ISO9001の写像2 | 平林良人の『つなげるツボ』

■□■ 平林良人の『つなげるツボ』Vol.98 ■□■
*** ISO9001の写像2 ***
—————————————————–
■□■ISO9001要求事項のMappingの仕方■□■
前回は写像という言葉を使いました。

案の定難しいという反応がありましたので、
今回からはmappingという言葉に変更します。

「写像」とmappingではニュアンスが異なりますが、
行うことの目的は同じですのでmappingでよいかと思います。

ISO9001要求事項を組織のプロセスに
mappingする手順は次の通りです。

このmappingを通じて、
「事業プロセスへの品質マネジメントシステム要求事項の統合」
することが可能になります。

1.規格の要求事項を理解する。
2.箇条4.4で要求されている「QMSに必要なプロセス」の
input、outputなどにmappingする。
3.mappingした内容を貴社の具体的内容に置き換える。

■□■input、outputなど■□■
ISO9001:2015箇条4.4では、mappingされる先を、
それぞれのプロセスのinput、output以外、
次の多くのものを指定しています。

a)input、output
b)省略
c)判断基準、方法(測定を含む)
d)資源
e)責任権限
f)リスク、機会
g)監視、測定
h)改善

ここでb)を省略としたのは、「順序及び相互作用」は
フローチャートで示すことの方が効果的であるからです。

■□■「QMSに必要なプロセス」と「事業プロセス」■□■
上述した
「事業プロセスへの品質マネジメントシステム要求事項の統合」
という要求は、ISO9001:2015箇条5.1.1 d)にあります。

箇条4.4も品質マネジメントシステム要求事項ですから、
4.4で要求されている「QMSに必要なプロセス」は
事業プロセスに統合されたものでなければなりません。

すなわち、事業プロセスから、QMSに必要でないと
組織が判断して削除して残ったものが「QMSに必要なプロセス」です。

■□■では事例を示します■□■
簡潔明瞭な事例は、
「8.3 製品及びサービスの設計・開発」において示すことができます。

まず、「8.3.3 設計・開発へのインプット」です。

「組織は,次の事項を決定しなければならない。
a)該当する場合には、機能及び性能に関する要求事項を含めた、
設計・開発される特定の種類の製品及びサービスに不可欠な要求事項
b)適用される法令・規制要求事項
c)組織が実施することを約束している、実践の基準又は規範
d)製品及びサービスの設計・開発に必要な内部資源及び外部資源
e)製品及びサービスの性質によって起こり得る故障の影響
f)顧客及びその他の利害関係者によって期待される、
設計・開発プロセスの管理レベル

インプットは,設計・開発の目的に対して適切で、漏れがなく、
曖昧さのないものでなければならない。

インプット間に相反するものがあるときは、
これを解決しなければならない。」

この要求事項は、組織の設計プロセスのinputにmappingすることに
なります。

同様に「8.3.5 設計・開発からのアウトプット」は、
組織の設計プロセスにoutputにmappingします。

「組織は、設計・開発からのアウトプットが、次の状態であることを
確実にしなければならない。

a)設計・開発に関するインプットの要求事項を満たす。
b)製品及びサービス提供に関するそれ以降のプロセスに対して
適切である。
c)監視及び測定の要求事項、及び該当する場合には、
合否判定基準を含むか、又はそれらを参照している。
d)製造される製品、又は提供されるサービスが、意図した目的、
及びそれらの安全で適切な使用に適していることを確実にする。

組織は、設計・開発プロセスの結果として生じた、文書化した情報を
保持しなければならない。」

■□■mappingするときのポイント■□■
mappingするときに一つ重要なポイントがあります。

貴社でmappingした内容を組織の具体的なinput、outputに
置き換えることが重要です。

例えば、inputのb)には「適用される法令・規制要求事項」と
ありますから、もし貴社が食品会社でしたら
「食品衛生法」にある規制事項を掲げることになります。

ISO9001規格は一般的にしか規定していませんから、
貴社の具体的な内容に置き換えなければなりません。

ここで疑問が生じると思います。
「適用される法令・規制要求事項」といっても
食品衛生法以外多くの関係する法律があるが
いくつ位特定しなければならないのか?

