ISOマネジメントシステム規格情報 | 平林良人の『つなげるツボ』

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■□■ 平林良人の『つなげるツボ』 Vol.51 ■□■ 

*** ISOマネジメントシステム規格情報 ***

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ISO(国際標準化機構)では活発に新しい規格の発行を行っていますが、
今回は読者に関係が深いと思われるISOマネジメントシステム規格の
最新情報をお届けします。

規格発行状況の羅列で砂を噛むようなメルマガですが、ご勘弁ください。

こんなに多くのISOマネジメントシステム規格が存在するということを認識していた
だければ幸いです。

下記をお読みいただく前に恐縮ですが

     「テクノファフォーラム 大阪開催」無料のご案内です。
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  1. 平林良人 「ISO9000ファミリー改正動向」

  2. 福丸典芳氏 「9001の本質と内部監査の成熟度モデル」

  3. 吉田敬史氏 「環境ISO国際交渉と国内動向の最新情報」

   お申し込みは http://www.technofer.co.jp/convini/forum2012osaka.html

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それでは本題ですが、

■□■ TC176品質管理及び品質保証関係 ■□■ 

① ISO9000は2005年以来更新されていません。2009年のTC176東京総会で予備的作業に入りましたが、その後進展がなく、2011年の北京総会で改正のためのNWIP(New Work ItemProposal)が作成された 段階です。

② ISO9001は、2012年3月15日の国際定期見直し投票結果により改正することが決定されました。日本規格協会では2012年2月に東京大学でISO9001次期規格WSを開催し、今後の国際会議に備えて国内体制の整備に入っています。

③ ISO9004は2009年に改正され、2010年にはJIS9004が制定されました。
組織が品質マネジメントアプローチによって持続的成功を達成するためのガイド規格です。

④ ISO10001(行動規範) 2007年に国際規格が発行され、2010年にはJIS規格が発行されました。組織が提供する製品に対して顧客満足を得るための、顧客に対する組織の規範事項についてのガイド規格です。

⑤ ISO10002(苦情対応) 2005年JIS規格発行済です。2011年3月定期見直し投票の結果、「確認」(修正/改正せず現状のまま継続)が決定しました。組織が提供する製品に対する顧客からの苦情に対して、組織内部で対応するためのガイド規格です。

⑥ IS010003(外部紛争解決)  2010年JIS規格発行済です。2011年3月定期見直し投票の結果、「確認」が決定しました。組織が提供する製品に対する顧客からの苦情に対して、組織内部で対応できなかった場合に、裁判以外の手段で対応するためのガイド規格です。

⑦ ISO/TS10004(顧客満足の監視及び測定) 2010年4月にTS発行されましたが、ISに格上げする提案が2011年採択されました。組織が提供する製品に対する顧客満足の監視及び測定についてのガイド規格です。

⑧ ISO/WD10008(電子商取引) 2012年3月締切でCD2のコメントを募集し、現在コメント集約中です。ISO/COPOLCO(消費者政策委員会)からの提案の規格です。

⑨ ISO10018(人的側面) 2011年5月DIS投票の結果、賛成多数で採択され2012年5月に発行の予定です。効果的な品質マネジメントシステムのために必要な“組織の人々”の力量、認識、コミュニケーション、チームワークなどの人的要素に関するガイド規格です。

⑩ Time、Speed and Agility 2009年にエジプトが提案したガイド規格です。スタディーグループで規格化の二一ズをはかるための市場調査を実施し、結果をウェブに公開する予定です。事業環境変化、情報技術の発展により、機敏に、タイムリーに対応する必要が高まっていることを背景に提案されました。

⑪ ISO19011(マネジメントシステム監査) 2011年11月に改正版が発行され、2012年3月にはJISQ19011規格が発行されました。

■□■ TC207環境管理関係 ■□■ 

① ISO14001(要求事項及び利用の手引) 2011年に改正のためのNWIPが投票結果賛成多数で可決され、2012年2月にはWD1が作成されました。改正においては、JTCG開発のMSS共通テキストの使用を前提に検討がなされています。

② ISO14004(原則、システム及び支援技法の一般指針)  2008年定期見直し投票の結果、「確認」となりましたが、2011年ISO14001とともに改正を目指すことになりました。

