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平林良人の『つなげるツボ』Vol.111

■□■ 平林良人の『つなげるツボ』Vol.111 ■□■   
*** プロセスアプローチが基本 ***
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■□■ ISO9001:20153つの概念 ■□■

ISO9001:2015には3つの概念があります。プロセスアプローチ、PDCA、リ
スクに基づく概念です。その中でもプロセスアプローチが基本の概念であると
説明されています。

■□■ 事業プロセス ■□■

ISO9001:2015には初めて「事業プロセス」という用語が出てきます。私は組
織の現状の業務を事業プロセスと呼んでいると思っていますが、これは組織
の全員が毎日行っている活動です。

例えば、営業プロセス、設計プロセス、製造プロセス、サービス提供プロセ
ス、人事管理プロセス、経理プロセス、経営管理プロセスなどです。このプロ
セスの名称は組織によって異なるでしょうが、どんな組織でも事業計画推進
のためにいろいろな活動を全員が毎日行っています。

■□■ QMSに必要なプロセス ■□■

ISO9001:2015は、その事業プロセスの中からQMSに必要なプロセスを明
確にすることを求めています。例えば、上の例でいうと、経理プロセスは組織
によってはQMSに必要でないプロセスと考えるかもしれません。組織によって
はQMSに関係あるプロセスとして経理プロセスを考えるかも知れません。

■□■ ISO9001:2015箇条.4.1 ■□■

ISO9001:2015箇条.4.1では、QMSに必要なプロセスのそれぞれに対して、
インプット、アウトプット、パフォーマンス指標、責任/権限、判断基準、方法
などを決めること、明確にすることを求めています。
(編集注記: 正しくは「ISO9001:2015箇条.4.4」の箇条となります)

■□■ QMS要求事項の統合■□■

ISO9001:2015箇条.5.1では、トップマネジメントに対して、「事業プロセスへの
QMS要求事項を統合すること」を要求しています。私は規格の要求事項など
を日常の業務に入れ込むことでQMSの形骸化を防ぐことを求めていると考え
ています。
このことで組織のQMSパフォーマンスが向上することに繋がることを期待しま
す。

■□■ 認証審査への準備 ■□■

ISO9001:2015への移行に当たっては、このプロセスアプローチが今まで以
上に強化され、適切に構築、運用されているかが認証審査のポイントの一つ
になると思います。

移行審査への準備に当たっては、ISO9001:2015箇条.4.1に沿って各種要
求事項が適切に計画され、実施に移されているかを組織自身が確認すること
が必要でしょう。
(編集注記: 正しくは「ISO9001:2015箇条.4.4」の箇条となります)

■□■ プロセスオーナー ■□■

プロセスオーナーという言葉があります。これはプロセスの主管部門を意
味している用語です。例えば、設計プロセスならば設計課、製造プロセスなら
製造課ということになります。

QMSに必要なプロセスへのインプット、アウトプット、パフォーマンス指標、
責任/権限、判断基準、方法などの決定は、事務局だけでは難しい場合があ
ります。

そのような場合には、プロセスの主管部門(プロセスオーナー)に決定をお
願いすることがよいでしょう。

■□■ 規格要求事項を事業プロセスに関連つける■□■

事業プロセスに規格要求事項を統合するという要求に対しては、すべての
規格要求事項を組織が決めたプロセスと結び付けてみるとよいでしょう。

箇条8.3設計・開発は設計課、8.5製造及びサービス提供は製造課あるい
はサービス提供課という具合です。

■□■箇条7は全ての事業プロセスに関連する■□■

しかし、箇条7の要求は特定のプロセスオーナーに関連しません。すべて
の事業プロセスに関連します。

7.1 資源
7.2 力量
7.3 認識11
7.4 コミュニケーション
7.5 文書化した情報

■□■ 適用可能性の検討 ■□■

ISO9001:2015箇条4.3では適用可能性についての要求があります。組織が
決めたプロセスと規格要求事項を関連付ける際に、関連しない規格要求事項
は適用不可能の可能性があります。

その場合、さらによく検討して本当にその要求事項を採用できないのであ
れば、適用不可能を正当化する文書を作成しなければなりません。

■□■ 平林良人の『つなげるツボ』Vol.55 ■□■

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■□■ 平林良人の『つなげるツボ』Vol.55  ■□■

*** マネジメントシステム規格共通文書4 ***

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■□■ 共通テキスト化のポイント ■□■

 ISO/IEC Directive の附属書SLに組み込まれたMSSのポイン
トは5つあるとして、前回までにそのうち1,2,3について述べま
した。

1.どのMSSにもある普遍的な箇条の文章が共通化されたこと。

2.MSSの構造の統一と用語定義の共通化がなされたこと。

3.MSSを導入する前提を明確にすることが問われるようになっ
たこと。

4.要求事項をビジネスプロセスに統合することが要求されてい
ること。

5.リスクの考え方が導入されたこと。

 今回は、「4.要求事項をビジネスプロセスに統合することが
要求されていること」について説明をします。

■□ ×××要求事項をビジネスプロセスに統合する ■□

 今回の附属書SLの大きなポイントは、箇条5.1にある「組織の事
業プロセスへの統合」です。

 たった一行の文章ですが、この意味するところは経営の本質に
かわるものであり、今回のMSS共通文書によるシステム構築、維
持、改善に大きな影響を与えるものであると考えます。