また、ISO9001規格の要求は「法令・規制要求事項」であって、
法律名を要求しているわけではないが、どうすべきか?

などの疑問が出てくるものと思います。

箇条4.4の最後には次のように書かれています。

「組織は、プロセスの運用を支援するために必要な程度の、
文書化した情報を維持し、かつ、プロセスが計画どおりに
実施されたという確信をもつために必要な程度の、
文書化した情報を保持しなければならない。」

そうです、プロセスが計画どおりに実施されたという確信をもつために
必要な程度でよいのです。

結局貴社が、自分自身の現状を踏まえる中から、
この「必要な程度」が決まってくるのです。

次回は、箇条8.3の触れなかった以下の細分箇条について説明をします。
8.3.1 一般
8.3.2 設計・開発の計画
8.3.4 設計・開発の管理
8.3.6 設計・開発の変更

以上

ISO9001の写像 | 平林良人の『つなげるツボ』

■□■ 平林良人の『つなげるツボ』Vol.97 ■□■
*** ISO9001の写像 ***
—————————————————–
■□■ 写像とは■□■
今回はすみませんが、少々難しい話をします。

表題にある「写像」とは、数学分野で、
「二つの集合が与えられたときに、一方の集合の各元に対し、
他方の集合のただひとつの元からなる集合を指定して
結びつける対応」のことです。

この写像という言葉は、流体力学の分野では、
「複雑な形状周りの流れは、等角写像により簡単な流れに
焼き直すことができる」というように応用されています。

例えば、円柱周りの流れの諸特性(流速や圧力の分布)
が判れば、翼周りの流れが解明できます、という意味です。

円柱周りの座標点と翼周りの座標点の相互関係
(変換関係)が論理的に(この場合数式で)示せれば、
解析が容易な円柱周りの流れの解析結果から、
論理的に翼周りの流れの解析結果を導くことが
できるということです。

■□■ 何を言いたいのか?■□■
急に日常ほとんど使われない「写像」などという
難解な言葉を出してしまってすみません。

複雑な問題と簡単な問題との相互変換関係が
論理的に示すことができれば、簡単な問題に対して
整理され認識された物事は、その変換を通じて
複雑な問題に焼き直して事象を認識することができるのです。

この変換を写像というのですが、
影像あるいは映像も近い言葉でしょう。

英語では写像をmappingといっています。
影像はimagingですね。

ISO9001規格の要求事項を組織のプロセスに写しだすと
どんな像が結ばれるのかを確認してQMSを運用することを
お勧めします。

■□■ どのように写像するのか ■□■
決まったやり方はありませんが、次のような順序で
写像するとよいのではないでしょうか。

1.ISO9001:2015規格が何を要求しているのか
正しく理解する。

2.要求事項が自身の組織のどの事業プロセスに
関係しているか考えてみる
(規格要求事項を事業プロセスに写してみる)。

3.自身の事業プロセスで実施している事柄と
規格要求事項とのギャップを考える
(事業プロセスに結ばれた像に欠落しているものは
何か考える)。

4.ギャップとして摘出された項目を構築し、実施、
維持していくシステムを計画する。

5.システムを組織の中で運用していく。

■□■ 事業プロセスとは ■□■
上記説明で「事業プロセス」という言葉を使いましたが、
これはISO/DIS9001:2015に出てくる言葉です。

「5.リーダーシップ及びコミットメント

5.1 品質マネジメントシステムに関するリーダーシップ
及びコミットメント

トップマネジメントは,次に示す事項によって,
品質マネジメントシステムに関するリーダーシップ及び
コミットメントを実証しなければならない。

d) 組織の事業プロセスへの品質マネジメントシステム
要求事項の統合を確実にする。」

なぁ~んだ、写像なんてもっともらしい言葉を使っているが、
2015年改正規格の要求事項にある、事業プロセスに
規格要求事項を統合することを意味しているのではないか、

特別のことを言っている訳ではない、と思われるでしょう。

そうです、そのとおりですが、
では貴方の組織の事業プロセスは明確になっているでしょうか?

