ヒューマンエラー3 | 平林良人の『つなげるツボ』

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■□■ 平林良人の『つなげるツボ』Vol.150 ■□■    
*** ヒューマンエラー3 ***
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■□■ 心のモード1:怒るモード ■□■

ヒューマンエラーは心のモード(状態)と強く影響していますが、そのモードの2つ目は「怒るモード」です。
怒るとは、自分の価値観と反対のことが目の前で展開される、あるいは自分の意見が無視されたり、反対されたりするなど、いずれも心の冷静さを失なわさせる感情です。

■□■ 怒るとどうなるか ■□■

怒ると日常の行動を支えている理性がなくなります。
感情が優先されますので、言動が荒々しくなり、物事の選択を直観的にすることになりエラーをしやすくなります。
怒ると、めんどうなことに、その事から離れられなくなります。

■□■ その事から離れられなくなる ■□■

離れられなくなるというのはどういうことでしょうか。
それは、怒りを感じた対象から逃げることが出来なくなり、よりその対象にのめり込んでいく状態をいいます。つまり執着心が強くなり客観性を損なわさせます。

その結果、その対象以外の事に心を向ける余裕がなくなり、何時までもその事に捕われることになります。
当然のこととして、エラーを起こす可能性が高まります。

■□■ 怒られた方もエラーをする ■□■

上司が怒ると、多くの場合部下は何も言えません。
何か言いたくても立場上今後の事を思いつつ、心の中では反論していることが多いでしょう。

心にうっぷんを秘めたまま過ごすとプレッシャーが高まり、通常しないようなことをしてしまいがちです。
結果怒られた方も正常心でいられなくなり、エラーを起こしやすくなります。

■□■ 同じ職位同士だと口論になる ■□■

お互いに主張することを言い合うと、物事の是非は別として口論にまで発展することがよくあります。
その結果、人間関係を壊すことになります。
また、相手を傷つけることにもなりますし、逆に自分も傷つくこともあります。
そのような状況に陥ると正常に仕事をすることが出来なくなります。

■□■ 取り返しのつかない判断間違い ■□■

怒っているとエラーばかりでなく、取り返しのつかない間違いをすることがあります。
特に上位者の判断間違いは組織にとって取り返しが出来ないものです。
怒ってビジネス上の判断間違いをした結果、組織全体に累を及ばしてしまいます。

忠臣蔵に出てくる浅野内匠頭(あさのたくみのかみ)の松の廊下での刃傷事件を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。

■□■ エラーは続く ■□■

エラーは続くものです。怒っていると、小さなエラーでもそのこと自体、すなわち自分の行動に対しても怒りを感じ、さらに大きなエラーを誘発します。

冷静な時にはなぜエラーしたかを反省しますが、怒っている時は余裕がないため、修正しないまま同じことを行いますので、被害も大きくなります。
ヒューマンエラーを無くすためには、まず怒らないことです。