建設施工における設計・開発 | 平林良人の『つなげるツボ』

■□■ 平林良人の『つなげるツボ』Vol.108 ■□■   
*** 建設施工における設計・開発 ***
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■□■ くい打ち工事の品質管理 ■□■

連日、横浜のマンションの報道が各種メディアでなされています。
起きたこと、経過はまだすべてが明らかではありませんが、なぜそのようなことに
なったのか考えさせられます。今後、事実が明らかになっていくものと思います。

■□■ 外注の品質管理 ■□■

今回の事件でクローズアップしているのが外部委託の品質管理です。先週の日経新聞
でも大きく取り上げられていました。建設業界の重層構造に切り込む記事でした。

ISO9001:2015改正においては、箇条8.4「外部から提供されるプロセス、製品及び
サービスの管理」において、アウトソースの管理を要求されています。

このこと、すなわち外注の品質管理が今回そのままずばりの事象として社会問題化し
ました。

■□■ ISO9001:2015を見てみよう ■□■

改めてISO9001:2015を見てみましょう。8.4.1には次のようにあります。

「組織は,外部から提供されるプロセス,製品及びサービスが,要求事項に適合して
いることを確実にしなければならない。
組織は,次の事項に該当する場合には,外部から提供されるプロセス,製品及びサー
ビスに適用する管理を決定しなければならない。

a)外部提供者からの製品及びサービスが,組織自身の製品及びサービスに組み込む
ことを意図したものである場合

b)製品及びサービスが,組織に代わって,外部提供者から直接顧客に提供される場合

c)プロセス又はプロセスの一部が,組織の決定の結果として,外部提供者から提供さ
れる場合

組織は,要求事項に従ってプロセス又は製品・サービスを提供する外部提供者の能力
に基づいて,外部提供者の評価,選択,パフォーマンスの監視,及び再評価を行うた
めの基準を決定し,適用しなければならない。

組織は,これらの活動及びその評価によって生じる必要な処置について,文書化した
情報を保持しなければならない。」

■□■ 組織とは誰か ■□■

8.4.1の一番最後には次のようにあります。

「組織は・・・外部提供者の評価,選択,パフォーマンスの監視,及び再評価を行う
ための基準を決定し,適用しなければならない。組織は,これらの活動及びその評価
によって生じる必要な処置について,文書化した情報を保持しなければならない。」

ここでいう組織は、いうまでもないことですが、外注にプロセスを発注する組織のこ
とです。

■□■ 管理の方式及び程度 ■□■

8.4.2においては「管理の方式及び程度」を決めなければならないとされています。

「管理の方式及び程度」を決めるのは組織です。
例えば、施工業者にはISO9001でいう「設計・開発」はシステムとしてないという説
がありますが、発注する側から見るとそれで大丈夫なのでしょうか。

「設計・開発」を考えるときには、施工における製品とは何であるかを考える必要が
あると思います。