■□■ マルコムボルドリッジ賞の事業プロセス ■□■
アメリカには大統領が表彰するというMB賞があります。

この賞は、組織の顧客からの評価に焦点を合わせ、
組織のパフォーマンスを評価するという点で、
ISO9001の認証制度とは異なる視点で運用がされています。

このMS賞のプロセス評価基準になっているものに、
米国生産性品質センター
(APQC:American Productivity and Quality Center)が
発表している「Process Classification Framework」があります。

ここには多くの事業プロセスの記載があります。

組織で行われている標準的な業務のベストプラクティスを調査し、
ベンチマーキングするための基準としての事業プロセスを
定義しています。

組織の業務を大きく12の事業カテゴリーと、
これをさらに細分化した250の事業プロセス、
および650の活動に分類しています。

URLは https://www.apqc.org/pcf ですので
参考にしてください。

以上

チュニジアの惨劇 | 平林良人の『つなげるツボ』

■□■ 平林良人の『つなげるツボ』Vol.96 ■□■
*** チュニジアの惨劇 ***
—————————————————–
■□■ 昨年の品質に関する講演 ■□■

皆さんすでにご存じのようにチェニスで日本人が
3人犠牲になりました。

昨年の11月に当地で品質に関する講演をしただけに、
あのきれいな自然豊かな環境の中であのような血を流すテロが
行われることに複雑な思いを抱いています。

テロの背景(イスラム国)にはいろいろあるのでしょうが、
今言えることは地球が狭くなり、誰でも被害者になる可能性が
あるということです。

飯塚先生のご紹介で昨年11月13日、
チェニスの今回の惨劇の場所となった国立博物館の近くのホテルで
「アカウンタビリティと品質」の講演をしました。

チュニジアでは、ISO9001の認証についてはあまり普及しておらず、
組織の製品・サービスの品質を保証することに関しての関心が
より強かったように思います。

アカウンタビリティは、社会的な正義に関してのトピックスであり、
製品、サービスの品質もそれに関係するという観点からの
Quality Dayの講演の一幕を担当させてもらいました。

■□■ How to preserve the rules ■□■

How to preserve the rules of quality and social accountability?
が昨年の私の講演のタイトルでした。

その趣旨は、組織の全員が決められたルールを守るには
どのようにしたら良いのか、というものです。

ISO9001もISO14001も今年の9月に改正版が出される予定で
規格作成が進んでいますが、
システムの本質には全員でルールを守るというものがあります。

チュニジアでは、マネジメントシステムというよりも
今生産している製品の品質を如何に顧客の期待に合致させるか、
が問われている、

そのためには全員が品質を作り込むという責任を守らなければならない、
という状況がひしひしと伝わってきました。

翻って、日本ではどうかといいますと、
システム認証が花盛りです(というほどでも今はないか?)が、
システムがあれば製品の質がよくなるかというと、
今までの実績が示すように必ずそうはなっていません。

ISO9001もISO14001も改正版は、附属書SLに基づいていますが、
附属書SLはシステムの前提である「全員がルールを守る」という
最も重要な基本について明示的な要求はしていません。

もちろん、「管理された状態で・・・」という表現が
ルールを守ることを示唆しています。

が、直接的な言い方をしていないので、
この重要な要件を忘れていると、
思わぬ事故を引き起こす基になることを忘れてはなりません。

以上

トリニダードトバコの会議 | 平林良人の『つなげるツボ』

—————————————————–
■□■ 平林良人の『つなげるツボ』Vol.95 ■□■
*** トリニダードトバコの会議 ***
—————————————————–
■□■ ISO45001の国際会議 ■□■

