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■□■ 平林良人の『つなげるツボ』Vol.53 ■□■

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■□■ 平林良人の『つなげるツボ』Vol.53  ■□■

*** マネジメントシステム規格共通文書2 ***

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日本規格協会のHPに共通文書の日本語訳が掲載されました。

この翻訳に意見のある方は誰でもコメントを寄せることができま
すので、HPから共通テキストをダウンロードしてみてください。

この共通文書の発行は、マネジメントシステム規格(Management
 System Standard:MSS、以下MSSと呼称する)の世界において
は画期的なことであると思います。

なぜ画期的かその理由は、一つに規格ユーザーの利便にあると思
います。

MSSの嚆矢と目されるものは、1987年に発行されたISO9001規格で
す。以降、2012年まで25年の間に10を超えるMSSが誕生しました。

歴史的に上げてみると、ISO9001、ISO14001、ISO27001、
OHSAS18001(労働安全衛生については準ISOとしての扱い)など
が、MSSとして登場しました。

その後もこの動きは続き、最近ではISO50001(エネルギーマネジ
メント)、ISO22301(事業継続マネジメント)、ISO39001(道路
交通安全マネジメント:2012年末発行予定)と続いています。

■□■ 共通テキスト化のポイント ■□■

ISO/IEC Directive の一部に組み込まれたMSSのポイントは5
つあると考えています。

1.どのMSSにもある普遍的な箇条の文章が共通化されたこと。
2.MSSの構造の統一と用語定義の共通化がなされたこと。
3.MSSを導入する前提を明確にすることが問われるようになっ
たこと。
4.要求事項をビジネスプロセスに統合することが要求されてい
ること。
5.リスクの考え方が導入されたこと。

細部にわたっては、多くのポイントがありますが、今回の共通文
書化のポイントを大きなものから5点あげよ、と問われるならば
以上のとおりです。

■□1.どのMSSにもある普遍的箇条の文章が共通化されたこと■□

ざーっと共通文書をみたとき、次の項目がすべてのMSSの共通の
文章になったことに気がつきます。
 
 ・経営者の責任
 ・方針管理
 ・目標管理
 ・責任権限
 ・コミュニケーション
 ・教育訓練
 ・文書管理
 ・記録の管理
 ・内部監査
 ・マネジメントレビュー
 ・是正処置
 ・予防処置(共通文書ではリスク及び機会への取組み)
 ・継続的改善

■□2.MSSの構造の統一と用語定義の共通化がなされたこと■□ 

MSS共通文書の構成は、前回もふれましたが
次のようになっています。

1. 適用範囲
2. 引用規格
3. 用語及び定義
4 組織の状況
5 リーダーシップ
6 計画
7 支援
8 運用
9 パフォーマンス評価
10 改善

また、今回定義された用語は次のとおりです。

1.organization
2.interested party
3.requirement
4.management system
5.top management
6.effectiveness
7.policy
8.objective
9.risk
10.competence
11.documented information
12.process
13.performance
14.outsource
15.monitoring
16.measurement
17.audit
18.conformity
19.nonconformity
20.correction
21.corrective action
22.continual improvement

以上

■□■ 平林良人の『つなげるツボ』 Vol.51 ■□■ 

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■□■ 平林良人の『つなげるツボ』 Vol.51 ■□■ 

*** ISOマネジメントシステム規格情報 ***

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ISO(国際標準化機構)では活発に新しい規格の発行を行っていますが、
今回は読者に関係が深いと思われるISOマネジメントシステム規格の
最新情報をお届けします。

規格発行状況の羅列で砂を噛むようなメルマガですが、ご勘弁ください。

こんなに多くのISOマネジメントシステム規格が存在するということを認識していた
だければ幸いです。

下記をお読みいただく前に恐縮ですが

     「テクノファフォーラム 大阪開催」無料のご案内です。
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・4月25日(水) 於:エルおおさか(大阪府立労働センター)

・9:30~13:00(午前の部)、14:00~17:30(午後の部※ほぼ満席です)

