超ISO企業研究会フォーラムへのご案内 | 平林良人の『つなげるツボ』

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【臨時号】

■□■ 平林良人の『つなげるツボ』 Vol.88 ■□■

*** ≪無料≫超ISO企業研究会フォーラムへのご案内 ***

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今回はメルマガ「つなげるツボ」番外編として、
≪無料≫超ISO企業研究会フォーラムのご案内を、研究会事務局の森山より
させていただきます。

テクノファが事務局を務めております「超ISO企業研究会」が9月25日(木)に、
無料フォーラムを開催いたします。

超ISO企業研究会とは、飯塚悦功東大名誉教授を会長として、ISO9000
ファミリーの日本代表エキスパートとして国際会議で活躍しているメンバーを
中心に、品質マネジメント分野で活躍しているメンバーで構成している研究会
です。
研究内容は、企業の永続的発展のための、品質経営の在り方に焦点を絞って
議論を重ねています。研究とはいいましても、実践するための具体的な方法を
開発適用し検証まで行っています。

このフォーラム前半では、品質マネジメントシステム(QMS)を構築・運用する
組織のために、超ISO企業研究会が研究を重ねてきた品質経営の構築手法と
その実践についての講義を行います。
フォーラム後半では、研究会開発のQMSツールを適用されている企業様も加わり、
「組織の自律、あるべき姿とは」についてのパネルディスカッションを行います。

是非この機会をご活用いただき、今後の品質経営を考えて頂きたいと存じます。

ご参加をお待ち申し上げます。

■□■ フォーラムの詳細 ■□■

【名称】 超ISO企業研究会フォーラム (SQ47)

【日時】 2014年9月25日(木)10:00~13:00
(受付は9:30から)

【会場】 東海大学 高輪キャンパス 大講義室
東京都港区高輪2-3-23 東海大学高輪キャンパス新2号館1-2階

アクセス:「品川駅」徒歩18分、「白金高輪駅」徒歩8分、
「泉岳寺駅」徒歩10分

http://www.u-tokai.ac.jp/info/traffic_map/shared/pdf/takanawa_campus.pdf

【定員】 300名

【受講料】 無料

■□■ プログラム ■□■
講演
「組織の自律、永続的発展につながる品質経営」 (飯塚会長)
「研究会が提唱する品質経営」 (金子副会長)

パネルディスカッション
「組織の自律、あるべき姿とは」
「研究会ができること」

登壇者
当研究会 会長   飯塚 悦功 (東京大学名誉教授)
〃   副会長 平林 良人 (株式会社テクノファ取締役会長)
〃   副会長 金子 雅明 (東海大学情報通信学部
経営システム工学科専任講師)
〃        住本 守  (独立行政法人製品評価技術基盤機構
認定センター客員調査員)
株式会社アイデクト 代表取締役 栃村克彦 氏

附属書SLの改訂 | 平林良人の『つなげるツボ』

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■□■ 平林良人の『つなげるツボ』Vol.87■□■

*** 附属書SLの改訂 ***
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■□■ 附属書SL第5版 ■□■

 附属書SLの第5版が2014年5月に発行されました。

2012年5月に初版が発行されたことを思いますと、
2年間に4回改訂されたということで、
平均半年に1回の改訂がされたことになります。

これは頻繁な改訂といえ、発行されたばかりの初期修正が
多いと言えると思います。

 附属書SLは規格作成専門家に対する指針であり、
これに基づいてマネジメントシステム規格が作成されますので
ベースとなるものの改訂は個別分野の規格作成に影響を及ぼします。

■□■ 従来の改訂は編集上の修正だったが・・ ■□■

 附属書SLの第4版までの改訂は、初期不良?による
編集上の改訂でしたので、マネジメントシステム規格の策定に
影響を与えるようなものではありませんでした。

 しかし、第5版の改訂はそうではありません。
第5版では次の2つのことが改訂の対象となっています。

(1)3.20 修正の定義が削除された。
(2)7.3 コミュニケーションの「」において、「必要性」の
   字句が削除された。

(1)の3.20の削除は次のようなものです。
修正の用語が「検出された不適合を除去するための処置」と
定義されていたのですが、

その後、附属書SLの本文中に「修正(correction)」という用語が
使用されていないことが判明し削除されました。

 但し、附属書SK箇条「10.1不適合及び是正処置」には
次のような要求事項があります。

「不適合が発生した場合,組織は,次の事項を実施しなければならない。
a)その不適合に対処し,該当する場合は必ず,次の事項を行う。
- その不適合を管理し,修正する(correct it)ための処置をとる。

