2026年7月8日
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■□■ 平林良人の『つなげるツボ』Vol. 564 ■□■
― ISOマネジメントシステムのテクノファ ―
*** ISO9001キーワード「ヒューマンエラー」12 ***
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前回ヒューマンエラーを減らすアプローチとして「色分け、形状分け、置き場による管理
」を説明しましたが、今回はその方法の具体的な事例を紹介します。
ヒューマンエラーのタイプに応じて色や形、置き場を工夫することがポイントです。
■□■ 色分け、形状分け、置き場による管理の事例■□■
製造、物流業務、検査業務、サービスなどの現場で行われている具体例を挙げてみます。
(1) 合格、不合格、未検査の識別(混入防止)
・エリアの色分け(床ライン、棚の色、箱の色)
緑=合格、黄=保留、赤=不合格、青=未検査など、色で区分し、置ける場所を物理
的に限定します。混在が起きた瞬間に違和感が出るため、流出防止に効果的です。
・現品票、タグの色分け
同じ部品でも状態が違う(検査待ち/検査済み/特採/不適合)の場合、タグの色を
変える。タグがないものは扱えないルールにします。
(2) 品番取り違え、ロット混在防止
・棚番+ロケーション固定(定位置)
品番ごとに棚を固定し、棚札に品番、写真、バーコードを表示する。取り出し位置が
固定されるだけで、間違えたピッキングが大きく減ります。
・容器形状の分離(異形容器、専用トレイ)
似た部品を同じ箱に入れないように、形が合わないと入らないような専用トレイにす
る(軽いポカヨケ)。ピッキングの取り違えを抑えます。
(3) 工具取り違え、戻し忘れ防止
・シャドーボード(工具の影絵)
工具の形を板に描き、置く場所を固定する。欠品が一目で分かり、戻し忘れを減らし
ます。工具紛失は異物混入リスクにも直結するため効果が大きい。
・用途別の色分け(トルクレンチ、ドライバなど)
例えば、校正済みは緑シール、期限切れは赤シール。あるいは工程別に色テープを巻
き、他工程へ持ち出すとすぐ分かるようにして、誤った工具の使用を防ぎます。
(4) 異物混入、汚染防止
・清掃用具の色分け(ゾーニング)
床用、機械用、食品用など、用途を色で分け、交差汚染を防ぎます。製造だけでなく
医療、飲食でも有効です。
・清掃点検の定置化(清掃箇所の見える化)
清掃箇所を地図化し、清掃用具の置き場とセットで管理する。清掃漏れが減り、粉塵
や異物の早期発見につながります。
(5) 作業の抜け防止(定量、補充ルール)
・定量表示(Min/Max、カンバン)
箱に上限、下限ラインを引き、下限を切ったら補充する。欠品による段取り替え、代
替品使用、焦りを減らします。間接的にヒューマンエラーを抑える代表的な例です。
・書類、情報の定置(トレイ運用)
サービス業では、申請書類を「未処理」、「処理中」、「完了」、「差戻し」のトレイで定
置管理する。書類紛失や二重処理、処理漏れを減らします。
■□■ それでも防げないヒューマンエラー ■□■
色分け、形状分け、置き場管理をしても防げないヒューマンエラーがあります。人間の本
質からくる限界を理解し、他の仕組みと組み合わせることで、よりヒューマンエラー防止
を図ることを目標にします。
(1) 戻さないという問題
定められた場所があっても、忙しいと一時置きが発生します。一時置きが常態化すると
混在が起き、効果が落ちます。対策は、一時置き場を公式に設ける、戻しやすいレイア
ウトにする、戻さないと次工程へ進めないルール(ゲート)を作るなどです。
(2) 色の意味が共有されない
色分けは、色の意味が増えすぎると混乱します。部署ごとに色が違うと、応援者は間違
えます。色ルールの統一、掲示、教育が必要です。
(3) 形状分けできない、似たものが多すぎる
部品形状が似ている場合、形状分けだけでは限界があります。ここはバーコード照合、
専用容器、品番写真表示などを組み合わせます。
(4) 置き場に正しく置かない
正しい棚に置いてあっても、中身が違う、ロットが混ざる、ということが起きます。置
き場管理は「混在の見える化」には強いのですが、正しい内容かを別手段で確認するこ
とが必要です(照合、ラベル、ロット管理)。
(5) 汚れや破損、環境変化による見えにくさ
表示が剥がれる、床ラインが消える、照明が暗い、粉塵で見えないなどの状況になると、
視覚管理は効きにくくなります。維持管理(清掃、補修、点検)が必要です。
(6) 意図的逸脱(近道行為)
定置に戻さない方が早い、という動機で逸脱が起き得ます。ここは作業設計(戻す距離、
動線、時間)と評価制度、マネジメントが影響します。
(つづく)
