Category Archives: つなげるツボ

ナラティブ内部監査42 | 平林良人の『つなげるツボ』

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■□■ 平林良人の『つなげるツボ』Vol.338 ■□■
― つなげるツボ動画版はじめました ―
*** ナラティブ内部監査42***
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このシリーズではナラティブ内部監査の新しい物語作りについて
発信させていただいています。
今回は「承」の2回目ですが、まだ承に入っておらず起を受けて
承に入るべきかどうかの入口の話をしているところです。
前回はドラッカーもその著書で触れている禅問答について触れま
した。物理的には音はしているが、そこに誰もいなければ、すな
わち音を聞くことが無かったら、たとえ木が倒れたとしても、音
はしなかったということになる、というものです。

■ 内部監査で問題に気が付く ■
職場の中に問題があったとしても、誰も気が付かなければ問題は
ないと同じことになります。森で木が倒れたのと違って、職場で
の問題に誰かが気が付いて手を打てば問題の改善につながるかも
しれません。
問題の存在に気が付くにはどんな秘訣があるのでしょうか。
内部監査している中で、被監査者の仕事に何か問題があるのかど
うか、ある人は気が付く、ある人は気がつかない、この差はどこ
から来るのでしょうか。

まず言えることは、問題意識を日頃持っているかどうかというこ
とです。なんとなく持っているという場合もありますし、ある程
度範囲を絞った問題意識を持っている場合もあります。何らかの
意識があるところへ具体的な現象、場面に接すると、それが自分
の感じていたことであると気が付くことになります。それに反し
て、まったく問題意識を持っていないと、目の前に展開されてい
ることに何ら疑問も感じることはなく、そのまま通り過ぎていく
ことになります。

■ 例えば探し物の場合 ■
例えば、何かを失くした場合を考えてみましょう。探し物をする
ときはいつものと違う目で周りを見ます。鵜の目鷹の目といいま
すが、まさしく問題意識をもって周りを見渡すことになります。
おなかがすいている場合もそうです。何か食べるものはないか周
りを見ることになります。何かやりたいことがある場合も同様で
す。やりたい事が何であれ、そのことに関係することには誰より
も敏感になります。
このように問題の存在に気が付く人は日頃から脳の中にアウトプ
ットしたいことが存在しているので、目の前にそれに関係するこ
とが現れるとすぐに結び付いて、何かを出したいという脳内力学
が働きます。さて、そのような状況の下で問題に気が付いたとし
て、どのように承を展開していくのかを次に話したいと思います。

■ 承の内容は ■
例えば、Aという活動に疑問を感じたとします。なんとなくおか
しいというイメージを大切にします。なぜおかしいと感じたかを
突き止めることが必要です。チームメンバーの内部監査員に聞い
てみる前に、まずは自問自答します。私は次のような観点から物
事を見ることにしていますが、そこからおかしいと感じることが
多いように思っています。
1.直感から
・前に見た時と違う。
・ほかの人と違う。
・自分の体験と違う。
2.思考から
・やる意味・目的が違う。
・付加価値がつかない。
・やり方が違う。
3.仕事環境から
・設備が保全されていない。
・整理整頓がされていない。
・もののフロー(流れ)が長い。
・人的動きが鈍い。
・物理環境がよくない。
 -温湿度、音、照明
・廃棄物が多い。

■ いままでと違う? ■
上の項目はいずれも「(1)いままでと違う」に代表される、比較す
る尺度を持っています。(2)自分の考えと違う、(3)常識と違う、
(4)理屈と違うといった具合です。
ナラティブ内部監査では、承において、何がおかしいのかを突き
止める最初として、(1)を推奨しています。すなわち、おかしいと
思ったことについて「いままではどうだったか」を調べてみます。
過去をどこまで遡って調べるかは、対象となっている事象によっ
て異なりますが、できれば3~5年位前まで遡って調べてみると
新しい物語りの要素が得られると思います。

