内部診断と内部監査1 | 平林良人の『つなげるツボ』

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■□■ 平林良人の『つなげるツボ』Vol.255 ■□■
*** 内部診断と内部監査1 ***
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新型コロナウイルスはまだ当面先が見通せない状況になっていますが、
1段落した後(1、2年後?)の世界はどのようになっているのでしょうか?
世界がこの疫病を経験したことにより何が教訓となり、どんな新しい世界が
現れるのでしょうか。

中国に依存している工業製品の多さ、サプラーチェーンの脆弱性、意外と少ない
医療設備などに多くの人が気づき、そこからどんな変化が世界的に起きるのでしょうか。

これからは世界の変化に注視していかなければならないと同時に、そうした変化に
備えることが必要で、その意味からこの機会に自組織の内部診断を行ったらどうでしょう。

■□■ 内部診断と内部監査 ■□■

「内部診断」は読んで字のごとく自社の状況を診断する活動で、日本式品質管理が
盛んな1970年~80年代に行なわれた経営手法の一つです。
誰が診断するのかというと「社長」が診断します。しかし、大きな会社になると
実質的に社長が診断できるわけではないので、役員、部長が診断することが
多いと思います。

一方、「内部監査」もよく社長の代わりに監査する、という言い方をします。
「内部診断」も「内部監査」もその目的は、組織の実態を調査して、強みを活かし
弱みを補強することです。内部監査は、ISO 9001初版(1987年)から2015年版まで
一貫しての要求事項であったため、そのやり方は多くの人が提案し、委員会もつくられ、
ISO 19011という規格に集約されてきましたが、内部診断は体系だったやり方が
決められてきてはいません。

これから暫くこのメルマガでは、「内部診断」を内部監査の方法を使って行うことを
述べてみたいと思います。

■□■ 内部診断は特別内部監査 ■□■

内部監査には計画的に行うものと特別に行うものとがあります。
今回、ここでいう「内部診断」は、自組織の強さと弱さをあぶりだす目的で
行うという意味で、特別内部監査として行うことが良いと思います。
ISO 19011にまとめられている方法を使って、「内部診断」を行ってみましょう。

コロナウイルスの影響で今後大きく変化しそうな経営環境において、組織が
自身の強さと弱さを知っていることは大変重要なことです。
実施にあたっては、内部診断責任者は「診断の基本姿勢」を作成しておき、
診断者、被診断者立会いの下、診断方針として読み上げるとよいでしょう。
次のようなものが例としてあります。

内部診断は、業務推進の弱さ及びそれを支えるマネジメントシステムの
弱点を見つける目的で行うものであって、人を評価するものではない。
内部診断では、議論はしても論争はしない。指摘することによって、
業務を増やしたり、手順を追加したりする場合は、診断者、被診断者両者の
合意が必要である。
内部診断の目的は、問題点を発見し、解決策や改善策を検討し、実行に移し、
最終的に改善を図ることである。
4. 内部診断では、お互い(診断者、被診断者)に、I及びYou ではなく、Weの姿勢をとる。

■□■ 内部診断の対象 ■□■

今回提案する内部診断は、まず組織の大骨を対象とします。
大骨の診断が終わったら次に小骨の診断もします。
組織の大骨は次の3分野です。

・経営分野
・プロフィットセンター(顧客価値を生む)分野
・サポート分野

よく「当社の経営層は弱い」というぼやきを聞きます。
しかし、経営層のどこが、何が、どの分野が弱いのか、という具体的な明確化がされず、
ただ弱いと言っている場合が多いようです。
具体的に、客観的に弱い部分を明確にすることが内部診断の目的です。

同じことが、プロフィットセンター(顧客価値を生む)分野、サポート分野においても
言えます。因みに、プロフィットセンター(顧客価値を生む)分野は主要分野、
サポート分野は支援分野とも呼ばれます。
では小骨とはどんなものになるのでしょうか。大骨である3分野の下に個々の業務が
展開されますが、組織の最前線で個人或いは数人のグループが行う
「管理しなければならない」業務を小骨と考えています。