ISO 9004:2018の概要6 | 平林良人の『つなげるツボ』

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■□■ 平林良人の『つなげるツボ』Vol.157 ■□■    
*** ISO 9004:2018の概要6 ***
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ISO 9004:2018 の概要についての説明の6回目です。
ISO 9004は2018年4月に改定版が発行されました。
今回は箇条9のリソースマネジメント(3回目)について
ご説明いたします。

■□■ 9.6 外部から提供される資源 ■□■

組織は,製品・サービスの実現のために外部からいろいろな資源を
調達します。外部提供者から調達した資源は、組織の製品・サービスの
品質に影響を及ぼします。

組織は、外部から提供された資源を効果的に運用管理することを
経営上重要な要素であるとして認識しなければなりません。
外部からの資源の調達は,組織にだけでなく利害関係者にも
影響を及ぼすことを考えなければなりません。

調達における組織と外部提供者との関係は、相互依存関係にあるとして、
組織の活動に参画する全ての者にとって有益となる方法で調達の
運営管理することが望まれます。

組織は、外部提供者の能力を活用して顧客に価値提供をし、その過程において
相互関係を向上させることが望ましいとしています。

外部提供者・パートナは、組織にはない知識を保有していますので,組織が
プロジェクトに関連するリスク及び機会(結果として得られる利益または損失)
を共有する際には,外部提供者・パートナとの提携を推奨しています。

パートナとは,製品・サービスに関する外部提供者以外,技術的専門組織、
金融機関及び公的機関(政府及び非政府組織)及びその他の利害関係者などを
いいます。

外部提供者の運用管理に関して,次の事項に関係するリスク及び機会を
考慮に入れることが望ましいとしています。

1. 施設能力又は生産能力

2. 技術的能力

3. 外部提供者の資源入手可能性

4. 事業継続性

5. サプライチェーン

6. 社会的責任

■□■ 9.7 天然資源 ■□■

組織が保有及び扱う資源には次のものがあるとしています。

1. 財務資源

2. 人々

3. 組織の知識

4. 技術

5. 機器,施設,エネルギー及び付帯設備などのインフラストラクチャ

6. 組織のプロセスにおける環境

7. 製品及びサービスの提供に必要な材料

8. 情報

9. 子会社,パートナーシップ及び協力関係など外部から提供された資源

10. 天然資源

最後に天然資源を上げています。

地球温暖化が叫ばれている今日、組織は社会への責任を認識し,
この認識に基づいて行動しなければなりません。
組織は、消費する資源、エネルギーがどのような形で自然環境に影響を
与えるかを認識しなければならないとしています。

■□■ 自然環境保護 ■□■

組織の資源、エネルギーの消費は、製品・サービスの提供の観点からは、
持続的成功に影響を及ぼす戦略的な課題として捉えることが必要でしょう。

組織は,水,土壌,原材料などの不可欠な資源をどのように取得し,維持し,保護し,
利用するかについて検討を重ねることが必要です。組織は,そのプロセスが
必要とする天然資源の現在及び今後双方の利用,並びに製品・サービスの
ライフサイクルに関連する天然資源の利用による影響を認識しなければなりません。

持続的成功のための天然資源の運用管理は、次の事項を検討することが必要であるとしています。

1. 資源を戦略的事業事項として取り扱う。

2. 利害関係者の期待する効率的な利用に関する新しい技術を得る。

3. 資源入手可能性を監視し,スク及び機会を明確にする。

4. 資源ライフサイクル(発掘から廃棄まで)全体を通じた資源利用の影響を見極める。

5. 利用のベストプラクティスを実施する。

6. 資源の利用を改善し,その利用による潜在的な影響を最小限に抑える。