JIS法改正に向けて― 標準化戦略7 | 平林良人の『つなげるツボ』

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■□■ 平林良人の『つなげるツボ』Vol.205 ■□■    
*** JIS法改正に向けて ― 標準化戦略7 ***
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JIS法改正に向けて、標準化について話をしてきましたが、改めて
標準化について考えてみたいと思います。

標準化とは、“自由に放置すれば、多様化、複雑化、無秩序化する事柄を
少数化、単純化、秩序化すること” をいいます。
<JISハンドブック2006(日本規格協会)>

■□■ 無秩序化する ■□■

自由に任せて何もしなければ、多様化、複雑化、無秩序になってしまう
事柄について、秩序が保たれる状態を実現するために、関係する誰もが
共通して使用できる一定の基準を定めることを標準化といいます。

無秩序化する例としては交通ルールがあります。
日本では車は左側を走りますが、アメリカでは右側を走ります。
日本とアメリカではルールが違いますが、それぞれの国内では左側
あるいは右側どちらかに標準化されていますので、秩序が保たれる
わけです。

ちなみにイギリスは日本と同じ左側通行ですので、日本からイギリスへ
行って車を運転するのはずいぶん楽でした。

■□■ 国ごとに異なる ■□■

車の通行ルールは国ごと異なっても何とかなりますが、交通標識が
国ごと違ったら相当混乱します。通行ルールは1つの決め事だけですが、
交通標識は沢山あるからです。
これは国を超えての標準化の必要性を意味します。

交通標識に限らず、製品やサービスの品質、性能、試験・評価方法などは
グローバル社会においては必須なことです。
ここには、国内標準、国際標準の違い、どちらを選択するのかの
基準が示されています。
その基準は、安全性、互換性、利便性の観点から統一する必要性の
程度である、と理解されています。

■□■ 組織ごと異なる ■□■

では企業の単位で考えてみましょう。
日本は法治国家であり、2、3000件に及ぶといわれる法律があります。
日本企業はこれらの法律を遵守しなければなりません。

法律さえ守っていれば何をしてもよいかというと、これまた社会の常識、
明文化されていない慣習などがあり、かつ業界の自主ルールなどがあり、
企業の標準化は多くの規制を考慮して進める必要があります。

■□■ 企業内標準化のすすめ ■□■

国際標準、国内標準と違って、企業内標準は規制を守ってさえいれば、
組織の判断、基準で作ることができます。
その基準となるのは、利便性あるいはメリットの程度です。

多様化、複雑化、無秩序になってしまう事柄について、秩序が保たれる
ようにすることでどんなメリットがあるかを考えます。
ある事柄を標準化することで、企業間競争にどんな影響を及ぼすのかを
考えます。

サッカー11メンバーが、どの程度統率(標準化)されているかによって、
試合に勝つか負けるかが決まることを考えると、数百名の従業員の統率は、
企業の競争力に大きく影響します。

■□■ 何をどの程度、標準化するか ■□■

企業には多くの標準化すべきことがあります。
一般に上位職の仕事は標準化の程度が小さく、下位職へ行くほど標準化の程度は
大きいといわれます。

また、開発職、設計職、技術職のような創意工夫を必要とする職種の標準化は
程度が小さく、現場職の繰り返し作業の多い職種は標準化の程度が大きいと
いわれます。

■□■ 何を標準化するのか ■□■

上位職の仕事の標準化、開発職、設計職、技術職のような創意工夫を必要とする
職種の標準化の程度は小さいというのは、仕事の中味についてでしょう。
仕事はいろいろな要素で構成されていますが、ではタイミング、順序、フォーマット、
周知範囲、示達手順などについてはどうでしょうか。

標準化についても、固有技術と管理技術の両面があります。
上位職の仕事、創意工夫職?の仕