平林良人の『つなげるツボ』Vol.365

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■□■ 平林良人の『つなげるツボ』Vol.365 ■□■
― つなげるツボ動画版はじめました
*** SDGインパクト基準18 ***
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2015年に発表された国連「SDGsアジェンダ」についてお話をして
います。
SDGsとは、
“Sustainable Development Goals”の略で、「持続可能な開発」
と日本語訳されています。

今回は目標10についてです。

■■ 目標10 ■■
目標10. 各国内及び各国間の不平等を是正する。
<10.1 2030年までに、各国の所得下位40%の所得成長率について、
国内平均を上回る数値を漸進的に達成し、持続させる。>

経済的な不平等を無くそうというのがこの目標ですが、国内における
不平等よりも国際的すなわち国と国の経済的な不平等を是正するとい
うことが国連の狙いです。世界がグローバル化する中で所得の不平等
は徐々に縮小してきており、その意味で国際社会は、人々の貧困脱出
に向け、長足の進歩を遂げてきたといえます。

しかし、いろいろな不平等は根強く残り、開発途上国の保健サービス
や教育サービスなどについては大きな格差がなくなっていません。経
済成長だけでは国と国の差は少なくならず、経済、社会、環境という
ESG分野の領域に経済成長が波及しなければ、全体の経済格差を削減
するには不十分だというコンセンサスが国際的にでき上がりつつあり
ます。

■■ 開発途上国と先進国 ■■
国と国の格差を議論するときに「開発途上国」と「先進国」という言
葉が出てきます。開発途上国は経済を「開発(発展)」させる「途上」
にある国であり、「先進国」は経済発展によって経済が世界でも「先進」
的な水準に達している国という区別になっていますが、国際的に両者の
間を分ける線が1本になっているわけではありません。この両者の線引
きはあいまいで、国連や世界銀行は「開発途上国」の定義をそれぞれ持
っていますし、研究者もそれぞれに「先進国」や「開発途上国」の定義
を示すことがよくあります。
ただ、OECD(経済開発協力機構)は、「ODA(政府開発援助)受け取り
国リスト」を発表しています。OECDは「経済的により進んだ国が開発
途上の国々を支援するために全力で協力する」ことを目的にした国際的
な機関であるからです。OECDは「先進国クラブ」と呼ばれることもあ
ります。

OECDでは3年毎に「ODA受け取り国リスト」を発表していて、このリ
ストにのっている国は、ODAを受け取る資格があります。これらの国は、
経済開発のための援助を受ける側ということで「開発途上国」と呼ばれ
ています。リストにのっているのは、下の2つの基準のどちらかに当て
はまる国々です。
1.世界銀行によって「高所得国」以外に分類される国々(2016年時点
  の一人当たり国民所得(GNI)が12,235米ドル以下の国々)
2.国連によって後発開発途上国(Least Developed Countries)に分類
  される国々

■■ 1万ドルクラブ ■■
世界銀行による分類では、開発途上国は「低所得国」「下位中所得国」「上
位中所得国」の3つに分かれています。
低所得国はGNIが1,005米ドル以下の国、
下位中所得国は1,006米ドルから3,955米ドルまでの国、
上位中所得国は3,996米ドルから12,235米ドルまでの国となります。
国連によって「後発開発途上国」に分類される国のほとんどは、世界銀行
の分類では「低所得国」となります。

正確には覚えていませんが、20~30年くらい前には国民の平均所得が1万
ドルを超えると先進国クラブに入ったと言われた時代がありました。

■■ 日本の平均所得 ■■
先に述べたように所得の不平等は国家間で縮小しています。OECDのデータ
からは94 カ国のうち 60 カ国の 1 人当たり所得は伸びていることを示し
ています。これは、開発途上国からの輸出品に有利なアクセス条件を設けた
り、開発途上国からの輸出品に対する免税措置を広げたり、その他の優遇政
策を講じてきたためと言われています。
ところで日本の国民一人当たりの平均所得はどのような状況になっているの
でしょうか。残念なことにあまり芳しくありません。下の表に示すように世
界で24番目というのが2020年のランキングです。他国が伸びているのに日
本はこの30年ほとんど変わっていません。