■□■ 平林良人の『つなげるツボ』Vol.90 ■□■

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■□■ 平林良人の『つなげるツボ』Vol.90 ■□■
*** 附属書SLの理解 ***
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■□■ ISO9001を例として ■□■

 箇条4.「組織の状況」は、附属書SLの特徴とし特記されるべき部分で、
組織がどのような背景でXXXマネジメントシステムを構築するのかに関する
要求です。

XXXを「品質」としてISO/DIS9001を例にとって解説したいと思います。 

■□■ 4.1「組織及びその状況の理解」■□■ 

 「その品質マネジメントシステムの意図した成果を達成する組織の能力に
影響を与える、外部及び内部の課題を決定しなければならない」という
要求事項が出てきます。

このあたりはリアリティである実態の組織ではどこでも分析していることです。

課題のない組織はありません。
もしあれば、そのような組織はきっと長くは存続できないでしょう。

ISOはマネジメントシステムなので、
現在の良いレベルを今後も続けていくことを目的としています。

ISO9001の意図する成果とは、組織全員で製品の質をベストの状態に保ち、
お客様へ提供する製品の質に取り組むことにあります。

意図した成果は、不良率を減らす、お客様からのクレームを減らす等、
組織の事業年度で決めているものと一致するはずです。

つまり、「4.1」では、組織がいま進めていることを
そのまま書けばいいということになります。

■□■ 4.1「外部、内部の課題」■□■

 外部や内部のさまざまな問題を明確にしておくことも要求されています。

共通テキストには、「組織の能力」という用語がでてきます。
能力は、組織の人々、あるいは機械、エネルギー、建物、
マネジメント等にあるものです。

プロセスも能力を持っています。
この能力に影響を与える要因を決めておくことが要求事項にはあります。

人が変わる、機械が古くなる、劣化する等、いろいろな意味で
能力に影響する課題を決めておく必要があるのです。

ISOでは、外部及び内部の課題は、
組織が目的とする範囲内でかまわないと定義し、
それを越える課題を取り上げることは要求していません。

組織の能力に影響を与える外部課題としては、
法令規制などを上げることができます。

いろいろな法律、例えば建築基準法が変わり耐震性が強化されますと、
いままでの能力では対処できないことが出てきます。

内部課題では、組織変更、教育、予算、人材の入れ変わり、
レイアウト変更、要員の力量、技術力劣化、検査検出力、
お客様満足の把握、欠勤、処遇、定年等、いろいろなものが想定できます。

■□■4.2「利害関係者のニーズ及び期待の理解」■□■ 

 いままでの要求になかった利害関係者を
はっきりさせることが求められています。

これも、
お客様が何を期待しているのかをはっきりさせればいいことなので、
新たに文書を作る必要はありません。

利害関係者には、例えば直接のお客様と最終利用者、
下請けや部品メーカー、規制当局等が考えられます。

ISO14001では、顧客、地域住民、供給者、規制当局、非政府組織、
投資家、従業員が含まれるかもしれません。

このなかでは、
働いている人々が一番身近な利害関係者かもしれません。

その方々が質を担保するのだから、従業員がモチベーションを
保てなければ成果は上がらないということになります。

■□■4.3「 品質マネジメントシステムの適用範囲の決定」■□■ 

 適用範囲は、いままでなら○○株式会社、○○工事、
○○建設○○事務所、全社等、カバーする範囲が
証明書に書かれているだけでした。

それが今回から、「4.1」で規定する外部及び内部の課題と
「4.2」で規定する利害関係者のニーズを考慮して適用範囲を
組織が自身で決めることが求められているのです。

自ら組織の目的に照らし、あるいは利害関係者に
配慮して決めるわけですから、限定した部署だけに
適用させてもいいのか、迷うところです。

ISO9001は法律ではなく、民間の自主規制、仕組みと
考えられますから、まずは組織が自分の状況に基づいて
必要であると考える範囲に適用することでよいのです。

その後、継続的に改善していけばよいと考えましょう。

4.3には
「その境界及び適用可能性を決定しなければならない」
と書かれています。

ある要求事項に該当することが組織に存在しなく、
適用しなくても目的を保証できるならば規格は
該当する要求事項を自身の判断で外すことができます。

ただし、意図的に外すことは認められません。

「4.1」と「4.2」を考慮すれば当然恣意的な不適用は
できないはずでしょう。

■□■4.4「 品質マネジメントシステム」■□■

 「組織は、この規格の要求事項に従って、
必要なプロセス及びそれらの相互作用を含む」という内容は、
現行の規格にもあります。

ISOの規格は使い手次第ともとれる内容だが、
他社との差別化を目指すのであれば、
この部分を戦略的に考えるべきでしょう。

プロセスアプローチを具体的にどのように展開するのか
次期ISO9001規格の一つの大きなポイントです。

規格はQMSに必要なプロセスにa)~h)を決定することを
求めています。

以上