平林良人の『つなげるツボ』Vol.313

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■□■ 平林良人の『つなげるツボ』Vol.313 ■□■
― つなげるツボ動画版はじめました ―
*** ナラティブ内部監査17 ***
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およそ20年も前の話です。大学時代の友人の紹介で出会ったY先生
から「個立」という言葉を教えていただきました。Y先生とは、テク
ノファでキャリアカウンセリングの養成講座を行いたいと思っていた
時に出会った横山哲夫さんのことです。新しい養成講座にチャレンジ
しようと思ったのは、当時ISO9001の養成講座には「心が入っていな
い」と感じたからです。品質管理には人の心は無縁だと当時は大きな
誤解をしていました。

■□■ 個立している人 ■□■
英国工場での全従業員参加のクリスマスパーティが終わりました。パー
ティは成功裏に終わりましたが、事後の会計で事件が起こりました。
予定をしていた人数の倍の人が参加していて、アルコール、料理が大幅
に追加され、200万円くらいの予算が実際は500万円くらいかかってい
ることが判明したのです。
なぜ予定していた倍もの人が来たのかがわかりました。家族を持ってい
る従業員の夫、妻、子供の数は当初から人数に数えていたのですが、前
の家族、及び前の恋人(元カレ、元彼女)など複数以上のグループが予
約なしで参加していたのです。
ここから見えてきたのは、個人を中心とした英国社会の様相です。自分
のやりたいことを中心に生活設計する、自分と合わないと判った伴侶と
は躊躇なく別れる、しかし喧嘩して別れたのではないので、その後も家
族同士で付き合う、そんな社会の一面が自立の側面を表しています。

この事件は私に「自立」ということを強く意識させました。このことを
きっかけに、私は本社の事業部長に談判をしました。それは英国工場の
人事は現地責任者である自分に任せてほしいというものでした。
当時工場管理職の人事には本社事業部の意向が強く影響していたのです
が、自立をしたかった私としてはそれを煙たいと感じており、日本サイ
ドの意向を排除したかったのです。

■□■ やりたいことをやる ■□■
事業部長への談判の内容は、英国現地の人事には適材適所という考えを
通したいという考えについてでした。この事件があるまでは遠慮して言
えなかったのですが、英国人の自立の精神に触れて、言いたいことを言
おうと決心しました。
人間は自分がやりたい仕事をやるときには自分の能力を存分に発揮しま
す。場合によっては、自分が持っている以上の力を発揮することもあり
ます。自分がやりたくない仕事をやらされるときには自分の能力を十分
に発揮しようという気になりません。
適材適所を実現させるには、部下と「自分はどういう仕事をしたいのか、
なぜそれをしたいのか。そうすることで、会社にはどういうメリットが
あるか」を話し合う必要があります。
そうすることによって、1人ひとりにとっての仕事の大切さが明確にな
り、主体的で自立的な人材になっていきます。当時の私は、「やりたい
人でかつできる人に、その仕事をしてもらうこと」、つまり真の適材適
所を実践する組織を英国に作りたいと思っていたのです。

■□■ やりたくないこともやる ■□■
組織では、やりたくない人にやってもらわなければない場合や、できな
い人にできるようになってもらわなければならない場合があります。
このような場合に重要なことは話し合いです。上司は部下の話をきちん
と聴くことができなければなりません。相手の考えや気持ちをきちんと
受けとめることができ、相手のことをきちんと理解することができなけ
ればなりません。「聴く」という字は、「耳へん」に+(プラス)され
た「目」が「心」により支えられている構造を持っています。ただ、目
は横に寝ていますが・・・。
すなわち、耳と目と心の3器官で精魂かけて受け止める行為を「聴く
(listen)」というのです。一方「聞く(hear)」は耳に音が入ってくる
ことをいいます。鳥のさえずりが聞こえてくる、隣家からピアノの練習
音が聞こえてくるといった時に使います。

■□■ 傾聴 ■□■
「聴く」ということは大変エネルギーを要する行為です。人の話には「事
実」「要望」「感情」が混然一体になっているそうですが、その状態をと
ぎほぐし、何が事実で、何が言いたいこと(要望)で、どこに怒っている
こと/どこに悲しんでいることが潜んでいるのか、などを聞き分けることが
大切です。しかし、話の中から混然一体になっているものを聴き分けるに
はある程度の訓練が必要になります。
この訓練のことを傾聴トレーニングといい、その中にある「勘コツ」を傾
聴スキルといいます。
話し合いにおいては、本人に対する組織の期待やマネジメント方針などを
きちんと伝えることができなければなりません。話し合いの時に求められ
るコミュニケーション能力において、まず重要なことが傾聴です。上司が
部下の意図を何ら考慮せず、ただひたすら一方的にしゃべることはご法度
なことです。