1月の日本では寒い時期に暑い南米に行って来ました。
カリブ海に面したトリニダードトバコという国です。

今回のISO45001労働安全衛生の会議が開催されるまでは
名前は聞いておりましたが、地図で確認するまで
どこに存在するのか知りませんでした。

南米ベネズエラの数十キロ沖にある2つの島、
トリニダード島とトバコ島からなるオイルリッチな小さな国です。

ウミガメの産卵の島として有名だそうです。

石油採掘がはじまる前までは農業、漁業だけの国でした。

しかし、今では国民一人あたりのGDPが20,000ドルと
中国の7,000ドルを大きく超えるような国になっています
(ちなみに、日本の一人当たりGDPは40,000ドル、
シンガポールは55,000ドル)。

しかし、最近の原油価格の暴落に頭が痛いとは
初日のISO/PC283(労働安全衛生マネジメントシステム)
総会での担当大臣の挨拶でした。

■□■ ISOとILOの歩み寄り ■□■

ISOとILOは2012年に
労働安全衛生マネジメントシステム規格を共同で作成しようと
覚書(MoU:Memorandum of Understanding)を交換しました。

2000年から10数年続いた国際的なジュアル(2重)な
労働安全衛生MSS(OHSAS18001とILOガイドラインOSHMS)を
一本化しようという両者の画期的な動きです。

会議においてISOとILOは、
以前よりはお互いが歩み寄っている印象を受けました。

以前というのは2013年のPC283設立当時のことを指します。

2000年から10数年続いた2つのMSSの影響が
両者にある種のわだかまりを作っていても
不思議ではありませんでした。

しかし、いくつかのグループに分かれての
スモールグループTG内の議論では
スムーズに意見交換が行われていました。

私はILOの日本人スタッフの方とは
一緒のグル-プにいましたが、
ILOの発言は建設的なものが多いせいもあるのですが、
ほとんど受け入れられていました。

具体的な個別議論になると、
組織の建前よりは発言の論理性でテーブルの出席者が
判断するからであると思います。

しかし、Plenary(総会)での議論になると、
一転して雰囲気が変り、
あいかわらずの建前論の応酬という図式になりました。

たぶん出席しているお互いの仲間を意識して
譲れないpoliticalな立場を強く主張するからであると
思います。

ここに更にISOとILOは工夫をしていく必要であると
感じました。

■□■ 論点はどこに ■□■

ISOとILOの論点の多くはILOが昔から国際的に定めている
ILS(International Labor Standard)との整合性にあります。

たとえば、”workers representative:労働者代表”を
定義するかどうか、するとすればどのような定義にするか、

ILS(International Labor Standard)との整合性は
どうかなどの議論がTGの中では行われていましたが、
結論は出ませんでした。

このような用語の定義を巡っての意見の対立は、
事前にISOとILOのleader同士が意見交換をしておけば、
歩み寄りできる内容であるはずです。

しかし、ISO側は事前の根回しをせずPlenary(総会)に
その可否を多数決に委ねました。

ILOにすればそれがMoUにあるILOを尊重するということに
触れると感じたはずです。

組織同士の関係も結局は人間関係と同じだと感じます。

規格内容を議論する以前の話であって、
いかに人間関係を築いておくかで
成果に影響を及ぼすものであると思いました。

ILOはMoUの立場を理解してくれという気持ちでしょうが、
ISOにしてみれば、従来と同じ手順を踏んでいるわけで
参加者全員の投票で可否を決定するという多数決理論で
ことを運んだにすぎないということでしょうか。

国際会議もしょせんは人間関係によるものであるということを
実感した会議でした。

以上

チュニジアの秋 | 平林良人の『つなげるツボ』

—————————————————–
■□■ 平林良人の『つなげるツボ』Vol.94 ■□■
*** チュニジアの秋 ***
—————————————————–
■□■ 明けましておめでとうございます ■□■

少々遅くなりましたが、本年もよろしくお願いいたします。

昨年は附属書SLを重点的に取り上げました。

まだ、いろいろと発信したいことがありますので、
今年も継続してマネジメントシステムについて考えるところを
書かせていただきます。

今回は附属書SLから外れて、
アフリカ(地中海に面していてカルタゴの悲劇で有名)
チュニジアについてお伝えします。

■□■ チュニジアへ行ってきました ■□■

昨年の11月にチュニジアへ行ってきました。
それまではチュニジアがどこにあるかも知りませんでした。

ことの始まりは、飯塚先生から
「チュニジアから『Quality Day』に招待講演を頼まれているが
都合が悪くて行けないので、代わりに行ってくれないか!」
というお誘いがあったことです。