  1. 平林良人 「ISO9000ファミリー改正動向」

  2. 福丸典芳氏 「9001の本質と内部監査の成熟度モデル」

  3. 吉田敬史氏 「環境ISO国際交渉と国内動向の最新情報」

   お申し込みは http://www.technofer.co.jp/convini/forum2012osaka.html

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それでは本題ですが、

■□■ TC176品質管理及び品質保証関係 ■□■ 

① ISO9000は2005年以来更新されていません。2009年のTC176東京総会で予備的作業に入りましたが、その後進展がなく、2011年の北京総会で改正のためのNWIP(New Work ItemProposal)が作成された 段階です。

② ISO9001は、2012年3月15日の国際定期見直し投票結果により改正することが決定されました。日本規格協会では2012年2月に東京大学でISO9001次期規格WSを開催し、今後の国際会議に備えて国内体制の整備に入っています。

③ ISO9004は2009年に改正され、2010年にはJIS9004が制定されました。
組織が品質マネジメントアプローチによって持続的成功を達成するためのガイド規格です。

④ ISO10001(行動規範) 2007年に国際規格が発行され、2010年にはJIS規格が発行されました。組織が提供する製品に対して顧客満足を得るための、顧客に対する組織の規範事項についてのガイド規格です。

⑤ ISO10002(苦情対応) 2005年JIS規格発行済です。2011年3月定期見直し投票の結果、「確認」(修正/改正せず現状のまま継続)が決定しました。組織が提供する製品に対する顧客からの苦情に対して、組織内部で対応するためのガイド規格です。

⑥ IS010003(外部紛争解決)  2010年JIS規格発行済です。2011年3月定期見直し投票の結果、「確認」が決定しました。組織が提供する製品に対する顧客からの苦情に対して、組織内部で対応できなかった場合に、裁判以外の手段で対応するためのガイド規格です。

⑦ ISO/TS10004(顧客満足の監視及び測定) 2010年4月にTS発行されましたが、ISに格上げする提案が2011年採択されました。組織が提供する製品に対する顧客満足の監視及び測定についてのガイド規格です。

⑧ ISO/WD10008(電子商取引) 2012年3月締切でCD2のコメントを募集し、現在コメント集約中です。ISO/COPOLCO(消費者政策委員会)からの提案の規格です。

⑨ ISO10018(人的側面) 2011年5月DIS投票の結果、賛成多数で採択され2012年5月に発行の予定です。効果的な品質マネジメントシステムのために必要な“組織の人々”の力量、認識、コミュニケーション、チームワークなどの人的要素に関するガイド規格です。

⑩ Time、Speed and Agility 2009年にエジプトが提案したガイド規格です。スタディーグループで規格化の二一ズをはかるための市場調査を実施し、結果をウェブに公開する予定です。事業環境変化、情報技術の発展により、機敏に、タイムリーに対応する必要が高まっていることを背景に提案されました。

⑪ ISO19011(マネジメントシステム監査) 2011年11月に改正版が発行され、2012年3月にはJISQ19011規格が発行されました。

■□■ TC207環境管理関係 ■□■ 

① ISO14001(要求事項及び利用の手引) 2011年に改正のためのNWIPが投票結果賛成多数で可決され、2012年2月にはWD1が作成されました。改正においては、JTCG開発のMSS共通テキストの使用を前提に検討がなされています。

② ISO14004(原則、システム及び支援技法の一般指針)  2008年定期見直し投票の結果、「確認」となりましたが、2011年ISO14001とともに改正を目指すことになりました。

③ ISO14005(IS014001段階的導入の指針) 2010年12月に国際規格が発行され、2012年3月にJISQ14005が発行されました。中小企業を対象に、段階的にEMSを構築するためのガイド規格です。

④ IS014006(エコデザインの指針) 2011年7月にISが発行され、2012年3月にはJISQ14006が発行されました。組織が提供する製品、サービスに関する体系的な環境適合設計プロセスのガイド規格です。

⑤ ISOGuide64(製品規格で環境課題を記述するための指針) 2008年8月にISが発行され、現在JISQ0064の作成をJISCが検討中です。
 
⑥ ISO14050(用語)  2009年2月にISが発行され、JISQ14050が2012年3月に制定されました。ISO14040s、ISO14062、ISO14063、IS014064sに定義されている用語及び定義も追加されました。

