附属書SL究極のキーワード3 | 平林良人の『つなげるツボ』

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■□■ 平林良人の『つなげるツボ』Vol.73 ■□■

*** 附属書SL究極のキーワード3 ***

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前回のつづきで、
製品・サービス実現プロセス、経営資源の運用管理の
2つの要素に関する能力について説明させていただきます。

■□■ 附属書SL「組織の能力」についてーその2 ■□■

附属書SLには次の要求があります。

「4.1 組織及びその状況の理解
 組織は,組織の目的に関連し,かつ,
 そのXXXマネジメントシステムの意図した成果を達成する
 組織の能力に影響を与える,外部及び内部の課題を
 決定しなければならない。」

外部及び内部の課題を決定する目的は、品質マネジメントシステムの
意図した成果を「達成する能力を組織が保有する」ことにあります。

この箇条で要求されていることは
「外部及び内部の課題を決定しなければならない」ですが、
キーワードとしてはその前にある「組織の能力」が重要です。

■□■製品、サービス実現プロセス■□■

「組織の能力」の中で利害関係者(顧客)に最も影響を与えるものが
この「製品、サービス実現プロセス」に関係する能力です。

① 商品企画:顧客へのアクセスの良さ

 究極のキーワード「顧客価値」が意味する
 「顧客が何を感じて製品を買ってくれるのか」を探求するために、
 商品企画に精通し、顧客そのものを肌で感じるようなアプローチ、
 アクセスができる能力です。

②顧客動向を迅速かつ的確にとらえる分析力

 一度顧客の嗜好を的確にとらえたとしても、
 顧客の気持ちは目まぐるしく変わります。

 顧客の変化を捉えることができる能力です。

③設計:組立効率を追求した製品設計

 作りやすく、組み立てやすい製品は品質的にも評価が高いものです。

 固有技術の塊である設計、生産技術の能力が求められます。

④宿泊客の嗜好を考慮した究極の”おもてなし”サービス内容の設計

 狩野先生は「当たり前品質」「魅力的品質」という言葉で
 普通の品質と究極の品質(”おもてなし”サービス)とを
 区別していました。

 この2つの品質を区別できる能力と
 実際にそれらの品質を実現することができる能力です。

⑤購買: 高品質かつ低価格の材料購買

 もの作り、又はサービス業においては、
 一から総てを自分で作るわけではありません。

 品質がよく安価な材料を入手するには、購入分野を調査する能力、
 その結果を分析する能力が必要となります。

⑥事業リスクを考慮した購買先の的確な分散化

 購買に関しては、主要な材料、部品を1社だけに発注することは
 大きなリスクをとることになりますが、
 分散化も異なるリスクをとることになります。

 両者のリスクのバランスをとる能力が必要です。

⑦生産 :顧客の需要変動に適切に対応できる生産、在庫調整

 生産したものを売り切ることが商売のコツですが、
 製品が足りなくは機会損失となります。

 「顧客の需要変動に適切に対応できる生産・在庫調整」の能力は
 重要な能力です。

⑧販売,アフターサービスなど

 総てのビジネスに営業とその後のフォローアップは
 大事な能力になります

⑨顧客ニーズに合致した製品の的確かつ迅速な提案
 このことさえ的確にできれば他の能力は少々低くても
 ビジネスは成功するであろうという究極の能力です。

 当然このですが、提案した後具現化することも含まれます。

⑩モバイルインターネット端末を用いた簡単な商品注文方法と
 即日配送

 昨今のITの驚異的な発展についていけない企業も多いのですが、
 このインターネットを使いこなす能力も大いに注目されるべき
 能力です。

■□■経営資源の運用管理■□■

次は「経営資源の運用管理」に関しての能力です。

①組織の人々の力量管理、高い問題解決力をもった技術者及び
 それを可能にする教育体系

 人材を有効に活用することは組織に必須な能力です。

②施設,設備,機器などのインフラストラクチャーの管理

 人材以外の資源をこれまた有効に活用できる能力です。

③幅広いタイプの製品に対応可能で,高速度処理可能な生産設備

 設備に関しても生産設備に限定しての能力です。

④作業効率と安全性とを追求したひと中心の職場環境設計

 生産設備と人を中心に製品実現のプロセスを設計する時に、
 同時に安全性、人間工学性を配慮してデザインすることが
 できる能力です。

⑤洗練さと心が和らぐ雰囲気を感じ取れる施設又は空間

 単なる安全を超えて、作業をする中においても安心できる
 環境を作り出せる能力です。

⑥業務環境管理、過去の不適合情報が迅速に検索可能な
 設計技術蓄積システム

 知的資源、例えば技術ノウハウ、特許、商圏などの蓄積、
 或いは失敗事例(これも技術ノウハウ)を検索可能な
 データベースに仕立てることができる能力です。

⑦情報システム管理、現場と経営層との間のリアルタイムでの
 情報共有システム

 ITを活用しての職場作りに関して重要な能力です。

⑧財務資源管理

 高い事業収益率(ROA 及びROE)を達成,維持できる
 投資計画及び低金利での多額の資金調達を実現できる能力です。

以上