ISO 9004:2018持続的成功を達成するための指針-7 | 平林良人の『つなげるツボ』

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■□■ 平林良人の『つなげるツボ』Vol.227 ■□■
***ISO 9004:2018持続的成功を達成するための指針-7***
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ISO 9004 :2018「品質マネジメント-組織の品質-持続的成功を達成する
ための指針」の箇条6組織のアイデンティティについての話をいたします。
組織の特徴の原文は、“identity of organization”です。ISO 9004では
“identity”を「アイデンティティ」とカタカナにしていますが、辞書を
見ると「正体、素性、身元、同一」などの日本語が並んでいます。

■□■ ISO 9004;箇条6 ■□■

組織のアイデンティティは、ミッション、ビジョン、価値観、文化に
基づいてその性格が決まります。ミッション、ビジョン、価値観、文化は
相互に依存しており、それらはダイナミック(動的)なものと理解することが
望ましいとしています。

ここでは“culture”という英語も使われています。文化(culture)は
次のものから醸成されると説明しています。

・信念:beliefs
・歴史: history
・倫理: ethics
・行動: behavior
・態度: attitudes

トップマネジメントは,事業環境の変化に応じて、ミッション、ビジョン,
価値基準及び文化を見直すことが望ましいとしています。
持続的成功を達成する組織の能力にこの見直しは影響を及ぼす可能性が
あります。

■□■ JSQC 方針管理の指針 ■□■

ISO 9004:2018が推奨していることをどのように実施するのかは、
JSQC規格(JIS Q 9023)に書かれています。
JSQC「方針管理の指針」7章では、トップマネジメントが組織の使命、
理念、ビジョンなどについて明確にすることが書かれていますので
参考になります。

組織全体のパフォーマンスを改善するためには、組織が目指す方向に
ついての共通の認識を形成し, その実現に向けてボトルネックとなる
課題を摘出し、全員の参加を得て確実に解決していくことが重要である、
としています。
トップマネジメント(組織の社長、役員、事業部長など)は、このような
状況を作り上げるために、方針管理が役立つことを組織に認識させ、
その導入・活用を図るとともに、その実践に深く関わり、有効に機能
させていくのがよいとしています。

■□■ 具体的に行うべきこと ■□■

引き続き、JSQC「方針管理の指針」(JIS Q 9023 )にガイドされている
ことを述べます。
具体的には、次のことを行うのがよい、としています。

組織の使命・理念、ビジョン、経営環境などに基づいて中長期経営計画
を策定する。
b)中長期経営計画に基づいて組織全体の期ごとの方針を策定する。
c)組織方針を組織全体に展開する。
d)方針の実施に必要な予算、人々、インフラストラクチャーなどの資源を
確保する。
e)各部門又は部門横断チームとの直接のコミュニケーションを通じて、
方針の展開及び実施のプロセス、並びに方針の達成状況を診断する。
f)方針の達成の状況及びそのプロセスを、期の途中に適宜評価するとともに、
期末にレビューする。
g)人々が組織の方針を達成することに十分に参画できる内部環境を作り出し、
維持する。
h)方針管理を推進するための組織化を行う。組織の規模が大きく、機能又は
部門の数が多い場合は, 方針管理に関する仕組みを構築し、必要な教育を行い、
進捗状況をトップマネジメントに報告する推進部門を設置又は任命する。

このようなことを行うことで組織のアイデンティティが明確になっていくと思います。