⑦ IS014020シリーズ(環境ラベル)
・ISO14021(タイプⅡ環境ラベル) 1999年ISが発行され、2011年12月に追補が発行されました。
・ISO14025(タイプⅢ環境宣言) 2009年定期見直が行われましたが、結果は「確認」でした。

⑧ ISO14030シリーズ(環境パフォーマンス評価)
・IS014031(環境マネジメントー環境パフォーマンス評価ー指針) 1999年11月にISが制定され、その後改正が決定し現在DISの段階の改正作業中です。
・ISO/TS14033(Environmental management – Quantative environmental information Guidelines and examples) NWP投票の結果、賛成多数で2012年現在TS発行待ちになっています。

⑨ IS014040シリーズ(ライフサイクルアセスメント)
・ISO14040(ライフサイクルアセスメントー原則及び枠組み) 2006年7月IS発行済みで、2010年、JISが発行されています。
・ISO14044(ライフサイクルアセスメント_要求事項及び指針) 2006年7月IS発行済みで、2010年、JISが発行されています。
・ISO14045(環境効率評価一原則及び要求事項) 現在、FDIS段階です。
・IS014046(Water Foot Print – principles , requirements and guidance)  2009年のNWP投票の結果、規格開発がスタートし、現在CD段階です。

⑩ IS014051(マテリアルフローコスト会計 – 一般枠組み) 日本提案により2008年規格化が開始され、2011年ISが発行されました。2012年3月にはJISが制定されました。

⑪ IS014060シリーズ(温室効果ガス)
・ISO14064 第1部:組織レベルのGHG排出量及び吸収量の定量化と報告に関する手引、第2部:プロジェクトレベルのGHG排出削減量・吸収増大量の定量化、監視、報告に関する手引、第3部:GHG主張の妥当性確認及び検証の手引、いづれも2006年3月IS発行済みです。またISO14064-1は2010年5月、ISO14064-2、-3は2011年にJIS化がされました。
・ISO14065(GHGに関する検証及び妥当性確認を実施する機関に対する要求事項) 2007年4月IS発行済み、2011年3月にJIS化がされました。
・ISO14066(GHGに関する検証及び妥当性確認を実施する機関の要員に対する要求事項)2011年4月IS発行され、2012年3月にはJISがされました。
・ISO14067(カーボンフットプリント) part1:製品のカーボンフットプリント―定量化part2:製品の力ーボンフットプリント―コミュニケーショと区分されて、規格の開発が進んできたが、2011年1月に両パートが統合されることが決まり、2013年を目指して、現在はDIS段階です。

■□■ その他のMSS ■□■ 

① ISO31000(Risk management – Guidelines on principles and implementation of risk management:リスクマネジメントー原則及び実施の指針)、2009年11月国際規格発行済み、2010年9月にJISが制定されました。

② ISOGuide73(Risk management – vocabulary:リスクマネジメントー用語)、2009年11月国際規格発行済み、2010年末JISQ0073が発行されました。 

③ TC223 Social security 社会セキュリティー
・ISO22301(事業継続マネジメントシステムー要求事項Business continuity management system – Requirement)BS 25999をベースに組織の緊急事態(発生時含む)に対するBCMS(Business continuity management system)を計画、構築、運用、監視、レビュー、維持、改善するための要求事項を含む規格の作成が進められてきましたが、2012年4月2日に規格の承認が投票で承認されました。

緊急事態への組織の能力を組織内部・外部機関(第三者認証機関を含む)が評価することにも利用可能です。2012年6,7月頃には国際規格が入手できる見込みです。
・ISO22313(社会セキュリティ、事業継続Societal security – Guidelines for incident preparedness and perational continuity management)ISO22399をベースに(2007年11月に発行済み)、ISO22301に対するガイド規格としてIS化に向けて作業中、現在DIS段階です。

④ ISO26000(社会的責任の中核主題に関する手引Guidance on Social Responsibility)、2010年末IS発行済、ガイダンス文書であって 認証を意図しない規格です。

