気持ちをつなげる | 平林良人の『つなげるツボ』

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■□■ 平林良人の『つなげるツボ』 Vol.2 ■□■
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■□■ 気持ちをつなげる ■□■

テクノファ代表取締役の平林です。

先のメルマガに引き続き、「気持ちをつなげる」と題して国際会議、その他
の話をさせていただきます。

では宜しくお願いいたします。

■□■ ISOはコンセンサスが基本 ■□■

国際会議で仲間を必要とするのは孤独でさびしいからではありません。
自分の主張、考え方を通すために必要なのです。

私の参加しているISO国際会議のルールにはいろいろなものがありますが、重
要なものに「コンセンサスが基本」というものがあります。

コンセンサスが基本とは、AかBかを決めるとき、いろいろ議論したあと最
後は全員が同意することをいいます。

最後にコンセンサスを得ないと、それ以降の議論に支障となり 、その結果、
世界標準の普及が効果的に行われなくなります。

議論は合理的な考え方で進んでいきますが、その過程には人の気持ちが入り
込んできます。

私は、人が同意するのはロジック(理屈)が半分、気持ちが半分だと思って
います。

少し専門的になりますが、今回のISO9001追補改正において、日本は(私は)
箇条8にある「8.4 製品の監視及び測定」は箇条7に移動すべきであると主
張しました。しかし、採用されませんでした。

 http://www.technofer.co.jp/
 最新情報08/12/22 「ISO9001はこう変わった(平林良人のISO奮戦記)2」参照

私は今でもこの主張は正しいと思っていますが、反対の論陣を張った相手に
は相手の理屈がありました。

理屈に理屈で応戦する場合、その議論の周辺にいる多くの委員には、AかB
かの賛否をロジックのみで判断することが段々と困難になっていきます。

どちらもそれなりに合理性があって議論しているわけですから、当事者でな
い委員は自分ポジション(立ち位置)を明確にしないと結論を出すことが難
しくなります。

そこに、人の気持ちが入り込む余地があります。

そしてその結果、採択された結果は必ずしも全体から見て正しい、または合
理的な結果になるとは限らない場合がでてきます。

■□■ 行動経済学とは ■□■

最近、「行動経済学」が注目を集めています。

標準的な経済学では、「人間は合理的である、経済は効率的である」を前提
としています。が、現実の人間は、意思決定においては思ったほど合理的に
物事を考えないようです。

行動経済学では、人は考えられる以上に気持ち、感情で経済的な行動をとる
としています。

■□■ ここで、「ロジックvs気持ち」のクイズを ■□■

①80万円貰う(a)、100万円貰うが確率は85%(b)、のどちらがいいか選
択してください。
②80万円支払う(c)、100万円支払うが確率は85%(d)、のどちらがいい
か選択してください。

70~80%の人が、①は(a)、②は(d)と答えるそうです。

たしかに感覚、気持ちとしてはそうでしょうが、このことが繰り返し行われ
る場合の正解は、①は(b)、②は(c)であることがすぐ分かります。多くの人
の平均は、85万円貰って、80万円払うほうに集約されていきます。

さて、あなたはどうでしたか、もしかしたら(a)(d)だったかもしれませ
んね、気持ちとしては合理性(ロジック)より目の前にあるものに心は動か
されますよね。

■□■ アダムスミスもその著作で ■□■

実は経済学の創始者と目されるアダムスミスはその著作(国富論、道徳感情論、
他)の中で、「気持ち」、「心」という言葉を実に200回以上使用しているそうです。

「世の中の景気」は皆の気持ちの持ち方次第とはよく言われる言葉ですよね。

だから、政治家が「今は100年に一度の金融問題の勃発である」というような
ことを言えば、ますます不況が深刻になっていきます。

●「気持ちをつなぐ」ポイント

事柄は理屈(ロジック)だけでは決まらない、気持ち、感情で決まることも
多いようですね。そのためにも仲間を多く作り、気持ちをつなげましょう。

つなげた気持ちは、世の中にとって合理的なこと、良いことに向かわなけれ
ばならないことは言うまでもないことです。

ここまでお読みいただき有難うございました。
来年もお楽しみに。