標準化―ISO 9001-1 | 平林良人の『つなげるツボ』

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■□■ 平林良人の『つなげるツボ』Vol.207 ■□■    
*** 標準化―ISO 9001 ***
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これまで8回にわたって、来る7月のJIS法改正に関して、
日本の標準化戦略に関する話をしてきましたが、ISO 9001も標準化
そのものを目的に作られた規格です。

■□■ 何を標準化するのですか ■□■

組織のマネジメントを標準化します。
それも製品及びサービスの品質を管理し、保証するマネジメント
システムの標準化です。

■□■標準化にISOを使うかは組織の勝手でしょう■□■

そのとおりです。経営者はマネジメントする方法を自分で決め、
競争に勝ち抜いていかなければなりません。
経営者がISO 9001の規定を有効であると判断し、要求事項に基づいた
マネジメントシステムを構築すると決めたならば、9001の標準を適用
すればよく、すべての組織が必ずISOを品質マネジメントシステムの
基準に活用しなければならないルールはありません。

■□■でも顧客は9001を求めています ■□■

ISO規格の定めた品質保証の要求事項を運用している組織だったら、
そこから産み出される製品及びサービスの品質は良いと考えられます。
顧客は自分で組織に出かけて購入する製品及びサービスの品質を
チェックする代わりに、ISO 9001 に適合するマネジメントシステムの
構築を要求します。

■□■ すべての顧客が要求しますか ■□■

いいえ、これも顧客の勝手です。要求する顧客もいれば、要求しない
顧客もいます。有名な顧客としては、自動車メーカー、航空機メーカー
などがいます。自動車メーカーは、アメリカのビックスリー
(フォード、GM、クライスラー)及び欧州自動車メーカー
(ベンツ、BMW、ボルボ、ルノー、アウディなど)は要求していますが、
トヨタ、ホンダなどの日本の自動車メーカーは要求していません。

■□■ 経営者の考え方 ■□■

先に述べたように、顧客から要求されなくてもISO 9001の内容に魅力を
感じる経営者もいます。誰からも要求されなくても、製品及びサービスの
品質を保証するシステムを標準化して、今の良い状態を今後とも継続して
維持したいと考える経営者がいます。あるいは、今はあまり良い状態では
ないので、工程内不良を無くし、クレームを削減し、不良コストを低減
させることに悩んでいる経営者が、ISO 9001の標準を活用して改善したいと
考えるケースもあります。

■□■ ISO 9001を活用すれば良くなる ■□■

経営者がISO 9001を活用すれば製品及びサービスの品質が良くなるかと
いうと、ISO 9001の使い方次第です。
何事もそうですが、可能性あるものから実益を取り出すにはそれなりの
ノウハウがあります。

若いころ、私はテニスをスポーツとして愛好していました。年を重ねるに
したがってゴルフに転向しました。毎月1,2回ゴルフコースに出て体を
動かしています。
あるとき、知人から有名なゴルフクラブメーカーからシニアでも距離が
出るクラブが発売されたと聞き、早速購入をしました。

■□■さぞ距離が出るようになったでしょう■□■

いいえ、期待に反して今までと同じで、新しいクラブの効果はありません
でした。
知人にその旨話したところ、「たぶん使い方が悪いと思う、今度の
ウイークエンドに練習しよう」と誘われました。

■□■ 結果はどうでしたか ■□■

2つのことを得ました。

・道具には特徴がある。特徴は目的に合うように決められている。
・目的と特徴を理解して、クラブの使い方を変える。

新しいクラブは軽くて底が広くなっているので、芝生の上を滑らすように
振ることをアドバイスされました。それまでは、芝生に食い込むような
振り方でしたので、慣れるまでに時間がかかりました。
自分では変えたつもりでも、知り合いから見ると変わっていない、と
6か月にわたり指導を受けました