⑤ ISO22000(食品安全マネジメントシステムーフードチェーンの組織に対する要求事項)、2005年8月発行済み、2008年定期見直し投票では「確認」となりました。
・ISO/TS22002-1(食品安全の前提条件プログラムー第1部:食品製造)、2009年12月
発行済み、2010年定期見直し投票では「確認」となりました。
・ISO/TS22003(食品安全マネジメントシステムの審査及び認証を行う機関に対する
要求事項)、2007年2月発行済み、2011年1月から5ヶ月間の定期見直し投票の結果、改正することになり作業中です。
・ISOTS22004(食品安全マネジメントシステムーIS022000:2005適用のための指針)、2005年11月発行済み、2008年定期見直し投票の結果「確認」となるも、2011年10月改正が決議されました。

⑥ 情報セキュリティマネジメントシステム(ISO/IEC/JTC1・情報セキュリティ)
・ISO/IEC27000(Information technology – Security techniques -Information security management -systems – Overview and vocabulary)、2009年5月に発行済み、現在改正作業実施中です。
・ISO/TC27001(情報技術 一 セキュリティ技術 一 情報セキュリティマネジメントシステム
ー要求事項)、2005年10月に発行済み(2006年5月JIS発行済み)、2009年改定が決議され
現在作業中でCD段階にいます。
・ISO/IEC27002(情報技術 一 セキュリティ技術 一 情報セキュリティマネジメントの実践のための規範)、2005年6月に発行済み(2006年5月JIS発行済み)、2009年改定が決議され現在作業中でCD段階にいます。
・ISO/IEC27003(情報技術 一 セキュリティ技術 一 情報セキュリティマネジメントシステムのための実施の手引き)、2010年3月に発行済みです。
・ISO/IEC27004(情報技術 一 セキュリティ技術 一 情報セキュリティマネジメントの測定)、2009年12月に発行済みです。
・ISO/IEC27005(情報技術 一 セキュリティ技術 一 情報セキュリティリスクマネジメント)、2011年5月に発行済みです。
・ISO/IEC27006(情報技術 一 セキュリティ技術 一 情報セキュリティマネジメントシステムの監査及び認証を行う機関に対する要求事項) 2007年にIS発行済で、2011年11月には改正版を発行済です。

⑦ サービスマネジメント(ISO/IEC/JTC1/SC7 – 情報技術、ソフトウェア技術)
・ISO/IEC20000-1(情報技術一サービスマネジメントー第1部:仕様)、2005年12月IS発行済み、2011年4月改正がされました。
・ISO/IEC20000-2(情報技術一サービスマネジメント」第2部:実践のための規範)、2005年12月IS発行済み、2012年2月改正がされました。

⑧ 道路交通安全マネジメントシステム(PC241・道路交通安全マネジメント)
・ISO39001(Road – traffic Safety management systems – Requirements with guidance for use)、現在、DIS段階 (2012年末発行予定)、国内では、(独)自動車事故対策機構を事務局とする国内委員会を設置し対応しています。
本規格は、組織が道路輸送システムにおける役割を認識し、道路交通安全の向上に資する、道路交通における事故を防ぐ、自動車衝突事故による健康や人命被害の重大性を軽減するためのマネジメントシステムの構築に資する、ステークホルダーに対して、継続的に道路交通安全システムが構築でき、改善できる能力があることを証明することを目的にしています。

⑨ エネルギーマネジメントシステム(PC242・エネルギーマネジメント)
・ISO50001(Energy Management System – Requirements with Guidance for Use), 2011年5月発行、同年10月JISが制定されました。
規格の目的は、組織がエネルギー効率等を含むエネルギーパフォーマンスを改善するために必要なシステムやプロセスを確立することにあり、ISO9001(品質)、14001(環境)と同様の認証用マネジメントシステム規格です。エネルギーに特化、エネルギー効率を組織のマネジメントに導入することによりエネルギーマネジメントの枠組みを組織、施設に提供することを目的にしています。

■□■ 平林良人の『つなげるツボ』 Vol.48 ■□■

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■□■ 平林良人の『つなげるツボ』 Vol.48 ■□■ 

