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■□■ 平林良人の『つなげるツボ』 Vol.56 ■□■

■□■ 平林良人の『つなげるツボ』 Vol.56 ■□■

*** マネジメントシステム規格共通文書5 ***

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「マネジメントシステム規格共通文書5」をお読みいただく
前に恐縮ですが
「第19回テクノファ年次フォーラム」(参加費:無料)の
ご案内をさせていただきます。

皆様のお申込みをお待ちしております。

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・日時:12月27日(木)/ 13:00~17:30
・会場:きゅりあん(品川区立総合区民会館) 7F イベントホール
・定員:350名(先着順)
・講演者・テーマ(内容が変わる場合がございます)
  1. 早稲田大学理工学術院 教授 棟近 雅彦 氏
    『次期ISO9001規格について』

  2. 高知工科大学 客員教授 神田 淳 氏
    『持続可能文明の創造』副題「日本のエネルギー問題」

  3. 立正大学心理学部 教授 小澤 康司 氏
    『不確実な社会を生き抜くキャリア開発』

・フォーラムの詳細はこちらで
http://www.technofer.co.jp/convini/forum2012.html

・お申し込みはこちらで
https://www.technofer.co.jp/script/forum2012register.php

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それでは本題ですが、

■□■ 共通テキスト化のポイント ■□■

 ISO/IEC Directive の附属書SLに組み込まれたMSSのポイントは
5つあるとして、前回までにそのうち1,2,3,4について述べました。

1.どのMSSにもある普遍的な箇条の文章が共通化されたこと。
2.MSSの構造の統一と用語定義の共通化がなされたこと。
3.MSSを導入する前提を明確にすることが問われるようになっ
たこと。
4.要求事項をビジネスプロセスに統合することが要求されてい
ること。
5.リスクの考え方が導入されたこと。

 今回は、「5.リスクの考え方が導入されたこと。」について説明
をします。

■リスクとは■

 附属書SL箇条3.09に「不確かさの影響」と定義されています。
これから何が起こるか分からない、誰も未来をいい当てられない状況
においても、何が起こりうるかを予測し、それに対する影響を明確に
しておくことが要求されています。

 箇条6.1では、同時に「機会(opportunity)」も明確にすることが
要求されています。附属書SLには機会の定義はされていませんが、
opportunityは好機とも訳されますので、目標達成の見込み、向上・
改善のチャンスなど組織にとって良いことについても明確にすること
が要求されています。

 リスクは「何かについての影響」であり、機会は「何か」そのもの
であることに両者の違いをみることができます。

■リスクを明確にする際の視点■

 ただ、無条件に組織のリスクと機会を決定すると要求しているわけ
ではありません。
 「①組織の目的に関連した外部・内部の課題、②MSSの意図した成果
を達成する能力に影響を与える外部・内部の課題」に関してのリスク
と機会でなければなりません。

 決定したリスクと機会については、a)MSSの意図した成果を確実に
達成する、b)望ましくない影響を防止又は低減する、c)継続的に改善
することが求められています。

 更に、箇条8.1ではこのa)~c)への取り組みに必要なプロセスを計画
し、実施し、かつ管理することが求められています。

 我々は、確実にものごとを実行することは、現在においてしかできま
せん。だれも未来において、何かを確実にすると言い切れません。

 我々にできることは、将来何が起こるのかを予測し、それに備えるこ
との実行だけです。予測したことが、未来においてその通りになったの
か、ならなかったのか、準備したことが適切であったのか、なかったの
かなどについては、将来の人にしか分かりません。未来に存在する人
だけがそれを確認できるのですが、その人が現在の人である保証はあ
りません。

 現在、備えとして行ったことが、実は大きな潜在的効果になっていた、
というようなことは誰にも認めてもらえない可能性もあります。

 附属書SLはリスク及び機会を決定するに際して、どのくらいの時間ス
パンが望ましいかについては何もいっていませんが、現在の事業計画
の延長線上を見定めての決定がよいと思います。
  
■ 組織及び制度に与える影響 ■

 附属書SLが今後組織及び認証制度にどのような影響を及ぼすかに
ついては、いろいろな見方があってしかるべきです。

 筆者は次のような観点から組織及び認証制度への影響を考えるべ
きであるかと思っています。それは、まさしく附属書SL箇条6.1に述
べられている観点からです。

 すなわち、リスクと機会についてであり、何をリスクと捉えるか、
何を機会ととらえるかを組織は自分たちの置かれている状況、
環境のなかから考察していくべきです。したがって具体的な影響は
組織によって様々であると思います。

■ MSSへの応用状況 ■

最後になりますが、12種類のMSSの状況です。

①ISO9001

 2012年3月の国際定期見直し投票結果により改正が決定されました。
 2012年6月に第1回TC176/SC2/WG24がスペインで開催され、設計計
 画書が作成されました。
 附属書SLの採用が決定され、スタート時点として単純に 附属書SL
 と現行の規格(2008年版)の組み合せを作成 しながら、2015年完
 成を目標にプロジェクトが進んでいます。

②ISO14001

 1996年の初版後、2004年に改正されたのみで、以来改正がされず
 にきましたが、2015年を目標に改正作業に入っています。
 附属書SLの採用が決定され、そこに環境に特有な要求事項をどの
 ように入れ込むのかの議論が続いています。
 ex)環境側面に関する要求はどこの箇条に入れるのがよいのか?

③ISO22301(事業継続マネジメントシステム)

 2012年5月に新しいテーマである国際規格が発行されました。
 附属書SLに基づいた初の規格です。

④ISO20121(イベントマネジメントシステム)

 2012年7月新しいテーマである国際規格が発行されました。
 附属書SLに基づいた2番目の規格です。

⑤ISO39001(道路交通安全マネジメントシステム)

 2012年10月に新しいテーマである国際規格が発行されました。
 附属書SLに基づいた3番目の規格です。

⑥ISO27001(情報セキュリティマネジメントシステム)

 2005年5月発行規格が最新版です。
 現在、附属書SLに基づいた改定版を開発中で、現在CD段階に
 あります。

⑦ISO22000(食品安全マネジメントシステム)

 2005年5月発行規格が最新版です。 
 現段階の「改正」は現場の混乱をまねくとして、現在のままで
 いく決定がされました(確認)。

⑧ISO20000(ITサービスマネジメントシステム)

 2011年4月が最新版の国際規格です。
 現在JIS化が進められています。

⑨ISO50001(エネルギーマネジメントシステム)

 2011年5月発行の新しいテーマの国際規格です。
 現在、周辺の規格の開発が進められています。

⑩ISO16949(自動車セクター規格)

 アメリカBig3が作ったInternational Autmobil Task ForceがISOと
 一緒に作成した規格です。
 附属書SLは規格ユーザーへの影響が大きいという背景から、
 採用しない案をISO/TMBへなげかけており、今後の展開が
 注目されます。

⑪ISO9100(航空宇宙マネジメントシステム)

 世界の航空宇宙関係の部品メーカー用のセクター規格です。 
 現段階では、附属書SLを採用しての「改正」を検討しています。

⑫ISO55001(アセットマネジメントシステム)

 2010年に英国BSIの提案で開発が進められ、現在CD段階にいます。
 附属書SLを用いて開発が進められています。

以上