ナラティブ内部監査41 | 平林良人の『つなげるツボ』

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■□■ 平林良人の『つなげるツボ』Vol.337 ■□■
― つなげるツボ動画版はじめました ―
*** ナラティブ内部監査41***
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このシリーズではナラティブ内部監査の新しい物語作りについて
発信させていただいています。
物語を作るには「起承転結」に沿って行うことが良いという話を
進めています。前回は最初の「起」についてお話ししました。今
回は「承」ですが、起を受けて物語が進展していく様子を書くこ
とになります。テーマに関しての様子、今に至った過去の出来事
などを書きます。

■ ナラティブ内部監査の承 ■
ナラティブ内部監査の承は、起において何か課題を感じた時に展
開する物語です。もし、起の段階でなにも問題を感じなかったら
新しい物語はできないので、次のプロセス(活動)に移って内部
監査を行うべきです。いつまでも起と承の間に立ち止まっている
のは時間の無駄になります。

「これはおかしい」と感じたところから承がスタートします。こ
こでおかしいと感じるとはどのようなことなのでしょうか。以下
の話は飯塚先生(東大名誉教授、現JAB理事長)からの受け売り
です。

「いきなり拍手をして,どちらの手から音が出たかと聞くのです。
場面がガラッと変わります。相手には禅問答を知っていますか,
と聞きます。『双手を打って隻手の声を聞く』、二つの手を打っ
て,片方の手の音を聞くという禅問答がある、と言います。禅問
答では公案といいますが,このお題は,物事はすべて1つでは成
立しないとか,ものの見方は多面的だとか,いろいろディベート
できるのです。」

■ ドラッカーの公案 ■
「ドラッカーのマネジメントという著書に次のような話が披露さ
れています。誰もいない森で木が倒れて音がした。それを音がし
たといえるかという公案です。この問答の意味は,たとえ誰もい
なくても,絶対的な存在とか絶対的な真実,事実というのがある
という考え方もあれば,誰かに認知,認識されていなければ無き
に等しい,意味がないという考え方もある,つまりは絶対的認識
論,相対的認識論についてのお題です。

ドラッカーを読んだ方は,微かに覚えていらっしゃるかもしれま
せん。あの原書800ページにも及ぶ“Management”という大部の
本の38章だったか,確か「データと情報」という章の冒頭のつか
みに使われていました。この章の趣旨は「情報とは意味のあるデ
ータ(事実)」ということです。」

ここまでが飯塚先生の記事からの引用です。前半の両手打ちの話
は今回の承には関係ありません。後半の禅問答への導入部分とし
て面白い公案なので引用しました。
ここで考えたいのは後半のドラッカーも著書で紹介している「誰
もいない森で木が倒れた」という公案についてです。物理的には
音がしているはずですが、誰も聞いていなければ音がしたとはい
えない、ということについてです。
すなわち、絶対的認識論では音はしているということになります
が,相対的認識論ではだれも気が付かなければ音は無かったこと
と一緒である、という話です。

■ 絶対的認識論と相対的認識論 ■
プロセスの活動においても、絶対的認識論では問題があると言え
ますが、誰も気が付かなければ、すなわち相対的認識論では問題
はなかったとして現状は誰にも気が付かれずにそのまま行われる
でしょう。
プロセス(活動)においては価値が移動します。プロセスは,原
理的には(現実は違うでしょうが)価値の受け取り側が「ウン」
と言わなければ受け渡しはできません。内部監査で確認したいこ
とはいろいろありますが、一つは製品・サービスの品質の確認で
す。製品・サービスの品質の良し悪しは、まずは受け取り側が決
めることが原則です。ISO9000にある品質マネジメント7つの原
則の一つ「顧客満足」の原理です。禅問答との関連で言えば,内
部監査は,相対的認識論に立っているといえます。品質に絶対的
な良さはない,それは相対的に認識されるものだ,ということで
す。

■ 内部監査で問題に気が付く ■
以上のような話から、いま内部監査している活動に問題はあるの
かどうか、すなわち公案で言えば「音がした」と気が付くかどう
かという事が、ここでの議論の終着地です。ここには2つの必要
な要素があります。一つは音に気が付く人がいるかどうか、もう
一つは人が居るとしてその人にどの程度の聴力、すなわち感性、
感受性があるのか、という要素です。
内部監査には、音に気が付く人の存在は明確です。その人とは、
勿論、内部監査員のことです。ではもう一つの要素である感性、
感受性に関してはどうでしょうか。
次回は承に行く前提である問題に気が付くということについてお
話しします。