       *** 第2の頭脳***

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■□■ 自律神経 ■□■ 

 人間の体には第2の頭脳があるそうです。

この頭脳は胃腸システムに存在し脳が考えることとは異なる思考をし、
胃腸のコントロールをしているのだそうです。

 よく自律神経といいますが、脳とは別に自分で勝手に動くゆえに自律と
言われるのでしょう。
 しかし、第2の頭脳といえども体全体は第1の脳(本当の頭脳)によって
コントロールされているわけですからまったく勝手に動くことはできません。

 脳と胃腸の頭脳が一致した思考にならない場合には、体はストレスを感じ
それが故に健康を崩すことになるそうです。

 逆に、体のすべてを脳がコントロールしているわけではなく、
ローカル(胃腸)にも自律したシステムをもたせているところに
体の素晴らしさがあると思います。

■□■ マネジメントシステム ■□■ 

 組織経営でもこのアナロジーが使えると思います。

 組織全体のコントロールは脳に当たる経営者の役割です。
しかし、組織の全てにわたって目を行き届かせることは現実困難です。

 胃腸システムのようにローカルな自律システムが組織経営にも必要です。
権限移譲ということがよく言われますが、組織の分課分掌の規定は極めて
重要なものです。

 マネジメントシステムは体と同じようにトップ(第1の頭脳)のもとにありますが、

第2の頭脳として自律して動かなければなりません。

 私はその役割は事務局にあると思います。積極的に動く事務局と
そうでない事務局とではマネジメントシステムの運用に大きな差がでてきます。

 勝手に動くと事務局は体と同じようにストレスを感じることになりますが、
活動する方針については第1の頭脳に従うが、

日常の運用(活動)は胃腸と同じように自律的に動かないと、
組織はマネジメントシステムを蔑ろにしてしまいます。

 事務局のみならず、すべての人が自律的な第2の頭脳になるべきですが、
そのためにはモチベーション(やる気)が必要です。

■□■ キャリアを考える ■□■

 モチベーションを持つ方法の一つは自分のキャリアを考えることです。

テクノファでは定期的にキャリア・カウンセラー(キャリア・コンサルタント)コースを
行っていますが、昨今のISOマネジメントシステムの実態をみるにつけ
人と人とのコミュニケーションの大切さを強調せずにはいられません。

 マネジメントシステム文書はきれいに整っていますが、
システムが表面的にだけしか機能しておらず形骸化している組織がありますが、
この組織には第二の頭脳がないのでしょう。

 実情を見ると標榜しているものとは明らかに違う、
これでは認証を信用したユーザーや消費者の期待を裏切ることになるのでは
ないかというようなケースも見受けられます。

 肝心なことは、システムという枠組みだけを整えるのではなく、仕事をする人が、
要求事項の中身を理解し、システムを自分の仕事の中に定着させるような機能を
果たしていることです。

 つまり、システムに心を入れることが大事です。

 それには働く人の仕事へのモチベーションが不可欠です。
今している仕事は自分にどう関係しているのか、上司と部下の関係、給与の問題など、

組織の中には仕事と人を巡っていろんな軋轢があります。

 それらを考えずに、従業員に無機質にマネジメントシステムを要求してみても、
血の通った仕組みにはなりません。

 日常の事象を管理するときに重要なのは人の品質です。

だからこそ人を理解でき、人を適正に評価でき、
適切な方向に導いていけるようなリード役の人材がいないといけません。

■□■ キャリアコンサルティングコース ■□■

 研修の中でどういった悩みがあるのか、受講生の方に聞くと、

「上司から日常期待されていることがはっきりしない」、
「自分は一所懸命やっているつもりでも評価されない」などの理由で、

社員の生産性が落ちたり、退社したりするなど、いろんな問題がわかってきます。

 キャリア・カウンセリングでよく「自分の内面を見る」と言いますが、
企業も内面を見ることが求められます。

 外からは立派な会社に見えても、自分の職場にどんな悩みや不満が渦巻いていて
いるのか、ふたを開けて中を見ようとしない経営者が時折見られます。

 これでは企業はよくなりません。それを見える形にする働きかけが重要です。

 それでも、現場の中間管理者は、何とか頑張ろうとしています。

そういうときに、企業のキャリア・カウンセラー(キャリア・コンサルタント)が、
トップとミドルの架け橋になり、ミドルに働きかける力、
さらには組織の風土改革の担い手となることが期待されています。

