ナラティブ内部監査14 | 平林良人の『つなげるツボ』

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■□■ 平林良人の『つなげるツボ』Vol.310 ■□■
― つなげるツボ動画版はじめました ― 
*** ナラティブ内部監査14 ***
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ナラティブ内部監査を実践するには次の2つがポイントになります。その
1つは、内部監査員と被監査者とが良い関係になること、すなわち相互理
解とコミュニケーション(ラポール)が重要なポイントです。
2つ目は問題解決ですが、まず「何が問題か」を見抜く力が必要で、次に
要因を分析して、適切に課題を解決する力が必要になります。この2つの
ことを念頭に置いてナラティブ内部監査実践のための5ステップを実践す
ることをお勧めします。

■□■ ナラティブ内部監査実践のための5ステップ ■□■
ナラティブ内部監査実践のための5ステップは次のとおりです。
・第1ステップ :今行っている内部監査をレビューする。
・第2ステップ :どのような内部監査を行いたいか、行うべきかを組織
        内でコンセンサスを得る。
・第3ステップ :内部監査員、被監査者の共同作業の基盤を作る。
・第4ステップ :発見された課題(不適合、観察事項、気づき事項)
        などを問題解決する。
・第5ステップ :問題解決したことを水平展開、歯止めして改善する。
        さらに、改善したことを革新へのインプットにする。

■□■ 第1ステップ:今行っている内部監査をレビューする ■□■
文字どおりいま行っている内部監査について見直しを行います。
見直しのポイントは次の通りです。
(1).過去3年くらいの内部監査の記録を確認する。
(2).過去3年間に発見された不適合、観察事項、気づき事項などの
  フォローアップの状態を調べる。
(3).過去3年の内部監査のフォローアップの結果から、内部監査が
  組織パフォーマンスに与えた影響を把握する。
(4).内部監査責任者は内部監査が組織パフォーマンスに与えた影響
  を評価し、今後のアクションを考える。

■□■ 内部監査が組織パフォーマンスに与えた影響 ■□■
第1ステップの(3)について説明します。内部監査の目的は2つあります。
共通テキスト(附属書SL)9.2内部監査に関しての次の要求事項があり
ます。

「a)次の事項に適合している。
 -XXXマネジメントシステムに関して,組織自体が規定した要求事項
 -この規格の要求事項
 b)有効に実施され,維持されている。」

ナラティブ内部監査ではこれまで何回も述べてきたように、「b) 有効に
実施され,維持されている」ことを目的にしています。
上述の(3)で確認したいことは、有効に実施され,維持されている結果、
すなわち組織のパフォーマンスに効果的な影響を与えたかどうかという
ことです。
もし組織パフォーマンスに効果的な影響を与えたとするならば、
(4)「内部監査責任者は内部監査が組織パフォーマンスに与えた影響を
評価し、今後のアクションを考える。」ことに進みます。

ここまで、ナラティブ内部監査実施の「第1ステップ : 今行って
いる内部監査をレビューする。」について説明しました。
次回は「第2ステップ:どのような内部監査を行いたいか、行うべき
かを組織内でコンセンサスを得る。」についてお話をしたいと思います。