ISO9001キーワード「組織の知識」AI_3 | 平林良人の『つなげるツボ』

2026年8月12日
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■□■ 平林良人の『つなげるツボ』Vol. 569 ■□■
― ISOマネジメントシステムのテクノファ ―
*** ISO9001キーワード「組織の知識」AI_3 ***
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自動車はガソリンで動きます。最近では電気で動く自動車も出てきました。この2種類の
自動車はエネルギー源が異なることから、動く理屈は違います。AIはどうでしょうか。今
のところAIのエネルギー源は電気でしかないので動く理屈は一つしかありません。それは
0か1かの識別という理屈です。「0」か「1」を並べたビット列命令(二進コード、バイナ
リコード)で書かれた機械語で動きます。

■□■ AIは考えることができる? ■□■
答えはNOです。AIが、人間と同じように意識を持って考えていると確認されているわけ
ではありません。私たちが「AIが考えている」ように感じるのは、非常に複雑な計算によ
って、人間らしい答えを返すことができるからです。現在のAIはコンピュータ上で動い
ていますから、最も基本的なところでは0と1の電気信号で処理されています。しかし、
AIそのものは0と1を見分けているだけではありません。大量の数値を使って複雑な計算
を繰り返しています。
いま自動車では自動運転の研究開発が進められていますが、限定された地域や条件では、
すでに運転者のいない自動運転サービスも実用化されています。これも自動車が考えてい
るわけではありません。AIが考えて運転している?、いえそうではありません。

2022年にChatGPTが登場して、今まで専門家しか触れてこなかったAIに多くの人が接
するようになりました。それまでも、お話しロボットなどがシニアのお相手をするという
話題はありました。しかし、LLM大規模言語モデルという仕組みが開発されてから一変し
ました。
あなたが「おはよう」とAIに挨拶する、あたかも考えているように「今日のご機嫌はいか
がですか」などと答えてきます。しかも、その答えは毎回同じではありません。
どうしてそんなことができるのでしょうか。

AIについて知識を得ようとして驚くことがあります。ちょっとした話を調べようとすると
膨大な出典(reference)が付いてくることです。米国と中国の間のAIの開発競争は熾烈
を極めており、AI開発は企業機密であると思っていました。しかし、ある論文の出典を調
べた時、そうでもないことを知りました。生成AI(人工知能)を含む最新のAI研究の動
向は論文サイト「arXiv(アーカイブ)」に掲載され、世界中の研究者やエンジニアが参照
できるようになっているのです。
生成AI(ChatGPTなど)の核心技術に関する研究論文も論文サイトに掲載され、現在も
参照可能です。それは、2017年にGoogle研究グループが発表した“Attention Is All You
Need:必要なのはAttenntionだけ”という論文です。前回もお話ししたようにAI分野で
はもっとも有名な論文だそうです。

論文では、最初に表題“Attention Is All You Need”が書かれ、その次に共同研究者の名前が
8人書かれています。1人を除き全員がgoogleの研究者です。その次に論文の要旨
(Abstract)が書かれています。

Abstractを日本語にしてみます。
「従来、系列変換(sequence transduction)の主要なモデルは、**エンコーダ(encoder)
とデコーダ(decoder)を備えた複雑な再帰型ニューラルネットワーク(RNN)や畳み込
みニューラルネットワーク(CNN)**を基盤としていました。
特に高い性能を示すモデルでは、さらに**Attention(注意機構)**によってエンコーダと
デコーダを接続しています。
本論文では、Transformerと呼ばれる新しくシンプルなニューラルネットワーク・アーキ
テクチャを提案します。
Transformerは、Attention機構だけを基盤としており、再帰処理(recurrence)や畳み込
み処理(convolution)を完全に使用しません。
2つの機械翻訳タスクで実験した結果、このモデルは、
 ・翻訳品質が優れている
 ・並列処理を行いやすい
 ・学習に必要な時間を大幅に短縮できる
という特徴を持つことが示されました。
私たちのモデルは、WMT 2014 英語→ドイツ語翻訳タスクにおいてBLEUスコア28.4を
達成しました。これは、複数モデルを組み合わせたアンサンブルモデルを含む、それまで
の最高結果を2 BLEU以上上回る結果です。
さらに、WMT 2014の英語→フランス語翻訳タスクでは、8台のGPUを使用して3.5日
間学習することで、単一モデルとして当時の最高性能となるBLEUスコア41.8を達成し
ました。しかも、この学習コストは、それまでに報告されていた最高性能モデルと比較し
て、ほんのわずかなものでした。」

■□■ どうして論文を紹介するのか ■□■
Attention Is All You Need論文を紹介した理由は、我々が毎日便利に使用しているAIがそ
の裏側でどんな仕組みで動いているのか、その仕組みはいつ頃、誰が、どのようにして作
ったのかなどを大雑把で良いから知っておきたいと思うからです。

したがって、論文の内容を理解しようとするつもりはありません。そもそも、我々には論
文に書かれている専門用語、理屈、背景、知識などは持ち合わせていませんので、内容を
正確に理解することは不可能でしょう。
ちょうど自動車を運転するときに、どうして自動車は動くのかを分かりやすく知っておく
ことと一緒であると思っています。
あまり見ることが無いと思いますので、AI分野で有名になったという論文を掲載します。
著作権がありますので冒頭の部分だけ引用します。

Attention Is All You Need論文

(つづく)