 しかし、その前提にはトップの理解と教育が大きな課題です。

私どもが研修させていただいたISO審査員が指導するのは中小企業さんが
多いものですから、そういう話を社長さんにもします。

 大企業であればカンパニーや事業部クラスのトップには直接お話しして、
従業員の声を聴く耳を持ってもらうようにしています。

 キャリア・コンサルタントが企業に常用雇用されていると安定感があります。
キャリア・コンサルタントが働く人にじかに対面できるようになっているからです。

 キャリア・コンサルタントの手によって、従業員のメンタルヘルスや
休職などについていつでも相談に応じられるように、十分な数の
キャリア・コンサルタントが企業内に設置され、いつでも接触できるような
土壌ができることがこれからの日本の課題だと思います。

 また、マネジメントする立場の人、例えば役職では部課長以上に
人間の行動心理を勉強させ、キャリア・コンサルタントの資格を持つことが
当たり前という意識が産業界に醸成されればいいと思っています。

■□■ 当社のコース ■□■

 実際、私どもの養成コースには部下のすすめで部長が送り込まれてくる
ようなこともあります。

 ISOの事務局の方もきます。
楽しみながら受講していただいて、人が成長するとはどういうことかを
しっかり学んでいます。

 そういう心得のある部課長の下では、従業員が活き活きと気持ちよく仕事ができ、
気持ちよく仕事ができれば成果が上がり、成果が上がれば仕事が面白くなる、
というよい循環に入ります。

 個の活性化によって組織の効率や生産性が上がるようになり、日本の産業界は
まだまだ伸びると思います。

 それが社会貢献につながると思います。

 企業が永続していくために、従業員が満足していなければ、
顧客満足度が生まれないと言われます。

 お客様、従業員、企業の「三方よし」になるには、従業員の気持ちを受け止める
人材が必要ですし、トップがそう思うことが大事です。

 キャリア・カウンセラー(キャリア・コンサルタント)の養成を通じて、
そういう考え方を広めていきたいものです。

 カリキュラムは実践的な教育を目指しており、通学15日間と一流講師から
じかに学べる機会を重視しています。

 受講料も他団体と比較して決して高くありませんので、
中身をよく見ていただいて検討していただければと思います。

 さらに今後は、資格ホルダーのフォローを充実していきたいと考えています。

■□■ 平林良人の『つなげるツボ』 Vol.24  ■□■

■□■ 平林良人の『つなげるツボ』 Vol.24  ■□■

  *** マネジメントシステムには良い設計が必要2 ***

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テクノファ代表取締役の平林です。

今回も「マネジメントシステムには良い設計が必要」について
その2のお話をしたいと思います。

■□■ 多様なニーズによって影響を受ける ■□■

ISO9001:2008序文の2番目にある“b)多様なニーズ”とは、
経済状況、社会的要求、利害関係者のニーズ、顧客の嗜好など、
まさしく多様なものを指します。

経済状況とは主に景気の変動により経済がいろいろ変化しますが、
そのおかれた状況をいいます。

社会的要求には2つタイプがあります。1つは法律のような
強制的な要求です。社会はいろいろな要素により進化していきます。
例えば、技術進歩、思考変化、年齢構成変化などです。
もう1つは、自主的な要求です。これはゆるやかな規制ともいう
べきもので、要求に従っても従わなくてもいいのですが、従わないと
仲間はずれにされてしまうようなものです。

利害関係者のニーズは、顧客、株主、従業員、行政、住民の
ような利害関係者から期待される事柄をいいます。

市場における顧客の嗜好は、把握することが難しいものですが、
組織の製品の販売に即影響を及ぼす重要なものです。

■□■ 経済状況 ■□■

組織を取り巻く状況は刻々と変わっていきます。特に経済状況は
ちょっと目を離すと、もう変化しているということがよくあります。

景気変動は必ず起きます。しかも先を見越すことはかなり困難
です。それは景気変動が人々の気ままな行動の総合として起こる
ため、経済理論すなわち理屈では説明がつかないためである
といわれています。

