統合化―ISO 9001-3 | 平林良人の『つなげるツボ』

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■□■ 平林良人の『つなげるツボ』Vol.218 ■□■    
*** 統合化―ISO9001-3 ***
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前回は、プロセスと部門の違いについて説明をしましたが、ご理解いただけた
でしょうか。
私の一日の生活に例えて、プロセスと部門の説明をしたつもりですが、企業に
おいても同じ事がいえるのではないかというのが私の思うところです。

■□■ 企業のプロセスの目的 ■□■

では企業のプロセスとは、の説明に入りますが、前回の私の活動と関係づけながら
話を進めたいと思います。まず事業プロセスは何のためにあるのでしょうか、
あるいは何のために一連の活動をするのでしょうか。私の活動は「家族のため」に
行うと明確にしましたが、組織の事業プロセスは「製品・サービスを購入して
いただくお客様に満足していただくため」に活動している、と言って良いと
思います。

次に前回述べたa)~k)の活動に対応するものは、企業においてどのようなものに
なるのでしょうか。

■□■ 企業のプロセス ■□■

前回のa)~k)のように、企業のプロセスの目的を考えながら一連の活動を
書いてみます。

a)(市場)調査
b)注文・契約(B to B)、商品企画(B to C)
c)設計
d)調達
e)準備
f)実現(製造、サービス提供)
g)検査
h)出荷、引渡し
i)アフターサービス

■□■ 企業の部門 ■□■

次に企業の部門を考えてみます。企業にはそれぞれ独特の組織名称がありますので、
個別の部門名よりもそこで行われる活動の内容に焦点を当てていただければ幸いです。

a)営業部門
b)企画部門
c)設計部門
d)購買部門、
e)技術部門
f)製造部門、サービス提供部門
g)品証部門
h)輸送部門
i)営業部門

これらの部門の専門性(効率性、効果性を達成するための言動)はどのような
ものでしょうか。

■□■ 部門の専門性 ■□■

ここでいうプロセスは、「お客様の満足を向上させるために行う一連の活動」ですが、
そう見えるのは製品・サービスを購入する顧客の目から見てそう言えるのであって、
個々の活動のリーダー(主導者、責任者、プロセスオーナー)には、そのように
見えなく、異なる姿が見えることになります。

それぞれのリーダーに見える姿とは、自分自身が責任を持つ機能の効率性、効果性です。

a)の営業部長が興味を持つ機能の効率性、効果性は、たぶん「多くの優良顧客からの注文」
でしょう。
b)の企画部長が興味を持つ機能の効率性、効果性は、たぶん「市場で優位に立てる製品
・サービスプロジェクト」でしょう。
c)の設計部長が興味を持つ機能の効率性、効果性はたぶん「設計ミスのない納期確保の出図」
でしょう。
d)の購買部長が興味を持つ機能の効率性、効果性はたぶん「QCD(注1)を満足した材料、
部品、設備の入手」でしょう。
e)の技術部長が興味を持つ機能の効率性、効果性はたぶん「設備設置、加工図面などの
生産準備の完了」でしょう。
f) の製造部長・サービス部長が興味を持つ機能の効率性、効果性はたぶん「工程内で
保証する活動」でしょう。
g)の品証部長が興味を持つ機能の効率性、効果性はたぶん「出荷検査で見逃さないこと」
でしょう。
h)の輸送部長が興味を持つ機能の効率性、効果性はたぶん「交通事故のない納期通り
の納入」でしょう。
i)の営業部長が興味を持つ機能の効率性、効果性はたぶん「顧客の信頼性確保」でしょう。

このように部門長の見る組織の姿(指示命令の縦の流れ)とお客様が見るプロセスの姿
(部門を横断する横の流れ)は、お互いに密接に関係していますが、本質は異なるものです。

注1;QCDとは「品質(Quality)」、「コスト(Cost)」、「納期(Delivery)」の頭文字