2026年6月3日
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■□■ 平林良人の『つなげるツボ』Vol.559 ■□■
― ISOマネジメントシステムのテクノファ ―
*** ISO9001キーワード「ヒューマンエラー」7 ***
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ヒューマンエラー防止にはポカヨケ(vol.553、554)のように非常に効果的なものがあり
ますが、ポカヨケはある状況下には使えても異なった環境では使えないという限定的なも
のです。多くの仕事に有効なものにチェックリストとダブルチェックがあります。チェッ
クリストとダブルチェックは有効でないという人が多くいますが、工夫すればヒューマン
エラー防止に有効になると思います。
■□■ チェックリストの詳細さ ■□■
チェックリストの詳細さは、ヒューマンエラー防止に大きく影響を与えます。チェックリ
ストの詳細さがエラーを防ぐに必要なチェック情報が過不足なく揃っているかを確認する
ことが必要です。ISO9001の8.5.1では、管理された状態で製造・サービス提供を実行す
るため、(a)文書化した情報の利用(c)監視・測定(e)力量ある人の配置などを求めて
います。チェックリストは、このうち特に「c)適切な段階での監視・測定・検証」を、現
場で実践するツールです。しかし、チェックリストの詳細さが甘いと「形だけのチェッ
ク」になり、逆にチェックしているつもり、あるいは責任の曖昧化をまねきます。
チェックリスト詳細さは次の観点で決めることが良いと思います。
(1)何をチェックするか:品番、ロット、数量、設定値、外観、締付け、ラベル、添付書
類など
(2)どのようにチェックするか:目視、スキャン、測定器、治具、記録照合、相互確認など
(3)どうして合格なのか(基準):OK/NG判定基準、許容範囲、合否条件、例外条件
例えば製造業においては、チェックリストに「規定トルク(○N?m)」、及び「トルクレン
チのクリック確認」の2項目をチェックするという詳細さまで書くと、単に「締め付け確
認」と書くよりチェックの信頼性は高まります。さらに、チェックするポイントも重要で
す。人は、作業の最後にまとめてチェックしようとすることが多いのですが、その状況で
は記憶が薄れていて見落としが増えます。チェックのポイント(製造業)は次のように分
散させると良いと思います。
・受入時(材料・ロット)
・工程開始前チェック(設備設定・治具)
・重要工程後チェック(締付け・測定)
・梱包前チェック(ラベル・同梱物)
8.5.1 c)には「適切な段階で監視及び測定活動をする」という要求されていますが、「適切
な段階」は組織固有なものなので、組織が自分で明確にしなければなりません。さらに必
要なことは、3番目の「重要工程」とは何かも明確にするとよいでしょう。
・顧客に影響する工程
・安全に影響する工程
・発生頻度が高い工程
・検出が難しい工程(後では気づかない)
チェックリストの詳細さを決める実務的な基準には「過去の不適合」にするとよいと思い
ます。多くのことを何でもチェック項目に入れると、現場はチェック疲れを起こし、形骸
化したチェックになりがちです。逆に、重大な取り違えや流出リスクがあるのに項目がな
いとエラーが流出する可能性が高くなります。
■□■ ダブルチェックの独立性 ■□■
ダブルチェック(2重確認)は、チェックリストの詳細さを補強する方法です。すべての
工程をダブルチェックすることは現実的ではありませんので、「失敗したら戻せない」「流
出すると重大」な工程をダブルにチェックします。ここでダブルチェック(2重確認)は2
番目の人の独立性が重要です。
・A:作業者が自己チェック(実施者視点)
・B:別の人が独立チェック(検証者視点)
独立性とは、前の人と異なる方法で同じ内容を確認することを意味します。むかし算数で
教えられた、「足し算したら引き算して答えが同じになるか確認する」と同様な考え方で行
うとよいと思います。独立性がないと、二人に同じ思い込みが共有され、チェックの意味
が薄れます。
ダブルチェックの変形に指差呼称があります。目で確認した上に声でも確認する方法です。
「注意を対象に向け、声を出して言語化して確認する」方法で、鉄道、航空、重工業、プ
ラントなどで事故防止に用いられてきた手法です。この方法はこれらの製造業に限らず、
サービス業でも推奨されるヒューマンエラー防止の方法です。