チュニジアでは、毎年民間の品質管理学会みたいな組織が
品質について5、6人の識者を世界から集めて、
イベントを実施しているということです。

例年11月秋に行われていて、その年のテーマを決めて行っているが、
今年は「Social accountability and Quality」というテーマでした。

総合スローガンに基づいて、個々で得意な部分での話をしてくれという
内容で、私は
「How to preserve the rules of quality and social accountability?
(品質及び社会責任のルールを守り続けるためには)」
という講演タイトルにしました。

組織の全員がルールを順守することで
組織の持続的成功があるという趣旨を話したかったからです。

■□■ Social accountabilityとは ■□■

CSR(Corporate Social Responsibility)と呼ばれる
「社会責任」のISO規格があります。

ISO26000は産業界、政府、労働組合を巻き込んで5年間程議論がされ、
2010年第8回ISO/SRコペンハーゲン総会で、
最終国際規格案が採択され成立しました。

2005年の第1回サルバドール総会から始まり、
世界から寄せられたコメント総数25,000件を超えたと言われています。

組織の行動を現行の法律や規則で社会的責任までカバーするのは
不十分で、唯一の方法ではありません。

法律や規則は静的なものでトップダウンのメカニズムで動いていますが、
規格は下からのボトムアップのメカニズムで動く方がダイナミックです。

SA8000という民間規格もあります。

これはソーシャル・アカウンタビリティー・インターナショナル
(SAI:Social Accountability International)という
アメリカの団体が開発し運用しているものです。

ILO(国際労働機関)の諸条約を基に要求事項を規定しています。
・15歳未満の労働者(児童労働)の禁止
・強制労働の禁止
・安全で健康な職場環境 団体交渉の権利
・差別の禁止
・懲罰の禁止:企業としての懲罰、精神的・肉体的強制支配、
不正言論の禁止
・就労時間:週労働時間 休日を一日以上含む48時間以下の就労、
自主的残業12時間以下
・報酬:就労者の生活に必要な最低賃金保障
・人材マネジメント

■□■ ルールを決めても守らなければ・・・ ■□■

ISO規格もSA規格も要求事項を組織の全員に守ってもらうことが
ポイントです。

文書を作成し、教育しても関係者がそれを知っていて
しかも順守することをマネジメントの最も重要なことです。

今回の講演は「ルールを守ってもらう」ということに焦点を当てました。

偶然ですが、品質管理学会では「日常管理の指針」という学会規格を
英文で作成していましたので、その紹介もさせていただきました。

■□■ 日本企業と民主化 ■□■

チュニジアには日本企業も工場進出しています。

今回の受講者の中にも矢崎総業の現地マネージャーがいました。

中年の女性の方で、なかなか鋭い質問をしてきました。

矢崎総業は、チュニジアの北と南に2つの工場を操業しており、
自動車用部品を製造しているということでした。

2011年、チュニジアでは失業していた若者が
焼身自殺したことがきっかけで、ジャスミン革命が起こりました。

これはその後、「アラブの春」と呼ばれる北アフリカの諸国の
独裁政権を倒す革命のきっかけになったと言われています。

しかし、民主化が順調に進んでいる国は
チュニジアだけだそうです。

エジプトもアルジェリアそしてシリアも
いまだ混乱の中にあるということです。

これは、エジプトは人口8,000万人という大国ですが、
チュニジアは1,000万人と比較的コントロールしやすい、

また国民一人あたりのGDPもエジプトは3,000ドルですが、
チュニジアは4,400ドルと比較的豊かであることが原因であると
聞きました。

失業率が高く、良質な労働力が多いのもこの国の魅力でしょう。

ちなみに日本の国民一人あたりのGDPは40,000ドルですから
一桁違った(安い)賃金レベルであることも工場進出には、
特にヨーロッパに向けての部品供給基地として地政学的に
有利な国であるといえます。

以上