及び機会を更
新する。

f) 必要な場合には,品質マネジメントシステムの変更を行う。
是正処置は,検出された不適合のもつ影響に応じたものでなければならない。

10.2.2 組織は,次に示す事項の証拠として,文書化した情報を保持しなければならない。
a) 不適合の性質及びそれに対してとったあらゆる処置
b) 是正処置の結果