ナラティブ内部監査40 | 平林良人の『つなげるツボ』

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■□■ 平林良人の『つなげるツボ』Vol.336 ■□■
― つなげるツボ動画版はじめました ―
*** ナラティブ内部監査40***
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このシリーズではナラティブ内部監査の新しい物語作りについて
発信させていただいています。
一般に「物語り」を作る方法には「起承転結」という発想があり、
文章を作るには一定のやり方があると教わってきました。小学校
高学年、あるいは中学校の作文の授業で教えてもらったと思いま
す。

■ 起承転結とは ■
「起承転結」は、中国の唐の時代に漢詩の作り方の標準として広
く知られるようになったと言われています。
日本においては、中学校段階までに勉強する国語の文章の多くは、
「起承転結」の様式で作られています。私も「日本語の文章は起
承転結で書くのがよい」と思っていましたし、今でもそのように
認識しています。

TVドラマでも、物語ストーリーの組み立て方に関心もって見てい
ると、やはり起承転結でストーリーが進んでいくように思います。
昔、映画作りの座談会で、脚本は起承転結で作られていて次のよ
うに構造化されている、という話を聞いたことがあります。

「起」は、主人公の紹介、主人公がどんな人物かが描かれます。
「承」は、起を受けて物語が進展していく様子が描かれます。そ
こでは何かが起こります。今までの主人公の様子、今に至った過
去の出来事なども説明されます。
「転」は、今までとは異なった一つの物語のヤマ場になります。
今までには考えられなかった状況が描かれます。
「結」は即ち物語の結末ですが、その結果主人公がどうなったか
が書かれます。

「起承転結」の典型的な例として、4コマ漫画があります。サザ
エさん漫画を見ているとストーリーが簡潔に理解できるようにな
っていて感心します。

■ ナラティブ内部監査の起 ■
ナラティブ内部監査の物語をこの起承転結で書こうとするとどん
な構成が考えられるでしょうか。

「起」は、内部監査員と被監査者の監査風景が書かれます。どん
なプロセスを監査しているかをまず紹介します。紹介にはそのプ
ロセスで行われている仕事、そのプロセスにはどんなインプット
があるのかを説明します。続いてそのインプットはどんなアウト
プットに変換されていくのか、そして次の工程(プロセス)にど
のように引き渡されるかを説明します。さらに、その仕事に使わ
れる設備の様子も書かれます。格別な設備がなければ書く必要は
ありませんが、設備に変わる道具とか、ちょっとした工具などを
使っていればそれらを書きます。それらを一括して資源と呼んで
いきたいと思いますが、プロセスにはインプットに追加する材料、
部品などの資源があると思います。

次に重要なことはアウトプットを引き渡す前に行う確認、チェッ
クです。いま監査しているプロセスで完成した成果物は何らかの
物差しで目標としている基準に達しているか確認する必要があり
ます。機器による測定、現物との比較、官能検査(聞く、触る、
味わう等)、目視など、いろいろな方法がありますが、現場で行
われている確認の方法を書きます。

「起」で大切なことは、標準(書)の記述です。監査対象の仕事
の標準はどこに決められているかを書きます。文書に書かれてい
る場合もありますし(手順書、指示書など)、文書になっていな
い場合もあります。文書になっている場合は、いつ見直しがされ
ているかを確認します。10年も前にしか見直されていない場合は、
書かれていることと現実に行われていることが乖離している可能
性が高いと思います。

もし、仕事の標準が文書に書かれていない場合は、標準はどこに
決められているか確認をします。被監査者は先輩から教えてもら
ったことが仕事の標準であると言うかもしれません。先輩から教
えてもらったことを後から自分で工夫したとか、管理監督者から
指導があったとかいくつかの異なったストーリーがあるでしょう。

あとは、仕事の納期、工数(かける時間)、もし失敗したらどん
な処置をするのかも必要に応じて書いたら良いと思います。また、
監査している仕事(プロセス)が環境へ与える負荷、影響、使用
エネルギーの量、排出するCO2量なども、社会からは関心のある
事項だと思います。
「起」で書かれたことがその後の物語に繋がっていくので、でき
るだけ多くの事柄を、事実に基づいて書くことが良いと思います。

