統合化―ISO 9001-2 | 平林良人の『つなげるツボ』

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■□■ 平林良人の『つなげるツボ』Vol.217 ■□■    
*** 統合化―ISO9001-2 ***
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さて、前回からISO 9001箇条5.1c)「組織の事業プロセスへの
品質マネジメントシステム要求事項の統合を確実にする」の
「事業プロセス」について説明を始めました。
会社には創業以来つくられてきた固有な風土、伝統などがあります。
それらの風土、伝統すなわち歴史を背負った組織に固有な「やり方」で
業務が進められています。
どんな組織にも、このようにして決められた業務のやり方があります。

■□■ プロセスと部門は違う? ■□■

ISO 9001が要求しているQMS(品質マネジメントシステム)の
統合に関して、箇条5.1c)における、「事業プロセス」とは何で
しょうか?

「事業プロセス」とは、上のセクションで述べたように、企業の
既存の仕事のやり方といってよく、実は組織においては明確に
されています。
「いえ、わが社では事業プロセスは明確になっていない」とおっしゃる
企業の方もいられるかと思いますが、それは他者には見えていないだけで、
現場においては日常行うべきことが明確になっています。

ここで注意しなければならないことは、「プロセスと部門の違い」です。
ISO 9001には「部門」は出てきません。出てくるのはすべて「プロセス」です。
ISO 9001では「事業プロセスに統合しなさい」といっておりますが、
現実の企業の人たちに分かり易いのは、「部門に統合しなさい」という
要求だと思います。

■□■ プロセスと部門はどう違うのか-1 ■□■

これはなかなか骨の折れる説明になります。なぜならば、我々は
日常の業務で「プロセスという概念」をあまり使っていないからです。

上手くできるか分かりませんが、一日の生活を用いて説明してみます。
以下は私の標準的な一日のプロセス(一連の活動)です。

a. 6:00 起床
b. 7:00 朝食
c. 8:00 出社
d. 9:00 始業
e. 10:00 会議
f. 12:00 昼食
g. 13:00 講義
h. 17:00 終業
i. 17:30 退社
j. 19:00 夕食
k. 22:00 就寝

このプロセスは総て「顧客満足のため」に行われています。
ここでいう顧客とは私の家族です。

■□■ プロセスと部門はどう違うのか-2 ■□■

では、上の「プロセス」に対して「部門」に当たるものは何でしょうか。
a~kのプロセス(一連の活動)を効率的、効果的に行おうとすると
部門の概念が出てきます。私は無人島で活動するのでなく、多くの人と
いろいろな関係をもって活動を行っています。

私個人の活動は、a、c、f、i、kの5つで、残りの活動はそれぞれの
リーダー(主導者、責任者、プロセスオーナー)の元で行うことが
効率的、効果的です。
では誰がリーダー(主導者、責任者、プロセスオーナー)になるべきでしょうか。
b は私の家内、d は会社の朝会当番、e は会議の主催者、
gは講義の企画者、h は会社の終業当番、j は私の家内、といった具合です。

■□■ プロセスと部門はどう違うのか-3 ■□■

私の一日の生活に例えると、プロセスとは「家族のために規則正しく
健康に留意して懸命に働く一連の活動」です。
ここでいう、一連の活動とは、(顧客である)家族の目から見てそう
言えるのであって、個々の活動のリーダー(主導者、責任者、プロセスオーナー)
には、そのように見えなく、異なる姿が見えることになります。

それぞれのリーダーに見える姿とは、自分自身が責任を持つ機能の効率性、
効果性です。b、jのリーダーが興味を持つ機能の効率性、効果性はたぶん
「バランスの取れた栄養素とカロリー」でしょう。
d、hのリーダーが興味を持つ機能の効率性、効果性はたぶん
「短いが気の利いたショートスピーチ」でしょう。
eのリーダーが興味を持つ機能の効率性、効果性はたぶん
「会議の目的に沿った結論」でしょう。
gのリーダーが興味を持つ機能の効率性、効果性はたぶん
「受講者の満足度」でしょう。