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平林良人の『つなげるツボ』Vol.143

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■□■ 平林良人の『つなげるツボ』Vol.143 ■□■
*** ISO9001:2015規格の解釈 ***
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■□■ 小規模事業者のためのISO9001 ■□■
日本規格協会は、書籍「小規模事業者のためのISO9001 
何をなすべきか ISO/TC176からの助言」を出版しました。

実はTC176(品質マネジメントシステム技術専門委員会)は、
ISO9001:1994改訂時から改訂の度に中小企業のための書籍を
出版してきました。

本書はそのタイトルを“小規模事業者のため”と変え、
中條武史中央大学教授、須田晋介テクノファ取締役の監訳
により、先週発刊されたばかりです。

■□■ ISO9001:2015箇条8.5.5 引渡し後の活動 ■□■
筆者は前々から「箇条8.5.5 引渡し後の活動」の意図を汲み
かねていたので、本書の該当する所の解説を読みました。

そこには、次のような解説がありました。

「この細分箇条の意図は、あなたの組織が、引渡しによって
組織の責任が必ずしも終了するわけでないことを認識し、
製品及びサービスを引き渡した後も、関連する要求事項を
満たすことを確実にすることです。」

まさしく「引渡し後の活動」は、組織が製品・サービスを
売った後も顧客に満足を与えるために考慮すべきことが
規定されています。

■□■ ISO9001:2015箇条8.5.5 ■□■
該当する規格の規定は次の通りです。

「要求される引渡し後の活動の程度を決定するに当たって,組織は,
次の事項を考慮しなければならない。

a) 法令・規制要求事項
b) 製品及びサービスに関連して起こり得る望ましくない結果
c) 製品及びサービスの性質,用途及び意図した耐用期間
d) 顧客要求事項
e) 顧客からのフィードバック」

■□■ a) 法令・規制要求事項 ■□■
ISO9001規格は、組織が顧客と契約する時には「a) 顧客が規定した要求事項。
これには引渡し及び引渡し後の活動に関する要求事項を含む。(中略)

d) 製品及びサービスに適用される法令・規制要求事項」をレビューすること
を要求しています(箇条8.2.3.1)。

にもかかわらず、再度引渡し後に法令・規制要求事項を考慮するとは
どういうことでしょうか。

ポイントは時間の経過にあります。

5年、10年と顧客が組織の製品を使用し続けたとしましょう。
もしかすると、その間に該当製品に関係する新しい法令・規制要求事項が
変わるかもしれません。法令・規制要求事項は原則過去に遡及しませんので、
組織は新しい法令・規制要求事項に縛られることは法的にはないと思います。

しかし、もし組織が新しい法令・規制要求事項に合致するように製品を
改良するような活動をしたら顧客の評価は大きく上がるでしょう。

規格はあくまでも組織に「考慮する」ことを求めていますので、考慮した結果、
考慮事項を採用するか、しないかは組織が判断することです。

■□■ c) 製品及びサービスの性質,用途及び意図した耐用期間 ■□■
同様なことが「c) 製品及びサービスの性質,用途及び意図した
耐用期間」についても言えます。

顧客は必ずしも組織が意図したように製品・サービスを使いません。
それは製品・サービスの性質とか、用途とか、耐用期間などについて言える
ことです。

例えば、引き渡した後、顧客が契約された耐用期間を超えて使用した状況後に、
組織に修理を依頼してきた場合、どのように対応するのでしょうか。耐用期間を
超えているのだから修理は出来ないと断ることは易しいですが、時と場合に
よってはその状況でも修理に応じるという事はあってもよいかもしれません。

顧客からの視点で考えると、そのような対応をしてくれた組織には愛着と恩義を
感じて組織のファンになってくれるかもしれません。

ISO9001:2015箇条8.5.5は、そのことを考慮することとしていますが、解説は
次のように結んでいます。

「あなたが引渡し後の活動を決定したときには、既知の要求事項(例えば、法令
・規制要求事項、顧客要求事項)を考慮するとともに、製品又はサービスが期待
したとおりに機能せず、更なる処置が必要になる可能性を考慮するのがよいでしょう。
あなたが、起こり得る、明確に示した引渡し後の活動を考慮しなければ、顧客の不満
又は潜在的機会の喪失に関するリスクが増します。」