次回は「承」について書きたいと思います。

ナラティブ内部監査39 | 平林良人の『つなげるツボ』

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■□■ 平林良人の『つなげるツボ』Vol.335■□■
― つなげるツボ動画版はじめました ―
*** ナラティブ内部監査39***
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ナラティブ内部監査における問題解決、課題達成などにおいて大切
なことは、何が問題であるかを認識することです。我々は問題、課
題だらけの世界で仕事をしていますが、まずはそれらのことに気づ
くことが重要であると、話をしてきました。そして、それらの問題、
課題はどうして起きたのかを探る方法について「なぜ、なぜを5回
繰り返す」、「特性要因図」、「VTA」について話をしてきまし
た。いずれも、ナラティブ内部監査の新しい物語に活用できるツー
ルです。今回はもう一つの原因探索のツールである、FTAについ
てお話しします。

■ FTAとは ■
FTAはFault Tree Analysisの略で、日本語では「故障の木解析」と
呼ばれています。不具合の発生を上位事象として、それを部分へと
展開して不具合の起きる構造を木のように表現するツールです。世
の中には、不具合と呼ばれる、起きては困る事象はたくさんありま
すが、例えば、「品質不祥事」を取り上げるとすると、何が上位事
象になるのでしょうか。
一口に品質不祥事といっても起きている事象にはいろいろなものが
あります。起きた事象ごとに上位事象は異なります。上位事象に
「品質データ改ざん」を置くか、「事実の隠蔽」、「データの捏造」
あるいは「ルール違反」を置くかで下の展開が変わってきます。事
象の性質によって起きたことの推定される要因は異なるのですから、
上位事象に何を置くかはFTA活用の考えどころの一つです。

■ FTAの事例 ■
FTA を活用した事例として携帯用コンロの事例を図に示します。こ
こでの不具合である上位事象は、「点火しない」ということです。
点火しないのは、ガスが正しく流れてこずガス未噴出になっている
か、点火装置がおかしいかのいずれか、または、両方がある場合で
す。これを図中では、最初のOR構造(A or Bの構造)で表現し
ています。
またガスが流れないのは、ガスがない、パイプがおかしいなどが考
えられます。このように、不具合の発生を可視化して表現すること
で、未然防止、そして技術の蓄積に貢献し、また知識の共有に役立
つ手法として活用されています。FTAの展開時に落としやすい、又
は気を付けたいことは、対象機器の使用する環境条件、 使われ方な
どについてです。気温が低い冬には問題にならないことが、夏にな
ると大気温度の状況にともない不具合、例えば爆発するなどの事象
が起きることが考えられます。使用条件が変化することも同じよう
に配慮することの一つとして上げられます。

 図 携帯コンロのFTAの例(こちらをクリックしてください)
 出典:TQMの基本(日科技連出版社)

■ FTAは起きた事象の解析にも ■
FTAは元々設計などの上流工程で製品の故障未然防止のためのツー
ルとして広く活用されてきました。FTAは1960年代にシステムの
安全性・信頼性を予測、評価するために 開発されたものであり、望
ましくない結果を上位事象とし,事象が発生するための条件を論理
積と論理和を用いて演繹的に記述して,最下層の初期事象まで特定
をする手法です。

まだ起きてはいない事象を理論的に展開してみて最下層に現れた要
因に設計上対策を打つという考え方で戦後日本でも広く活用されて
きました。その後、予測的な分析にではなく、既に起きた事象の原
因分析にも利用されるようになりました。いろいろな労働災害や交
通事故など,実際に発生した事故の分析に多く適用されています。
この起きたことの要因分析をする場合には、予測的な分析を行う場
合とは異なり,ANDゲートの下には上位の事象が発生した理由を記
述することになります。