■□■ 箇条「7.4コミュニケーション」への変更 ■□■

 2つめの箇条「7.4コミュニケーション」への変更は、
個別分野のマネジメントシステム規格に影響を及ぼすと思われます。

(旧)
The organization shall determine the need for internal and
external communications relevant to the XXX management system, including:
(新)
The organization shall determine the internal and external
communications relevant to the XXX management system, including:

と変更になりました。
すなわち、”the need”という語句が削除されたのです。

 箇条7はISO9001にも、ISO14001にも使用されていますので、
附属書SLが変わったことで、両規格ともこの部分はそのとおり
変更になります。

 従来は「組織は、次の事項を含め、XXXマネジメントシステムに
関連する内部及び外部のコミュニケーションを実施する必要性を
決定しなければならない。」という要求でした。

 それが、修正された後は
「組織は、次の事項を含め、XXXマネジメントシステムに関連する
内部及び外部のコミュニケーションを決定しなければならない。」と
なりました。

 すなわち、必要性を決定することから、コミュニケーションを
決定することに変わったのです。

■□■ 箇条7.4には追加の要求も ■□■

 箇条「7.4コミュニケーション」には、更に、
具体的な要求が一つ追加されました。

– how to communicate.
- コミュニケーションの方法、と訳されています。

以上により、7.4コミュニケーションは次のようになりました。

「組織は、次の事項を含め、XXXマネジメントシステムに関連する
内部及び外部のコミュニケーションを決定しなければならない。

- コミュニケーションの内容(何を伝達するか。)
- コミュニケーションの実施時期
- コミュニケーションの対象者
- コミュニケーションの方法 」

以上

ISO/DIS9001における組織の能力 | 平林良人の『つなげるツボ』

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■□■ 平林良人の『つなげるツボ』Vol.86■□■

*** ISO/DIS9001における組織の能力 ***

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■□■ 1.1 適用範囲には ■□■

 品質マネジメントシステムは組織の能力を扱っています。

 いま提供している製品の品質が良くても十分ではなく、
今後とも良い製品を提供していける能力があることを要求しています。

 システムとは、
相互に関係する相互に影響を与える要素の集まりですが、
このシステムが今後の品質を保証する「組織の能力」と
なっていることが必要なわけです。

 ISO9001規格1.1には,
次の二つのことを目的とする組織に対して,
品質マネジメントシステムの要求事項を規定しています。

a)顧客要求事項及び適用される法令・規制要求事項を
  満たした製品又はサービスを一貫して提供する能力を
  もつことを実証する必要がある場合。

b)品質マネジメントシステムの継続的改善のプロセスを
  含むシステムの効果的な適用,並びに顧客要求事項及び
  適用される法令・規制要求事項への適合の保証を通して,
  顧客満足の向上を目指す場合。

■□■ 一貫して提供する能力 ■□■

 このように箇条1.1には
「顧客要求事項及び適用される法令・規制要求事項を
 満たした製品又はサービスを一貫して提供する能力を
 もつことを実証する必要がある場合。」

とありますが、注目すべきは
「提供する能力をもつことを実証する」というところです。

 繰り返しになりますが、組織は現在良いことは
当然のこととしてこれからも良いことを実証する
必要があるわけです。

 残念ながら、現在の認証審査においてこの能力が
きちんと審査されているかについて私は否定的な見方をしています。

■□■ 組織の能力とは・・・・ ■□■

 飯塚東京大学名誉教授はこの組織の能力について、
主宰する「超ISO企業研究会」で次のように説いています。

(1)固有技術
 ・固有技術レベル
 ・固有技術の可視化レベル,
 ・体系化/構造化レベル,
 ・知識入手性

(2)マネジメント(固有技術活用能力)
 ・目的理解,目標設定
 ・目的達成手段構想,計画
 ・リスク想定
 ・実施項目展開
 ・進捗管理:現状把握,応急処置,影響拡大防止,PDCA
 ・学習能力:深い大きなPDCA
 ・組織構築
 ・プロセス定義
 ・リソース理解,掌握,人望
 ・運営(マネジメントの原理原則)
 ・コミュニケーションスキル

(3)ひと(技術+マネジメントの実施主体の能力)
 ・技術・知識のレベル
 ・技能・スキルのレベル
 ・意欲・モチベーション・ロイヤルティのレベル
 ・能力向上策のレベル