 認証審査にも当然のこと影響を与えることになると思います。
 ここにおけるポイントは2つあります。一つは「事業プロセス
(business process)」であり、もう一つは「統合(integration)」
です。

■□ 事業プロセスとは  ■□

 箇条5.1の注記に「この規格で“事業”という場合、それは、組織
の存在の目的(purpose)の中核となる活動という広義の意味で解釈
することが望ましい」とあります。

“NOTE : Reference to “business” in this International
Standard should be interpreted broadly to mean those
activities that are core to the purpose of the organization’s
existence”

 ここにおける目的は前回で述べた目的、purposeであって、
objectivesではないことに注意が必要です。このNoteは、「組織の
存在の目的」という組織の根源的なことに触れています。

 ここでいう組織の目的は、まさしく前回ふれたドラッカーの著書
“Management”にでてくる企業の目的である「顧客の創造」であると
いってよいでしょう。 

 顧客の創造に関するプロセスとは、組織が毎日行っている活動であ
り、たとえば市場調査プロセスであったり、商品/サービス企画プロ
セスであったり、とにかく製品或いはサービスをお客様に届けるとい
うことに関係する活動はすべてがそうであるといえます。

 たとえば、研究開発プロセス、設計プロセス、技術プロセス、製造
/サービス提供プロセス、購買、品質保証プロセス、配送プロセス、
クレーム対応プロセス、アフターサービスプロセスなどは当然該当す
ると思います。

 組織が顧客にむいて、顧客のために、顧客の身になって行う活動は
すべて事業プロセスといってよいでしょう。

 すべての企業は、企業自身が作り出す「製品又はサービス(以下、
製品という場合もサービスを含む)」が市場で受け入れられ、その製
品の価値に見合う対価を受け取ることで継続的に存在することができ
ます。

 企業が事業を連続的に継承していくためには、常に企業の製品
が顧客ニーズと期待に合っていなければなりません。そして、そのた
めには、企業自身が「常に顧客ニーズと期待に合った製品」を提供し
ていくマネジメントシステムを構築、維持していくことが重要です。

 企業のマネジメントは、多様な要素から成り立っています。例えば、
事業モデルの確立、ビジョンと戦略の策定、収益構造の維持、研究開
発、安全、環境保全、社会貢献、従業員教育、福利厚生、財務管理、
リスク分析、非常事態への対応、顧客対応と顧客満足度向上、品質管
理、非常時対応、事業継承、内部統制、企業倫理、法例遵守などです。

 これらマネジメントの要素は当然のことながら、企業の性質、規模、
持っている製品によって異なります。しかもこれらは、お互いに影響
をし合い大きなシステムを作っているので、要素の重要性に順序は付
けがたいものです。

■□ CSRも事業プロセス  ■□

 直接顧客の創造につながらなくても、社会全般に向けての活動も間
接的には顧客創造につながるものですので、事業プロセスといってよい
と思います。
 
 たとえば、CSR(企業の社会責任)活動に関係するプロセスもそうで
しょう。CSRには7つの重要な活動があるといわれています。

①組織統治(Organizational governance)に関する活動
 社会正義に反することをしないよう組織を統治する。

②人権(Human rights)に関する活動
 従業員の人権をまもる、例えば差別、強制就業、いやがらせなどを
無くす。

③労働慣行(Labor practices)に関する活動
 就業規則、給与、福利厚生、残業、休日出勤などのルールを守る。

④環境(Environment)に関する活動
 環境保全をはじめ、もろもろの活動により環境への配慮をする。

⑤公正事業活動(Fair operating practices)に関する活動
 法を守る、業界ルールなどを遵守する。

⑥消費者課題(Consumer issues)に関する活動
 消費者保護の精神に則った企業活動をする。

⑦地域社会参画と発展(Community involvement & development) に
 関する活動立地している社会との相互関係を尊重し地域に貢献する。

 CSR活動以外の品質管理活動、環境管理活動、安全管理活動、情報管
理活動などのMSSに関係するテーマも、ほとんどが事業活動(プロセス)
であるといえます。

■□ 事業プロセスは日々の活動に分解される  ■□

 ISO9000規格では、プロセスを「インプットをアウトプットに変換
する、相互に関連する又は相互に作用する一連の活動」と定義してい
ます。

 この一連の活動というところがポイントです。設計というプロセス
を考えてみると、基本設計、構造設計、要素設計、設備設計、許容
交差計算、詳細設計などいろいろな活動がありえます。

 これらの活動は更に小さな活動に分解可能です。例えば、基本設計
を分解すると、素材選択とか、強度計算のようなより小さな、より具
体的な活動になります。
 
 このようにして分解をしていくと、最後は個人が仕事することがで
きる大きさになります。

以上