■ 起きた事故の分析 ■
起きた事故の分析を行う場合,最初から全ての情報が既知であるわ
けではなく,分析を行いながら、不足した情報を補うことが多くな
ります。しかし階層的な手法を用いて交通事故のような人的要因分
析を行う場合、結果の記載が難しくなります。設備建設のように多
くの人間が関与し,比較的長期にわたる事象を記述する場合とは異
なり,交通事故の分析は,特定個人の短時間の一連の行動を対象と
しており,判断や行動に個別の理由があるとは考えにくいからです。
結果的に下層で同じ要因に収束する傾向がありますが、これらは抜
け落ちた情報が存在した場合に多く現れる現象で,抜け落ちた要因
を事後に発見することはなかなか難しいものになります。
結果として、起きたことの分析、特にそこに人の要素が関係してい
る場合は活用に限界があると思います。

ナラティブ内部監査38 | 平林良人の『つなげるツボ』

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■□■ 平林良人の『つなげるツボ』Vol.334■□■
― つなげるツボ動画版はじめました ―
*** ナラティブ内部監査38***
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「なぜ、なぜを5回繰り返す」ことは、原因を探し出すことに有効
ですが、人が絡んだ問題の原因追及には限界があります。人の行動
は科学的な根拠が希薄だからですが、行動心理学的にいいますと、
人が何かをしようとするときには理由がある場合と、理由がない場
合とがあるそうです。ある場面におけるとっさ(瞬間的)の行動な
どは、理由なく行われます。
「特性要因図」、「なぜ、なぜを5回繰り返す」の他の原因追及の
ツール、特に人が絡んだ不適合の原因探索の方法についてお話をし
ていきます。

■ VTA ■
人が絡んだ問題の原因追及のツールの一つに、バリエーションツ
リー・アナリシスがあります。あまり知られていませんが、X-Y
軸をもつ図を描き、起きた事象(行動・活動、出来事)のすべてを
図に記入して全体の事象から原因と思われることを推測、確定して
いく手法です。
X軸に問題に関係したと思われる組織(部門、部署、係、個人名な
どの主体)を割り付けます。割り付けられた個所からY軸に平行に
縦の柱を立てて、柱に組織ごとテキストボックスを配置します。テ
キストボックス内には該当する組織が行った行動・活動、出来事な
どを時系列に書き込みます。

バリエーションツリー図)こちらをクリックしてください

バリエーションツリー図の一番上のテキストボックス(時系列最後)
には対象となっている不具合を書き込みます(例では軸Dの最上部)。
その場合の組織は不具合が起きた組織とします。原因がほかの組織
にあったとしても不具合の発見された組織のテキストボックスに不
具合事象を書きます。組織に配置されたテキストボックスは、行動・
活動の相互関係の分析から繋がりがあると判断されたボックス同士
を線で結びます。
右の説明欄には、テキストボックスそれぞれの行動・活動に関して
の簡単な説明、特記事項を書きます。
バリエーションツリー図は、ツリーと呼ばれるように下から上に時
系列に行動・活動を関係した組織の根元(下端)からてっぺん(先
端)までをチャートとして可視化する手法だと思っていただければ
よいと思います。

■ どんな手法ですか? ■
VTAは Leplat & Rasmussenによって1980年代に考案された手法
ですが、2000年前後に日本でも様々な産業分野(建設、電力、航空
機、鉄道等)で応用され始まりました。不具合発生に係る人間要因
(ヒューマンファクタ)を明らかにするために有効な方法の一つとさ
れています。
分析をする基本は、不具合、不適合が起きたことの責任追求ではな
く、原因を明確にすることにあります。対策を明確にすることが目
的で、起きた事実を分析する過程で人間行動の流れを中心に何が根
本原因であるかにアプローチする方法です。
X軸に割り振られた複数の主体(組織:部門、部署、係、個人名な
ど)が時間軸に沿ってどんなことを行ったのか、行動をチェーンと
して描き、その相互の繋がりから、発生した不具合の発生経過、過
程を分析するというものです。行動のチェーンを描くという特性上、
主体ごとのインタフェースやコミュニケーションの流れが比較的多
い不具合における原因究明に効果を発揮すると言われています。

■ 原因への対策は絞る ■
再発防止対策は、複数ある要因事象の全てに行うのではなく、最も
効果的な部分を選び処置することが良いとされています。図式化さ
れたツリーの中から不具合を防止するために排除しなければならな
い変動要因を「排除ノード」(軸Cの上に〇で示されている)と呼
び、変動要因の連鎖を断ち切るポイントを見つけ出すことで根本原
因に手を打つことが出来るとされています。