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平林良人の『つなげるツボ』Vol.130

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■□■ 平林良人の『つなげるツボ』Vol.130 ■□■
*** コンサルタント募集 ***
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■□■ ISOマネジメントシステムの黎明と歴史 ■□■
ISOマネジメントシステム(ISOMS)が日本に入ってきて今年
で28年になります。1989年をISOMSのスタートの年としたのは、
私の記憶ではこの年に日本で最初のISO9001の認証書が
発行されたからです。

もしJABが設立された年(1993年)をISOマネジメントシステム
のスタートの年とすると今年で24年になります。

今回の2015年版は、QMSもEMSもこの歴史の中で一番大きな
改訂であると思います。

■□■ ISOマネジメントシステムの構築 ■□■ 
2008年版から2015年版への移行(QMS)、2004年版から
2015年版への移行(EMS)は、コンサルタントの方に新たな
需要を提供しています。改正された基準規格に適合する
システム構築を組織に指導する人材が求められています。

今回の2015年版は、ISOMSの原点に戻って、パフォーマンス
評価を要求しているなど、組織にはクリアすべき課題が
いくつかあります。
1.トップがその気になること。
 ISOMSに取り組むリーダーシップを取ること。
2.現在の事業推進のプロセスを分析すること。
3.基準となる規格(ISO9001:2015、ISO14001:2015)を理解
すること。
4.期待する成果に向かって、部分最適(部署)から全体最適
(組織全体)に全員の考えが変わること。

■□■ ISOMSコンサルタント ■□■
1990年~2000年にかけて、多くの組織がコンサルタントの力を
借りました。
本来は組織が自分でISOMSを構築することが理想なのですが、
そこは餅屋は餅屋で、その世界に詳しい方のサポートを貰った
方が適切に、早くISOMSが構築できるわけで、当時は多くの
コンサルタントの方が活躍されました。

■□■ コンサルティングの要諦 ■□■
コンサルティングの仕方については、いろいろな方が、いろいろな
意見を言っておられます。コンサルティングといっても対象が
異なれば当然、必要となる知識、力量、対応方法などは異なって
くるでしょう。

しかし、コンサルティングの要諦はそんなに変わるものではない
と思います。
1.顧客の期待とニーズ(要求事項)を理解する。
2.要求事項をより深化させ、より良い方向を提案する。
3.コンサルティング実施前にいろいろなオプションを示す。
4.コンサルタントは多くの引き出し(知識、知見、技術、技能など)
を持っている。

■□■ その他の要件 ■□■ 
その他の要件として、次のようなことが言えるのではないかと
思います。
1.コミュニケーション能力がある。
2.論理的な説明ができる。
3.感情に走らない。
4.ものごとを大きく俯瞰できる。
5.細部にも気を使う。
6.顧客の理解レベルを察知できる。

ISO9001:2015、ISO14001:2015年が発行されて、早いもので、
1年が経過しました。多くの組織がパフォーマンスの上がるI
SOMSを構築して移行したいと行動を始めています。

まずは移行審査に対応する、次に競争相手との差別化の
ためにも成果の上がる、すなわちパフォーマンスの向上を
求めるISOMS構築を目指す組織が増えています。

■□■ 平林良人の『つなげるツボ』 Vol.43 ■□■

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■□■ 平林良人の『つなげるツボ』 Vol.43 ■□■

*** 「リスクマネジメント」「危機管理」 ***

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テクノファ代表取締役の平林です。

 震災後3ヶ月が過ぎようとしておりますが、夏が近づくにつれて電力不足、
放射能問題での生活への影響がじわりじわりと広がってきているように
感じている毎日です。

 また、まだまだ続く被災された皆様の復旧復興への道のりを少しでも
ご支援できたらと思っております。

 今回の東日本大震災及び東京電力福島第一原子力発電所の問題で、
今後の日本の経済活動を考える上で重大な事象が、我々の目の前に
提示されていると思います。

 正直に申し上げますと、今回の大震災の後、

『QMSまたはEMSがうまく活用していたので復旧がうまくいった』とか、
『被害が少なく抑えられた』という話は、あまり聞こえてきません。

 実際、皆さんQMSやEMSどころではないのでしょう。

 ISOマネジメントシステムに係る一人として、少々寂しい気持ちでは
ありますが、これが今の日本の「ISO業界の実情」ではないかと考えます。

 では、なぜこのようになってしまったのでしょうか。

 この議論は各所でなされているので、持論をお持ちの方も多いと
思いますが、私なりに以下の三つの側面から考察してみたいと思います。

●個別のマネジメントシステムとして捉えてしまっている
●経営に活用しようという視点が不十分
●「人」の視点

■□■ 個別のマネジメントシステムとしての対応 ■□■

 QMSならQMS、EMSならEMS。

 それぞれのマネジメントシステムは、規格要求事項が定められ、製品実現、
運用管理の部分のみならず、文書管理、内部監査、マネジメントレビューなど、
組織運営に必要な事項が網羅されています。