景気変動には短期と長期があります。短期的な変動は政府の
政策に影響を与えます。政府の予算などその年ごとどちらかと
いえば細かな調整が行われます。それによって組織の販売戦略
なども影響を受けます。

長期的な変動は、ここでは5~10年位の変動を意味していますが、
経済学では30年変動説が有名です。変動の年数は別として組織は
長期的変化を意識しなければなりません。

■□■ 社会的要求 ■□■

社会的要求で最近強いものが環境への配慮です。ISOで作成中の
CSR(Corporative Social Responsibility)規格ISO26000の中でも
環境への戦略は重要な位置付けとなっています。

特に物作り組織においては環境配慮はいまやトップマターで、
長期的な製品戦略に欠かすことにできない要素です。

次いで最近要求の強いものが「社会的倫理」であろうかと思い
ます。社会が落ち着き、成熟化してきますと皆あまりガツガツ
しなくなり、倫理に基づいた行動が要求されます。

話しは変わりますが、先週所用でモンゴルへ行ってきました。
モンゴルはちょうど30~40年前の日本と同じ社会事情ですので、
社会的要求も現在の日本とは全く異なるものを感じました。

■□■ 利害関係者のニーズ ■□■

これには行政からの規制、労働界からの要請、金融市場のニーズ、
大学・学会などからのリクエスト、地域社会・NGOなどの意見、
海外からのプレッシャーなど種々雑多なコンテンツが混ざり
合っています。

これら多くの中から組織は自分たちに必要なもの(ニーズ)を
選ばなければなりません。

常日頃どのような利害関係者の動向をチェックしておくべきか
決めておき、それらを定期的にフォローすることも必要なこと
です。

■□■ 顧客の嗜好 ■□■

顧客は気ままです。決してあなたの組織から物を買ったり、
サービスを受けたりしたいと思っていません。どこの組織の物、
サービスでもよいのです。要は自分の欲しい物がある組織、
会社から買うだけのことです。

しかも、顧客は自分の買いたいものを明確に分かっていない
場合が多いのです。勿論漠然とは分かっているのですが、供給者側
からいわれて始めて買うつもりになるケースが多いのです。
このことは自分自身のことを考えてみれば直ぐにわかることです。

では顧客に自分の会社の製品、サービスを買ってもらうには
どうすればよいのでしょうか。それへの結論は、自分の製品を買って
もらうことを考えるのではなく、顧客のニーズに合った製品を供給する
ことを考えることです。

よく言われているように、プロダクトアウトからマーケットインに
考え方を変えていかなければなりません。

■□■ ISO9001:2008の要求事項 ■□■

ISO9001:2008の要求事項には、「多様なニーズ」にフォーカスして
QMSを設計する場面が幾つかありますが、例えば、「7.2.1
製品に関連する要求事項の明確化」においては、次のような
要求がされています。

“組織は,次の事項を明確にしなければならない。
a)顧客が規定した要求事項。これには引渡し及び引渡し後の
活動に関する要求事項を含む。
b)顧客が明示してはいないが,指定された用途又は意図され
た用途が既知である場合,それらの用途に応じた要求事項
c)製品に適用される法令・規制要求事項
d)組織が必要と判断する追加要求事項すべて”

ここで要求されているa)~d)は、経済状況、社会的要求、利害
関係者のニーズ、顧客の嗜好などに関係するものばかりで、
まさしく組織の品質マネジメントシステムに影響を及ぼす多様な
ニーズから導き出されるものといっていいものです。