③ ISO14005(IS014001段階的導入の指針) 2010年12月に国際規格が発行され、2012年3月にJISQ14005が発行されました。中小企業を対象に、段階的にEMSを構築するためのガイド規格です。

④ IS014006(エコデザインの指針) 2011年7月にISが発行され、2012年3月にはJISQ14006が発行されました。組織が提供する製品、サービスに関する体系的な環境適合設計プロセスのガイド規格です。

⑤ ISOGuide64(製品規格で環境課題を記述するための指針) 2008年8月にISが発行され、現在JISQ0064の作成をJISCが検討中です。
 
⑥ ISO14050(用語)  2009年2月にISが発行され、JISQ14050が2012年3月に制定されました。ISO14040s、ISO14062、ISO14063、IS014064sに定義されている用語及び定義も追加されました。

⑦ IS014020シリーズ(環境ラベル)
・ISO14021(タイプⅡ環境ラベル) 1999年ISが発行され、2011年12月に追補が発行されました。
・ISO14025(タイプⅢ環境宣言) 2009年定期見直が行われましたが、結果は「確認」でした。

⑧ ISO14030シリーズ(環境パフォーマンス評価)
・IS014031(環境マネジメントー環境パフォーマンス評価ー指針) 1999年11月にISが制定され、その後改正が決定し現在DISの段階の改正作業中です。
・ISO/TS14033(Environmental management – Quantative environmental information Guidelines and examples) NWP投票の結果、賛成多数で2012年現在TS発行待ちになっています。

⑨ IS014040シリーズ(ライフサイクルアセスメント)
・ISO14040(ライフサイクルアセスメントー原則及び枠組み) 2006年7月IS発行済みで、2010年、JISが発行されています。
・ISO14044(ライフサイクルアセスメント_要求事項及び指針) 2006年7月IS発行済みで、2010年、JISが発行されています。
・ISO14045(環境効率評価一原則及び要求事項) 現在、FDIS段階です。
・IS014046(Water Foot Print – principles , requirements and guidance)  2009年のNWP投票の結果、規格開発がスタートし、現在CD段階です。

⑩ IS014051(マテリアルフローコスト会計 – 一般枠組み) 日本提案により2008年規格化が開始され、2011年ISが発行されました。2012年3月にはJISが制定されました。

⑪ IS014060シリーズ(温室効果ガス)
・ISO14064 第1部:組織レベルのGHG排出量及び吸収量の定量化と報告に関する手引、第2部:プロジェクトレベルのGHG排出削減量・吸収増大量の定量化、監視、報告に関する手引、第3部:GHG主張の妥当性確認及び検証の手引、いづれも2006年3月IS発行済みです。またISO14064-1は2010年5月、ISO14064-2、-3は2011年にJIS化がされました。
・ISO14065(GHGに関する検証及び妥当性確認を実施する機関に対する要求事項) 2007年4月IS発行済み、2011年3月にJIS化がされました。
・ISO14066(GHGに関する検証及び妥当性確認を実施する機関の要員に対する要求事項)2011年4月IS発行され、2012年3月にはJISがされました。
・ISO14067(カーボンフットプリント) part1:製品のカーボンフットプリント―定量化part2:製品の力ーボンフットプリント―コミュニケーショと区分されて、規格の開発が進んできたが、2011年1月に両パートが統合されることが決まり、2013年を目指して、現在はDIS段階です。

■□■ その他のMSS ■□■ 

① ISO31000(Risk management – Guidelines on principles and implementation of risk management:リスクマネジメントー原則及び実施の指針)、2009年11月国際規格発行済み、2010年9月にJISが制定されました。

② ISOGuide73(Risk management – vocabulary:リスクマネジメントー用語)、2009年11月国際規格発行済み、2010年末JISQ0073が発行されました。 

③ TC223 Social security 社会セキュリティー
・ISO22301(事業継続マネジメントシステムー要求事項Business continuity management system – Requirement)BS 25999をベースに組織の緊急事態(発生時含む)に対するBCMS(Business continuity management system)を計画、構築、運用、監視、レビュー、維持、改善するための要求事項を含む規格の作成が進められてきましたが、2012年4月2日に規格の承認が投票で承認されました。

緊急事態への組織の能力を組織内部・外部機関(第三者認証機関を含む)が評価することにも利用可能です。2012年6,7月頃には国際規格が入手できる見込みです。
・ISO22313(社会セキュリティ、事業継続Societal security – Guidelines for incident preparedness and perational continuity management)ISO22399をベースに(2007年11月に発行済み)、ISO22301に対するガイド規格としてIS化に向けて作業中、現在DIS段階です。