(4)文化:組織風土・文化
 ・組織の思考
 ・行動スタイルを左右する組織風土
 ・文化,価値観,体質

■□■ 奥深い組織の能力 ■□■

 飯塚先生の説く組織の能力は、
広範に渡り網羅的でありますが、
一つひとつが意味を持っています。

 組織の性質(どんな製品及びサービスを行っているか)、
規模などにより理解は異なるでしょうし、
該当する能力もそれぞれでばらつくかもしれません。

 興味深いのは、飯塚先生の上げられた組織能力は、
ISO/DIS9001が要求しているものと以下のように
オーバーラップしていることです。

《ISO/DIS9001要求事項》
(1)「固有技術」は今回の改正で日本が要求事項として
   追加する意見を出したが、
   「箇条7.1.6組織の知識」として日の目をみている。

(2)マネジメント(固有技術活用能力)
 ・目的理解,目標設定 
  「箇条6.2 品質目標及びそれを達成するための計画策定」
 ・目的達成手段構想,計画 「同上」
 ・リスク想定 「箇条6.1 リスク及び機会への取組み」

 ・実施項目展開 「箇条6.2.2」
 ・進捗管理:現状把握,応急処置,影響拡大防止,PDCA
  「箇条6.3 変更の計画」
 ・学習能力:深い大きなPDCA 「なし」→ JISQ9005:2014

 ・組織構築 「箇条5.1 リーダーシップ及びコミットメント」
 ・プロセス定義 
  「箇条 4.4 品質マネジメントシステム及びそのプロセス」
 ・リソース理解,掌握,人望  「なし」

 ・運営(マネジメントの原理原則)「Annex B」
 ・コミュニケーションスキル 「箇条7.4 コミュニケーション」

(3)ひと(技術+マネジメントの実施主体の能力)
 ・技術・知識のレベル 「なし」
 ・技能・スキルのレベル 「なし」
 ・意欲・モチベーション・ロイヤルティのレベル 「なし」
 ・能力向上策のレベル 「なし」

(4)文化:組織風土・文化
 ・組織の思考 「なし」
 ・行動スタイルを左右する組織風土 「なし」
 ・文化,価値観,体質 「なし」

■□■ 超ISO企業研究会 ■□■

 読者の皆様方でさらにこの組織の能力を深く知りたい方は
10月頃に予定されているセミナーに参加されるとよいと思います。
※詳細は8月下旬にテクノファホームページでお知らせします

附属書SLの箇条4.4に記述されている「組織の能力」が
より深く理解できると思います。

おわり

ISO/DIS9001におけるリスク | 平林良人の『つなげるツボ』

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■□■ 平林良人の『つなげるツボ』Vol.85■□■

*** ISO/DIS9001におけるリスク ***

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■□■ リスクは好ましい、好ましくない? ■□■

 附属書SLのリスクの定義には、
注記1に「リスクは好ましい方向、好ましくない方向に乖離する」
という一節があることは以前お話しました。

■□■ この2つの方向が混乱?を与えている ■□■

 附属書SL:3.09にあるリスクの定義は繰り返しになりますが、
次のようなものです。

「不確かさの影響 注記1 影響とは,期待されていることから,
好ましい方向又は好ましくない方向にかい(乖)離することをいう。」

例えば、輸出企業が為替の予約をします。

輸出のことを考えると円安になれば好ましい方向と言えるでしょう。
反対に円高に振れれば好ましくない方向となるのです。

どちらに振れるか分からないので、為替の予約はリスクであると
いうことになります。

■□■ そうはいっても・・・・ ■□■

 このようにリスクという概念は、
プラス側、マイナス側の両方にありえるというものですが、
圧倒的にリスクとはマイナス側のイメージだとおっやる方が多いですね。

前回の規格説明の講習会で40名くらいの参加者にお聞きしました。

「リスクはプラス側にもありますか?」

この問いかけにYesと答えられた方は本当にわずかでした。

■□■ ISO/DIS9001におけるリスク ■□■

 5月に発行されたISO/DIS9001における「リスク」の取り扱いは
CDに比較して次のように変わりました。

 まず、用語の定義が変わりました。

CDでは、”effect of uncertainty”となっていたものが、
“effect of uncertainty on an expected result”となりました。

つまりon an expected result(期待する結果における・・・)が
追加されたのです。

effect of uncertainty(不確かさの影響)では、
象が広いのでISO9001活用の「期待する結果(an expected result)」に
焦点を当てたリスクに絞ったということです。

 また、リスクの定義にNote5が追加されました。

Note 5 to entry: The term “risk” is sometimes used when
there is only the possibility of negative consequences

