平林良人の『つなげるツボ』Vol.361

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■□■ 平林良人の『つなげるツボ』Vol.361 ■□■
― つなげるツボ動画版はじめました
*** SDGインパクト基準14 ***
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前号ではSDGsの目標7(エネルギー)についてお話をしました。
再生可能エネルギーを増やすという世界的な目標への日本の状況及
び世界各国の動きをお話ししました。
今回はSDGsの目標の8番目です。

■■ 目標8 ■■
目標8. 包摂的かつ持続可能な経済成長及びすべての人々の完全か
つ生産的な雇用と働きがいのある人間らしい雇用(ディーセント・
ワーク)を促進する
<8.3 生産活動や適切な雇用創出、起業、創造性及びイノベーショ
ンを支援する開発重視型の政策を促進するとともに、金融サービス
へのアクセス改善などを通じて中小零細企業の設立や成長を奨励す
る。>

■■ ディーセント・ワーク ■■
目標8は雇用と働き甲斐についての目標ですが、ここには聞きなれ
ないディーセント・ワーク(decent work)という用語が使用され
ています。
Decentは、「よい、上品、礼儀に合った、常識的な」などの良い意
味を持つ形容詞ですが、ILOではdecent workを「働きが
いのある人間らしい仕事」のことであると定義しています。

ディーセント・ワークという言葉は、1999年の第87回ILO総会に
おいて初めて用いられたもので、ILOは「全ての人にディーセント・
ワーク -Decent Work for All- 」をスローガンにその実現を目指
して活動を展開しています。

ILOからは次のような内容が発信されています。
「ディーセント・ワークとは、権利が保障され、十分な収入を生み
出し、適切な社会的保護が与えられる生産的な仕事を意味します。」
言い換えれば、「働きがいのある人間らしい仕事」とは、まず仕事が
あることが基本ですが、その仕事は、権利、社会保障、社会対話が
確保されていて、自由と平等が保障され、働く人々の生活が安定す
る、すなわち、人間としての尊厳を保てる生産的な仕事のことです。」

■■ 働き方改革 ■■
上のILOのディーセント・ワークに関する発信を読むと、5年前に
厚労省が主導した「働き方改革」を彷彿とさせます。

大手広告代理店の女性社員が過酷な残業を強いられ自殺するという
痛ましい事件がありました。この事件をきっかけに、労働者の働く
環境についての見直しの機運がにわかに高まり平成29年3月に
「働き方改革実行計画」が公表され、総理が議長となり、労働界と
産業界のトップと有識者が集まった「働き方改革実現会議」におい
て、「非正規雇用の処遇改善」、「賃金引上げと労働生産性向上」、
「長時間労働の是正」、「柔軟な働き方がしやすい環境整備」など9
つの分野について、具体的な方向性を示すための議論が行われまし
た。

その結果、翌年平成30年には「働き方改革を推進するための関係
法律の整備に関する法律」が成立しました。

我が国は、「少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少」、「育児や介護
との両立など、働く方のニーズの多様化」などの状況に直面してい
ます。
こうした中、投資やイノベーションによる生産性向上とともに、
就業機会の拡大や意欲・能力を存分に発揮できる環境を作ることが
重要な課題になっています。

■■ ディーセント・ワーク働き方改革 ■■
働き方改革も法が成立して5年経ちました。SDG’sの目標8で言わ
れているディーセント・ワークの日本における実現は、私見ではそ
の基盤は出来ていると思いますが、引き続き次のような課題を解決
していかなければならないと思います。
・長時間労働の解消
・非正規と正社員の格差是正
・高齢者の就労促進(労働人口不足)