 よって、その要求事項に適合するシステムを作り上げ、それに基づく
運用を行っていけば、審査において基本的に困ることはなく、無事に
認証を得ることができます。

 それによって、QMSなり、EMSなりを単独運用している間は、まだ問題は
起きませんが、組織のシステム活用状況が進んでいく、取引先からの要求が
増える、などの状況変化により、複数のマネジメントシステムを運用して
いくようになると、弊害が現れてきます。

 例えば、文書体系一つとっても、QMS用、EMS用と似たようなものなのに、
複数の体系が出来上がることになってしまうのです。

 審査対応を考えると、この方が管理しやすいことは理解できるのですが、
現場の方々のことを考えると、これでは業務に支障をきたすリスクを
抱えることになってしまいます。

 あくまで、両マネジメントシステムに共通する部分は共通化して、両文書の
つながりを持たせておかないと、それぞれが一人歩きして、手間ばかりが
掛かり、さらには形式的な運用に陥ってしまいます。
  

■□■ 経営に活用しようという視点 ■□■

 QMSにしろEMSにしろ、取引先から認証取得を要請されたので取り組んだ、
という組織が多いことも事実であると思います。

 ですが、誰もが分かってはいることなのですが、今一度考えてみましょう。

 経営の主体はだれでしょうか。

 それはお客様ではなく、間違いなく、「組織」自身です。

 そうであれば、経営者にとって大事なことは、

    どのような経営がしたいのか?
    どのような会社にしたいのか?

 ということを明らかにした上で、日々の経営に当たるということです。

 
 ありたい経営・組織の姿を明確化することによって初めて、

    そのために何をすれば良いのか、
    どのようにすれば良いのか、

 という疑問にあたります。

 その視点で経営者のみならず、マネジメントシステムに関わる
全ての人が考えることが出来れば、

内部監査やマネジメントレビューの機会を活用して、経営者が
どのような将来像を描いているかを問いかけたり、あるいは引き出したり
する機会は、ISOの活用場面では色々なところにあるのです。

 繰り返しますが、

QMS・EMSの認証取得のために経営があるのではありません。

経営のために、QMS・EMSの認証取得という選択肢があるのです。

そのツボさえ外さなければ、
複数のマネジメントシステムをつなげるという意識でもって、
日頃の組織活動が生まれてくるのです。
   

■□■ 「人」の視点 ■□■

 最後のポイントです。

マネジメントシステムを活用するのは誰でしょうか。

愚問でしたね、

当然、組織の構成員、つまり「人」となります。

 どのマネジメントシステム規格の中でも、人(人的資源)に関する
要求事項は存在します。(← と言い切って大丈夫でしょうか???)

 しかし、これも要求事項という視点から見てしまうと、如何にその枠組みに
組織の構成員をはめ込むか、従わせるか、という視点に陥ってしまいます。

 それでは本末転倒、

あくまで、人ありきで、その人々が前向きに、成果を上げやすくしていくために、
マネジメントシステムを使わねばならないのです。

そこに必要な視点は、「人は時間を掛けてじっくり成長していく」という
ポイントです。

 一朝一夕に人は変わるものではありません。

じっくり、じんわりと種まきをしていくことでいつか花が開くのです。

成果が出るのを、焦ってはいけないのです。

そのために大事なことは主体性を引き出すということです。

さて、以上で3つの視点である、

●個別のマネジメントシステムとして捉えてしまっている
●経営に活用しようという視点が不十分
●「人」の視点

を一通り考察してみました。

■□■ マネジメントシステムをつなげる仕組み ■□■   

 長くなりましたが問題は、ここからです。

 これらのことが分かった上で、マネジメントシステムを
つなげる仕組みとして大事なことは何か、

 基本はPDCAを回す、ということですが、そのことに加えて、
私は、それが今回の大震災及びその後の問題から感じた、

    「リスクマネジメント」
    「危機管理」

の視点だと思っています。

リスクマネジメント → 危機が起きる前に対応する未然防止
危機管理      → 危機が起きた後に行う対処

と、扱う視点は同一ですが、その狙うところ、活用する時期が
全く異なります。

 組織の活動は、あくまで、継続してなされることを想定して
組み立てられていますし、お客様の期待もそこにあります。

 その根本的なところを抑えるのが、リスクマネジメントであり
危機管理であるわけです。

 それらがベースとしてあり、その上で更に両者の信頼関係を
構築する上で、QMSやEMSがあると考えることが重要なのです。

 そして、今回の大震災を機に、各所で聞かれる度合いが増した

            BCP(事業継続計画)

というものが、その活用ツールとして存在価値を増すと思っています。

 もちろん、事業継続マネジメントシステムの規格であるBS25999を
表面的に見てしまうと、そのような発想にはならないと思います。

 ですが、あくまで 『組織の経営』 という視点でこの規格をじっくり
見てみるとこの規格の中には、新たな気づきがたくさんあります。

 私自身、このBS25999規格については、改めてじっくり研究して
みたいと思っています。

 機会を改めて、またそのお話をさせて頂く予定にしております。