ISO 9004:2018の概要9 | 平林良人の『つなげるツボ』

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■□■ 平林良人の『つなげるツボ』Vol.161 ■□■
*** ISO 9004:2018の概要9 ***
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ISO 9004:2018 の概要についての説明の9回目です。
前々回は急遽朝日新聞の記事を取り上げ、9004シリーズが切れて
しまい読みづらかったかと思います。

ISO 9004は2018年4月に改定版が発行されました。今回は箇条11
「改善、学習及び革新」(その1)についてご説明をいたします。

■□■ 11 改善、学習及び革新 ■□■

改善,学習及び革新は,相互に依存しており,組織の持続的成功に
貢献する重要な側面です。改善,学習及び革新は,製品,サービス,
プロセス及びマネジメントシステムへのインプットを生み出し,
望ましい結果の達成に貢献します。

組織は,外部及び内部の課題から,並びに利害関係者のニーズ及び
期待から絶えず変化に晒されており、影響を受けています。
改善,学習及び革新は,持続的成功の達成を支援するだけでなく,
こうした変化に対応する組織の能力を高めることに貢献することが
できます。

■□■ 11.2 改善 ■□■

改善とは,パフォーマンスを向上させる活動ですが、パフォーマンスは,
製品又はサービス,若しくはプロセスにおいて組織が目標とすべき
「測定可能な結果」のことをいいます。

製品又はサービスのパフォーマンスの改善は,利害関係者のニーズ及び
期待を満たし,経済的効率を増進させることで、組織を持続的成功に
導きます。

プロセスの改善は,有効性及び効率の増加につながり,コスト,時間,
エネルギー及び無駄の削減などの便益をもたらし,結果として,利害
関係者のニーズ及び期待をより効果的に満たすことに繋がります。
改善活動は,地道な継続的改善から組織全体のトップ主導による著しい
改善(改革)まで広範囲にわたります。

組織は,そのパフォーマンスの分析及び評価の結果を利用しながら,
その製品又はサービス,プロセス,構造並びにそのマネジメントシス
テムの改善目標を定めることがまず必要です。

改善プロセスは,構造化されたアプローチに従うことが望ましいの
ですが、この方法論は,全てのプロセスに対して一貫して適用する
必要があります。そのためには、次のようなことが,組織文化の
一部となることが望まれます。

1.人々が参加し,改善の結果が成功に貢献する動機付け

2.改善を達成するのに必要な資源の提供

3.改善に対する表彰制度

4.改善活動へのトップマネジメントの積極的参加

■□■ 11.3 学習 ■□■

改善・革新は,学習を通して動機づけされますが,学習は経験,
情報の分析,並びに改善及び革新の結果から多くの情報源を得る
ことができ、学習と改善及び革新は相互に影響を及ぼしています。

組織は,学習によって個人の能力を上げることができますが、
さらに個人の能力を統合して、組織の能力を上げることにまで
その目的を掲げることが必要です。
以下の事によって学習に関する情報を得ることができます。

1.成功事例及び失敗事例

2.様々な外部及び内部の課題

3.利害関係者に関連する情報

4.収集された情報の分析から得られる洞察

個人の能力を統合して組織の能力にするためには、人々の知識,
思考パターン及び行動パターンを組織の価値基準に合致させる
ように人々を誘導すること、双方の組み合わせを考えることが
推奨されます。

組織は,明白なもの又は暗示的なもの、組織の内又は外からの
知識など、いろいろな観点から知識を層別するとよいでしょう。

組織は、知識を資産として運用管理し,維持するために、知識を
監視し、新しい知識を獲得するように努めることも必要でしょう。

より効果的に知識を共有する学習組織になるためには、次のこと
を考慮することが望ましいとしています。

1.組織の使命,ビジョン及び価値基準、組織の文化

2.トップマネジメントがリーダーシップを発揮することによって,
学習への取り組みを支援すること

3.組織の内外におけるネットワーク作り,人々のつながり,相互作用

4.学習及び知識の共有のためのシステムの維持

5.人々の改善を支持し表彰すること

6.創造性を認め,組織の異なる人々の多様な意見を尊重すること

持続的成功への道を運営管理するために,組織能力を高めようと
する組織は、知識への迅速なアクセス及び利用を重要視することが
必要です。