注記5:”リスク”という用語は,
好ましくない結果となる可能性にだけ使われることがある。

■□■ ISO/DIS9001リスクは好ましくない方向 ■□■

注記5がリスクの定義に追加されたことで、
ISO9001構築におけるリスクは
「好ましくないもの」と考えて良いと思います。

その反対に「好ましいもの」を
機会(opportunity)であると考えるということは従来と同様です。

しかしこの「好ましいもの」とは何かについては
じっくりと考える必要があるように思います。

おわり

Scopeには3つの種類がある | 平林良人の『つなげるツボ』

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■□■ 平林良人の『つなげるツボ』Vol.84■□■

*** Scopeには3つの種類がある ***
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■□■マネジメントシステム規格の適用範囲■□■

ISOには適用範囲(Scope)についての規定がありますが、
そのScopeには3つの種類があります。

■□■ 1つ目は規格使用目的の適用範囲 ■□■

5月9日に発行されたISO/DIS9001:2015版には
「この規格は次の組織に使用できる」として、
1.適用範囲(Scope)に次のような記述があります。

「この規格は,次の二つの事項に該当する組織に対して,
品質マネジメントシステムの要求事項を規定するものである。

a)顧客要求事項及び法令・規制要求事項を満たした
製品及びサービスを一貫して提供する能力をもつことを
 実証する必要がある場合。

b)品質マネジメントシステムの継続的改善のプロセスを含む
 システムの効果的な適用,並びに顧客要求事項及び
 適用される法令・規制要求事項への適合の保証を通して,
 顧客満足の向上を目指す場合。

 この規格の全ての要求事項は,汎用性があり,
 業種及び形態,規模,並びに提供する製品を問わず,
 あらゆる組織に適用できることを意図している。」

 ここではISOが自らISO9001規格をどのような目的に
使用してもらいたいかの範囲を書いていますので、

1番目の適用範囲(Scope)は、
「規格使用目的の適用範囲」を意味しています。

■□■ 2つ目は組織能力向上の適用範囲 ■□■

 ISO/DIS9001規格は、箇条4.3において、
組織に対して次の要求をしています。

「組織は,品質マネジメントシステムの適用範囲を
 定めるために,その境界及び適用可能性を
 決定しなければならない。

 この適用範囲を決定するとき,組織は,
 次の事項を考慮しなければならない。

 a)4.1に規定する外部及び内部の課題

 b)4.2に規定する,関連する利害関係者の要求事項

 c)組織の製品及びサービス

 この規格のある要求事項を,
 決定された適用範囲内で適用できる場合,
 組織は,それを適用しなければならない。

 この規格の要求事項を適用できないときは,
 それが製品及びサービスの適合を確実にするという

 組織の能力又は責任に何らかの影響を及ぼすもので
 あってはならない。

 品質マネジメントシステムの適用範囲は,
 次の事項を記載した,文書化した情報として
 維持しなければならない。

 -品質マネジメントシステムの対象となる
  製品及びサービス

 -この規格の要求事項を適用できない場合には,
  それを正当とする理由」

 箇条4.3でいう適用範囲(Scope)は、
組織がISO9001をどのように活用するか、

その領域(本社、事業所、工場など)及び
適用可能性(規格要求事項の)から決められてくる
範囲を意味しています。

 ここではISO9001を活用して期待する成果を得るための、
組織の能力を向上させることを目的としてので、

2つ目の適用範囲(Scope)は、
「組織能力向上の適用範囲」を意味しています。

■□■ 3つ目は適合評価された適用範囲 ■□■

 認証機関が発行する認証証には、認証機関が証明する
組織のISO9001適用範囲(Scope)が書かれます。

 この適用範囲は2つめの「組織能力向上の適用範囲」とは
必ずしも一致するとは限りません。

 認証機関が審査で確認できた
「製品及びサービスに関する適用範囲」のみが
記載されるのであって、
審査がカバーしなかったエリアは記載から除かれます。

 組織は、ビジネス取り引き先から、
供給する製品及びサービスに関して
第三者認証を取得するように求められる場合があります。

 そのような場合、組織は数多くある認証機関から
自分たちに合う認証機関を探し出し、
その機関と第三者認証の契約を結びます。

 第三者認証は、
組織と認証機関との間の任意の契約行為ですから、

適用範囲は組織が必要であると考える範囲に
限定することができます。

 組織は認証を求められている製品、部署、
かかる費用、日数などを勘案して認証機関と交渉して
三者認証の適用範囲を決定すればよいのです。

 ここでいう認証証に記載された3つ目の適用範囲(Scope)は、
「適合評価された適用範囲」を意味します。

おわり