④ ISO26000(社会的責任の中核主題に関する手引Guidance on Social Responsibility)、2010年末IS発行済、ガイダンス文書であって 認証を意図しない規格です。

⑤ ISO22000(食品安全マネジメントシステムーフードチェーンの組織に対する要求事項)、2005年8月発行済み、2008年定期見直し投票では「確認」となりました。
・ISO/TS22002-1(食品安全の前提条件プログラムー第1部:食品製造)、2009年12月
発行済み、2010年定期見直し投票では「確認」となりました。
・ISO/TS22003(食品安全マネジメントシステムの審査及び認証を行う機関に対する
要求事項)、2007年2月発行済み、2011年1月から5ヶ月間の定期見直し投票の結果、改正することになり作業中です。
・ISOTS22004(食品安全マネジメントシステムーIS022000:2005適用のための指針)、2005年11月発行済み、2008年定期見直し投票の結果「確認」となるも、2011年10月改正が決議されました。

⑥ 情報セキュリティマネジメントシステム(ISO/IEC/JTC1・情報セキュリティ)
・ISO/IEC27000(Information technology – Security techniques -Information security management -systems – Overview and vocabulary)、2009年5月に発行済み、現在改正作業実施中です。
・ISO/TC27001(情報技術 一 セキュリティ技術 一 情報セキュリティマネジメントシステム
ー要求事項)、2005年10月に発行済み(2006年5月JIS発行済み)、2009年改定が決議され
現在作業中でCD段階にいます。
・ISO/IEC27002(情報技術 一 セキュリティ技術 一 情報セキュリティマネジメントの実践のための規範)、2005年6月に発行済み(2006年5月JIS発行済み)、2009年改定が決議され現在作業中でCD段階にいます。
・ISO/IEC27003(情報技術 一 セキュリティ技術 一 情報セキュリティマネジメントシステムのための実施の手引き)、2010年3月に発行済みです。
・ISO/IEC27004(情報技術 一 セキュリティ技術 一 情報セキュリティマネジメントの測定)、2009年12月に発行済みです。
・ISO/IEC27005(情報技術 一 セキュリティ技術 一 情報セキュリティリスクマネジメント)、2011年5月に発行済みです。
・ISO/IEC27006(情報技術 一 セキュリティ技術 一 情報セキュリティマネジメントシステムの監査及び認証を行う機関に対する要求事項) 2007年にIS発行済で、2011年11月には改正版を発行済です。

⑦ サービスマネジメント(ISO/IEC/JTC1/SC7 – 情報技術、ソフトウェア技術)
・ISO/IEC20000-1(情報技術一サービスマネジメントー第1部:仕様)、2005年12月IS発行済み、2011年4月改正がされました。
・ISO/IEC20000-2(情報技術一サービスマネジメント」第2部:実践のための規範)、2005年12月IS発行済み、2012年2月改正がされました。

⑧ 道路交通安全マネジメントシステム(PC241・道路交通安全マネジメント)
・ISO39001(Road – traffic Safety management systems – Requirements with guidance for use)、現在、DIS段階 (2012年末発行予定)、国内では、(独)自動車事故対策機構を事務局とする国内委員会を設置し対応しています。
本規格は、組織が道路輸送システムにおける役割を認識し、道路交通安全の向上に資する、道路交通における事故を防ぐ、自動車衝突事故による健康や人命被害の重大性を軽減するためのマネジメントシステムの構築に資する、ステークホルダーに対して、継続的に道路交通安全システムが構築でき、改善できる能力があることを証明することを目的にしています。

⑨ エネルギーマネジメントシステム(PC242・エネルギーマネジメント)
・ISO50001(Energy Management System – Requirements with Guidance for Use), 2011年5月発行、同年10月JISが制定されました。
規格の目的は、組織がエネルギー効率等を含むエネルギーパフォーマンスを改善するために必要なシステムやプロセスを確立することにあり、ISO9001(品質)、14001(環境)と同様の認証用マネジメントシステム規格です。エネルギーに特化、エネルギー効率を組織のマネジメントに導入することによりエネルギーマネジメントの枠組みを組織、施設に提供することを目的にしています。