■□■ 平林良人の『つなげるツボ』 Vol.23  ■□■

■□■ 平林良人の『つなげるツボ』 Vol.23  ■□■

  *** マネジメントシステムには良い設計が必要 ***

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テクノファ代表取締役の平林です。

前回は「いいものは設計がいい」お話をしましたが、このことは
工業製品だけでなく、マネジメントシステムにも同様に言える
ことです。

今回は「マネジメントシステムには良い設計が必要」について
お話をしたいと思います。

■□■ ISO9001:2008序文 ■□■

ISO9001:2008の序文の「0.1一般」には、「品質マネジメント
システムの設計(design)」という表現が次の一節に出てきます。

【品質マネジメントシステムの採用は,組織の戦略上の決定に
よることが望ましい。組織における品質マネジメントシステムの
設計及び実施は,次の事項によって影響を受ける。
a)組織環境,組織環境の変化,及び組織環境に関連するリスク
b)多様なニーズ
c)固有の目標
d)提供する製品
e)用いるプロセス
f)規模及び組織構造
この規格は,品質マネジメントシステムの構造の画一化又は
文書化の画一化を意図していない。
この規格で規定する品質マネジメントシステムについての要求
事項は,製品に対する要求事項を補完するものである。】

改めて読むと、「品質マネジメントシステムの設計」の部分は、
ある意味で新鮮なものです。

ある意味で新鮮とは、歴史ある組織ほど、既に運用されている
システムを「設計(design)」という感覚で見ることはなかった
のではないか、と思ってのことです。

■□■ ISO9001:2008序文の意味するところ ■□■

従来ISO9001規格の序文はあまり注目されてきませんでした。
しかし、マネジメントシステムの有効性が強調されるように
なってから、序文の中の「一般」、「プロセスアプローチ」などが
注目を集めています。

品質マネジメントシステムの設計と規格本文の7.3「設計・
開発」とは直接関係ありませんが、設計(design)と
いう表現、そして以降に羅列されているa)~f)は、「7.3.2設計・
開発へのインプット」を彷彿とさせるものです。

【7.3.2 設計・開発へのインプット
:製品要求事項に関連するインプットを明確にし,記録を維持
 しなければならない(4.2.4参照)。インプットには,次の事項を
含めなければならない。
a)機能及び性能に関する要求事項
b)適用される法令・規制要求事項
c)適用可能な場合には,以前の類似した設計から得られた情報
d)設計・開発に不可欠なその他の要求事項
製品要求事項に関連するインプットについては,その適切性を
レビューしなければならない。要求事項は,漏れがなく,あいまい
(曖昧)でなく,相反することがあってはならない。】

ここに掲載したISO9001:2008規格の「7.3.2設計・開発への
インプット」は製品・サービスの設計をするときに、考慮せねば
ならない要素を上げています。

文中に「・・・を含めなければならない。」とあるように、これらの
インプット要素は最低限のものであって、これが総ての
インプットではありません。

組織は固有のものですから、規格が一律要求するインプット以外、
組織には多くの設計へのインプットがあることは当然のことです。

このことと同様に、マネジメントシステムの設計に影響を与える
要素、ここでいう設計へのインプットは序文で上げているa)~
f)だけではありません。

組織のマネジメントシステムの設計へのインプットには、組織固有の
インプットがあってよいわけで、むしろ固有のものがあるべき
だと思います。

■□■ 組織環境・・によって影響を受ける ■□■

序文0.1一般には、品質マネジメントシステムの設計がa)~f)に
よって影響を受けるとありますが、a)~f)は設計する際に考慮
すべきインプット要素であるといえます。一つずつみてみましょう。

【a)組織環境,組織環境の変化,及び組織環境に関連する
リスク】
このインプット要素は、例えば、組織がどんなインフラストラ
クチャーを必要とするか、設備するかに関係します。

【6.3 インフラストラクチャー
組織は,製品要求事項への適合を達成するうえで必要とされる
インフラストラクチャーを明確にし,提供し,維持しなければ
ならない。インフラストラクチャーとしては,次のようなもの
が該当する場合がある。
a)建物,作業場所及び関連するユーティリティー(例えば,
 電気,ガス又は水)
b)設備(ハードウェア及びソフトウェア)
c)支援体制(例えば,輸送,通信又は情報システム)】

認証審査において、上記「必要とされるインフラストラクチャーを
明確にし,提供し,維持しなければならない。」の部分を
審査するのはあまり意味が無いと考えている審査員が多いと
思います。しかし、組織がa)でいう「組織環境,組織環境の変化,
及び組織環境に関連するリスク」をどのように考えているのかを
審査で確認することになるならば意味があると思います。

序文の2番目“b)多様なニーズ”以降は、次回でお話したいと思いま
す。